全話レビュー!『幽☆遊☆白書 25th Anniversary Blu-ray BOX』リリース記念特集  vol. 7

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アニメ『幽☆遊☆白書』これが“もうひとつの最終回”! 奇跡の新作「TWO SHOTS」「のるか そるか」の楽しみ方【レビュー&最速上映イベントレポ】

アニメ『幽☆遊☆白書』これが“もうひとつの最終回”! 奇跡の新作「TWO SHOTS」「のるか そるか」の楽しみ方【レビュー&最速上映イベントレポ】

「週刊少年ジャンプ」にて連載(著:冨樫義博)の漫画をTVアニメ化し、1990年代に絶大な人気を誇った『幽☆遊☆白書』。本作のTVアニメ化25周年企画としてBlu-ray BOXが順次リリースされているが、最終巻「魔界編」ではまさかの“完全新作アニメーション”が収められることになった。この新作アニメをいち早く観られる機会として先日、TOHOシネマズ新宿にて最速上映イベントも開催。今回はそこでお披露目された20年以上ぶりの新作「TWO SHOTS」「のるか そるか」のレビューとともに、佐々木望(浦飯幽助役)、檜山修之(飛影役)、そして阿部記之監督が登場したトークショーの模様もレポートする。

取材・文 / 柳 雄大


「TWO SHOTS」「のるか そるか」とは何か?

TVアニメ『幽☆遊☆白書』のTVシリーズ全112話を、4つのシリーズに分割する形で収録した『25th Anniversary Blu-ray BOX』。最終巻となる「魔界編」にはTVシリーズ第95話~第112話(最終話)が収められているが、それらに加え映像特典として新作が2作収録される。それが、「TWO SHOTS」、「のるか そるか」の2本だ。

新作アニメ「TWO SHOTS」キービジュアル

この2本は、原作コミックにあったエピソードのうちアニメ化されていなかったもの。「TWO SHOTS」は原作コミック7巻に、「のるか そるか」は原作コミック19巻(最終巻)に収録されている──つまり、作品のファンにとってはおなじみの2大エピソードが満を持してアニメ化されたということだ。

印象的だったのが、「TWO SHOTS」、「のるか そるか」いずれも原作コミックと同じサブタイトルがこの新作アニメに採用されたこと。TVアニメ『幽☆遊☆白書』では、第1話「死んだらオドロいた」(原作の第1話は「さよなら現世!!」であった)以降、原作コミックと同じサブタイトルが使われたことはほぼない。このサブタイトルが明らかになったことで、作品を観る前段階から、今回は特に“原作を丁寧に描いたアニメ化”であることが想像できた。

前置きはさておき、ここからは「TWO SHOTS」、「のるか そるか」の内容について、10月6日に行われた最速上映イベントでの初見インプレッションとともにお伝えしていく。

蔵馬と飛影の出会いを描く前日譚─「TWO SHOTS」

妖狐としての力を秘めたまま、少年・南野秀一として人間界での生活を送る蔵馬。彼の暮らす町ではこのところ失踪者が続出する不可解な事件が起きていた。そんなとき蔵馬のもとに現れた低級妖怪を、南野秀一に好意を抱くクラスメイト・麻弥が目撃してしまい……。一方で、邪眼師の飛影もまた妹の雪菜を探しにこの町にやってきていた。偶然の出会いを果たした蔵馬と飛影。彼らはこの町に巣食う凶悪な妖怪・八つ手(やつで)を倒すため、それぞれの目的のために共闘することになる。

蔵馬・飛影が剛鬼と手を組み、妖怪盗賊として幽助の前に姿を現す1年前のお話。完全新作アニメの1本目には、いわば “エピソード・ゼロ”にあたる物語が選ばれた。これが20年以上ぶりに体験する『幽☆遊☆白書』の新作ということで、本作を観る目には当然ながら不安と期待が入り混じる。そんななか、南野秀一=蔵馬のビジュアルと“あの声”が聞こえてきた瞬間、抜群の安心感、再会感とともに世界観に引き込まれた。その空気感は、飛影が加わり、緒方恵美・檜山修之によるかけ合いが生まれることでさらに増していく。

今回制作された新作アニメ2本は、“誰も見たことがないまったく新しい『幽☆遊☆白書』”というよりは、“みんなが好きだった懐かしの『幽☆遊☆白書』”を最新の技術であらためて作った、という意味合いが強いと感じられる。それは緒方・檜山による演技、かけ合いや、西村知道によるナレーションからも感じるが、劇伴音楽によるところも大きい。決して派手な音楽ではないが、かつて『幽☆遊☆白書』に使われた定番楽曲がここぞ、というところでかかる瞬間に「そう、これこれ!」と気持ちが高まっていくのがわかった。

アニメの絵柄についても、90年代当時の雰囲気を再現しつつ、現代のアニメらしくディテールの精密さを向上させているというもので、やはり強いこだわりを感じることができた。本編を観ている時間があっという間に過ぎていく感覚がここちよい……。

あの4人が久々に集結!─「のるか そるか」

霊界のコエンマに対立する過激派グループが、霊界の“審判の門”を占拠するテロ事件を引き起こした。100名近い人質を盾にとった彼らの要求は、人間界からの妖怪の排除、そして魔界への扉である結界の再設置! 幽助は霊界・魔界の協力のもと事件の解決に乗り出し、桑原・飛影・蔵馬とともに敵を追い詰める。しかし人間界に向けられた巨大兵器・異次元砲を止めるためには、“3色のボタンの中から正しいものを1つだけを押さなければならない”という究極の選択が待っていて……。

こちらは、魔界全土を巻き込んだトーナメント大会が終わったのち、原作では最終話ひとつ手前に描かれたエピソード。散り散りになっていた幽助の仲間たちが久々に再会する「最後のお祭り」感のあるお話であり、これがもう1本の新作アニメとして選ばれたのは必然という気もする。まずは何より、物語のなかで再会する仲間たち、その大半のキャストがオリジナルメンバーで揃ったという奇跡に感謝したい(特に幻海の声は、そのシーンの内容も相まって感慨深いものがあった)。オリジナル準拠という点では、劇中でのサブタイトル「のるか そるか」の表示方法が「TWO SHOTS」とは異なり……おそらくエピソードの性質上“あえて変えてある”のだと思われるが、これも当時からのファン泣かせの演出となっている。

また、原作では細部までを知ることができなかった審判の門への突入~人質解放へのシーンを、アニメならではの情報量でじっくり観られるのが楽しい。さらに、本作ならではの味付けといえるのがバトルシーンの充実で、幽助・桑原・飛影・蔵馬の4人が叫ぶ必殺技の数々にはきっと誰もが胸を熱くすることだろう。

ちなみに「のるか そるか」は、原作ではオチをあえて描かず、次回(最終回「それから…」)のラストで真相を明らかにするという構成がとられていた。『幽☆遊☆白書』TVアニメシリーズでは「のるか そるか」の回がなかったことで独自のラストシーンが生まれたが……それらを踏まえたうえで、今回の新作はどうやって話が決着するのか? というのが大きな見どころになっている。“もうひとつの最終回”とも呼ぶべきその結末は、ぜひみなさん自身の目で確かめてほしい。

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