Interview

本田礼生&加藤良輔とTHE CONVOY SHOWの熱き絆。11人で贈るクリスマスの物語『ONE!』開幕直前!

本田礼生&加藤良輔とTHE CONVOY SHOWの熱き絆。11人で贈るクリスマスの物語『ONE!』開幕直前!

あの北野 武(ビートたけし)をして「死ぬまでに一度は観るべきだ」と言わしめた集団THE CONVOY SHOW(ザ・コンボイ・ショウ)。彼らは“全員が脇役で主役!”をモットーに三十数年、主宰の今村ねずみを筆頭に時代のトップランナーとして駆け抜けてきた。そんなカンパニーが新作『ONE!』を引っ提げて、12月14日(金)から17日(月)までTBS赤坂ACTシアターに帰ってくる。今作は、とあるひとりの少女のクリスマスの物語。11人の男たちは、少女に、私たちにどんなプレゼントを届けてくれるのだろうか。
そこで本作の核心に迫るべく、20代メンバーの本田礼生と前作『星屑バンプ』より出演の加藤良輔に話を聞いた。作品のことだけではなく、前作の稽古中にカンパニーを襲った不慮の事故のこと、それをどう乗り越えたのか、そして深まった団結力、若手メンバーとしての意気込みまで、ふたりの仲睦まじい様子もうかがえるインタビュー。

取材・文 / 竹下力 撮影 / 冨田望


前作でのアクシデント。僕らも立ち止まるわけにはいかなかった

まず、今年9月に上演された『星屑バンプ』のことを聞かせてください。舘形比呂一さんが稽古中にアキレス腱を断裂し、舞台を降板することになりましたね。その当時のことを振り返っていただけますでしょうか。

本田礼生 本稽古が始まって数日経った頃でした。僕と(伊藤)壮太郎と舘さん(舘形比呂一)の3人のシーンを初めて立ち稽古していて、(今村)ねずみさんからアドバイスが入り始めて、稽古が白熱しだしたんです。

加藤良輔 かなり盛り上がっているときだったね。

本田 そう。で、舘さんがバッと振り返るという動きのときに突然倒れられて。すぐ病院に行かれたのですが、その後、アキレス腱を断裂したと連絡があって。そのときは、一瞬ですが「もしかしたら公演ができないかも」という不安が頭をよぎりました。ただ、すぐにねずみさんが脚本を書き直すことになりました。

本田礼生

そこからどのような思いを抱きましたか。

本田 アクシデントがあった次の日には、ねずみさんが脚本の書き直しを仕上げていてとても驚きました。脚本を書き直すのは簡単なことではないし、ましてや出演もされるから稽古もしているのに、たった1日で書き上げてくださった。きっとねずみさんは寝ないで書いたんだろうと思ったら、エンジンがかかったんです。僕らが少しでもマイナスな気持ちを抱いていたらダメだって、改めて奮い立ちました。

加藤 そうだね。舘さんが怪我をしてすぐに、ねずみさんがシーンを書き換えるとおっしゃったので、僕らも立ち止まるわけにはいかないと思いました。実は、舘さんと僕と壮太郎とでタップのパートがあったのですが、本稽古に入るまでに僕はまったく練習ができなくて。しかも、その部分をビデオで撮影して勉強しようと思っていたのに撮影を忘れてしまったんです(苦笑)。でも、舘さんがそんな僕に気づいてステップされているところをご自身で撮影されて動画を送ってくれたんですよ。それがとても嬉しかったのに、残念ながらそのパートは叶わなくなってしまいました。だから、舘さんのためにできることをやりたかったし、舘さんのぶんまで頑張ろうと思っていました。

加藤良輔

そんなアクシデントもありましたが、初日にはカーテンコールで次回公演の予告として『ONE!』の看板が堂々と舞台に立って、そこに舘形比呂一さんがいらっしゃったときは観ていて感動しました。

本田 僕らも号泣でした!

