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人気ゲーム『センチメンタルグラフティ』が20周年を迎え声優陣が集結! なぜ彼女たちは自らの意思で動き出したのか!?

人気ゲーム『センチメンタルグラフティ』が20周年を迎え声優陣が集結! なぜ彼女たちは自らの意思で動き出したのか!?

主人公にある日届いた、「あなたに、会いたい…」と書かれた差出人不明の手紙。送り主は誰なのか。転校を繰り返していた主人公は、全国各地を巡ってかつて出会った12人の女の子を訪ね歩き、手紙の送り主を探していく――。大規模なメディアミックスを展開して1998年1月に発売された恋愛シミュレーションゲーム『センチメンタルグラフティ』は、12人のヒロインキャストに大手事務所の新人声優6人と一般公募オーディションで選ばれた声優志望者6人を大抜擢して「SGガールズ」と名付け、ラジオ番組やイベントなど、ゲーム本編の発売前から精力的なユニット活動を行って、多大な売り上げと熱狂的なファンを獲得した伝説のコンテンツだ。

ゲーム発売後もTVアニメ化はもちろん、当時は画期的だったヒロイン1人ひとりのキャラクターイメージソングをCDリリース、声優が歌うライブコンサートも積極的に開催するなど、今では当たり前となった声優アイドルグループのヒットの手法を、20年前に大成功させ、今も根強いファンに愛されている。まさに現在、『アイドルマスター』や『ラブライブ!』を筆頭に、年々加熱する声優アイドルグループ・ムーヴメントの先駆けといえる存在だ。

その『センチメンタルグラフティ』人気を牽引した女性声優「SGガールズ」の有志が、コンテンツ誕生20周年を記念した自主イベント「センチメンタルグラフティ20周年スペシャルイベント 〜再会〜」を企画。一般ファンにツイキャスを使って参加を呼びかけ、クラウドファンディングを活用した資金調達を今年10月11日にスタートすると、開始わずか9分で目標金額1000万円を達成! 終了締め切り数日前の現在は目標金額の約300%となる支援を集め、より豪華なイベント内容と、支援者リターンのグレードアップを図るため、今もサポーターを募集している。(2018年11月11日 (日)23:59まで受付中)

制作者やメーカーではなく、出演声優が自ら声を挙げ、手作りでアニバーサリーイベントを主催してファンと一緒にSNSやクラウドファンディングにより大々的に企画を盛り上げていくというのも、画期的な出来事だ。そこで、「センチメンタルグラフティ20周年スペシャルイベント 〜再会〜」を主催する『センチメンタルグラフティ』の「永倉えみる」役・前田愛、「森井夏穂」役・満仲由紀子、「七瀬 優」役・西口有香の3人に、『センチメンタルグラフティ』の思い出から、クラウドファンディングや自主企画での苦労、来年1月開催の20周年スペシャルイベントの内容などを、たっぷり話してもらった。

取材・文 / 阿部美香 撮影 / 荻原大志

こんなに大々的ではなく、本当に声優だけが集まって……という話だったんです(前田)

往年の人気コンテンツが、時を経てアニバーサリーを祝う例は少なくないですが、出演声優が企画と運営を自ら行う例は、本当に珍しい。そもそも、どういう経緯で皆さんが再集結したんですか?

前田 ゆっきゅん(西口有香)は、ずっと前から『センチ』のアニバーサリーをやりたいって言ってたんだよね?

西口 そう『センチ』が15周年を迎える頃から、鈴木麻里子さん(沢渡ほのか・役)と個人的な食事の席で、そういうことを言ってたんです。でも私一人の力では何もできず、そのままうやむやにしていたら、豊嶋真千子さん(杉原真奈美・役)がSGガールズの同窓会をやろうと、集まったのがそもそものキッカケですね。

前田 そうそう、真千子さん自身も、ご自分のライブで『センチ』シリーズ中は音源化されなかった「再会」という曲を歌っていらっしゃるくらい、作品への愛情が強くて。

西口 3年前ぐらいですかね?

満仲 新宿でしたよね。

前田 そこで、何かイベントをやれたらいいねと。でもその時はこんなに大々的ではなく、本当に声優だけが集まって……という話だったんですけど、やっぱり『センチ』といえば、人気の源は甲斐智久さんのキャラクターイラストだし、せっかくなら『センチメンタルグラフティ』という名前もちゃんと使いたい。そこまでいくと、お金もかかってしまうから、クラウドファンディングで資金を集めてみるのはどうか? という話に発展していったんです。

満仲 真千子さんが、甲斐さんやシナリオライターの大倉らいたさんなど、当時の制作スタッフの方々にも声をかけてくれて、『センチメンタルグラフティ』のイベントとして実現できる運びになりました。

『センチメンタルグラフティ』シリーズそのものは、キャストを一部代替わりしながら、2000年代初期まで断続的に続編が発売されていましたが、その後、声優同士の交流も続いていたんですか?

