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『アサシン クリード オデッセイ』選択システムであなたはどう生きる?

『アサシン クリード オデッセイ』選択システムであなたはどう生きる?

毎回、さまざまな時代・国を舞台に展開される大人気アクションRPG『アサシンクリード』シリーズの最新作、『アサシン クリード オデッセイ』が満を持して発売されました。メインシリーズ11作目(スピンオフ作品などは含まず)となる今回の物語は、なんと古代ギリシャが舞台。暗殺者となった主人公が遭遇するイベントで選択肢をプレイヤー自身が選び、それによってストーリーが変わっていくというシリーズ初の試みが盛り込まれ、ますます円熟した今作。その魅力を全2回の記事で紹介します。

文 / 内藤ハサミ


紀元前の美しいギリシャが舞台

紀元前480年、ギリシア・ペルシア戦争のなかでも有名な“テルモピュライの戦い”からオープニングムービーは始まります。スパルタの英雄であるレオニダスが、たった300人の親衛隊を率いて100万人といわれたペルシア軍と壮絶な戦闘を繰り広げたというドラマチックなシーン。屈強でストイックな戦士であることが誇りのスパルタ人、そのなかでも英雄と言われるレオニダスが片腕である男に漏らした人間らしいひと言、レオニダス自ら手を下した裏切り者の発言などを含め、一度見ただけではすぐに理解できない気になる要素がいくつも含まれた意味深なムービーです。

▲ムービーの合間にテルモピュライの戦いに挑むレオニダスを操って、戦闘のチュートリアルも行います

グラフィックやストーリーなど、シリーズを通して貫かれている驚異的なリアリティの世界設定は今回も健在。エキゾチックだな、素敵な装飾だな、などと流し見してしまうような小物のあれこれにまで、かなり細かい時代考証がなされているのです。時代考証については古代ギリシャ研究家の藤村シシン氏が、歴史的観点から『アサシン クリード オデッセイ』を語るというコメンタリー動画を公式が公開しており、それがとても面白いので、現在プレイされている方でなくても視聴をおすすめしたいです! コメンタリー動画は第4弾まであります。どの動画も時間を忘れて見入ってしまいます。

筆者は以前から藤村シシン氏のファンなので、今回の起用に関してはもう大感激。動画ではゲーム内のあらゆることを解説し、膨大な知識を惜しみなく授けてくれます。柱の形から当時の建築様式を語ったり、登場人物の振る舞いひとつにまで当時のリアルがこれでもかと詰まっていることが語られるなど、この動画を見るとよくわかります。これによってゲームのプレイが直接有利になったりはしませんが、「ギリシャの話なんだな、神殿とかあるし……」という漠然とした認識ではなく、しっかりとした裏付けのもとに作られた世界を旅しているんだという実感が持てることで、ゲームの臨場感が増し、より楽しめること間違いなしです。

▲主人公の物語が始まるギリシャ西部の地、ケファロニア。貧しい村サミでの暮らしは非常に質素

▲一方、船でちょっと中心部に出てくると、こんなに栄えた街もあります

例えば、現代人の多くが考える古代ギリシャの彫刻や建築は、真っ白でまったく色の塗られていないイメージなのではないでしょうか。しかし実は、その多くが塗装されていて非常にカラフルだったようなのです。

▲勝手に白い布(キトンといいます)だけしか着ていなかった、なんていう先入観を持っていたけれど、ふつうに着色された生地を身にまとっていたんですね

以前から当時のカラフルな彫刻をイメージしてみたことはありましたが、こうして説得力のある背景のなかにそれが配置され、その風景のなかを散歩できる楽しさというのは、想像以上に心躍る体験でした。今作に描かれたリアルな古代ギリシャの姿は、シリーズのファンや古代ギリシャ大好き勢だけでなく、特にアサシンにも古代ギリシャにも興味のない人すら圧倒してしまうはずです。

