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浦井健治&長澤まさみ、高杉真宙のメタル魂が炸裂。『メタルマクベス』“disc3”絶賛上演中!

浦井健治&長澤まさみ、高杉真宙のメタル魂が炸裂。『メタルマクベス』“disc3”絶賛上演中!

11月9日(金)に開幕したONWARD presents 新感線☆RS『メタルマクベス』disc3 Produced by TBSの公開ゲネプロと囲み取材が11月8日(木)にIHIステージアラウンド東京(豊洲)にて行われ、囲み取材には劇団☆新感線のステージに立つのは3度目にして初の主演を務めるランダムスター役の浦井健治と、劇団☆新感線初参加となるランダムスター夫人役の長澤まさみが出席した。

取材・文 / 永堀アツオ 撮影 / 畠中彩

みんなにエネルギーがほとばしる。お客様にもエネルギーを持ち帰っていただける

『メタルマクベス』とは、2006年に劇団☆新感線と宮藤官九郎が初タッグを組み、ともに初めて挑んだシェイクスピア作品。2206年の荒廃した近未来とバンドブームに沸いた1980年代の日本を行き来する二重構造の物語となっており、ヘヴィメタルを中心としたオリジナル楽曲をロックバンドが生で演奏する音楽に特化したスタイルで上演された。

その初演から実に12年の時を経て、宮藤自ら脚本を書き直し、いのうえひでのりがIHIステージアラウンド東京版として新たな演出を加えて復活。劇団☆新感線×IHIステージアラウンド東京の公演としては、客席が360度回転する本会場のこけら落とし公演で2017年3月30日(木)から1年3ヵ月に渡って5作もが上演された『髑髏城の七人』(season花・鳥・風・月・極)に続く2シリーズ目。『メタルマクベス』も同じ物語ながらもキャストや演出がまったく異なる“disc1”と“disc2”はすでに上演が終了しており、11月9日(金)に開幕し、12月31日(月)までの全60公演のロングランとなる“disc3”がシリーズの最後を飾る作品となる。

大トリの主演を任せられた浦井健治は「みんなでつくってきたバトンを、タスキをしっかりと受け取ったと感じてます。我々の“disc3”がいろんな意味での集大成ということをちゃんと踏まえながら、お客さんに語尾までしっかりと届けていきたいと思います。千秋楽までいのうえさんがダメ出しを続けてくださると思うので、最後まで食らいついて、みんなと必ず、しっかりと締められるようにしたい」と力を込めて語った。

一方の長澤まさみは「演じれば演じるほど、素晴らしい脚本だなって思います。今までに見たことのない舞台、今までに行ったことのないアトラクションのような場所になっているので、冬の楽しみに劇場に足を運んでいただきたいなと思います」とコメント。

客席が回転する劇場に関して、長澤は「本当に広い劇場なので、お客さんと一体になって、舞台が無事に始まるといいなと願っているところですね。しかも、60公演という長い公演は初めての経験なので、なんとか無事に最後まで走り切れたらいいなという思いと、走り切りたいなという不安と戦ってる感じです」と正直な心境を吐露。浦井も「めちゃめちゃ大変」と同意し、「スタッフさんもみんな、運動会みたいに走り回ってます。体力勝負だと思いますね」と気を引き締めていた。

また、いのうえの演出もかなり厳しいらしく、浦井は「ランダムスター夫妻の物語なので、ふたりのシーンは千本ノックのようにスパルタでやっていただいています。すごく怖いんですけど、いのうえさんの目がずっとキラキラしてて。楽しんでいらっしゃるので、なんとか食らいついて期待に応えたいです」と意気込み、落ち込んでるときは「必ず夫人(長澤)がクッキーをくれるんですよ。それで『よし! 頑張ろう!!』っていう単純な男になってますね」と現場でのチームワークの良さも明かした。

長澤は優しさだけではなく、厳しい一面も見せているようで、鎧のような衣裳を身につけた浦井に対し「このくらいの重さ、男なら大丈夫だろう!」と檄を飛ばしているそう。「私がよく言ってるんです。『それくらい耐えろ!』って。今回、恐妻家で悪女という役柄なので、普段から浦井さんにはビシビシ言わせていただいてます」と頬を緩めると、浦井は「ツンデレなんですよね。僕は尻に敷かれて頑張っていきたいと思います」と力を込めた。

弱気な一面を見せる夫とたきつける夫人という劇中そのままのやりとりに取材陣から笑い声が上がるなか、最後に浦井が「本当に大変なんですけど、やればやるほど、みんなにエネルギーがほとばしる、不思議な感じがあるんですよね。新感線の舞台はなんだからわからないけど、みんな元気になるので、お客様にもエネルギーを持ち帰っていただけるんじゃないかなと願っています」と語りかけ、囲む取材は締め括られた。

浦井はミュージカルとメタルを独自に調合した歌い方で見事な迫力を表現

その後、観客を入れたゲネプロがスタートし、取材陣には第1幕のみが公開された。オープニングを飾る3人の魔女や「炎の報告」で展開されるボケは“disc1”、“disc2”、“disc3”でまったく異なっており、新鮮なネタも加えられていた。

