Interview

UVERworld 感覚を研ぎ澄まし、いま自分たちが純粋に求める音楽にたどり着いた「GOOD and EVIL」「EDENへ」という作品

UVERworld 感覚を研ぎ澄まし、いま自分たちが純粋に求める音楽にたどり着いた「GOOD and EVIL」「EDENへ」という作品

もはや驚きを通り越して震撼の域だ。UVERworldにかかったらバンドというものの概念もあっさり更新されてしまうのだとまたしても思い知らされてしまった。11月7日リリースとなる両A面シングル「GOOD and EVIL」「EDENへ」を聴けば、あなたにもたちまち理解していただけるだろう。バンドサウンドを必要最小限まで削ぎ落としていながら、UVERworldというバンドでしか鳴らし得ない音楽。彼らが足を踏み入れた、どこまでも広大で限りのない新境地についてTAKUYA∞と克哉のふたりにじっくりと迫った。彼らの言葉とともに、その唯一無二の世界をぞんぶんに味わって欲しい。

取材・文 / 本間夕子

今までやってきたような足し算ではなく、引き算で音を構築していくことに最近の自分たちはハマってる(克哉)

今回のシングルは「ODD FUTURE」のさらなる進化形だと捉えましたが。

TAKUYA∞ そうですね。それを目指しつつ、「GOOD and EVIL」に関しては映画『ヴェノム』日本語吹替版主題歌として仕上げた感じです。

いつ頃、作られたんですか。

TAKUYA∞ 夏のホールツアー中ですね。もともとの形は僕が移動日とかにホテルの部屋で作って、それをみんなに振ってスタジオで形にしていったんです。

克哉 そう、大阪のスタジオとかに入って。だから、むっちゃ最近出来た曲ですね。釧路でもやってたし、四国に台風が来たときとか合間合間で進めていって。

本当にツアーと並行した制作だったんですね。そこまでタイトな作り方って今までされてましたっけ。

TAKUYA∞ なくはなかったですけど、こうやってちゃんと形になったのはあんまりないかもしれない。

最初の段階でTAKUYA∞さんはどういった曲をイメージされていたんでしょう。

TAKUYA∞ はじめはそれこそ「ODD FUTURE」の進化版みたいな、もっと先を行ったものを作ろうとしてたんですよ。でも映画の主題歌っていうことでクライアントさんにもいろいろイメージがあったらしくて。最近はお任せって言ってもらえることも多かったんですけど、久しぶりにあれこれとオーダーをいただくなかで作っていきましたね。

具体的にはどういう要望が?

TAKUYA∞ テンポ感だったりとか、あとはUVERworldっぽさというか。あんまりトリッキーじゃないほうが喜ばれるのかなと思ったので、そこは求められてるものに応えながら、その上で今、自分たちが一番や、と思う最先端な音楽の方向性も取り入れつつ。

『ヴェノム』のイメージもちゃんと思い描いて。

TAKUYA∞ はい。例えば重厚感とか悪い感じは低音で表現しつつ、あとはスピード感も大事にしながら。

克哉 『ヴェノム』っぽい、ちょっと怖い雰囲気を出すためにコード進行は明るいものにはしない、とか。

今回は作曲クレジットが“Music:UVERworld”になっていますよね。先ほどおっしゃったように、みんなに振って作っていったからですか。

TAKUYA∞ 基本的には僕が曲の土台を作ったときは“Music:TAKUYA∞”にすることが多いんですよ。ワンコーラスだけの場合でも。今回もメロディとかはそんなに変わらなかったので、そうなるかなって考えていたんですけど、メロディの後ろに乗っかっている音をわりとメンバーが作っていて。例えばゼロサビは信人で……克っちゃんはどこやったっけ?

克哉 俺はAメロ。

TAKUYA∞ そうや。で、サビが彰か。そういう感じで、みんなが出してきたアレンジのそれぞれいいところを摘んでいったら綺麗に音がハマって、それがだいぶ曲の印象を変えてくれたので。

なるほど。こういった生音を必要最小限に削ぎ落とした楽曲の場合、特に何を意識して作っていくものなんですか。

克哉 引き算ですかね。そこにギターを入れたくなっても相乗効果を得られないなら足さない、変にバンドっぽくなり過ぎるからやめておこう、とか。僕たち今、新鮮な音に飢えているんですよ。もちろんライヴは全然別モノなので、ライヴ用のアレンジとしてギターを足したりはしますけど、音源としてはより普通っぽくならないものを今は重要視しているかもしれないです。一音一音をすごくいい音で聴かせたいと思うと、あんまりごちゃごちゃさせずにインパクトのある音でやっていこう、みたいになるというか。

落としどころはバンドサウンドじゃない、と?

