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植田圭輔&安西慎太郎らが舞台『RE:VOLVER』で“青春”のキラメキを炸裂させる、今年イチオシの“青春群像劇”ここに開幕

植田圭輔&安西慎太郎らが舞台『RE:VOLVER』で“青春”のキラメキを炸裂させる、今年イチオシの“青春群像劇”ここに開幕

10月18日(木)より舞台『RE:VOLVER』がシアター1010にて上演中だ。本作は舞台『男水!』や『王室教師ハイネ -THE MUSICAL-』などの話題作の演出を手がけた吉谷光太郎が5年ぶりに脚本を書き下ろし、演出も手がける新作オリジナル舞台。巨大な城塞に囲まれた都市“霞宮(カミヤ)”で生まれ育った子供たちの涙あり笑いありの“青春群像劇”が描かれる。そのゲネプロと囲み取材が行われた。

取材・文・撮影 / 竹下力

人間の肉体が醸す“生”の躍動がキラキラ輝く舞台

わざわざ重たくて分厚い辞書の『広辞苑』を引っ張り出す必要もなかったのだけれど、“リボルバー(REVOLVER)”は「回転式連発拳銃」(第四版より)のカタカナ表記である。シンプル・イズ・ベスト。舞台『RE:VOLVER』はそれを捻ったタイトルなのだろうと想像できる。実際の“リボルバー”は、弾数6発式と5発式のものがあり、現代の日本の警察官が所持している拳銃は5発のものが多い。

ちなみに、これはあまり知られていないかもしれないけれど、ロック・バンドの“ザ・ビートルズ”が50年ほど前、日本に初来日をした際に、日本の警備員の持っていた拳銃が“リボルバー”だったのを目にして名付けたアルバム名が傑作『リボルバー』だというのは、真偽のほどは定かではないが、“都市伝説”として世界中で確かに語り継がれている。

このアルバムには名曲「トゥモロー・ネバー・ノウズ」が収録されているし、サイケ・ロックの名盤であり、歌詞は前作の『ラバー・ソウル』からはるかに文学性を増し……などと“ザ・ビートルズ”の話をしたいわけではないのだが、舞台もレコードも“人間”から溢れ落ちんばかりの“青春”と、それへの“抑圧”、あるいは“解放”がテーマになっており、どちらもピッタリのタイトルだと感じてしまう。

“ザ・ビートルズ”は日本人の警備の多さに驚き、彼らの拳銃が、人間の“青春”を“抑圧”する装置にも見えたのではないだろうか。逆に“リボルバー”そのものは、発射された弾丸の軌道が流星のごとき美しい“青春の解放”を感じさせてくれる装置なのかもしれない。この“リボルバー”に装填された5発の弾丸。聖木(スズキ)役の植田圭輔、伊透(イトウ)役の橋本祥平、玄汰(クロダ)役の山田ジェームス武、壬浦(ミウラ)役の櫻井圭登、阿羅来(アラキ)役の安西慎太郎が、舞台に解き放たれて“自由”に羽ばたけば、“青春”真っ只中の“ボーイズ&ガールズ”から、悩み、苦しみ、挫折、夢を失った、あるいは今にも失いそうな“夢”と“希望”を取り戻してくれる魅力的な舞台に早変わりする。

舞台は、何処の海に浮かぶ巨大な城塞に囲まれた都市“霞宮(カミヤ)”。そこは何十年も前に武勲をなした海賊に与えられた都市国家であった。しかし、密閉された空間は、やがて淀んでいく。帝国に支配され、その乱暴な抑圧のせいか内部での争いは絶えない。疲弊する生活、足蹴にされる子供たち。インフレ率の上昇で、貨幣の意味はなくなり、スラムが軒並み生まれれば、暴力や盗みが横行し、荒んだ街に変わり果てていた。

