映画『ちはやふる』特集  vol. 5

Interview

『ちはやふる』を終えた野村周平、自分のなかの「仕事」を語る

『ちはやふる』を終えた野村周平、自分のなかの「仕事」を語る

『ちはやふる―下の句―』が公開される。人気コミック原作の実写映画化二部作を終えた野村周平は、淡々と自分のしてきたこと、自分のすべきことを語る。演技は仕事。潔くそう言い切る、若きプロフェッショナルの真意ははたしてどこにあるのか。

全部一緒はつまらないから、自分を「料理して」もらう

映画「ちはやふる」真島太一役 野村周平インタビュー

袴いいですね。こういう格好をすると『ちはやふる』撮影当時のことがよみがえりますか。

そうですね。ただ、『上の句』から『下の句』にかけて(公開の)あいだがなく、すぐ『下の句』の宣伝だったので(撮影当時から)ずっと『ちはやふる』のまんま、という気持ちはありますね。去年撮って、もう公開してるので、早いなって。

あっという間でしたか?

ですね。あいだがあいてない気はします。ずっと、このメンバーで(一緒に)いるような、そういう気持ちになります。

映画「ちはやふる」真島太一役 野村周平インタビュー

野村さんが演じた太一は、観客にとって、この映画の入口になるような役どころだと思います。ある意味、観客に目線が近いというか。それが良かったです。太一と共に、ヒロイン千早たちの姿を見つめていけることが。

まず、僕にこういう役の仕事が来るっていうのも珍しいなと思いました。重い役のほうが多かったんですけど。初めて、準イケメンみたいな役をやらせていただいて。なんでだろうな、と思ってたんですけど、台本を読んで撮影をしていたら、ただのイケメンという感じではなくて。心に葛藤があったり、むず痒さがあったり、そういうところを表現してほしいって(監督に)言われました。ただ観客を喜ばすわけではない、というか。

まさに「むず痒さ」がある役ですよね。人って、やっぱり、他人から見えてる通りではないというか。野村さんにとっては、これまでとはちょっと違う役だったんですね。

こういうキラキラしたものに出るということがあまりなかったんで。どっちかっていうと裸だったり(『日々ロック』での役どころのこと)、無口だったり (笑)

なぜそういう役が来ると思いますか。

自分なりに研究すると(笑)、黙ってても意味のある顔をしてるんでしょうね。黙ってても、何か考えてるのかな、と思われるというか。いるじゃないですか。黙ってるだけで『不機嫌なの?』と言われる人って。僕、結構、そのタイプなんですよ。黙ると、急に『不機嫌なの?』と言われるんで、『いや、別に不機嫌じゃないんだけどな』と。そういうことなのかなと思います。だから言葉数少ない役のほうが多いかもしれないです。普段は(よく)しゃべるんですけどね。

映画を観るたびに思いますけど、野村さんは毎回全然違いますよね。『日々ロック』の突き抜けた勢い、『ビリギャル』の愛すべき情けなさ、『ライチ☆光クラブ』の屈折したイノセンス。どれも役柄ではなく、演技の性質が違うように思います。

全部一緒だったら、自分自身がイヤなんですよ。全部一緒だったらつまんないじゃないですか。観てるほうも。やっぱり変わっていったほうがいい。全部一緒にしたくないし、できるだけ髪型とかも変えたいですし。僕は直感型なんで役作りとかもそこまで(意識的に)してないんですけど、(脚本を)読んで、こういう感じなんだ、と直感でイメージして、作り上げていきます。

じゃあ、ファースト・インスピレーションが大事?

あとはもう、現場の雰囲気。(別な現場と)全く同じなんて現場はありえないですし、(相手の)人によって変わると思います。だから(監督には)いつも『料理してください』って言ってるんです。

映画「ちはやふる」真島太一役 野村周平インタビュー

サラリーマンの方々と一緒。やっぱり残業もあるし(笑)

料理される素材でいることで、変化できてるんですかね。

だから僕、役を引き摺って、ということもないんです。でも、日本じゃ無理でしょう? (役を)引き摺れない。

俳優のスケジュール的に?

そうですね。2本立て続けにやったり、1年に1本だけ作品をやるわけじゃないですからね。そういうのめり込み方では仕事、できないじゃん! って(笑)。なので、いい意味でルーズにやってます。

もともと、物事を引き摺らないタイプですか。

いや、もう、全然、引き摺らないですね。仕事が終わったら、あとはオレの(プライベートな)時間! って。

それは毎日?

そうですね。同じです、サラリーマンの方々と。ほんとに、はやく仕事終わってほしいなあ、みたいな(笑)。それは普通に思いますし。うわ、残業……定時で帰れない……みたいなときもありますし。

撮影って、そうですよね。

うわ、(時間が)押し始めた……とか。まいて終わったら、やった! と思います。『仕事』なんでしょうね。僕にとって芝居は。

じゃあ、オン/オフをことさら切り替えるってことじゃないですね。仕事だからキチンとやろう、みたいな。

仕事終わったら、仕事はキチンとやったんだから、あとはお休み(の時間)でいいでしょう、と。

いい意味で、割り切れてるんですね。

でも難しいんですよね、芝居って。趣味と仕事のあいまみたいな。楽しいときもあれば、結構、しんどいときもある。

楽しいときだけじゃないですよね。

でも、僕にとっては『仕事』なのかなと思います。

楽しむときも、あくまでも仕事として楽しむというか。

もちろん仕事を超えて、楽しい!っていうのがいちばんベストだと思うんですけど。僕は、現場、楽しい!って思えた方が、いい芝居ができると思います。

 

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