黒選!メディアコンテンツ研究家・黒川文雄がテーマで選ぶ 3+1  vol. 45

Column

飛んで!走って!闘って!「オープンワールド」ゲームの起源 3+1選

飛んで!走って!闘って!「オープンワールド」ゲームの起源 3+1選

「オープンワールド」と言う定義が確立されたのは1999年に発売された『シェンムー』ではないか・・・と言われています。(※諸説あります) ですが、当時はまだ「オープンワールド」という単語は使われていませんでした。

では、それ以前のテレビゲームにおける、世界観とはどういうものだったのかと言えば、「電脳空間」という言葉がよく使われていたと思います。

とくに1980年代のパソコンカタログや雑誌の表紙、ゲームパッケージには3D表現の手法であるワイヤーフレームを用いた近未来的なデザインがよく採用されていました。限りない「電脳空間」を自由自在に動き回れるようなイメージや、高性能処理能力という印象を与えるのに適しており、近未来のSFを思わせるものとしてエンタテイメント分野でも広く使われていたのです。例えば、当時の人気アニメ「レンズマン」や「スペースコブラ」のオープニングムービーでは、一部ワイヤーフレームを使った3DCGが使われていたりしたのです。

これらの「電脳空間」とは、いわゆる3次元の空間を意味し、基本的な理論は「X・Y・Z」のことで、縦軸をY、横軸をX、奥行をZとしてあらわす空間を意味します。イメージ映像などでそれらを表現することはできましたが、実際にそれらを当時のハードウェアのスペックで表現するのは大変困難でした。そのため、疑似3Dと呼ばれるような空間表現が行われたのです。

それが世界初の体感ゲームマシン『ハングオン』やドライブゲームの代名詞となった『アウトラン』、そして広い空間を飛んで走りゆく『スペースハリアー』やトップガン人気から生まれたドッグファイト『アフターバーナーⅡ』でした。表現方法は背景・スプライト・ラスタースクロール・拡大・縮小・回転機能を使ったものでした。それらのタイトルを開発した、当時セガ・エンタープライゼス(※現在のセガゲームス)・第2AM研究開発部・部長だった鈴木裕氏によると、実際に距離計算もなされていたそうです。

SEGA AGES『アウトラン』※画面は開発中のものです。©SEGA

今回はオープンワールドゲームの源流となるであろう、そんな少しアナログで、処理はデジタルであったころの「電脳空間」や「バーチャルリアリティ」を表現したビデオゲームをご紹介します。

ではどうぞ!


疑似3Dで縦横無尽にローリング!『スペースハリアー』

 

1985年アーケード向けタイトルとしてリリースされた『スペースハリアー』。

鈴木裕氏が制作したアーケード体感ゲームの第二弾です。その名の通り、開発当初は、垂直離陸が可能な戦闘機「ハリアー」が飛ぶSF的なゲームだったそうです。

しかし、紆余曲折を経て、自機となる「ハリアー」は人型へと変更され、世界観も森、石柱などの多彩なオブジェクトが存在する「異空間」のような世界観になりました。

【参考映像】『スペースハリアーII ~スペースハリアーコンプリートコレクション~』 紹介ムービー(PlayStation®2アーカイブス)

ローリングタイプと呼ばれる専用筐体では、画面の「ハリアー」の動きに合わせて、シートが移動する体感ゲームでした。はじめてプレイした時の高揚感がすばらしく、何度もコインをつぎ込んだゲームです。

サウンドも秀逸で、YM2203と呼ばれるYAMAHA製のFM音源チップにより、PCM音源を併用した迫力あるBGMに仕上がっています。
この時代のセガを代表するアーケードゲームにおいて、幾多の伝説的なゲームの作曲を行った川口博史氏(Hiro師匠)が本作も担当されており、近未来的で重厚なサウンドは33年経った今でも色あせていません。

また、当時の衝撃度の高さを示すものに「他機種へ移植」という現象があります。高セールスを叩き出したゲームは必ずと言っていいほど移植され、ヒットしたことを示すモノサシでもありました。家庭用ではセガマークⅢ、PCエンジン、ファミコン、ゲームギアなどへと移植され、その違いによりセガの家庭用ゲームハードウェアの性能の高さを示す役割も担っていたのです。

さらに、当時高額なパソコンへも移植をされていてPC-6001、X68000、FM77AVなどで販売されました。日本未発売ですが、海外向けパソコンであるコモドール16、PC/AT互換機など多数の機種へも移植されました。

2018年になった現在でもニンテンドー3DSでプレイ可能ですし、プレイステーション4では『龍が如く6』のゲーム内にあるゲームセンターで遊べます。

そして、セガエイジスのシリーズとして、ニンテンドースイッチ向けにも登場予定です。
(配信日未定、価格未定)

SEGA AGES 『スペースハリアー』

すでにクラシックなゲームですが、この作品を超えるようなゲームが登場してないのも長く移植され続けている理由なのかもしれません。

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