Interview

大島優子が目指す聖母マリアのような“慈愛”に溢れる女性とは? 舞台『罪と罰』の娼婦役で女優として開花する新たな一面

大島優子が目指す聖母マリアのような“慈愛”に溢れる女性とは? 舞台『罪と罰』の娼婦役で女優として開花する新たな一面

しっかりと“そこにいる人”として存在すること

それでは、ここからは大島優子さんのことを伺えればと思います。まずは、舞台とテレビ、あるいは映画で演じるときの違いはありますか。

どの分野が優れているというわけではないのですが、舞台は、テレビや映画よりも自分の感じた熱量を客席に直に届けることができると思っているので、どういうふうに見られているか居ずまいを意識しています。映画やドラマは撮影の合間に休憩がありますが、舞台は2時間近く自分のアンテナを立たせた状態になるので、体から発散させるエネルギーも違いますね。しかも舞台では、その日の公演の反省点を見つけて、演技をブラッシュアップしていかないといけませんから、つねに自分の心と向き合う必要があります。

たとえば、脚本の読み方に違いはありますか。

大きく違いますね。ドラマの場合は、どういうシーンで、どういうセットになるのかはト書きに書いてあるケースが多いんです。舞台は、劇場入りしなければ、どういう舞台美術かわからないし、稽古は稽古着ですから、実際の衣裳もわからない。さらに『罪と罰』で言えば、時代も国も違います。今まで見てきた景色とは違うイメージをしないといけないので、脚本を読み込むにはドラマや映画と違って時間がかかりますね。

その中で、舞台に出演するに当たって心がけているものはありますか。

しっかりと“そこにいる人”として存在することですね。空想の人物を演じるのですが、ブラウン管の中の空想の人物と、舞台に立っている空想の人物は違います。舞台はお客様の目の前に実際に立っていますから、あたかも実在していたかのように演じなければいけないので、その思いを抱いて演じるのがポイントだと思っています。

初舞台のときのお話も出ましたが、当時を振り返っていかがでしたか。

何もかも大変だなって(笑)。1ヵ月かけて稽古をして、そこから1ヵ月間も公演することは、大変な作業だと思いました。ドラマや映画はポンポンと瞬間的に撮影が終わるし、連続ドラマは1週間に1回の放送だから、撮影に追われて時間がないなかで演じていくので、あまり時の長さを感じないんです。舞台は、多くのことを積み重ねていく作業だから、時間が過ぎていくのが遅く感じるし、とても労力を使うなと思いました。

大島さんの舞台やドラマを拝見していると、情熱的な演技をされるなと感じたのですが、演技で大切にされていることはありますか。

ありがとうございます。ふふふ……初めて言われたな(笑)。舞台は特に声が聞こえやすいように気をつけています。もっともっと頑張りたくて、自分の演技に改善点を見つける日々で。私は声出しの瞬間に台詞をさっと流してしまう癖があるんです。そうすると聞き取りにくい台詞回しになるので、舞台であれば、ワザとらしくなく、自然に劇場に響きわたる台詞の発声を心がけています。

次作はものすごい悪い役を演じたい

大島さんには、ドラマや映画にしろ、お若い頃から様々なキャリアを積み上げてきた印象がありますが、ここまでご自身のことを女優としてどのようにご覧になっていますか。

今作で言えば、初めての文学原作の舞台で、しかも誰もが知っている作品ですし、まさに“ザ・舞台”という環境に足を踏み入れるのは新しいチャレンジです。これからもいろいろな経験を積んでいきたいと思っています。

それでは、この舞台を経て、これからの“大島優子”はどのようになっていくと思いますか。

全然描いていないです(笑)。無理やり描こうとはしていなくて、自然と“大島優子らしく”変わっていければ良いかな。“慈愛”に溢れた役は意外と多いので、次作はものすごい悪い役を演じたいです。性格が悪くて意地が汚くて、おまけに金遣いが荒い役(笑)。