TAKUYA∞ たしかにバンドの音は必要なところ以外、使いませんね、今は。

克哉 でも僕らからしたら結局、バンドサウンドなんですけどね、これも。ただ、今までやってきたような足し算ではなく、引き算で音を構築していくことに最近の自分たちはハマってるんです。電子音と生音のものすごく絶妙なバランスを探っていく、みたいなところに。

そもそも電子音と生音の融合ってUVERworldの大きな武器でしたけど、ここのところは電子音の比率がかなり優勢になっていません?

克哉 いや、このバランスこそが絶妙なんですよ。もし、これ以上どっちかに傾いたら崩れてしまうっていうギリギリのところでまっすぐを保ってるんです。

TAKUYA∞ だからってべつに計算してるとか狙ってやってるって感じでもなくて。ただ単に今の自分たちはそれが好きっていうだけなんですけど。

“やってて気持ちいいもの”から“聴かせて気持ちいいもの”に意識が移行していってる(TAKUYA∞)

本サイトでの「ODD FUTURE」リリースインタビューで「『TYCOON』後の1枚目のシングルということもあって、やっぱり新しい感じが欲しかったし、自分たちの得意なところには戻らへんって決めていた」ってTAKUYA∞さんがおっしゃってましたが、“得意なところ”すなわちバンドサウンドはやり尽くしたから次は違うところに行ってみたいとか、そういう感覚なんでしょうか。

TAKUYA∞ バンドサウンドをやり尽くした感じもまだないんですけどね。ただ、音源とライヴとの切り離し方は前より格段に大きくなってます。音源は音源として一番カッコいい形を追求したいと考えたときに、今は生音じゃないほうが自分たちの頭の中にある音を再現しやすいんですよ。今までバンドの音を聴き過ぎているせいか、生の音を入れるとちょっと古く感じちゃうんです。でもライヴではやっぱりバンドじゃないと僕らの良さみたいなものは伝えられへんし、ライヴのカッコよさで言えばバンドの音のほうが勝ってると思っているからガンガンに入れますけど。でも、そういうのももう深くは考えてないよな。

克哉 うん。

TAKUYA∞ ホンマ感覚的なもので。

克哉 純粋に新鮮なものをすごく求めてるだけなんです、みんな。何をやっても結局はバンドだから、そこは変に固執しないで、とにかく音源をいい状態にしたい。だから生の音を入れたくないわけではまったくなくて。単純に「この曲はどの状態が一番いいんやろう?」って考えて、ギターが必要なければ入れないし、「このフレーズ、めっちゃいいやん!」ってなったら入れますし。

そのへんの意識も『TYCOON』後と以前でガラッと変わったのでは。

克哉 うん、もっと柔軟にやれている気がしますね。

今回のシングルを聴いてすごく感じたのはいわゆる“歌もの”とは一線を画し始めているなということだったんですよ。“歌もの”と言ってしまうと語弊があるかもしれませんが、メロディや歌で楽曲を引っ張るというより、サウンド全体で楽曲の世界を構築しようとしているのかなって。

TAKUYA∞ そうかもしれませんね。そのへんも自分たちがいいと思ったら、なんでもありっていうところにきてるよな。

克哉 うん。ただ、歌に関して言えばTAKUYA∞は最近、声遊びをしているなって僕は思いますね。「ODD FUTURE」ぐらいから、これまで使わなかったボコーダーを使ったりとか、そういう遊び方をしているなって。

これも「ODD FUTURE」のインタビューでおっしゃっていた「自分の声にも飽きてる」から?