帝国への圧政に苦しむ市民は、とうとう革命軍を決起し、帝国軍への反乱を企てた。のちに“独立戦争”と名付けられるが、革命軍、帝国軍、双方に多大な犠牲を出しながら、革命軍の敗北によって、その後、市民たちは“戦犯”扱いとなり、“城塞都市”は高い壁の牢獄と成り果て、都市はいわば彼らを監視するためだけの装置となった。世界に誇る豪華絢爛な“城塞都市”が、世界から阻害された弾き者が集まるみすぼらしい“監獄都市”へ変わる。貧民街に暮らす少年・聖木は盗みで生きてきた若者で、“城塞都市”からの脱出を夢みていた。そこに集まる若き同志たち、伊透、玄汰、壬浦らは兄と慕う阿羅来(アラキ)と共に“都市海賊”を名乗り、帝国軍に立ち向かおうとする。彼らの願いはただひとつ。“自由”と“独立”だ。それ以外には考えられない。彼らは都市からの脱出を、明日の楽園を夢見て追い求める。

しかし、帝国軍にその計画がバレてしまい、革命軍の阿羅来はみせしめに捕らえられ、射殺されてしまう。少年たちの夢はもろくも崩れ去ったかに見えた。そして10数年後、聖木は相変わらず“盗賊”として生きていたが、心は満たされない日々を送っていた。あるとき、聖木は刑事となった伊透と再会。そこでわかるのは、警察は“都市海賊”の事件以降、銃の携帯が禁止され、帝国と癒着をしながら生きながらえている、汚職のたえない機関に成り果てたということ。経済も、政治も、社会も荒みきっていること。まるで現代社会を揶揄しているように感じるのは気のせいだろうか。

10数年ですれ違ってしまった彼らだが、聖木は探偵となった壬浦と再び出会う。そして、帝国軍に捕らえられたスパイの玄汰の奪還計画の話を持ちかけられる。さらには、“リボルバー”で撃ち殺されたと思っていた阿羅来は当時の記憶を失い、帝国軍人として生きていた。帝国軍が作り上げた“創世記計画”という新たな夢を持って。彼らと敵対することは目に見えている。しかし、聖木はあの頃の“青春”は忘れられない。あの時の“夢”は忘れられない。もう一度みんなで、あの城塞を破って、海の外へ出ることを夢見ている。帝国軍と革命軍、警察、この三つ巴の戦いが始まろうとゴングが鳴り、若さ、情熱、策略がぶつかり合えば、のっぴきならないスリリングな状況になっていく。テンションはマックスだ。彼ら5人の“夢”と“希望”はどうなってしまうのか……。

この舞台の特徴は、“過去”と“現在”がテンポよく目まぐるしく変わる点だろう。それを端的に表しているのが、彼らの纏う衣装だ。舞台装置はシンプルなぶん、彼らがどちらかというと乱雑な衣裳を着飾れば“現在”、羽織っていた衣装を脱ぎ捨てロックにキメれば“過去”という時代を表現する。その絶妙な衣裳の見せ方は、彼らが現実に抱いている“絶望”と過去に抱いていた“夢”との対比を際立たせる。舞台機構はシンプルであるが、稼働装置を素早く操り、さらにスクリーンに照射した映像と相まって、物語は緊迫感のあるダイナミクスを表現し続ける。

その中でも5発の弾丸は忘れてはならない。玄汰 役の山田ジェームス武は、スパイとして、阿羅来なきあとの反乱軍のリーダーになっていたが、帝国軍の反乱分子として、まさに“牢獄の牢獄”に捕らえられている。彼は性格に一癖あって、ヒーローでありながら、どこか間が抜けているのだが、それをあからさまに間が抜けていると思わせない、“どこにでもいる、あるいは必ずどこかにいる”と感じさせてしまうリアルな“人間”を熱演していた。

壬浦 役の櫻井圭登は、陽気でやんちゃな坊主といった雰囲気だ。玄汰のことをとても敬愛していて、だからこそ玄汰の奪還作戦に仲間の聖木を巻き込んでいく。彼はこの舞台のトリックスターとして、シリアスで重厚な場の雰囲気をかき乱し、舞台をキリキリ舞いさせていた。

