Interview

PARIS on the City! にわかに注目を集める彼らならではの恋愛の描き方が、新作でなぜいっそうポップに響くのか?

PARIS on the City! にわかに注目を集める彼らならではの恋愛の描き方が、新作でなぜいっそうポップに響くのか?

元々はブラック・ミュージックが好きで、でも歌謡曲も好きで、その両方を取り込んだものがやりたいなというのが根本にはありますね。

そうしてこのメンバーが固まったのが去年の初めだったということですが、その年の6月にはもう最初のミニアルバムをリリースするわけで、それはかなり早い展開ですよね?

明神 そうですねえ…。

田中 しかも、1stミニアルバムの前に3曲入りのデモを作ったでしょ。そう考えると、音源作りのスピードはかなり早かったんじゃないかな?

明神 まあ、曲はあったんで。それを形にしていくだけだったので、作業自体もどんどん進んでいったんですよね。

その1stミニアルバム『全然LOVERS』を出したときの、世の中の反応はどんな感じだったんですか。

明神 インスタグラムのライブ配信ってあるじゃないですか。それを小林くんがやってたんですけど、そこ経由でPARIS on the City!を知ってくれる人が増えていって、「アルバム買いました」ってジャケットをアップしてくれる人もいたりして、そういうSNS上の反応で、自分たちの音楽が広がっていってるんだなということは感じました。

阿久津 僕は、その頃はかなり必死で、周りの反応まで気が回らなかったというか…。

田中 本格的に活動するバンドはこれが初めてだもんね。

阿久津 そもそも明神さんと二人で初めて時点で、その後の1年のプランとかあって、それでメンバーが揃ったらすぐにデモを作ったりもしたんだと思うんですけど、僕としてはそういう動きについていくのに必死で、気づいたら応援してくれる人がけっこう増えてたという感じですね。

長期的なプランをあらかじめ考えていたんですね。

明神 今回のリリースもやってくれたワイキキレコードのプロデューサーが、このメンバーが揃う前からいろいろ言ってくれてたんです。ただ、このメンバーのことは、そのプロデューサーは全然知らなかったので、いきなり「どんどんリリースお願いします」というわけにもいかなかったんですけど、去年5月にワイキキレコードの18周年イベントがあって、そこでライブを見てもらって、そこから話が一気に進んでいきました。

小林 ワイキキレコードのプロデューサーは、僕らがちょうど届きそうでまだ届かない、というくらいの目標を与えてくれるし、明神はすごいスピード感でいい曲をどんどん作ってくるので、僕もそれについていくのにけっこう必死で、だからこのバンドに入ってからの時間の流れはここまで早かったなあと思いますね。

田中 驚いたのは、これまで出たいなと思っていてもなかなか出られなかったサーキット・イベントやフェスに、結成したばかりのPARIS on the City!が呼んでもらえたことが何度かあって、こんな幸運が続いていいのかなあと思ってましたね(笑)。

バンドでこそ自分のやりたい音楽が100%表現できるという話が始めにありましたが、それは具体的にはどういう音楽のイメージですか。

明神 リフものとか…。元々はブラック・ミュージックが好きで、でも歌謡曲も好きで、その両方を取り込んだものがやりたいなというのが根本にはありますね。リズムがありつつ、しっかり歌えるものというか。

歌詞に関しては、恋愛にまつわる物語が展開されるという点がどの曲も共通していますが、それは意識的なことですか。

明神 意識的と言えるところもあるんですけど、まず自分いちばんしっくり来ている感情を描くとそうなるというか…。オリジナルを作るときに何がいちばん響くのか?ということを考えた時期があって、まったく無名の状態で知らない人に届けるにはやっぱりラブソングというか、恋愛のことを歌うのがいいんだろうなと思ったんです。ラブソングで、自分にしかわからないような感情というか。だから、“あのときはああだったから、こんな感情だったな”ということを思い出しながら、それを言葉にし、また曲にしている感じなんですよね。

ちなみに、メンバーに誘うために送った音源もそういう内容の曲だったんですか。

小林 そうですね。僕もまず「スーパースター」という曲がすごくいいなと思ったんですけど、このバンドを始めた頃に「なぜ、こういう詞を書くのか?」みたいな話をしたことがあるんです。そしたら明神は、まだ何も実績のない無名の自分たちが「明日ががんばろう」とか世界平和について歌っても何の説得力もないということを言ったんです。その自信の無さと謙虚さにすごく共感したし、彼が書く恋愛の内容も「あのコと絶対付き合おう」みたいな話じゃなくて、別れたことをグチグチずっと言い続ける、みたいなことをうまくポップに変換してるから、“俺もそういう感情があったかな”というふうに思えたんですよね。だから、僕と同じように共感してくれる人が世の中にけっこういるんじゃないかなと思いましたね。

確かに、単純なラブソングとは違うというか、ただ好いた惚れたの感情を歌っているわけではないですよね。

明神 最近よく考えているのは、「未来を目指してがんばろう」みたいなメッセージって一見きれい事に聞こえるかもしれないけど、それは「死に向かってがんばろう」というふうにも考えられるなっていうことで、そういうふうに考える、恋愛というのもがんばることのひとつだとして、そこに対する後悔とか悔しさとか、そういう感情ってすごく生きてる気がするんですよね。だから、そういう、小さなことかもしれないけど、でも生きてる感じがする感情を表現したいなと思うんです。