(笑)。女優を続けているうえで楽しみや怖さはありますか。

脚本も読み込んで、ある程度頭で世界観をつくって、いざ稽古に入ったときに、足も手も動かなくなったら怖いなといつも思っています。それと同時に、稽古で作品をつくり上げていく作業は楽しいですね。今回であれば、三浦さんから「身を心から預けられる演出家だから、フィリップは信用できるよ」とおっしゃっていただけたので、ドキドキしながら稽古を心待ちにしています。

どんな心情で演じているのか、探偵みたいな目で観て欲しい

それでは、見どころをお願いします。

原作が原作ですから、重いと感じられる方もいるかもしれませんが、登場人物たちを観ているだけで面白い仕掛けがたくさんあります。私たちがどんな心情で演じているのか、探偵みたいな目で観ていただけると楽しいかもしれません。歴史を描いた小説でもあるので、歴史を知るのも面白いですし、私はマックス・ジョーンズの衣裳が楽しみです。舞台になるロシアは、お金がない時代でもどこか華やかだし、気品があるから早く着たいな(笑)。そういった部分も含め、エンターテインメント色が強いと思いますし、いろいろな要素を楽しんでいただけます。ぜひ劇場にいらしてくださいね。

最後にソーニャに流れる、大島さんが感じていらっしゃる“慈愛”とはどのようなものだと思いますか。

“どんな見返りも求めないこと!”ですね。

ヘアメイク / 犬木 愛(Agee)
スタイリング / 百々千晴

Bunkamura30周年記念 シアターコクーン・オンレパートリー2019 DISCOVER WORLD THEATRE vol.5
『罪と罰』

東京公演:2019年1月9日(水)~2月1日(金)Bunkamuraシアターコクーン
大阪公演:2019年2月9日(土)~2月17日(日)森ノ宮ピロティホール

STORY
舞台は、帝政ロシアの首都、夏のサンクトペテルブルグ。学費滞納のため大学から除籍された頭脳明晰な貧乏青年ラスコリニコフ(三浦春馬)は、自分は一般人とは異なる「選ばれた非凡人」としての意識で、「一つの微細な罪悪は百の善行に償われる」という独自の理論を持っていた。そして、ついに強欲で狡猾な金貸し老婆を殺害し、奪った金で世の中のための善行をしようとする。しかし、殺害の現場に偶然にも居合わせた老婆の妹までをも殺してしまう……。

原作:フョードル・ドストエフスキー
上演台本・演出:フィリップ・ブリーン
翻訳:木内宏昌
美術・衣裳:マックス・ジョーンズ

出演:
三浦春馬、大島優子、南沢奈央、松田慎也
真那胡敬二、冨岡 弘、塩田朋子、粟野史浩、瑞木健太郎、深見由真、奥田一平
山路和弘、立石涼子、勝村政信、麻実れい ほか

オフィシャルサイト
Twitter(@Bunkamura_info)

大島優子(おおしま・ゆうこ)

1988年10月17日生まれ、栃木県出身。2014年にAKB48を卒業。同年、映画『紙の月』で第39回報知映画賞助演女優賞、第38回日本アカデミー賞優秀助演女優賞などを受賞。最近の主な出演作品に【テレビドラマ】『私が恋愛できない理由』、『銭の戦争』、『ヤメゴク〜ヤクザやめて頂きます〜』、『安堂ロイド』、『東京タラレバ娘』、『コートダジュールN°10』【映画】『闇金ウシジマくん』、『ロマンス』、『真田十勇士』、『疾風ロンド』【舞台】『No.9-不滅の旋律-』、『美幸-アンコンディショナルラブ-』などがある。今作『罪と罰』で3年ぶり3作品目の舞台出演となる。

オフィシャルサイト
公式Twitter(@Oshima__Yuko)
公式Instagram(@yuk00shima)

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