Report

上川隆也、松田 凌、玉城裕規らが挑む、劇場体感型スペクタクル時代劇『魔界転生』

上川隆也、松田 凌、玉城裕規らが挑む、劇場体感型スペクタクル時代劇『魔界転生』

10月6日(土)より本作縁の地である天草・島原がある九州・福岡公演(博多座)より開幕した日本テレビ開局65年記念舞台『魔界転生』が、11月3日(土・祝)より明治座にて東京公演が初日を迎える。島原の乱で滅ぼされたキリシタン一揆の指導者・天草四郎が死者再生の術「魔界転生」により悪鬼となって現世に甦り、剣豪・柳生十兵衛と激闘を繰り返すエンターテインメント時代劇。
11月1日(木)には囲み取材&公開舞台稽古が行われ、柳生十兵衛 役の上川隆也、天草四郎 役の溝端淳平らが福岡公演を終えた手応えを含めて、改めて本作の魅力を語った。

取材・文 / 西村由美 撮影 / 片桐ユウ

“平成最後”を迎える今、甦る『魔界転生』

『魔界転生』の原作は1967年に単行本化された山田風太郎の時代小説『おぼろ忍法帖』。1981年には深作欣二により映画化、同年映画で主演を務めた千葉真一が演出・出演で舞台化もされ、その後も様々なジャンルでリメイクされており、山田の“忍法帖シリーズ”の中でも最高傑作と謳われている作品である。そんな大作を、2014年と2016年にスペクタクル時代劇『真田十勇士』を手がけた脚本・マキノノゾミ&演出・堤 幸彦のタッグで“平成最後”を迎える今、甦らせた。ちなみに、今年は天草四郎没後380年、長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産が世界文化遺産に登録が正式決定された年でもあり、因縁めいたものをも感じさせる。

大きくステップアップした『魔界転生』の東京バージョンをお届けできる

囲み取材には、柳生十兵衛 役の上川隆也、天草四郎 役の溝端淳平、お品 役の高岡早紀、淀殿 役の浅野ゆう子、柳生宗矩 役の松平 健と、演出の堤 幸彦が登壇した。

まずは、博多座での公演を終えた感想&東京公演の意気込みを聞かれると。

魔界衆に毅然と立ち向かう剣豪・柳生十兵衛 役の上川隆也「福岡の方々にとても温かい歓待をいただいたので、お喜びいただけたのではないかと思えるひと月でした。その勢いをそのまま東京公演に持ち込みつつ、よりこの物語を育んでいきたいと思います」

幕府への復讐心に燃え魔界の力で甦る天草四郎 役の溝端淳平「島原の乱が発端となった作品を九州・博多から出発できたということはありがたいことで、お客様も本当に温かく31ステージを乗り切ることができました。歴史ある明治座の舞台に立てるというのは非常に光栄なことですし、お芝居はナマモノですから日々成長をして、変化を恐れず、とはいえ締めるところはきっちり締めて、いいものをお客様に届けたいなと思っております」

長崎で捕らえられている天草四郎の姉・お品 役の高岡早紀「博多の皆さんは毎回すごい拍手と声援で迎えてくださり、毎日充実した日々を過ごすなかで、私自身もお品という役に対して試行錯誤しながら、日々成長できたらいいなと思って1ヵ月を過ごしていました。明治座は今回初めて出演させていただくのですが、歴史ある劇場に立たせていただける喜びを心から感じております。さらに東京で進化を遂げていけたらいいなと思います」

天草四郎によってその霊が呼び覚まされる淀殿 役の浅野ゆう子「博多座に来ていただいた方からは大きなご声援をいただけて。私の役は魔物なんですけど、少しリアクションをいただくと魔物力を増していきまして。メイクのほうもかなり魔物的になってまいりました(笑)。魔物力に力が入っております。明治座さんではさらに魔物を極めたいと思います」

十兵衛の父・柳生宗矩 役の松平 健「映像と芝居をマッチさせた新しい試み、新しい芝居が博多座では皆さんに喜んでいただけたと思います。上川さんを筆頭として我々のチームワークが固まってきたと思いますので、その成果を明治座で観ていただけたらと思っております」

演出を手がける堤 幸彦「明治から始まった明治座で、しかも平成最後の年にこの大作を見届けていただけるのは光栄です。かなり斬新な試みも多々入れ込んでおりますし、ここに居並ぶ役者の皆さんには相当な負担をおかけしたかなと思いつつも、皆さん軽々と乗り越えていらっしゃいまして、非常に楽しい、見応えのある舞台になっております。大きくステップアップした『魔界転生』の東京バージョンをお届けできると思いますので、お楽しみにしてください」