僕らの基本的なコンセプトは歌詞には皮肉なところがあるけれど、でもサウンドは明るいっていうこと

今回の新作の制作では、あらかじめ何か考えていたことはありますか。

明神 ずっとライブでやってる曲もこの作品のために作った曲も入ってるんですけど、まず先にリリースは決まっていたので、何をテーマにして曲を選んでいくかということを考えたんです。そこで、最近のライブでは“別れ”をテーマにしてやってるので、新作でもそれと同じテーマのリード曲を作ろうと思ってできたのがいちばん最後に入っている「言い訳を抱いて」という曲で、普通は僕が全部デモを作ってそれをみんなで合わせるという作り方なんですが、この曲は最初からみんなで作ったんです。

その曲について、そういう作り方を選んだのには何か理由はあるんですか。

明神 僕らはいつも深夜にスタジオを借りてリハをやったりするんですけど、明け方の4時くらいになるともう、頭がおかしくなってくるような感じなんですね(笑)。そういうなかで、なんとなく始めたのが…。

田中 鼻歌を歌い始めたんだよね。コード進行が先に決まって、それで鼻歌を歌い出したら、「これ、すごくねえか?」という感じになってきて…。あのときの感じは不思議だったよねえ。

明神 阿久津くんはほぼ寝てたんですけどね(笑)。

(笑)、今回のレコーディングを振り返って、印象に残っている曲を1曲あげるとすればどれになりますか。

田中 4曲目の「STAR LIGHT FUTURE」という曲はSundayカミデさんのカバーなんですけど、「カバーでもPARIS on the City!の色をどう出せるか?」というところでいろいろ考えたし、前からライブでもやってたんですけど、そのライブ・アレンジをそのままやるんじゃなくて、この作品に入れるにはどういう形がいいかなということをみんなで話し合って仕上げました。

田中裕一(ba、Cho)

阿久津 その曲は、ライブのときよりテンポを速めたんですよね。ライブのときは、言ってしまえば、自分が心地いいテンポで叩くことが多かったんですけど、それを敢えて早めるとなったときに、僕としてはけっこう難しかったんですけど、田中さんに「あまり考え過ぎずに楽しくやったほうがいいよ」と言われたのが印象に残っています。

明神 この曲はがっつりバラードという感じにしたくなかったんです。ライブではバラードとしてしっかり聴かせてるんですけど、音源では別の気持ち良さで聴かせたかったというか、上ものをうまく施すことで壮大な感じにしたかったんですよね。

「STAR LIGHT FUTURE」に限らず、ここに入ってる曲たちはどれも恋愛の物語を扱っていながら、安易にロマンティックな雰囲気でまったりしていない印象があって、そこには小気味いいテンポ感という要素が作用している部分も大きいのかなという気がするんですが、そのあたりは意識されたことでしょうか。

明神 僕らの基本的なコンセプトは歌詞には皮肉なところがあるけれど、でもサウンドは明るいっていうことなので、そこを大事に考えて仕上げた結果だと思います。

ところで、PARIS on the Cityの映像を検索してみると、「櫛」のMVもそうですが、メンバーが踊っていることが多いように思います。それは、メンバーが踊り好きだからですか。それとも、聴いてくれる人に踊って楽しんでほしいというメッセージですか。

明神 とりあえず「櫛」のMVは、本当はあそこで撮る予定じゃなかったんですけど、あのスタジオでの時間が余ったので急遽撮ることになって、みんな踊るしかなかったという感じだったんですけど…(笑)、聴いてくれる人へのメッセージということでいうと、最近すごく考えるんですよね。聴かせる感じがいいのか、それとも踊らせるのがいいのかっていう。で、理想としては、聴き始めの印象としては踊りたくなるんだけど、よくよく聴いてみると“そういうことだったのか”と納得させる、みたいな感じにしたいなと思っています。

小林ファンキ風格(Gt、Cho)

最後に、来年の今頃にはPARIS on the City!はどうなってると思いますか。

明神 1年後ですか…、売れてたいですね(笑)。

小林 (笑)、僕たちの音楽がひとつのムーブメントを作ってるという状況になってるのはいちばんかっこいいと思うんです。だから、なぜPARIS on the City!を聴くかというと、その動きに加わりたいからっていう。その結果として、売れてるという状態になってたらいいですよね。

明神 僕らの音楽はどのジャンルにも行けるような気がしてて、その先には僕らがひとつのジャンルになるようなことになればいいなと思ってるんで、そこに向けてがんばっていきたいと思います。

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ライブ情報

12月2日(日) 愛知・名古屋鑪ら場 *対バンあり
12月3日(月) 大阪・大阪MUSE *対バンあり
12月6日(木) 東京・渋谷O-WEST *ワンマン

PARIS on the City!

明神ナオ(Gt、Vo)、小林ファンキ風格(Gt、Cho)、田中裕一(ba、Cho)、阿久津信也(Dr、Cho)。
2017年1月、結成。同年6月、1 stミニアルバム『全然LOVERS』ヲタワーレコード渋谷店限定リリース。8月、渋谷RUBY ROOMにて開催したワンマン・ライブ“全然LOVERS!”はソールドアウトを記録。10月、1 stフルアルバム『この世で一番嫌いな君へ』を全国リリース。2018年4月、1 st シングル「櫛」をリリース。8月、レーベルメイトの空中カメラと東名阪をまわるスプリット・ツアーを開催。11月、2 ndミニアルバム『寧ろ最低な恋のストーリー』をリリースする。

オフィシャルサイト
http://artist.aremond.net/parisonthecity/

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