全話レビュー!『幽☆遊☆白書 25th Anniversary Blu-ray BOX』リリース記念特集  vol. 6

Review

魔界トーナメントの圧倒的面白さと、“祭りのあと”のせつなさ。TVアニメ『幽☆遊☆白書』全話レビュー:魔界編(第95話~第112話[最終話])

魔界トーナメントの圧倒的面白さと、“祭りのあと”のせつなさ。TVアニメ『幽☆遊☆白書』全話レビュー:魔界編(第95話~第112話[最終話])

“全話レビュー”ライター陣が選んだ珠玉のベストエピソード3選

TVアニメ全112話のレビュー完結を記念して、ここからは今回の企画に参加した3人のライターが選んだ『幽☆遊☆白書』ベストエピソードをご紹介。全話を見終えたばかりホヤホヤの状態の3人が、1話ずつ厳選した名作・名シーンをどうぞ!

第58話「究極奥義! ほえろ黒龍波」

脚本:隅沢克之 絵コンテ:新房昭之 演出:新房昭之 作画監督:若林厚史
(1993年11月27日放送)

暗黒武術会編の終盤となる戸愚呂チーム戦、奥義・邪王炎殺黒龍波が炸裂する飛影ファンにとって必見の1本であり、個人的にもとりわけ愛着のある回。リアルタイムで見たときは飛影の独特な作画が気になってしょうがなかったが、逆にその違和感すら強烈なインパクトとして焼き付いている。画面からリアルに伝わってくる、邪王炎殺黒龍波の凄みと飛影の孤高の強さ。その迫力に釘付けとなり、小学生だった自分は録画したビデオテープを何度も見直した(ビデオテープのラベルに“究極奥義!ほえろ黒龍波!!”と、文末にナスみたいなビックリマークをつけて丁寧に書き込んだ記憶が……)。

この回の絵コンテ・演出は、第30話「未完の奥義・炎殺黒龍波」をはじめ、飛影を中心としたエピソードを担当することが多かった新房昭之。『幽☆遊☆白書』は長編だっただけに各話に演出家の個性が出ていて、クレジットを見ながら作品を観るとまた新しい発見があったが、第58話ではキャラクターの表情以上に前述の「独特の迫力」が感じられた。当時のクリエイターたちがお互いに火花を散らしながら作品に向かっていたんだろうな……と想像しながら観ると胸が熱くなる。

(逆井マリ/1983年生まれ)

第69話「禁句(タブー)のパワー! 蔵馬の頭脳」

脚本:大橋志吉 絵コンテ:高橋資祐 演出:水野和則 作画監督:高橋資祐
(1994年2月26日放送)

“この家に入った者は決して『あつい』と言ってはいけない”の回といえば、きっと多くの人に思い出してもらえるはず。事実上は第68話「四次元屋敷にひそむ罠」との前・後編となったエピソードだが、この第69話では“禁句(タブー)”の能力者、海藤優と蔵馬との頭脳戦・心理戦が特にじっくり描かれている。蔵馬の提案により、1分ごとに増えるという複雑なタブー。海藤と蔵馬がしゃべるワードに1文字ずつ赤色がつけられる演出……。さらに後半は蔵馬ではなく、敵側である海藤にフォーカスする心理描写。その海藤を演じる二又一成の演技も抜群だ。このピンチも彼ならなんとかしてくれる、という蔵馬の頼もしさ、さらにタブーにあっさり引っかかってしまうぼたんのかわいさも、ファンとしては挙げておきたいところ。

原作を読んだ当時から何となく「冨樫先生、ノッてるな、楽しそうだな」と感じていた話だったが、今はこの複雑な戦いのアニメ化を成功させたキャスト・スタッフに対しても「楽しんで作っているな」と思える。それまでの『幽☆遊☆白書』にはなかった頭脳派バトルということで、気合の入った制作陣もきっと少なくなかったに違いない。長期シリーズの中で“脂が乗りきっている感”が特に出た名作だ。……ちなみに、この回にも登場する能力者のひとり・柳沢を見ていて思い出したのが、筆者も小学生当時のあだ名が「ヤナ」だったこと。

(柳 雄大/1983年生まれ)

第89話「予感! 全てが止まる時」

脚本:大橋志吉 絵コンテ:新房昭之 演出:阿部紀之 作画監督:井上敦子
(1994年7月16日放送)