前田 私は今も青二プロダクションに所属しているので、ここにいる満仲ちゃんのように、同じ事務所の仲間とは、顔合わせる機会はあったんですけど……。

西口 私は一般公募のオーディションで集められた6人は、当時「うさぎ組」と呼ばれていたんですが、一時期は青二プロダクションに所属していましたが、その後は私は移籍したので、仲良しの麻里子さんと個人的に会うぐらい。同じ「うさぎ組」だった鈴木麗子ちゃん(遠藤 晶・役)や岡田純子ちゃん(安達妙子・役)とは、舞台などを通じて交流はありましたが、役者としての活動を辞められた方もいらっしゃるので、うっすらとお付き合いが続いていた感じですね。

満仲 そう、私もゆっきゅん達とは、新宿の同窓会で久々に会いましたしね。

『センチ』のファンで、そこからゲームやアニメに興味を持って、業界に入ってきたというお話もたくさん伺いました(西口)

それでも皆さんが、自主企画でもいいから『センチ』のアニバーサリーを祝おうと集まれたのは、青春の1ページを共に過ごした仲間感覚があったから?

前田 それももちろんあるんですけど、今回のイベント企画は、ずっと『センチ』を忘れないでいてくれた、ファンの方の熱心な応援に応えたいという気持ちが強かったからですね。20年経った今でも、キャラクターのお誕生日になるとファンの方から「おめでとう」の言葉をいただいたりしますし。

満仲 私が舞台に出たりすると、『センチ』ファンの方がわざわざ来て、声を掛けてくださったり。まだ覚えていてくださるんだ! と感激します。

西口 今、いろいろな作品を作られている側の方が昔、『センチ』のファンで、そこからゲームやアニメに興味を持って、業界に入ってきたというお話もたくさん伺いました。

前田 そうなんです。別の作品の収録終わりに色紙を渡されて、「昔、『センチ』が大好きでした。すみませんが、サインもらっていいですか?」と言われたり。『センチ』の甲斐さんの絵が好きで、業界に入って絵を描くようになった方もいらっしゃって、なんて長く愛されているのかと実感しますよね。

それくらい、熱狂的な人気を誇るコンテンツでした、『センチメンタルグラフティ』は。今でこそ声優がキャラソンを歌ったり、アイドルグループのような活動をするのは当たり前になりましたが、当時はまだなかったですし。キャラクターソングの大規模なリリースも、『センチ』が先駆けでしたね。

満仲 はい。1キャラずつイメージソングを作って、それぞれが歌って1枚ずつCDをリリースすると聞いて、すごくビックリしました。

西口 オリコンチャートに入らなきゃダメ! とスタッフさんからすごいプレッシャーもかけられたし(笑)。

私たちとしては、当時、それがどんなに新しいことかもよく分からなかった(満仲)

そもそも、知名度がまったくない新人をキャストに抜擢して、大規模展開を仕掛けること自体が斬新でした。今でこそ新人の頃に目を付けて、その成長をファンが見守るアイドルの応援の仕方も当たり前になりましたが。

前田 『センチ』は、ゲーム本編が発売される前に、一般公募で選ばれた6人のオーディション風景などを収録した映像作品が発売されて、予約が殺到したり、入手困難になったりしましたからね。

満仲 でも私たちとしては、当時、それがどんなに新しいことかもよく分からなかったんです。スタッフから求められることに応えていただけなので。

西口 あれよあれよと、言われるがままに巻き込まれていた感覚しか(苦笑)。

前田 今思い返すと、ちょっと背中が寒い(笑)。スタッフさんの仕掛けが上手かったんだと思います。

SGガールズの人気が上がっていった実感はあったんですか?

全員 うーん……(苦笑)。

満仲 熱狂的なファンの方が多くなっていったのは、なんとなく分かりましたけど。私たちがというよりは、キャラクターの人気が上がってうれしいな、という感覚でしたね。

西口 でも「うさぎ組」は、本当に素人の集まりなので、けっこう扱いも雑で。「クリスマスイベントを開くから、なんかやって」みたいな感じ(笑)。イベント内容も、どの曲を歌うかも「うさぎ組」の6人で話し合って決めてました。

当時、一番印象に残っているSGガールズの活動というと?

西口 一般オーディションの日のことは、今でもはっきり覚えています。会場に着くまでに道を間違えたり(笑)。

満仲 最終審査って何人だったの?

西口 一次の書類審査が1428人で、最終的には20人くらいだったかな?

満仲 私たちは、青二プロダクション内でオーディションがあったんですけど、その時の新人はほぼ全員受けたと思うので、50人くらいは受けていたと思う。私が印象的だったのは、全国各地でキャラクターの出身地エリアごとにイベントを開き、最後に全国に散らばっていた私たちが、東京の中野サンプラザに集結してコンサートをやったことですね。

前田 各地の名所で私たちがポーズを取ったりしてる、SGガールズの写真集も出したよね(笑)。

満仲 よく、写真集なんて出せましたよね(笑)。

西口 発売当時、アニメイトに行ったら完売ですって言われました。

満仲前田 へぇ~!

西口 紀伊國屋書店に行ったら、平積みになっていたりして、うれしかったです(笑)。

前田 写真集もびっくりしましたけど、私は『センチ』に関わることで、歌やラジオ、コンサートと、やってみたいことが全部実現できたのが印象的です。昨日今日、事務所に入ったほぼ素人を、皆さんが盛り上げてくれて応援してくれた。そこから20年間、支えてくれる人がいてくれたということが、一番の財産だなと思います。

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