映画『ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生』特集  vol. 2

Interview

ファンタビ最新作にも新たな重要アイテムが満載! 造形美術監督ピエール・ボハナが明かすグリンデルバルド、若きダンブルドアの小道具へのこだわり

ファンタビ最新作にも新たな重要アイテムが満載! 造形美術監督ピエール・ボハナが明かすグリンデルバルド、若きダンブルドアの小道具へのこだわり

『スター・ウォーズ』などを超え、シリーズ映画史上No.1の「ハリー・ポッター」シリーズから10年、新たなる魔法ワールド『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』は、2016年に公開されまたまた大ヒットを記録した。その最新作となる『ファンタスティク・ビーストと黒い魔法使いの誕生』の公開を前に、“ハリポタ”、“ファンタビ”両シリーズで造形美術監督を務めるピエール・ボハナ氏が来日。世界中を魅了する魔法ワールドを作り上げる重要なアイテムたちは、どう生まれるのか。そのクリエーションに迫る。

取材・文 / 立田敦子

ハリポタ、ファンタビで使用する小道具の決定的な違いとは!?

まずは、小道具を作るにあたって“ハリポタ”と“ファンタビ”における世界観の決定的な違いを教えてください。

私たちの仕事は、基本的に脚本から読み取ることが重要です。が、両者の一番の違いといえば、まず時代ですね。ハリポタは現代の話だし、ファンタビは1920年代が舞台です。時系列は、とても重要です。また、ファンタビは、大人たちの物語であり、ハリポタは学校を舞台とした学生たちが主人公の物語であるということも常に意識にあります。

前作『魔法使いの旅』は、ニューヨークが舞台でした。今回の『黒い魔法使いの誕生』の主な舞台はパリになります。パリならではの小道具はありますか?

1920年代のパリのシーンがあるんですが、メインの大通りでサーカスをやっていて、その周りには露店も出ている。それらは、パリで1920年代後半で、しかも魔法使いの世界ということを意識したセットデコレーションになっています。たとえば、杖の店やフランスですからテリーヌ用の銅の器とかココット鍋などが売っていたり、パティスリーショップもありますね。ただ、それぞれの持ち物を作るにあたっては、時代考証だけでなく、個人の趣味趣向を考慮します。

印象に残ってるものは?

印象に残っているのは、ウィズリーの店です。何百というアイテムが入っていますので、みんなで協力しながらつくりました。脚本にあったものもあれば、J.K.ローリングさんが新たに提案してくださったものもあります。私たちが提案したものもあります。私だけでなく、一緒に働いている私たちのチームがそれぞれ自分のアイデアを貢献できたという実感をもって働くことができました。40、50人の大所帯で美術監督とともに手がけたので、とても印象に残っています。でも、「ハリー・ポッター」シリーズもファンタビも、最初からカタチが見えているわけではなく、監督やデザイナーたち細部まで話しながら、素材やデザインを考え、少しづつ創り上げていくんです。

ドラゴンアイキャンディー

苦労した点はありますか?

今作は、フランスの魔法省が登場するので、そこはたいへん工夫したところです。中でもファイル棚のある部屋があり、そこは物理的につくるのが大変でした。また、ストーリーの展開上、それぞれのキャラクターに関するキーになるようなアイテムがたくさんあります。とても大事な要素なので、企画段階から緻密に創り上げていきました。例えば、若きダンブルドアが登場しますが、闇の魔術に対する防御術を教えています。ホグワーツで防御術を教える先生は、これまでも自前の道具を使って教えるという設定なんです。クィレルにしても、ルーピンにしてもムーディにしてもノーラン、ダンブルドアは、占星術に興味がある人なので、望遠鏡や日時計などがあります。

「杖」に込められたキャラクターそれぞれの特徴

どのようにキャラクター別に小道具を使い分けているのですか。

脚本に書かれているキャラクターをベースに考えます。特に、杖はキャラクターそれぞれ独特の特徴を生かしたものになります。この人は、こういうキャラクターだから、こういう杖を選ぶだろうと考えながらデザインします。脚本家や監督、ときには俳優とも話し合います。ただ、俳優は、私たちが撮影の準備をしている後半から参加してくるので、必ずしも意見をきけるというわけではありませんが。それでも、俳優たちとは意見交換をします。女性が歳を経ていくにつれ、ジュエリーの好みも変わるようにね。

例えばニュートの杖はどんな風につくられたのでしょうか?

ニュートは、いい例ですね。ニュートは、とにかく魔法動物が大好きで服装には無頓着。そんな人物です。なので、彼の杖の先の木の部分はとてもシンプルなのですが、疵らだけ。使い込んでいる感じです。大事に使うというよりは、園芸用の道具を使うように無頓着に使っているじゃないかと思うんですね。持ち手の部分は貝殻でできています。有機物も好きそうですからね。もしかしたら、注文するときに、「柄の部分は貝殻でよろしく」とか、いったかもしれない。面白いことに、エディ・レッドメインは、杖にはとてもこだわっていて、「傷を入れてね」と言われたんです。また、杖を振るときにある程度重みがあったほうがいいと言うので、重めに作ってあります。杖をふったときの重みが大事です。他の人の杖は、ニュートの杖のように、重くつくっているわけではありません。持ち方、振り方も魔法使いによって違いますから。

ほかはどうしょう?

