モリコメンド 一本釣り  vol. 90

Column

大城美友 感情と声が直結しているかのようなエモーショナルなボーカル。沖縄県名護市出身、25才のシンガーソングライター

大城美友 感情と声が直結しているかのようなエモーショナルなボーカル。沖縄県名護市出身、25才のシンガーソングライター

感情と声が直結しているかのようなエモーショナルなボーカル、R&B〜ヒップホップ〜ロックを融合させたハイブリッドな音楽性、そして、内面の葛藤とポジティブな意志の両方をストレートに反映させた歌詞。幅広い層のリスナーにアピールできる可能性を持ったニューカマーである。

沖縄県名護市出身の25才、大城美友。まずはデビュ—作『MI-POSITION』のリードトラック「オレンジバタフライ」(作詞/矢野まき・大城美友 作曲/矢野まき)を聴いてみてほしい。壮大なスケール感を備えたトラックのなかで、“大丈夫 この涙はきっと 私を強く逞しくしてくれるはず”というフレーズを堂々と響かせるボーカルに触れた瞬間、彼女のポテンシャルの実感してもらえるはず。この曲のサウンドプロデュースを手がけた松岡モトキ(Superfly、サイダーガールなどの楽曲を手がけるプロデューサー)は「大城美友は、とにかくポジティブなエネルギーの塊。 全身の毛穴という毛穴からエネルギーが溢れ出しているイメージ。 それが一体どんな感じかは、彼女の歌に触れてくれれば、すぐにわかると思います。」とコメントしているが、その言葉には1mmのウソもない。

大城美友がシンガーを目指したのは15才のとき。幼少の頃から鍵盤を触って遊んでいた彼女は、コードを弾きながらメロディを歌い、歌詞を書いているうちに“私には曲が作れる”と気付いたという。その後、沖縄県を中心に県内・県外のイベントに積極的に参加。エネルギーに満ちた歌声、前向きな思いに溢れた楽曲によって少しずつ注目を集めるようになる。最初のブレイクスルーのきっかけは、2014年に沖縄で行われた世界的なオーディション番組の日本大会『X-factor Okinawa Japan』。エントリー総数約2000組の中から TOP6まで勝ち残り、審査員の仲宗根梨乃(世界的なダン スエンターテイナー)に絶賛されるなど、デビューに向けて大きく動き出すことになる。その翌年にはSPICY CHOCOLATEのアルバム『渋谷純愛物語2』の収録曲「I LOVE YOU feat. RUEED、大城美友」に参加するなど活動の幅を広げてきた彼女は、今年10月、ミニアルバム『MI-POSITION』で遂にメジャーデビュー。「デビューが決まった時は、嬉しすぎるあまり冷静になりました。一歩一歩、積み重ねてきた事。音楽が好きで、音楽が私から離れなかった。ちゃんと意味があったんだと。ようやくスタート地点に立ちます。 私は私の歌を歌い、1人でも多くの方に希望や、夢、ヤル気、元気を持ってもらえたら嬉しいです」というコメントからも、その強い決意が伝わってくる。

ライブの登場SEをイメージして制作されたという、まるでハリウッド映画のオープニングテーマのようなインスト曲「MI-POSITION」から始まるデビュー作『MI-POSITION』には、現在の彼女の姿勢、音楽的なスタイル、シンガーとしての豊かな才能がリアルに刻み込まれている。前述した「オレンジバタフライ」は、くすぶっていた過去の思い出と輝かしい未来に向かって進もうとする意志がクロスするミディアムチューン。この曲について彼女は「「不器用に羽をばたつかせて」と言うフレーズがあります。まさに過去の私でもあり今の私でもあります。不器用なのは変わりたくても変われないみたいです。だから私らしくこの曲と一緒に羽ばたいていきたいです」と語っているが、まさにメジャーデビューのタイミングにふさわしい、“シンガーシングライター・大城美友”の新たな旅立ちの楽曲と言えるだろう。

彼女自身が体験した出来事をベースにした失恋ソング「声が枯れるまで」も強く心に残る。どんなに傷つけられても、どんなに寂しい思いになっても、どうしても“君”を求めてしまう——あまりにも生々しく、あまりにも赤裸々の思いをまっすぐに歌い上げたこの曲は、リアルな経験を(決して自己満足にならず)幅広く受け入れられる楽曲に昇華できる彼女のソングラインティング・センスを示していると思う。強いエモーションを放つボーカル、ピアノ、ストリングスを軸にした有機的なサウンドメイクも素晴らしい。

その他、“順風に帆をあげる。物事が何事もなく順調にいくこと”を意味する中国の四文字熟語をタイトルにしたロック系応援ソング「一帆風順」、落ち込んで、声を出すことができなくなってる“君”を思い切り鼓舞するアッパーチューン「飛べ!ヘイ!」、ネガティブをポジティブに転化させる高揚感溢れるダンスナンバー・パーティーチューン「ニャン・ドン・ゴン」、夢に向かってがんばっているときの葛藤と希望をストレートに映し出した「この空」など、バラエティに富んだ楽曲を収録。共通しているのは、すべての言葉、すべての音、すべての声に彼女自身のリアルな思いが込められていることだろう。どこまでもピュアに音楽と向き合い、そのなかから紡ぎ出された楽曲はここから、多くのリスナーを惹きつけることになるはずだ。

文 / 森朋之

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オフィシャルサイトhttps://miyu-oshiro.com

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