Interview

あの『ヒプノシスマイク』でも活躍中、歌ウマ声優・木村昴が挑んだミュージカルアニメの世界 映画『スモールフット』吹き替え&劇中歌の魅力とは?

あの『ヒプノシスマイク』でも活躍中、歌ウマ声優・木村昴が挑んだミュージカルアニメの世界 映画『スモールフット』吹き替え&劇中歌の魅力とは?

『ミニオンズ』の原作者&音楽であらたに贈る“モジャかわ”ミュージック・ファンタジー映画『スモールフット』がついに公開となった。巨大で臆病なモジャかわのイエティ、ミーゴが出会ったのは伝説のスモールフット(=人間)!? イエティの世界を震撼させる大事件とそこから始まる大冒険を描く本作で、主人公・ミーゴの吹き替えを担当した木村 昴に、映画『スモールフット』の魅力や吹き替えでの芝居表現について話を聞いた。

取材・文 / えびさわなち 撮影 / 小賀康子


今後「チャニング・テイタムの吹き替えといえば木村 昴」となったらいいなと(笑)

『スモールフット』が公開となりました!完成した今のお気持ちはいかがですか?

木村 昴 非常に反応が楽しみです。実はまだ僕自身では完成したものを観ることができてはいないので、観客の皆さんと同じタイミングでこれから観ると思うんですが、自分で観るのはもちろん、お客様方の反応も非常に楽しみなところです。個人的にも、こういう、音楽があってハッピーエンドな物語が大好きなので、作品に携わることができたのは非常に光栄でしたし、自分が出演していなかったとしても普通に観に行ってたと思う作品なので。早く観たいですね。

今回の役はオーディションで決定したそうですが、海外アニメの吹き替えということで、オーディションの際はどのようなことを準備されたのでしょうか。

木村 歌の審査があったので、歌の練習はもちろんですけど、基本的には大枠のストーリー展開やどの部分をオーディションで演じるのかは知らずに会場に行くので、おおまかな役作りだけをして行くんです。なので、がっつりと準備したというよりは、ある程度臨機応変にできるようにして、僕が台本から受けた印象や、実際に会場で映像を観て、ディレクションをいただいいて、「なるほど、こういう感じなのか」と現場で確認しながらオーディションに臨みましたね。

そのオーディションの後に「ミーゴ役が決まりました」という知らせが入ったときにはどのようなお気持ちでしたか?

木村 「よっしゃ!」です。シンプルに。オーディションのときに「楽しそうだな」と感じていましたし、こういう物語や、いわゆる特殊技術面で強いアメリカが作るCGアニメ映画というのものが個人的にも好きなので、「こういう作品をやらせてもらえるんだ」というのが素直にうれしかったです。

それに、声優としてこうした劇場公開される映画で吹き替えをさせていただけるのも大変光栄なことですし、しかも声優・木村 昴として、初めて、(オリジナルでミーゴを演じる)チャニング・テイタムさんに声をあてさせていただけるのが本当にうれしかったです。個人的な、声優としての夢のひとつに、いつか「この俳優さんの声は木村 昴」というふうになれたらいいなっていうのがあって。先輩の声優さんにはそういった方がいらっしゃいますよね。「この俳優さんが出ている作品はこの人が吹き替えをしている」みたいな。今回、チャニング・テイタムさんの声を当てさせていただけたので、今後、「チャニング・テイタムの吹き替えといえば木村 昴」となったらいいなと(笑)。

あとは主人公ということで、もちろんプレッシャーもありますけど、伸び伸びとやらせていただいたな、という感覚です。実際にミーゴを演じることになって、アフレコに臨んだときのほうが、よりストーリーやキャラクターのことも理解しているだけにやり甲斐はありましたし、芝居を作っていくうえでの面白味も感じていましたね。

オリジナルの芝居を活かしつつ、吹き替えでは日本語ならではなものも出していけたら

吹き替えでのお芝居は、ご自身が役を構築しながら作られるお芝居とは違って、既に相手の方が表現したお芝居に重ねる、という意味でも違うと思いますが、今回のお芝居はどのように作っていかれたのでしょうか。

木村 もちろんおっしゃられるとおりで、通常のアニメと違って、元々向こうの俳優さんによってお芝居が完成されているものに声をあてるので、なるべくその俳優さんのお芝居を壊さないようしたいとか、うまいこと伝えられたら、という思いはありますし。その俳優さんになりきるようなところももちろん大事にしています。

でも、吹き替えとなると、どうしても文化の違いもありますし、オリジナルのギャグとかを日本語に変えると無理が出てしまう部分もたくさんあるんです。英語の良さと日本語の良さがそれぞれにあると思いますので、日本語をやるうえで、元々の俳優さんのお芝居を100%でお伝えはしたいんですけど、日本の方が観て「面白い」と思ってもらえるようにしなくてはいけないな、という思いもあるので、吹き替えの際は、90%くらいは向こうの方のお芝居を表現しつつ、残りの10%くらいは日本のオリジナリティのような、日本語ならではのものも出していけたらいいな、と思っているんです。なので、チャニング・テイタムさんのお芝居を忠実に表現しようとは思いつつ、プラス、木村がやるミーゴらしさみたいなものも念頭に置いてやりましたね。

いちばん難しかった部分はどのあたりですか?

