LIVE SHUTTLE  vol. 304

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バンドサウンドと歌だけで勝負する! 声優・小松未可子がライブハウスツアー“Personal Terminal”で見せつけた強靭さ

バンドサウンドと歌だけで勝負する! 声優・小松未可子がライブハウスツアー“Personal Terminal”で見せつけた強靭さ

声優・小松未可子が全国ライブツアー『小松未可子TOUR 2018 “Personal Terminal”』を9月に行った。9月8日の大阪公演から始まり、9月30日の浜松公演(台風24号の影響で延期)まで一気に5都市を駆け抜けるという今回のツアー。小松未可子がアーティストとしてより力強く成長した姿をファンに見せた。ここでは、9月16日に行われた東京公演の模様をお届けする。

取材・文 / 金子光晴


“みかこし”の愛称でおなじみの小松未可子は、声優として数多くの作品に出演する一方で歌唱力の高さにも定評があり、アーティストとしても活動。2016年からは音楽プロデュースチーム・Q-MHz(畑 亜貴、田代智一、黒須克彦、田淵智也(UNISON SQUARE GARDEN))の全面プロデュースを受け、今年7月にはQ-MHzプロデュースによる2枚目のアルバム「Personal Terminal」をリリースした。今回のツアーはこのアルバムのリリースツアーという形で行われた。

Q-MHzプロデュースとなってからの小松未可子のライブの特徴は、とにかく歌とバンドサウンドだけで勝負するというスタイルだ。ここまでストイックなスタイルを貫くのは声優アーティストとしては珍しい。そして今回のツアーも会場はスタンディングのライブハウスにこだわっている。観客との距離が近くごまかしがきかない会場で、アーティストとしての経験値を着実に積み上げてきた。

ライブは前作のアルバムに収録された曲「my dress code」から始まった。「また会おうね」という歌詞のある“終わりの曲”であり、実際に前回のツアーでもライブ本編のラストナンバーとなった曲だ。夢の続きを描くかのように、前回の終着点から今回のライブをスタートさせた。そしてTVアニメ『ボールルームへようこそ』第2クールEDテーマとなったシングル曲「Swing heart direction」へとつなげる。どちらの曲も観客からの合唱が起き、早くも初めのピークかと思うような盛り上がりとなった。

そして今度はアルバム収録曲「Jump Jump Halation!」で元気にステージを跳ね回る。「I listen to your heart!」というセリフをささやきながら客席を指さす姿もキマっていた。曲が終わると、ちょうどこの日は会場周辺で祭りが行われており、神輿も出ていて大勢の人々でごった返していたことから、「今日は外がおみこしで大変。みかこしもがんばっていくよー!」とお祭り騒ぎのライブを予感させる挨拶で期待を煽った。

特にお祭り感が強かったのは7曲目「Lonely Battle Mode」で、ギターとベースが向かい合って演奏するのを見るや、間に入っていって、観客に背を向ける形で3人で大盛り上がり。そして客席側を振り返るといたずらっぽい笑顔を見せたのが印象的だった。そんな様子も含めて、どこまでも楽しんで歌っているという雰囲気が伝わってくる。

ここからはひと息ついて落ち着いた曲のゾーンへ。本人のキャラクターやライブパフォーマンスから元気な曲が注目されがちだが、こうした静かな曲たちも彼女の本領といえる。今回も少ない曲数ながら存在感を発揮した。10曲目のTVアニメ『ボールルームへようこそ』第1クールEDテーマ「Maybe the next waltz」はそのタイトル通りワルツを取り入れた曲で、大人なムードを漂わせつつ優雅に歌い切った。

長いドラムロールを合図に、またライブの流れは一変。「カオティック・ラッシュ・ナイト」、「SPICE MISSION」とアルバムの新曲を続けざまに繰り出していく。ここまでバンドメンバーもかなりテンションの高い演奏を見せてきたが、曲後のMCで「今日はツアー2日目ですが、今日が初日の方が二人います」と、初日の大阪公演には参加できなかったギターの新井弘毅とドラムの鈴木浩之を紹介した。二人ともツアーの“途中乗り”は緊張すると言っていたが、そんなことは全く感じさせない暴れっぷりで、小松もメンバーの勢いに乗ってノリ良く歌っていた。