プレイヤーの“選択”が運命を決める

ゲーム本編に入るまえに、難易度、ゲームプレイモード、主人公の項目を決める必要があります。難易度は、イージー、ノーマル、ハード、ナイトメアの4種類。イージーではアビリティや装具にあまり気を使わなくてもゲームを進めることができるくらいの易しさ。ナイトメアは、「苦難にこそ最上の喜びを感じる、マニア向け」とあるので、積極的にピンチを味わいたい! という腕に自信のあるプレイヤー向け。そこそこ苦難を味わいたい派の筆者は、ひとまずノーマルでプレイしてみます。

▲ナイトメアは相当シビアだということです……

次に選択するのはゲームプレイのモード。選べるのは従来のシリーズどおり、常にマーカーが選択され、クエスト目標が自動的に更新される“ガイド付きモード”と、世界を探索しながら自分で目標となるクエストやターゲットを見つけていくという、今回初登場の“探索モード”のふたつ。今回は、ゲーム内の説明にも「アサシンクリードオデッセイ本来のゲーム体験」と銘打たれた“探索モード”にしました。さて最後に、アレクシオス(男性)とカサンドラ(女性)のどちらかを主人公として選択します。今回は、選択画像で一目惚れしたカサンドラに決めました。

▲画像にもあるとおり、ここで決めた主人公をあとから変更することはできません。体験する物語はふたりとも共通です

さあ、最初の選択が終わったところで、物語は紀元前のギリシャへ……。主人公は、貧しいケファロニアで傭兵をしています。天涯孤独な身の上ですが、マルコスという男と組んでなんとか暮らしていました。この時点では、スパルタとアテナイの戦争は海の向こうの話。ふたりが住んでいるケファロニアには、それほど関係ないように感じます。

▲幼いころ浜辺で倒れていたカサンドラを拾って世話したのが、マルコスでした

しかし、トラブルメーカーでお調子者のマルコス経由で依頼される仕事などをこなすうち、カサンドラは傭兵としてケファロニアを離れ、スパルタとアテナイを中心としたデロス同盟が争う“ペロポネソス戦争”に巻き込まれていきます。そのうち、自身の出自には秘密があることを知り、金稼ぎの傭兵というだけではない旅の目的を見つけることにもなるのです。ケファロニアを離れるまでに数度、カサンドラの過去についての回想ムービーが流れ、現在たったひとりで家族もなく生きているカサンドラの過去が徐々に明かされます。序盤の山場ではその回想シーンと状況がピッタリ重なり、真実に近づく場面があるのですが、ここでカサンドラ(を操るプレイヤー)は、カサンドラの今後を決定づける重要な“選択”を迫られます。ここ以外にも物語の要所ではプレイヤーが選択肢から選んだ内容で、のちのストーリーが変化していくという場面があり、シリーズ初導入のこのシステムが今作最大の特徴と言っていいでしょう。開発陣が目指したのは、”多様性のある物語”とのこと。メインクエストだけでなく、住民の困りごとの解決や謎の解明、スパルタ軍・アテナイ軍などの権力とどう関わっていくかなども自分で決定し、オリジナルの物語を紡ぐことになります。なので今回の主人公には、基本的なパーソナリティがしっかりとありながらも、プレイヤーの性格が色濃く投影されるでしょう。なんでも暴力で解決する主人公、人の気持ちに寄りそう主人公、そのときによってコロコロと立場を変えてしまうような主人公……。

▲声をかけた人物への返答に「ありがとう」、「放っておいてくれ」という、ふたつの選択肢が。この場合は大きく物語が動くことはなさそうですが……

▲天秤のマークが付いた選択肢は、物語の分岐が発生するということを示しています。のちの影響を考え、慎重に選択しましょう

エンディングは複数あり、プレイ中の選択がその後の展開に大きな意味を持つこともあります。多くの場合、それがどんな影響を生み、どういう結末が導き出されるかはある程度予想はできても、はっきりとわかるわけではありませんから、いっそその場の直感だけで突き進むのもひとつの道かもしれません。ですが、一度決めた選択をあとから変えることはできず、望まぬ展開になったとしても挽回する方法はありません。大きなネタバレになるので具体的なシーンの説明は避けますが、そういった重大なイベントの選択シーンでは、選択肢の左側に天秤以外に、ハートや剣や髑髏などのマークも付きます。そのアイコンのデザインで、ある程度それがどういう結果をもたらす選択肢なのかを予想できます。

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