『幽☆遊☆白書』のアニメを観るのはリアルタイムの放送以来だったのだが、幽助が仙水忍とのバトルの末、二度目の死を迎えるこの回のことは印象に残っていた。もちろん「主人公の死」という、物語の中でも稀にしか起こりえない重大なエピソードを扱っているからという理由もあるだろうが、何よりあらゆる技法を駆使して、幽助の死に至るまでの仲間たちの心情をドラマティックに描き出す演出が素晴らしかったからだ。それもそのはず、今回観返して初めて気づいたのだが、この回の演出を担当したのは本作監督である阿部紀之(現・阿部記之)、絵コンテは新房昭之によるもの。当時はスタッフのクレジットをチェックする習慣を持っていなかったけれど、こうして大人になった今、過去の名作に再度触れることで、昔は気づかなかったさまざまな発見を得られたのは個人的な収穫だった。

またこの回を観ながら、20数年ぶりに気になった疑問がひとつある。それは「仙水が地下アジトで観ていたのは何の映画だったのか?」ということ。自分は当時、仙水が見つめているTV画面に戦争のシーンが映っていたことから、何となく『地獄の黙示録』をイメージしていたのだが、彼の「戦いに夢中でエンディングを聞きそびれてしまった。とても美しい鎮魂歌(レクイエム)。今の浦飯にピッタリだったのに」という発言から考えるに、どうも違うらしい。そもそも実在する映画なのかどうかもわからないが、もし知ってる人がいたら教えてください!

(北野創/19X7年生まれ)

そして──『25th Anniversary Blu-ray BOX』魔界編では完全新作アニメーションも!

今回のレビューに登場の『幽☆遊☆白書』TVシリーズ第95話~第112話を収録した『25th Anniversary Blu-ray BOX 魔界編』には、映像特典として「TWO SHOTS」、「のるか そるか」という2本の完全新作アニメーションが収録される。かつての『幽☆遊☆白書』スタッフ&キャストが20年以上ぶりに集結しての新作であり、まさしく今回のBlu-ray BOXの目玉企画のひとつだ。

『25th Anniversary Blu-ray BOX』リリース記念特集の最終回となる次回は、この新作アニメ「TWO SHOTS」「のるか そるか」が初披露された最速上映イベントの模様とともに、作品の内容についてもレビュー予定。ダテにあの世は見てねーぜ!というわけでご期待ください。

「TWO SHOTS」より

「TWO SHOTS」より

「のるか そるか」より

「のるか そるか」より

TVアニメ『幽☆遊☆白書』

【スタッフ】
原作:冨樫義博(集英社「ジャンプコミックス」刊)
シリーズ構成:大橋志吉
キャラクターデザイン:北山真理・大西雅也・山沢 実
美術監督:池田祐二・高田茂祝
撮影監督:福島敏行
音楽:本間勇輔
音響監督:水本 完
監督:阿部紀之(現:阿部記之)
製作:フジテレビ・読売広告社・ぴえろ

【キャスト】
浦飯幽助:佐々木 望
桑原和真:千葉 繁
蔵馬:緒方恵美
飛影:檜山修之
コエンマ:田中真弓
ぼたん:深雪さなえ
雪村螢子:天野由梨
幻海:京田尚子
ナレーション:西村知道
ほか

リリース情報

幽☆遊☆白書 25th Anniversary Blu-ray BOX

魔界編 【TVシリーズ第95話~第112話収録】
2018年10月26日発売 ¥13,000(税抜)
※初の映像化となる完全新作アニメーション「TWO SHOTS」「のるか そるか」を収録!

魔界編 Blu-ray BOXジャケット

霊界探偵編【TVシリーズ第1話~第26話収録】
好評発売中 ¥18,000(税抜)
※劇場版「幽☆遊☆白書 冥界死闘篇 炎の絆」も収録!

暗黒武術会編【TVシリーズ第27話~第66話収録】
好評発売中 ¥24,000(税抜)
※TV放送されたキャストによる第55話副音声コメンタリーも収録!

仙水編【TVシリーズ第67話~第94話収録】
好評発売中 ¥17,000(税抜)

★全4巻共通仕様:BOXおよびインナージャケットは描き下ろしイラスト
★各巻先着購入特典:描き下ろしイラストミニ色紙(対象店舗のみ)

原作/冨樫義博「幽☆遊☆白書」(集英社「ジャンプコミックス」刊) ©Yoshihiro Togashi 1990年-1994年 ©ぴえろ/集英社

原作コミック 『幽☆遊☆白書』
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