伊透 役の橋本祥平は、かつては革命軍だったのに、今では帝国軍と癒着をする警察に成り下がっている。自ら“帝国軍の犬”と自嘲しながら、つねに冷静に状況を分析し、聖木のようにあの頃の夢は忘れていない。そんな冷静さの中から時折見せる情熱を表現する橋本は、“自由”や“独立”を旗印にしたかつての“都市海賊”たちが抱いていたプライドを一心に体現する演技をしていたと思う。

阿羅来 役の安西慎太郎は、10数年前は革命軍のリーダーであり、“リボルバー”を操っていたが、まさに“リボルバー”によって青春の挫折を迎え、革命軍人となり、記憶も失っている。過去と現在では台詞の喋り方が大きく違っていて、感情を込めた過去、感情を置き去りにしたような現在と、台詞の情感を自在に操り、さらに台詞に見合った表情の出し入れが達筆だった。青春の雄叫びを上げて弾けていた彼が、一気に現実にくじけ、諦めを抱いて抑揚を欠いた声を発しながら脱力していく。そんな彼を見るたびに「この人は無事に生きていけるのだろうか?」と観る者を心配させてしまうほど説得力を持った演技だった。

聖木 役の植田圭輔は、ひたすら熱い男を演じていた。負けることを潔しとしない、叩きのめされても立ち上がることに恐れをなさない、壁であればよじ登ればいいと考えるし、立ちはだかるものなら壊してしまえばいいと考えている。だから咆哮のように放つ台詞の連続も、アクションも、すべてが熱いのだ。植田圭輔は、役者としていつも感じさせる熱き血潮があって、どのシーンもむき出しの“肉体”を使った演技をする。それはいくらカラコンをしたって、綺麗なカツラを被って着飾ったって真似はできない。つい先だっての舞台『死神の精度』でも感情表現が痛いほど生々しかったし、彼は、素の状態から、いつでも感情のエンジンをフルスロットルにして観る者の目を奪う稀有な役者なのだ。

5年ぶりのオリジナル作品を手がけたという吉谷光太郎は、ここまでという地点を設けずに、凄まじい筆致で“青春”の一瞬のきらめきを物語として描ききった。「これ以上は書けない」という地点まで突っ走ったという爽快感を感じさせる脚本になっている。演出はスピーディーで、青春を取り戻さんと躍起になる彼らの生き様を逃さずに表現して、“正義”と“悪”、“友情”と“敵意”を衝突させて、あらゆる感情を巧みに表現する。あの日の夢、あの日の出来事、喜び、悲しみ、怒りといった青春期にある甘酸っぱい過去の思い出や感情の揺れ動きを、こぼすことなく拾い上げて舞台で再現した。何より、青春という、人によってはひたすら暗くて目を背けたい過去も、ひたすら楽しかったかもしれない過去も同時に見せて、あらゆる観客が感情移入できる“人生”に寄り添った演出をしていた。

この舞台を“青春群像劇”と呼ぶにふさわしいのは、“リボルバー”に装填された5人だけではなく、鷹城(タカギ)役の磯貝龍虎、抹尹(マツイ)役の川隅美慎、倭潮(ワシオ)役の成松慶彦、策間(サクマ)役の山岸拓生、衣澄(イズミ)役のタイソン大屋やアンサンブル、あらゆる“肉体”が役と共鳴しあい、シアター1010に“青春”というノイズをばらまいていたからではないか。そして、主題歌を担当した、ROU(ロウ)の「灰色の街」という曲のロッキンさ、エモさ、曲調によってはサイケに聴こえる、あの“ザ・ビートルズ”にファンが託した“青春”が浮きだつ舞台となっているのだ。

5発の弾丸は“リボルバー”から解き放たれ、何も成せずに挫折し、再び『RE:VOLVER』(再装填)された。そうして、あらゆる、苦痛、痛み、絶望、挫折、そんなものをぶっ飛ばそうと5発の弾丸が撃ち抜かれたとき、まるで打ち上げ花火のようにでかい5輪の花が舞台に炸裂したのだ。終演後、舞台には観る者を魅了する、ダイヤモンドにも勝るとも劣らない人間の肉体が醸す“生”の躍動が劇場にキラキラと輝いていた。

