Interview

土屋公平、『午前三時の残光』の全曲を語るセルフライナーノーツ

土屋公平、『午前三時の残光』の全曲を語るセルフライナーノーツ
01「僕と焔のBlues」

これもホーン・セクションがビッチリ入ってますね。難しかったんじゃないですか?

曲のテーマが、わりと今の年齢の自分にすごくピッタリきててね。で、サウンドは重厚にしたいなって感じはあったけれど、ちょっと刹那的な歌でもあるし、……うん。

02「スペードのクイーン」

ロバート・ジョンソン、そんなに曲があるほうじゃないですよね。

テイクはもう、2枚組のね、コンプリートされたって、あれですべてだっていう話だからね。

ああ、やっぱり。で、レコーディング状態も良くないものとかありますよね。

本人は壁を向いて歌ったりとか、いろんな逸話があるんだけど、ちょっと理解できないような歌も多いからね。だけどロバート・ジョンソン、最初に買ったのがいつぐらいだったか……高校生ぐらいかな、銀座のね、山野楽器で、なんとかデルタシンガーズっていうシリーズのレコードを、LPを買って、1回聴いて恐ろしくて、もうそれからしばらく聴かなかったぐらい(笑)。

ホント? 怖くて?

うん(笑)。あまりに声が震えてるし、高い声も出すじゃないですか、で、ギターは、ホンットに針金をひっかくようなサウンドだったし。だけど「絶対にロバート・ジョンソンを聴かなかったらそこからは進めないよ?」ぐらいな話は聞いたんですよね。それで買ってみたんだけど、1回聴いてしばらく聴かなかった覚えがあるよねえ。ずっと経ってからですよ、ロバート・ジョンソンの、曲の内容的にもギターのテク的にも――チャボ(仲井戸麗市)さんと知り合ったあとだよね、きっと、「ちょっと聴いてみよう、やっぱり聴いてみようかな」と思ったのはたぶん。麗蘭が始まって、チャボさんと話してる中でだったかもしれないよね。

でもね、高校のとき――

たぶん全然早すぎて(笑)、全然ダメだったかもしれない。

わからないっていうか、受け入れる隙間がなかったのかもしれない。でもその怖さはあったわけだから。

もう、その声が震えてる感じがもう、恐ろしくてね。「なんていう音楽なんだ!」と(苦笑)。

ははは!

うめきのようなね、あれはちょっと、うん、ターンテーブルにしょっちゅう乗るような音には…僕にとってその頃は、そんな感じじゃなかったよね。だけど、再度聴きだして、彼のその世界観とか情緒っていうのかな、とんでもなくイカレた奴だったんだ、こんな奴がいたんだっていうのはその後痛感するわけなんだけど、それで自分でも何か取り上げてみたいなと思って、「四ツ辻のBlues」から――

始めたんですね。

妄想に妄想を重ねて、「間奏の前に入る4つのコードは、その四ツ辻の1本1本の道を表す」とか、そんなことも考えながらコードを4つ付けたりね、そんな妄想が。今回の「スペードのクイーン」も、もともとは弾き語りの原曲だけど、自分なりに妄想でビブラホーンを入れたり、リズム・セクションはシンプルにっていうことでね、それにギターが乗っかるだけ、あとは、ちょっとカラカラな風で鳴らしたような音をダビングしてもらったりとか、その程度の感じだったんだけど。

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03「Foxy(pt.2)」

これは、スタックス系ですかね。

弾き語りでやってたときに、『また君と巡り会った世界』っていう1枚目に入ってる――

2011年。

そのときはね、弾き語りなんですよ。そのときに、サウンドはもう鳴ってたの。で、「ホントはこうしたいんだけど」ってそのとき思ってたんだけど、まだそのサウンドで歌う自分っていうのがイメージできなかったから、アコギ一本で歌った曲なんですよ。今回はそのイメージ通りに自分で音を重ねて、乗っかって歌ってギターを弾いてみたって感じ。

このスタックス系の曲はちょっとザ・ビートルズっぽいところもありますよね。

そう?

うん、僕なんかは聴いてると。

「Foxy」はちょっとそういうコードも混じってるかもしれない。

一緒に詞を書いてる新さんっていう方は?

僕の25周年記念盤のときに、「MUSIC FLOWER」っていう曲の歌詞を提供してくれた、作詞に関して共作をするときにとてもスムースにやれる方なんですよ。

04「根無し草なら」

これもこの前ライブで拝見して、すごくよかったかったですけど(笑)。濃いー世界で。

うん、マディ・ウォーターズとか、ああいったシカゴ・ブルースの感じを自分でやるとこんな感じになるなあっていうとこに着地したんですけど。

05「Do Me Baby」

これはイメージ的にシカゴ?

そうだね。まあ「B.B.キングの曲にマディ・ウォーターズのバックが付いたら」みたいな(笑)、そんなサウンド的な妄想もあって。それで自分が乗っかっちゃっていいのかなとかね。でもまあ全部自分の演奏だし、いっかな、みたいな感じで。

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