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極道meets主夫!!元極道主夫がキャラ弁作ってインスタにアップ!? 切れ味バツグンの爆笑コミック『極主夫道』

極道meets主夫!!元極道主夫がキャラ弁作ってインスタにアップ!? 切れ味バツグンの爆笑コミック『極主夫道』

キャラ弁づくり、ご近所づきあい……家事を完璧にこなす専業主夫は元極道!

マンガに限らず映画や小説など、エンターテインメントのある種の王道ジャンルとも言える「任侠モノ」。これに、「主夫」というなんともかけ離れた要素を掛け合わせたのが、“アットホーム任侠コメディ”をうたう本作『極主夫道』(おおのこうすけ)だ。

主人公は、「一晩に単身丸腰で抗争相手の事務所を十カ所潰したと言われている伝説のヤクザ、不死身の龍」。第1話1ページ目で、背中に刻まれた立派な紋紋をあらわにするものの、次のページでは、嫁のお弁当(しかもキャラ弁!)に入れる厚焼き卵を器用に焼く。ここの描写だけで、龍に対する読者の期待感はいやがおうにも高まっていく。

注目すべきは、龍の主夫力の高さ。常にクーポンやポイントカードを持ち歩くなんてのは、まだまだ序の口。町会の人々ともソツなく付き合い、近所の子どもを預かることも。「子どもを預ける(のに値する人間だと信頼してもらう)」というのは、思っている以上にハードルが高いもの。笑顔のないコワモテの龍は、ご近所さんからの信頼をいかにして獲得したのだろうか。人付き合いが苦手な主婦(主夫)の方々は、ぜひとも知りたいところだろう。

そして、「空のペットボトルをスーパーのリサイクルBOXに入れる」描写のあるマンガなんて、これまでに存在しただろうか!主夫(主婦)業の何気ない日常を丁寧に描くことによって、当初は非現実的に思われた「極道の主夫」という設定に、「あるある」という納得感とともに、確かなリアリティが積み上げられていく。

©おおのこうすけ/新潮社

©おおのこうすけ/新潮社

©おおのこうすけ/新潮社

©おおのこうすけ/新潮社

©おおのこうすけ/新潮社

「極道meets主夫」というお仕事マンガにとどまらない魅力

一方、足を洗ったとはいえ、いまなお他の組から追われる龍の生活には、いわゆる“極道アイテム”も頻出。包丁の呼び方は「ヤッパ」だし、嫁の誕生日パーティーは神式。子どもとやるゲームは、任侠映画でよく見るアレだ。主夫としてのリアリティと、逃れようのない“極道感”。この2つの要素の間にある埋めがたいギャップの中に、笑いが生まれる。

そんな「見た目極道の男が主夫業に勤しむ」という描写だけでも笑えるのに、本作は毎話、余韻の残るしっかりとしたオチで読者を引き込んでいく。ここに、単なる「極道meets主夫」というお仕事マンガにとどまらない魅力、ギャグマンガとしての矜持を感じる。

さらに、アニメ「ポリキュア」(オマージュのクオリティが絶妙!)好きで「バリバリのキャリアウーマン」な嫁・美久、ちょっとヌケてる組時代の舎弟・雅など、龍以外の登場人物たちのキャラ立ちもバッチリ。続刊では、1巻で明かされることのなかった嫁との出会いや、極道時代の伝説、そして、極道から足を洗った理由なども明かされていくのだろうか? そして、主夫力を日増しにレベルアップさせていく龍のこれからは……? 今後の展開からも目が離せない!

文 / 中田千秋

書籍情報

『極主夫道』1巻

おおのこうすけ(著)
くらげバンチ
新潮社

元・最凶ヤクザが選んだのは、主夫としての道だった――。話題の新鋭作家がおくる、アットホーム任侠コメディ! コミックスだけの描き下ろしエピソードも収録!!