人間らしさに溢れたキャラクターたち。その人間味こそが、見どころ

続いて見どころを問われた上川隆也が「タイトルからすると一見おどろおどろしいイメージがありますが、私が演じる柳生十兵衛をはじめとして、人間らしさに溢れたキャラクターたちが数多く登場しますし、笑いもあれば涙もあるような物語に仕上がっております。ですので、その人間味こそが、あえて言うなら見どころになるのかもしれません」と個性的な登場人物が織りなす人間ドラマの部分に触れる。

それに応えるように溝端淳平は自身の役を見つめ「島原の乱で若干16歳で亡くなっている天草四郎は本当に可哀想な人間なんですよね。そんな少年が現世に甦り復讐をするのですが、最終的に四郎は何を求めていたのかというのがキーポイントで、天草四郎のこれまでのイメージ、妖艶で神秘的というだけでない、ひとりの青年としての人となりが出るところが、見どころになると思うので注目いただければ」と意気込んだ。

さらに、浅野ゆう子が「近くで毎日拝見させていただいて素晴らしいと思ったのが、上川さんと松平さんのクライマックスの殺陣。松平さんの美しさにドキドキしちゃいますし、立ち向かっていく十兵衛の凛々しさとキレの良さ。ふたりの殺陣は見どころです。そしてそこに絡む可愛い四郎のせつなさも」と本作の特筆すべき魅力のひとつであるアクションについても語ってくれた。

最後に座長として上川隆也が「とてもいい熱量を持って博多の舞台を終えることができましたので、それを失うことなく、そのままの勢いで東京・明治座の舞台で『魔界転生』という物語を繰り広げていきたいと思っております。笑あり、アクションあり、涙あり、盛りだくさんの舞台ですので、ぜひ劇場で体感していただけたらと思います」と座組み一丸となってこの作品にかける熱い心意気で囲み取材は締められた。

まさに“スペクタクル時代劇”に仕上がっている

その後、本番舞台の明治座のステージで舞台稽古が行われ、本編見せ場がいくつか公開された。

会場に入ると舞台上には、後方に大きなスクリーンがありすでに空が映し出されていた。その手前には巨大な板風の壁、さらに障子戸が組み込まれたコンクリート色の壁といった、和と洋、過去と近未来のテイストが違和感を持って混ざり合い、“時空を超えて”という作品世界の異次元空間を醸し出していた。

その中で最初に公開されたのが、上川隆也演じる十兵衛が、四郎と共に時空を超え魔界衆となって甦った荒木又右衛門(猪塚健太)、田宮坊太郎(玉城裕規)に襲撃されるシーン。本作では、囲み取材に登壇したベテラン俳優陣のほかに、昨今活躍めざましい若手実力派俳優たちが脇を固めているのも特筆すべき点なのだが、猪塚、玉城の軽やかな身のこなしは上川の重厚な姿勢をも際立たせており、アクションの中からもそれぞれの個性が浮き上がり、登場人物たちのドラマがしっかりと描かれていることがうかがえる。

さらに、もうひとつの見せ場となる特殊効果=フライングで四郎(溝端淳平)が登場。溝端がスムーズにこの装置を操り、先駆けての福岡公演の成果を見せられた気持ちになりつつ、上下左右自在に浮遊する様には、この世を翻弄せんとする四郎の心情が重なって見えてきた。ちなみにこのフライングは他のシーンでの演出も面白いので注目して見て欲しい。

公開稽古はセットチェンジをしながら、ほかに、淀殿(浅野ゆう子)が四郎の呼びかけによって甦るシーン、魔界衆とそれに立ち向かう十兵衛率いる柳生衆の激しい戦いの場面、そして本作のクライマックスとなる十兵衛と魔界衆となってしまった父・宗矩(松平 健)の一騎打ちと、全部で4シーンが披露されたのだが、浅野ゆう子も見どころとして挙げた上川と松平の殺陣は、本当に絶品だった。構え合うふたりの姿には、それを見ただけではわからないはずの剣豪としての力量を纏っていたし、剣を振り合う音だけが響く静寂の中には親子で戦わなければならない理不尽さ、悲しみがにじんでいた。見つめ合った互いの視線でどんな思いのやりとりをしているのか。舞台上に立っているだけで、発している。そんなふたりの俳優の凄みを感じられる印象的なシーンでもあった。個人的には、このクライマックスの前の淀殿とお品(高岡早紀)が互いに愛する者、現世にはもう存在しない者を介してわかり合うシーンが心に残った。

