LIVE SHUTTLE  vol. 300

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ONE OK ROCKとオーケストラの共演。スケールを増す楽曲たちがその真価を発揮した最高のパフォーマンス

ONE OK ROCKとオーケストラの共演。スケールを増す楽曲たちがその真価を発揮した最高のパフォーマンス

ONE OK ROCKがオーケストラとの共演を果たしたツアー〈ONE OK ROCK with Orchestra Japan Tour 2018〉。埼玉で2日間、大阪で2日間の計4日間のみだったが、このライヴを目撃できたオーディエンスは最高の体験を味わうこととなった。タイトルそのままに、バンドとオーケストラがコラボレートする内容なのだが、始まる前に思い描いていたイメージをはるかに上回る高水準のサウンドと、オリジナル曲の世界を何倍にもスケールアップさせた展開で、息をのむような瞬間が何度もある素晴らしいライヴだった。

取材・文 / 岡本明
撮影 / 10月20日:JulenPhoto
10月21日:橋本塁(SOUND SHOOTER)

まったく違う表情がそれぞれの楽曲から誕生していた

埼玉2デイズの2日目となったさいたまスーパーアリーナ。開演時刻を過ぎ、紗幕の向こうで総勢53名のオーケストラによるチューニングが始まると、この場に居合わせた観客すべての鼓動が高まる。定位置に着くメンバーの姿がシルエットで映し出され、ざわめく場内。カウントとともに幕が落ちると大歓声に包まれ、「Change」でスタートした。

18.10.21 撮影 / 橋本塁(SOUND SHOOTER)

メロディをさらにキラキラと彩るオーケストラサウンドがいきなりピークに導く。原曲のじわじわと盛り上がっていくアレンジをさらに増幅させた音の厚みが強烈に迫ってくる。Takaのボーカルもその厚みに押されるように、さらに迫力を増して歌い上げていく。まだ1曲目なのがウソみたいな熱気だ。

18.10.20 撮影 / JulenPhoto

視界に飛び込んでくる夥しい量の照明とともに音も激しさを増す「Ending Story??」、イントロや曲間のリフなど、ストリングスが大々的に取り入れられた「欠落オートメーション」など、全身を揺さぶられるようなアレンジで魅了する。さらに、観客のコーラスと手拍子が曲の熱量をどこまでも上げていく「Cry out」、Toruのギターとストリングスが綺麗にユニゾンでイントロを奏で、広がりを持ったホーンのサウンドが心地よく響く「Decision」、ギターとハープのアルペジオが美しく混ざり合う「アンサイズクリア」など、場面ごとに様々な見せ場が用意されていた。

18.10.21 撮影 / 橋本塁(SOUND SHOOTER)

「(スーツを着ているので)背筋が伸び切ってます。オーケストラツアー楽しみにしていたし、時間をかけてきたので、皆さんにとっても特別な日になって欲しいという気持ちでいっぱいです。ここから昔の曲もやっていきます、知っている曲があったら一緒に歌ってください」というTakaのMCどおり、ここからは久しくライヴで取り上げていなかった曲が続く。伸びやかなTakaの歌声に呼応するかのようにホーンが力強く鳴る「欲望に満ちた青年団」、Takaのアカペラで始まり、流麗なストリングスが楽曲の輪郭を際立たせる「カゲロウ」、光が降り注ぐライティングの効果とともにメロディをさらに輝かせるオーケストラサウンドで楽曲の持つ煌めく魅力が引き出された「Yes I am」。まったく違う表情がそれぞれの楽曲から誕生していた。

18.10.20 撮影 / JulenPhoto

ここまで、どちらかといえば初期の曲が多めに取り上げられていることに気づいたファンも多いだろう。これは、実際にアレンジをしてみると、最近の曲よりも初期の曲のほうがオーケストラに合うことがわかったからだと言う──「最初の頃、何も考えずに作っていた時期の曲は肌馴染みがいいというか、懐かしい感じ。その頃の曲はオーケストラアレンジがいい感じにハマる。でも最近作った曲は、メロディの数も少なくて難しい。改めて音楽的に勉強になった日々でした」(Taka)。 たしかに、最近の曲はアレンジの完成度が高く、形を変えるのは容易なことではないだろう。徹底的に考え抜かれた緻密な音で構成されているからだ。しかし、初期の曲が持っている生命力も見逃せない。シンプルな曲でありながらも、乾いた心をむき出しにしていた当時の初期衝動は、間違いなく現在のバンドの原動力に結びついているからだ。十数年の時を経て、そんな両面を覗かせてくれたのも、今回のライヴの発見だった。

18.10.20 撮影 / JulenPhoto

続けて披露されたのは、ライヴバージョン、海外バージョン、そして今回のオーケストラバージョンと、何度もアレンジを変えてきた「One Way Ticket」。キレのいいストリングスが躍動感溢れる空間を生み、柔らかいメロディをぐっと前に押し出していく。そこに乗るTakaのボーカルも心地よさそうだ。対照的に「Pierce」は厳かなストリングスが繊細なメロディを浮き上がらせていく。そして、インストのセッションに続いて、新曲が登場。まだタイトルが付けられていないことを考えると、ごく最近出来た曲なのだろう。4つ打ちのビートにアコギを重ね、オーケストラの陰影に富んだサウンドの効果もあって、哀愁を誘うナンバーとなっていた。