「いろんなライブで思うんですが、自分が歌ったものがみなさんに届いて、さらに自分にも返ってくる届く手紙のような楽曲もすごく多いので、みなさんに噛みしめてもらえるような曲がこれからも歌えたらいいなと思います」という言葉に続けて歌ったのが「Restart signal」。アルバム「Personal Terminal」のリード曲で、変わっていく世の中に寄り添って進んでいこうという前向きなメッセージが込められた曲だ。

そしてみかこしライブには欠かせない曲「HEARTRAIL」で一気にヒートアップ。新曲の「おねがいフューチャー」、これまた定番曲の「Imagine day, Imagine life!」と続き、最後の曲は「Romantic noise」。アルバムの最後に収録された曲であり、歌詞もラストナンバーにふさわしい。この曲は、事前に「みんなで合唱してほしい」というお願いがあったとはいえ、ちゃんと歌うのは難しい曲ではあるのだが、「一緒に歌ってー!」というと観客から想像以上の大きな合唱が起き、熱狂の中でステージを後にした。

「みーかーこ!」というコールに「し!」と合いの手が入る独特の“みかこしコール”に応え、アンコールで再登場した小松。「今宵のアンコールはちょっと懐かしいこの曲!」というDJ風の前フリから歌ったのは久しぶりに披露した「PandA」だった。2014年にリリースしたアルバムの曲で、今回のライブ用にコーラスも録り直したという貴重なバージョンだ。

ここで新曲についての告知があった。10月2日(火)よりテレビ東京系にてスタートした新アニメ「爆釣バーハンター」のEDテーマとして、「友情ZABOOOON!!」を提供したことを発表。これは「月刊コロコロコミック」原作の夕方アニメということで、どんな雰囲気の楽曲になるのか期待したいところだ。そして、毎年恒例のバースデーライブを11月25日(日)、東京の恵比寿ザ・ガーデンホールで開催。今年は30歳になるということで、“ハピこし!ライブ2018 ~30 years, 30 songs~”と題してメドレーやアコースティックパートを含めて30曲を歌うと予告した。“ハピこし!ライブ”は通常のライブと違って企画色が強いライブとなるのが通例だが、今年は「小松未可子のこれまでを網羅したライブ」になるとのことで、懐かしい曲も数多く歌われるようだ。うれしいお知らせの後はバースデーソングの「エンジェルナンバー」でひと足早く“ハピこし!ライブ”の予習を行うと、最後は「Catch me if you JAZZ」でフィナーレを飾った。

これまでもツアーを行ってきた中で、Q-MHzのメンバーでもあるベース担当の黒須克彦がバンマスを務める“小松未可子バンド”との一体感もさらに増してきて、“小松未可子の音楽”としてより磨きがかかってきた今回のライブ。次の“ハピこし!ライブ”はちょっと趣きの違う30曲ライブということで、どんな曲が選ばれるのかも楽しみなところだ。


2018年9月16日(日)東京・TSUTAYA O-EAST公演

<セットリスト>
01. my dress code
02. Swing heart direction
03. Jump Jump Halation!
04. short hair EGOIST
05. だから返事はいらない
06. Happy taleはランチの後で
07. Lonely Battle Mode
08. 海辺で逢いましょう
09. Pains
10. Maybe the next waltz
11. カオティック・ラッシュ・ナイト
12. SPICE MISSION
13. Restart signal
14. HEARTRAIL
15. おねがいフューチャー
16. Imagine day, Imagine life!
17. Romantic noise

EN1. PandA
EN2. エンジェルナンバー
EN3. Catch me if you JAZZ

小松未可子オフィシャルサイト

小松未可子TOY’S FACTORYサイト

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