囲み取材で堤 幸彦が「映像を舞台装置の大きな柱として使っていて、ほぼ全編にわたって映像演出がある。プロジェクションマッピングがないのは暗転のときだけ。いろんなアイデアを駆使してやっています」と話していたが、ステージの奥行き、高さ、すべてを生かした空間づくり(奥に向かって何層にも見えるようなセットが組まれたり)がなされ、様々な形で映像を投影、そこに俳優の演技、アクション、他の特殊効果が絡み、そもそも立体で見ているのだが、さらに立体感を増して感じられる演出は圧巻だった。まさに“スペクタクル時代劇”に仕上がっており、本作は劇場で体感してこそ、その素晴らしさがわかるだろう。

そんなスケールの大きな特殊効果だけでなく、上川いわくの「人間味のある」物語も気になる日本テレビ開局65年記念舞台『魔界転生』は、11月3日(土・祝)より11月27日(火)まで明治座にて、その後、12月には大阪公演も行われる。

日本テレビ開局65年記念 舞台『魔界転生』

福岡公演:2018年10月6日(土)~10月28日(日)博多座
東京公演:2018年11月3日(土・祝)~11月27日(火)明治座
大阪公演:2018年 12月9日(日)~12月14日(金)梅田芸術劇場メインホール

STORY
徳川幕府に反発するキリシタン一揆が肥前国(長崎県)南島原の原城に立て籠もり、寛永15年(1638年)4月12日(旧暦2月28日)に幕府軍の総攻撃により落城。およそ3万7千人が惨殺されるという悲劇が起きた──。やがて、「魔界転生」という死者再生の術によって、「島原の乱」の総大将・天草四郎(溝端淳平)がこの世に甦り、四郎は怒りと憎しみに燃え、幕府への復讐を決意する。一方、隻眼の剣豪・柳生十兵衛(上川隆也)は江戸の屋敷で、北条主税(松田 凌)、小栗丈馬(栗山 航)、戸田五太夫(丸山敦史)ら、配下の「柳生衆」たちと日夜、剣術の稽古に明け暮れていた。
幕府惣目付の十兵衛の父・柳生宗矩(松平 健)は「島原の乱」後の視察を十兵衛に命じ、怪しい動きを見せる軍学者・由比正雪(山口馬木也)を息子・柳生又十郎(木村達成)に探らせる。同時に、長崎に赴いた十兵衛は「真田十勇士」の生き残り・根津甚八(村井良大)と出会い、捕えられていた四郎の姉・お品(高岡早紀)を救い出す。そんななか、「魔界転生」の妖術により、荒木又右衛門(猪塚健太)、田宮坊太郎(玉城裕規)、宮本武蔵(藤本隆宏)といった歴史に名を残す猛者たちが次々と甦る。武蔵の呼び出しに応じた宗矩は剣を交えるが、無念の想いから魔界の者に転生することに。また、四郎は大坂城に眠る淀殿(浅野ゆう子)の霊を呼び覚まし、「魔界衆」としてこの世に姿を現す──。
錚々たる強敵が黄泉の国から転生。そんな魔物たちに対して、勇猛果敢な「柳生衆」が立ち向かう。十兵衛も魑魅魍魎が跋扈する悪魔の恐ろしい企てを阻止すべく、「魔界衆」と激突を繰り返す。
悪鬼として甦った父・宗矩と十兵衛との闘いの結末は?
四郎の本当の狙いとは何なのか?
果たして、十兵衛は魔界衆を討ち滅ぼせるのか……?

原作:山田風太郎(角川文庫刊)
脚本:マキノノゾミ
演出:堤 幸彦
企画・製作:日本テレビ

出演:
柳生十兵衛 役:上川隆也
天草四郎 役:溝端淳平
お品 役:高岡早紀
根津甚八 役:村井良大
北条主税 役:松田 凌
田宮坊太郎 役:玉城裕規
柳生又十郎 役:木村達成
荒木又右衛門 役:猪塚健太
小栗丈馬 役:栗山 航
戸田五太夫 役:丸山敦史
由比正雪 役:山口馬木也
宮本武蔵 役:藤本隆宏
淀殿 役:浅野ゆう子
柳生宗矩 役:松平 健
ほか

オフィシャルサイト
Twitter(@makaitensho2018)

関連書籍:山田風太郎『魔界転生』