ミュージカル『ロミオ&ジュリエット』特集  vol. 2

Interview

歌とは“魂の叫び”。大野拓朗が『ロミオ&ジュリエット』から溢れる“無上の愛”を語る

歌とは“魂の叫び”。大野拓朗が『ロミオ&ジュリエット』から溢れる“無上の愛”を語る

2019年2月23日(土)から東京国際フォーラム ホールCにて、ミュージカル『ロミオ&ジュリエット』が上演される。 初演は2001年パリ、日本では2010年に宝塚歌劇団で上演され、2011年に日本オリジナル版が上演、2013年に再演、2017年には新演出版とバージョンアップを遂げてきた。そして2019年、新演出版が甦る。潤色・演出は宝塚版から演出を手がけている小池修一郎だ。ストーリーは、言わずと知れた、シェイクスピアの『ロミオとジュリエット』の悲恋の物語が主軸となっている。
そこで、ロミオ役の大野拓朗にインタビューを敢行。彼はなぜロミオを“天使”と呼ぶのか。さらに小池修一郎のこと、歌うこと、ストレートプレイとミュージカルの違いまで、ミュージカル俳優としても進化を遂げた大野拓朗の顔を見るインタビューとなった。

取材・文 / 竹下力 撮影 / 増田慶


役者として、死ぬまでにロミオを演じたいと憧れを抱いていた

新演出版から2年。満を持して、ミュージカル『ロミオ&ジュリエット』が、そして大野さん演じるロミオが帰ってきます。今の感想を聞かせてください。

大好きな“ロミジュリ”で、大好きな“ロミオ”を演じられるのは、本当に幸せです。役者として、死ぬまでにロミオを演じたいと漠然と憧れを抱いていました。その中で、世界一好きだと思っているミュージカル『ロミオ&ジュリエット』のロミオ役を演じられるわけですから、これ以上にない格別な想いですね。

新演出版で演じられていますが、ロミオとはどんな役だと思いますか。

この世界の中で一番に愛の溢れた“天使”のような存在だと思っています。見方によっては、ロミオは単純な部分があります。ベンヴォーリオやマーキューシオといった仲間が大好きで、モンタギュー家とキャピュレット家が争って欲しくないと心の底から思っています。若気の至りでジュリエットを愛しすぎてしまうところもありますが、演じてみると、基本的に優しい“愛”のある人だと感じました。というのも、ロミオを演じることで、実際に“愛”が溢れて、人に優しくなる僕自身がいたんです。

それでは、生涯にわたって愛し続けるジュリエットとはどのような関係性を築いていきたいですか。

まずは脚本どおりに演じたいです。それでも毎公演、ロミオとしてジュリエットに一目惚れをするのは大変です。それを乗り越えるために、稽古場からカンパニー全員を、そしてトリプルキャストのジュリエットたちを愛して、しっかりと信頼関係を作って演じたいと思っています。

僕をミュージカル界に導いてくださった恩人

大野さんにとって潤色・演出の小池修一郎さんはどのような存在ですか。

小池先生が僕をミュージカル界に導いてくださったんです。一生の恩人ですし、今回もロミオに選んでいただいたので、先生にご恩を返していきたいです。そのためには僕が、去年よりも来年、そして再来年と、もっともっと成長し続けることですね。そうして恩返しを一生続けたいです。

演出の特徴はありますか。

美に対してのあくなき探究心に感服しますし、なにより美的感覚にとても優れていらっしゃいます。舞台での立ち位置、衣裳、歌、ダンス、フォーメーション、ステージング、すべてのクオリティーが高いんです。なおかつ、とても周りを見ていらっしゃる。

そんな小池修一郎さんの魅力はどんなところにありますか。

まず、素晴らしい舞台をたくさん手がけていらっしゃることですね。そんな先生に見初めていただいて大好きな舞台に出演できるので、本当に感謝しかありません。厳しいときは厳しいけれど、可愛いときは可愛いというギャップがあります。去年のミュージカル『ロミオ&ジュリエット』の稽古中にクリスマスパーティーをしたのですが、トナカイの被り物をされて、楽しそうにされていたのを見ると……可愛らしいですね(笑)。

(笑)。そのときのエピソードはほかにもあるんですか。

公演中や稽古中に誕生日の人が多くて、前作の公演中には生田絵梨花さんが20歳になられたんです。みんなでお祝いをしました。来年は、木下晴香さんが、稽古中に20歳になるので、みんなでまたお祝いができる。何か運命を感じますね。

歌は“魂の叫び”

制作発表では歌唱披露をされました。再び“ロミジュリ”の歌を歌っていかがでしょうか。

前回よりもパワーアップしている感覚が強いです。この2年間はある意味ひとりでいろいろなミュージカルで歌って研鑽を積んできたわけですし、他の役者もそれぞれ経験を経て成長してきた。そんな仲間なので、一緒に歌うのは楽しいですね。これからの稽古でみんなへの“愛”がさらに芽生えてくると思います。

たとえば、大野さんにとってミュージカルにおける歌とはどのような意味を持つのでしょうか。

“魂の叫び”だと思っています。ミュージカルは、役者がその役の感情を表現しようとすると自然と曲が流れて、台詞として歌が出てくるお芝居だと思います。素の状態で歌うことよりも、ミュージカルだから、歌うことが好きなんですね。表現すること、演じることが好きだから、“魂の叫び”と命名して、心から言葉にするように歌おうと意識しています。

技術的にこだわっていらっしゃる点はありますか。

感情をしっかりと言葉にのせることにこだわっています。どんなに感情的になっても、歌詞をきちんと届けなければ、まったくお客様に伝わらないので。言葉に感情をのせる技術を身につけるという課題をいつも持っています。

今作の歌は、団結力や若者のはち切れんばかりのパワーを出せる

今作は古典でありながら、ロックやポップといった現代的な要素が散りばめられています。

たとえば、モンタギュー家の若者たちが仲良くしているシーンで流れるナンバーにはロックやポップなどがありますよね。さらにダンスがあるから、お客様が手拍子をしながら観てくださる。きっと今作の楽曲に、団結力や若者のはち切れんばかりのパワーを感じていただけると思います。改めて音楽はすごい力を持っているなと感じていて。歌には人の気持ちを動かす力があるので、普通の芝居には出せない、空間を掌握するパワーが生まれます。それがお客様と役者の化学反応で自然と湧き上がってくる芝居の“ノリ”に繋がれば、さらに感じたことのない大きなパワーが生まれる気がします。今作であれば、モンタギュー家とキャピュレット家の争いも、エンターテインメントとして楽しくなりますよ。ただ喧嘩をするだけでは怖くなってしまいますが、音楽や歌が入って、振付を通して戦っていると、エンターテインメントとしての要素が生まれるし、同時に信じられないほどリアルに感じられると思います。

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