TAKUYA∞ そうですね。十何年間、バンドとしてストレートに演奏して歌うってことをやり続けて、それを楽しんできたんですけど、今は誰かに聴かせたときに聴き心地のいいものにしたい想いが強くなってきてて。楽曲の世界観に活かせるのであればボコーダーも使いたいし、そのほうが聴いていて気持ちいいんじゃないかなって思うんですよ。要は“やってて気持ちいいもの”から“聴かせて気持ちいいもの”に意識が移行していってるというか。これまでは相手に聴かせるってことをあんまり考えてなかった気がするんですよ、音源として。それよりも自分たちが“やってること”を聴いてもらいたい、みたいな。でも今は心地いい音としてデザインしたものを聴いてもらいたいって。

ただ、そうなってくると生々しいメッセージを乗せにくくはならないですか。

TAKUYA∞ それはありますね。そもそも日本語を乗せるのが難しいんですよ、こういうサウンドって。でも英語で歌ったり、雰囲気だけの歌詞にしてしまうのもつまらないし、自分が書くならやっぱり日本語がいいなとも思っていて。どこにもないものを作りたいっていう願望があるんですよね。そこで母国語じゃない歌詞にしてしまうと、どこにでもあるような曲になっていきそうな気もするし。

もっとバンドっぽい曲を作りたくなるときもあると思う、この先。それこそ『BUGRIGHT』みたいな音楽とか(克哉)

ちなみに「GOOD and EVIL」の歌詞はどうやって書いたんですか。

TAKUYA∞ なんとなくヴェノムの視点から、彼なりの正義があるんだろうなって想像しながら書いていった感じですね。世の中にある正解はだいたいが単なる多数決で、本当の善悪っていうのはあるようでない気もしていて。“憎まれっ子世にはばかる”じゃないですけど、悪いヤツがいい思いをする場面があったりするじゃないですか。でも、それってその人なりの覚悟があって、その覚悟を達成しただけなのかもしれない。つまり善悪じゃなくて、結果的に自分の覚悟次第で勝つヤツが決まっていく気もするんですよ。それで今回は“いいも悪いもない。覚悟の強いヤツが勝てる”みたいなことをテーマにしたんです。

善悪ではなく、覚悟の問題。

TAKUYA∞ 僕は結構、善悪がはっきりしてるんですよ。たぶん僕、多数決の多い側の人で(笑)。常識の中の“いい/悪い”で動いてる人間だと思うんですよね、たぶん。

それは意外かも。

TAKUYA∞ ただ、「なんであんな悪いヤツがのうのうと楽しく暮らしていけるんだろう」とか思うことはあって。そう考えると僕らが思っている善悪は単なる多数決に過ぎなくて、僕らが悪いと思っていることも、きっと神は禁じてないんやろなって……僕は神を信じてないですけど。でも例えば日本では禁じられていることも海外では許されていたり、そういうことって結構あるじゃないですか。だから善悪じゃなくて覚悟の問題、「俺はそうする!」ってしっかり決められたヤツが人生勝っていくんだろうなって。

克哉さんはどう思います?

克哉 なんなんでしょうね、善悪って。僕も多数決の多いほう側の人間ではあると思うんですよ。ただ、自分が正しいと思っていれば、人から何を言われてもあんまり気にしなくはなりましたね。UVERworldの悪口を言ってるヤツがいたとしても「好きに言っとけ」って思いますし。人からしたら不正解に見えたとしても俺らにとっては正解やし、善悪とは違うかもしれないけど同じような話かなって。

UVERworldの正解ってなんでしょう。

克哉 自分たちを信じてきたことじゃないですかね。今回のシングルも人からしたら昔と全然違うって言われるでしょうけど、僕たちはそんなの気にしてないし、そんなところで音楽をやっていないので。それに、もっとバンドっぽい曲を作りたくなるときも絶対あると思うんですよ、この先。それこそ『BUGRIGHT』みたいな音楽とか。

TAKUYA∞ 今、あれ作ったら、みんなはどう思うんやろな?(笑)「Colors of the Heart」とか。

聴いてみたいですけどね。今のUVERworldのスキルで作ったらどうなるのか、すごく興味あります。

克哉 でも、そういうときもくると思いますよ。ただ、今はそうじゃないってだけ。この間もロサンゼルスに行って、そこで海外の音に触れたときに「あ、やっぱりこれが好きやな」って思いましたしね。新しいもの、今までの自分たちにないものを吸収するのがすごく好きなんですよ。そういうところで切磋琢磨するというか。

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