クイニーの杖は、まっすぐで、持ち手の部分は米国的なアールデコ調です。柄の部分はこれも貝殻です。1920年当時は、幾何学模様と有機物を合わせるのが流行でもありました。彼女はファッションもとてもオシャレです。ボブカットだったり。ファッションセンスがいい魔法使いだったら、こういう杖を使うのじゃないかとこだわってつくりました。

今回初めて登場する若きダンブルドアの小道具についてはどうでしょうか?

「ハリー・ポッター」シリーズで、ダンブルドアの杖といえば、ニワトコの杖でした。死の秘宝のひとつですね。世界で一番力のある杖です。今回はニワトコではなく、別の杖が彼の杖なのですが、本作においてはまだグリンデバルドが持っています。ゆくゆくはダンブルドアに渡ることになるのですが…。どう渡ったかは、今回の作品では描かれません。今回の若い頃のダンブルドアの杖は、また別のものです。すごいエボニーで出来ていて色は黒、持ち手はシルバーです。とてもきれいな杖ですよ。

ジョニー・デップ演じるグリンデルバルドが本作では、物語の中心にいます。彼の小道具にこだわりは?

グリンデルバルドは口が達者で人々を説得するのが上手い、政治力のある人間です。で、そこからイメージして、髑髏のパイプをつくりました。水たばこを吸う器具ですね。ジョニーはとてもこだわりの強い人ですが、ジョニーが撮影に参加した頃は、ほとんどの小物は完成していたから、小道具にはあんまり影響はなかったです。骸骨のパイプは気に入っていたようです。けれど、髪型と髪の色にはとてもこだわりがあって、ジョニーと製作者とで何日も話し合いがあったらしいですね(笑)。

髑髏のパイプ

J.K.ローリングからもアイデアが出たそうですが、それはどんなものに反映されていますが?

グリンデルバルドの小瓶ですね。いくつか試作したのですが、採用されたものを見て“ああこれなんだ”と思いました。

グリンデルバルドの小瓶

ご自身が作っていて楽しかった小道具なんですか?

ダンブルドアが黒魔術の防御術の授業をしているホグワーツの教室の小道具ですね。占星術ができるツールがあるのですが、とてもこだわりをもって楽しくつくりました。

ピエール・ボハナ

図案作成と船大工の見習い後、TVCM・写真撮影向けの模型制作や視覚効果を手がけていたボウテル社(BOWTELL)に入社。独立後は、模型制作を専門とするフリーランスとなり、ロンドンを拠点としながらスプリティング・イメージ社(Splitting Image)やハットトリック・プロダクションズ(Hat Trick Productions)などといった視覚効果や小道具制作の会社と仕事をするようになる。そしてパインウッド・スタジオ、リーブスデン・スタジオ、シェパートン・スタジオといったイギリスの三大スタジオが主な活躍の場となり、特殊な小道具や模型を手がけることが多くなっていく。そのころ手掛けた作品は『ジャッジ・ドレッド』(95)、『スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス』(99)、『トゥルーナイト』(95)『タイタニック』(97)など。それらを経て、現在は映画の小道具・模型・コスチュームなどの制作企画からそれら部門の運営までを責任者として任されている。責任者として手がけた主な作品には『007/ワールド・イズ・ノット・イナフ』(99)「ハリー・ポッター」全シリーズ、『サンシャン2057』(07)『ダークナイト』(08)『ゼロ・グラビティ』(13)『オール・ユー・ニード・イズ・キル』(14)『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』(15)『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』(16)『美女と野獣』(17)『ターザン :リボーン』(16)『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』(16)『スター・ウォーズ エピソード8』(17)『ジャスティス・リーグ(原題)』(17)といった大作が名を連ねる。

映画『ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生』

11月23日(金・祝)全国ロードショー
3D/4D/IMAX同時公開

【STORY】
シャイでおっちょこちょいな魔法動物学者ニュートに、最強の敵が登場!ある日、ニュートは魔法界と人間界を脅かす「黒い魔法使い」グリンデルバルドが逃げ出したことを知る。ホグワーツの恩師ダンブルドア先生から彼を追うことを託されたニュートは、仲間や魔法動物たちとともにパリへ向かう。パリではグリンデルバルドが言葉巧みに賛同者を増やし、勢力を広げていた。そしてその手はついに仲間たちにまで‐‐‐果たしてニュートと仲間たちはこの最大の危機から世界を救えるのか!?

監督:デイビッド・イェーツ(『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』 『ハリー・ポッター』シリーズ後半4作品)
脚本:J・K・ローリング(「ハリー・ポッター」シリーズ著者)
プロデューサー:デイビッド・ヘイマン(『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』、「ハリー・ポッター」全8作品) 
出演:エディ・レッドメイン/ジョニー・デップ/ジュード・ロウ/エズラ・ミラー/キャサリン・ウォーターストン/ダン・フォグラー/アリソン・スドル ほか
配給:ワーナー・ブラザース映画
©2018 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved.
Harry Potter and Fantastic Beasts Publishing Rights ©J.K.R.

『ファンタスティック・ビースト』オフィシャルサイト
http://wwws.warnerbros.co.jp/fantasticbeasts/

「魔法ワールド」オフィシャルサイト
https://warnerbros.co.jp/franchise/wizardingworld/

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