魔女のひとり、グレコ夫人、シマコと3役を務めるナイロン100℃の峯村リエは劇団☆新感線初参加ながらも、しっかりと笑いがオチるまで観客の顔を睨み、劇団☆新感線では歌唱指導も手がけている右近健一が要所要所できっちり観客の笑いをさらい、脇をしっかりと固める存在感、力量を見せつけた。また、「炎の報告」の歌唱シーンでは、報告を聴く鋼鉄城内と荒野での戦場シーンがパノラマで体験できるダイナミックな展開がなされているのだが、城内には見覚えるのあるご当地キャラが全力で踊っており、劇中ではいっさい触れられないまま終わっていくので、笑いをこらえるのが必死だった。客席の左側のチケットを取った方は目が離せなくなる恐れがあるので注意をしてもらいたい(笑)。

冒頭での最初の見せ場はやはり、浦井健治演じるランダムスターが歌う「きれいは汚い、ただしオレ以外」だろう。浦井は言わずと知れた、ミュージカル界のプリンスのひとりだが、本作は厳密に言えば、台詞が歌になるミュージカルではない。1980年代に活躍したヘヴィメタルバンド、“メタルマクベス”のデビューアルバムに、2218年を生きるランダムスターの人生を予見するようなことが歌われているという物語であるため、ストレートプレイ/台詞劇にヘヴィメタやハードロックが絡むという構成になっていて、登場人物の心情や物語の行方をメロディに乗せて伝えるという意味では同じなのだが、その伝え方が違うのだ。ヘヴィメタルバンドのヴォーカリストとしてオリジナル楽曲を歌うということが基調になっており、ヘヴィメタル/ハードロックの特徴のひとつであるハイトーンや強烈すぎるビブラート、地獄のようなシャウトなども必要になってくる。もちろん、そのとおりにやって欲しいということではないのだが、浦井はミュージカルとメタルを独自に調合した歌い方で見事な迫力を表現していた。この日はまだバンドとのテンポがずれるところもあったが、バンドのツアーと同じように徐々に一体感やグルーヴは増していくだろう。ヘヴィメタバンド、The 冠のヴォーカリスト・冠 徹弥が歌う「炎の報告」との唱法の違いにも注目して聴いてもらうのも面白いかもしれない。

ランダムスター夫人役の長澤まさみは恐妻家で悪女という役どころ。“大将軍”と呼ばれるほどの男が振り回されてしまうような強さと色気を体現しながらも、コメディエンヌとしての才能も輝かせていた。ちょっとした間でしかないのだが、例えば、メタルマクベスが歌う「浪人生の館」をどれくらい引っ張るかという間が絶妙、さらには抜群のプロポーションを逆手に取ったコミカルな歩き方でも笑いを取っていた。それでいて、夫妻で歌うデュエット曲「すべてうまく行く」では観客を一気にその世界に引き込む吸引力を見せるなど、シリアスからコメディ、正気から狂気、成功から破滅へという切り替えのスイッチとなる役割もしっかりと担っていた。

また、第1幕ではレスポールJr.を演じる高杉真宙の役づくりにも目を引いた。“disc1”、“disc2”では歌って踊れるアーティスト(松下優也、原 嘉孝)が担っていた役柄だが、彼は俳優として仕草や動きに加え、ヘアースタイルへの執着心という点でキャラクターの内面、まだ落ち着きのない幼さを表現。1980年代の元きよしという役では、名前と反するキャラクターづくりで存在感を発揮。第1幕の最後で王殺し、父殺しの汚名をきせられて逃亡した彼がどんな復讐劇を見せてくれるのか。アクションシーンでひときわ輝いていたグレコ役の柳下 大ともに第2幕での活躍が楽しみである。

ONWARD presents 新感線☆RS『メタルマクベス』disc3 Produced by TBSは、12月31日(月)までIHIステージアラウンド東京(豊洲)にて上演される。12月6日(木)にはライブビューイングも行われる。

ONWARD presents 新感線☆RS『メタルマクベス』disc3 Produced by TBS

2018年11月9日(金)~12月31日(月)IHIステージアラウンド東京(豊洲)
ライブビューイング:2018年12月6日(木)12:30開演/18:00開演の回
ライブビューイング詳細はこちら

作:宮藤官九郎
演出:いのうえひでのり
音楽:岡崎 司
振付&ステージング:川崎悦子
原作:ウィリアム・シェイクスピア「マクベス」松岡和子翻訳版より

出演:
ランダムスター / マクベス浦井 役:浦井健治
ランダムスター夫人 / ローズ / 右近B 役:長澤まさみ
レスポールJr. / 元きよし 役:高杉真宙
グレコ / マクダフ柳下 役:柳下 大
グレコ夫人 / シマコ / 林 役:峯村リエ
パール王 / ナンプラー 役:粟根まこと
右近 / 医者 役:右近健一
エクスプローラー / バンクォー橋本 役:橋本じゅん
レスポール王 / 元社長 役:ラサール石井 ほか

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