Tリーグ丸かじり  vol. 1

Column

待ちに待ったTリーグ開幕! 感極まり「うるうるした」のは、卓球ブームの火付け役となったあの選手

待ちに待ったTリーグ開幕! 感極まり「うるうるした」のは、卓球ブームの火付け役となったあの選手

卓球コラムニストの伊藤条太です。空前の卓球ブームの追い風の中、長年の構想であった日本初の卓球のプロリーグ、Tリーグが10月24日、両国の国技館で開幕しました。卓球そのものの解説も交えて、Tリーグの見どころを紹介していきますので、よろしくお願いします。

取材・文 / 伊藤条太 写真提供 / T.LEAGUE


日本初の卓球のプロリーグ、Tリーグが10月24日、両国の国技館で開幕した。世界最高峰を目指すプロリーグだ。

国内に500万人ともいわれる競技人口を持つ卓球。しかし、観戦人口となると競技人口ほどは多くはないため、プロリーグの設立には二の足を踏んできた歴史がある。個人戦の勝ち抜き方式の賞金大会が過去に2度ほど旗揚げされた(1969年の「プロ卓球」、2000年の「SCスーパーサーキット」)が、いずれも日本卓球協会のバックアップなしに始められたためか、期待したほどの集客ができず、短命に終わっている。

今回のTリーグがそれらと異なるのは、日本卓球協会が立ち上げたものであるため各方面からのバックアップが得られること、個人戦ではなくチーム戦であるためファンが思い入れしやすいこと、そして、空前と言ってよい卓球ブームにあることだ。

ブームの背景にあるのは、日本の卓球が男女ともに国際的に強く、しかもテレビに出るようなスター選手がいることだ。こんなことは、日本に卓球が伝来した明治35年(1902年)以来、一度もなかった事態だ。いわば満を持してのプロリーグ発足である。

Tリーグは男女各4チームからなるチーム戦で、来年2月までかけて7回の総当たり戦を行う。そして上位2チームによる決勝戦を3月に行って優勝者を決めるレギュレーションだ。

それぞれのチームには本拠地があり、基本的にチーム名には地名がついている。ざっと紹介すると、男子は木下マイスター東京、T.T彩たま、岡山リベッツ、琉球アスティーダ。女子は木下アビエル神奈川、TOP名古屋、日本生命レッドエルフ、日本ペイントマレッツという具合だ(最後の2チームの本拠地はいずれも大阪)。

24日の開幕戦は、ご存じ水谷隼、張本智和ら日本のトップ選手のほとんどを揃えた木下マイスター東京と、リオ五輪団体銀メダルの吉村真晴を軸に香港、韓国、ポルトガルの強豪を加えた多国籍チーム、T.T彩たまで争われた。男女とも、チームによって外国人選手の割合が極端に違うところがチームの特徴となっていて、わかりやすいし面白い。

水谷隼を擁する木下マイスター東京が開幕ゲームに登場した

まず会場のプレゼンテーションに度肝を抜かれた。すり鉢状の客席の中央に1台だけのコートが置かれるという、これまでの卓球の試合で一度も見たことがない設定もドラマチックだったが、それに加えて、オープニングセレモニーの音楽と光の演出が素晴らしかった。

集まった観客は5624人。長い卓球の不遇の時代を知る筆者は「卓球もここまで来たか」という思いで感無量だったが、それは選手も同じで、水谷は試合後のインタビューで「オープニングでうるうるした」と語った。

このような、選手にとってはある意味異常な環境でプレーが始まったわけだが、各選手がきっちりと世界レベルのプレーを披露したのはさすがだった。

実力を存分にみせつけた木下マイスター東京、張本智和

試合は先に3試合を勝ったチームの勝ちとなるが、張本らの活躍で木下マイスター東京が立て続けに3連勝をして勝利を決めた。しかし、最高の盛り上がりを見せたのは、4番の水谷と鄭栄植(チョン・ヨンシク/韓国)の試合だった。勝負が決まっても必ず4番まで行われ、結果がシーズンの勝ち点に加算されるので選手は手を抜けないレギュレーションだ。

「ヨン様~」の声援に応え、水谷隼を撃破したチョン・ヨンシク

鄭は、今年の世界選手権ハルムスタッド(スウェーデン)大会で、水谷と張本を破って日本の6大会連続メダルの夢を打ち砕いた猛者だ。そればかりか、卓球界随一のイケメンで、なおかつ非常に謙虚で物静かなナイスガイで知る人ぞ知る人気選手だ。試合は一進一退となり、目を疑うスーパープレーの応酬となった。2階の記者席からではボールが速すぎて見えなかったほどだ。客席から「ヨン様~」という女性の声が飛ぶ。

接戦に次ぐ接戦の末、最後は鄭が大逆転で水谷を下し、まるでT.T彩たまが勝ったかのような盛り上がりを見せた。

待ちに待ったTリーグ。男子の開幕戦、滑り出しは上々だ。


T.LEAGUE(Tリーグ)オフィシャルサイト
https://tleague.jp/

著者プロフィール:伊藤条太

卓球コラムニスト。1964年岩手県生まれ。中学1年から卓球を始める。東北大学工学部を経てソニー株式会社にて商品設計に従事。日本一と自負する卓球本収集がきっかけで在職中の2004年から『月刊卓球王国』でコラムの執筆を開始。世界選手権での現地WEBレポート、全日本選手権ダイジェストDVD『ザ・ファイナル』シリーズの監督も務める。NHK『視点・論点』『ごごナマ』、日本テレビ『シューイチ』、TBSラジオ『日曜天国』などメディア出演多数。著書『ようこそ卓球地獄へ』『卓球天国の扉』など。2018年よりフリーとなり、近所の中学生の卓球指導をしながら執筆活動に励む。仙台市在住。

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