役者ができることは、一生懸命に役を生き抜いて作品を届けること

このゲネプロの前に囲み取材が行われ、櫻井圭登、安西慎太郎、植田圭輔、橋本祥平、山田ジェームス武が登壇した。

まず櫻井圭登は「失った10代の夢を追いかける作品です。アクションも多いのでお客様も満足していただけると思います」と語ると、山田ジェームス武は「女性も男性も楽しめるかっこよくて“男らしさ”が詰まった作品になりました。最後まで鳥肌の立ち続ける芝居を届けたいです」と抱負を述べた。

続いて橋本祥平は「吉谷(光太郎)さんの5年ぶりのオリジナルのストレートプレイですが、原作を知らなくても誰にでもわかる作品に仕上がっています。逆2.5次元としてアニメ化にしたいぐらいですよね」と語ると、登壇者から納得の歓声が。それを受けて安西慎太郎は「たしかに吉谷光太郎さんの演出にかかっている作品です。オリジナルであり、細部まで演出されているところが見どころで、吉谷さんの演出を好きになってくれれば嬉しいです」と述べた。

最後に植田圭輔は「どれぐらい悩んで妥協せずに演出家と演者とのコミュニケーションでつくられたのかを感じてもらえる力のこもった作品です。僕たち役者ができることは、一生懸命に役を生き抜いて作品を届けることだと思っているので、誠心誠意、演じさせていただきます。観ていただく人をスカッとさせられたら」と抱負を熱く語り会見は終了した。

公演は、10月18日(木)〜10月22日(月)まで、シアター1010にて上演、その後、10月27日(土)〜10月28日(日)まで、大阪のサンケイホールブリーゼで上演する。

舞台『RE:VOLVER』

東京公演:2018年10月18日(木)〜10月22日(月) シアター1010
大阪公演:2018年10月27日(土)〜10月28日(日) サンケイホールブリーゼ

STORY
巨大な城塞に囲まれた都市“霞宮(カミヤ)”。そこはかつて海賊の英雄に与えられた都市国家。しかし帝国への独立戦争の敗北によって、その後市民たちは戦犯扱いとなり、城塞都市は高い壁の監獄と化した。貧民街に暮らす少年、聖木(スズキ)は、盗みをして生き永らえてきた。そして兄と慕う阿羅来(アラキ)、親友の伊透(イトウ)らと共に“都市海賊”を名乗り、都市からの脱出を試みる。しかし、少年たちの夢はもろくも崩れ去り、その後バラバラに生きていくことになる。時は過ぎ、聖木は盗賊として生きていた。ある時、聖木は刑事となったかつての仲間、伊透と対峙する。帝国軍と革命軍の戦いが始まろうとする中、城塞に囲まれた都市に、彼らは再び集まり少年時代の夢に向かい始める。

作・演出:吉谷光太郎
主催:ポリゴンマジック・サンライズプロモーション大阪

出演:
聖木(スズキ) 役:植田圭輔
伊透(イトウ) 役:橋本祥平
玄汰(クロダ) 役:山田ジェームス武
壬浦(ミウラ) 役:櫻井圭登
鷹城(タカギ) 役:磯貝龍虎
抹尹(マツイ) 役:川隅美慎
倭潮(ワシオ) 役:成松慶彦
策間(サクマ) 役:山岸拓生
衣澄(イズミ) 役:タイソン大屋
阿羅来(アラキ) 役:安西慎太郎

佐藤優次
町田尚規
仲田祥司
吉田邑樹
新開理雄
鈴木祐大
田中 慶
佐織 迅
田崎良波
藤澤勇希

オフィシャルサイト
公式Twitter(@REVOLVER_STAGE)

©ポリゴンマジック

関連楽曲:ROU「TODAY」