木村 ミーゴというキャラクターが非常に天真爛漫で、純粋無垢なところがあって。大人っぽい欲みたいなものがないキャラクターなんですよね。本当にスモールフット(=人間)を見つけて「スモールフットだ!すごい!」ってなって、「みんなに教えたい!」と、村に戻ってそのことを話すんです。

これが大人だと、「スモールフットはいない」という村の掟があるため、「それを言ってしまえば村の掟を破ってしまうことになる」「掟に背くわけにはいかない」などといろいろ考えて、結局は言わない、という選択をすると思うんですよね。でも、ミーゴはそういうことを考える暇もないくらいにうれしさの方が勝っていて。「やっぱりスモールフットはいたんだ!」とうれしくなって、みんなにそれを伝えたい、という気持ちが先に行く。結果として掟に背いたことになって、村を追い出されてしまうんですが、それでもシンプルに「うれしい」とか「楽しい」とか「おっかない」ということを本当にシンプルに表現するキャラクターではあるので、言葉の裏に隠された大人の本心とか欲みたいなものが出ないようにしたいなと思って、そこは気をつけましたね。言葉の裏の本心や建前というような大人のずるさがミーゴから出るのは違うなって。

劇中歌では、上手に歌い上げるというよりは、ミーゴらしさを際立たせるように歌いました

そんな本作はミュージカルアニメです。ミーゴとして劇中で歌われていかがでしたか?

木村 ミーゴの歌う「PERFECTION」は、この映画自体の冒頭の歌になるんです。物語の世界への導入。イエティたちの生活を紹介しつつ、イエティの国がどれだけハッピーで平和で秩序が保たれていて、完璧であるのかを見せるシーンで。それがのちのち、ミーゴがスモールフットを見つけたことで、村に対する不信感や戸惑いが広がって、疑心暗鬼になったり、不安を抱くことになるんですが、それ以前の、この村がどれだけ幸せな場所なのかを見せる歌なんです。ミーゴがとにかく、村が大好きで、みんなのことが大好きなんだ、ということを表現する歌なので、とにかくハッピー感を出すことを意識しました。「楽しい一日が今日も始まる」みたいな雰囲気が出せたらなと。

最初に自分が準備して練習している段階では、ミュージカルアニメということで、ミュージカルを意識して「上手に歌わなきゃ」と、音程はもちろんのこと、音楽として成立させるために、けっこう練習していったんですけど、収録当日、ディレクションをしてくださった歌の先生が「歌い上げるというよりはキャラクターが歌っているのでもうちょっとミーゴらしさを際立たせよう」とおっしゃって。もうちょっとセリフっぽく歌ったり、感情や気持ちがより強く出るようにレコーディングしたのを憶えています。歌詞も言葉なので、そこにもっと気持ちが乗っかるようなイメージで歌ったつもりです。後々、完成した歌を聴いたときに、歌から感じる楽しさみたいなものは出ているんじゃないかと思えたので、非常に良かったと感じました。

最後に、ずばり『スモールフット』の見どころを教えてください。

木村 見どころはいっぱいあるんですが、シンプルに銀世界がきれいです。映像が素晴らしいのはもちろんなんですが。あとストーリー的には、現実でも差別とか対立は現代社会の中であって。生まれた場所が違う、見た目が違うといったことで、同じ人間同士でもわだかまりがあるのに、そんなレベルじゃない、種を越えた、スモールフットとビッグフットたちの関わりや絆が描かれているところでしょうか。

分かり合えるはずのなかったイエティのミーゴと人間のパーシーが出会う。言葉も通じない、見た目も違う、住んでいる場所も違うけれども、少しずつお互いがわかり合い始めて、最終的には理解し合って仲良くなる。こんな素晴らしいものはないな、と。イエティとスモールフットが仲良く出来るのなら、僕ら人間の間で仲たがいをするなんてアホらしいなって。それくらい感じられる作品です。そういう部分を見ていただけたらなと思います。

フォトギャラリー

映画『スモールフット』

全国公開中!

【スタッフ】
監督:キャリー・カークパトリック
製作:ボニー・ラドフォード、グレン・フィカーラ、ジョン・レクア
製作総指揮:ニコラス・ストーラー、フィル・ロード、クリストファー・ミラー、ジャレッド・スターン、セルジオ・パブロス、キャリー・カークパトリック

【キャスト】
チャニング・テイタム、ジェームズ・コーデン、ゼンデイヤ、コモン、レブロン・ジェームズ ほか

【吹き替えキャスト】
木村昴(ミーゴ)、宮野真守(パーシー)、早見沙織(ミーチー)、立木文彦(ストーンキーパー) ほか

エンドソング:ナイル・ホーラン「Finally Free」
配給:ワーナー・ブラザース映画

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『スモールフット』オフィシャルサイト