18.10.20 撮影 / JulenPhoto

ここからはラストに向けて、攻めの曲が並ぶ。「I was King」ではどっしりと重いTomoyaのドラムに加え、高らかに鳴るホーンと太いサウンドを奏でるストリングスのリフが、威圧するような存在感を生む。さらに、よりスピード感を増した感覚を覚えたのが「The Beginning」だ。オーケストラに煽られるように、バンドの持つスリリングさが強調され、ヒリヒリするような高いテンションを生む。その勢いのまま、「Mighty Long Fall」へ突入。ここでもホーンが体感速度を加速する。バンドとオーケストラが合体したグルーヴが発し続ける疾走感は圧巻だ。バンド、オーケストラ、オーディエンス、それらがすべて一体となって高みに昇り詰めていく。この日のライヴの中でも、最高の盛り上がりを見せた瞬間だった。

18.10.21 撮影 / 橋本塁(SOUND SHOOTER)

「今年はドームツアー、オーケストラツアーをやらせてもらって、あといくつ夢が叶えられるかなって考えます。忙しい2018年でしたが、2019年、気持ちも新たにさらにパワーアップしたONE OK ROCK を一番大事なファンに見せられるよう頑張っていきたいと思います。今年、ONE OK ROCKとして最後のライヴになります。早いですが、皆さんに“メリークリスマス”と“よいお年を”を伝えておきたいと思います。あと2か月ちょっと、今日の思い出を胸に明日からも一生懸命頑張ってください。僕たちも皆さんと同じように戦っていきます。最後にそんな僕たちにふさわしい曲を演奏して帰りたいと思います」(Taka)

18.10.20 撮影 / JulenPhoto

チェロとバイオリンのみをバックにTakaが歌い出し、「Fight the night」が始まった。厳粛なムードに少しずつバンドとストリングスが加わり、ゆっくりと奥行き感じられるようなサウンドが構築されていく。そんな音に包まれて歌い上げるTakaの姿は清々しさに満ちていた。

18.10.21 撮影 / 橋本塁(SOUND SHOOTER)

本編が終了し、鳴りやまないアンコールに応えて再び登場したメンバー。観客が声を振り絞って大合唱する「We are」では、ストリングスがドラマチックにフレーズを刻み、まっすぐに音を鳴らすメンバーの強い視線とともに、忘れられない光景が広がった。そして、ラストに用意されていたのは、よりパワフルになった進化系の「完全感覚Dreamer」。Takaの弾力のあるボーカルを軸に、Ryotaが音の合間を縫って柔軟なランニングベースを聴かせ、この日最高に攻撃的なオーケストラが襲いかかるという、これまでに聴いたことのない仕上がりになっていた。まるで音と音の距離を一気に詰めて凝縮したような、カラフルでギラギラとした「完全感覚Dreamer」。それは、今回ならではの新鮮な体験だった。

18.10.20 撮影 / JulenPhoto

MCにもあったように今年最後の日本でのライヴ。アジアツアーやドームツアー、さらに12月に敢行されるヨーロッパツアーなど多忙な2018年を締め括る彼らのこの日のステージは、高まる人気に甘んじることなく、新たなチャレンジを恐れないONE OK ROCKならではの野心と希望と未来が感じられたライヴだったと言える。

18.10.20 撮影 / JulenPhoto

ONE OK ROCK with Orchestra Japan Tour 2018
2018.10.21@さいたまスーパーアリーナ SET LIST

M01. Change
M02. Ending Story??
M03. 欠落オートメーション
M04. Cry out
M05. Decision
M06. アンサイズクリア
M07. 欲望に満ちた青年団
M08. カゲロウ
M09. Yes I am
M10. One Way Ticket
M11. Pierce
M12. Instrumental
M13. 新曲
M14. I was King
M15. The Beginning
M16. Mighty Long Fall
M17. Fight the night
ENCORE
EN01. We are
EN02. 完全感覚Dreamer

ONE OK ROCK(ワンオクロック)

Taka(vocals)、Toru(guitars)、Ryota(bass)、Tomoya(drums)。
2005年にバンド結成。2007年のデビュー以降、全国ライヴハウスツアーや各地夏フェスを中心に積極的にライヴを行い、これまでに日本武道館公演や野外スタジアム公演、大規模な全国アリーナツアーなどを敢行。また海外レーベルとも契約し、日本のみならずアメリカ、ヨーロッパ、アジア等でのアルバムリリース、ワールドツアーも成功させている。2017年1月にアルバム『Ambitions』を全世界同時リリース。キャリア史上最大規模となるワールドツアーを行い、日本では初の4大ドームツアーを開催。本ツアーを終え、12月には〈ONE OK ROCK EUROPEAN TOUR 2018〉の開催を控える。

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