加藤 泣いたよね。

本田 おそらく、お客様と同じ気持ちだったと思います。僕と(加藤)良輔さんが看板のパネルを開けるところに舘さんが立っていらして、開ける直前に一瞬ですが舘さんと合図を交わすんですが、「行ってきます」と舘さんが颯爽と登場した初日は震えるほど感動しました。舘さんはTHE CONVOY SHOWに欠かせないという、ねずみさんやスタッフの“愛”を感じた瞬間でもありました。まさに、新たなTHE CONVOY SHOWの扉を開けたような気持ちになりました。

尊敬する先輩が、汗をかいて稽古されている姿は刺激になる

そんな事態を経験しながら、加藤さんは『星屑バンプ』からTHE CONVOY SHOWのカンパニーに加わりました。

加藤 僕には未知の世界すぎて、何かを考えるというよりも食らいつくことしかできなくて……。(本田)礼生が、朝も夜も、稽古が終わってからも、ほぼつきっきりで稽古に付き合ってくれたんです。それを繰り返した毎日でした。アクシデントもあったし、若手のキャストもシャッフルされていますが、僕は初演を経ている役者とは違うまったくの新人で技術面でもそもそも差があるから、これまでの役者人生の経験で必死に追いつこうとしても無理が出るし、日々1ミリでもみんなとの距離を縮めようと考えていましたね。

本田さんは間近でご覧になっていたそうですが、加藤さんの努力している姿を見てどのようにお感じになられたのでしょう。

本田 加藤良輔さんといえば、2.5次元の舞台でも大先輩にあたる方で、ダンスも歌もお芝居もなんでもできるイメージがあったんです。ただ、THE CONVOY SHOWになると、入ってみて痛感するのですが、普段では出さないような特別な力を求められます。なので、尊敬する先輩が稽古場に居残って練習したり、誰よりも早く来て汗をかいて稽古されている姿は刺激になりました。

“シャイなこんちくしょう”になったかどうか……(笑)

加藤さんは実際に稽古を経験していかがですか。

加藤 うまく言えないのですが、このカンパニーは稽古をしている雰囲気はないし、殺伐とした空気もなくて、稽古というのはTHE CONVOY SHOWというファミリーの“家族会議”のようなものだと思います。ねずみさんというお父さんがいて、僕らがいろんなことを教えてもらっている。他の舞台の稽古では感じたことがない、このカンパニーに入らないとわからない空間でしたね。

本田 とにかく稽古場には負の空気が流れないです。すべて公演を良くするためにやっていることなので。歌もダンスも、お芝居も僕らから発信することもたくさんあります。ねずみさんが自分から発言させてくれる余白をつくってくださるので、そこを埋めるための稽古をしているという感覚があります。

ちなみに前作での本田さんと今村さんのインタビューで、今村さんは加藤さんを「“シャイなあんちくしょう”から“シャイなこんちくしょう”」にするとおっしゃっていました。

加藤 “シャイなこんちくしょう”になったかどうか……(笑)。いずれにしても、ねずみさんからご覧になって変わったと思っていただけたら嬉しいですね。直接何かを言ってもらったわけではないですが、今でもこうやってみんなと一緒に“ここにいる”ことが“答え”なんだと思います。当然、厳しいことも言われましたし、芝居を褒めてもらったり、逆にダメ出しされたことも含めて、すべて愛情だと思いますし、“愛”をもらった経験をしました。

本田さんはいかがですか。

本田 THE CONVOY SHOWに入って約2年ですが、技術的なところは成長したと思うのですが、まだまだカンパニーのことを知れば知るほど、メンバーさんとの差を感じますね。

加藤 ただ、礼生はねずみさんからの信頼が強いと思います。だから、礼生に対する要望は大きいし、それに応える実力が礼生にはあると思う。

本田 良輔さんにも同じことが言えて。ねずみさんからの良輔さんへの芝居のダメ出しとその対応の仕方は、さすがだなと感心しました。ねずみさんは口数が少ないダメ出しなんですけど、そこに良輔さんは違うアプローチで的確に返していく。近くで見ていてすごく勉強になりましたし、楽しかったです。

今のTHE CONVOY SHOWそのもの

それではここから今作『ONE!』のことを伺えればと思います。

本田 今のTHE CONVOY SHOWそのものですね。

加藤 そうだよね。

本田 良輔さんが入って、11人になったTHE CONVOY SHOWにしかできない作品に仕上がると思います。

加藤 ねずみさんがおっしゃっていたのですが、『ONE!』というタイトルは、ひとつのモノであり、ひとりの人間のことでもあり、ひとつの目標にみんなが集まってひとつに団結することでもあるという、いろんな意味がありますね。おそらく、観てくださる人によって感じ方が違う作品になると思います。僕らも11人それぞれの『ONE!』を持っているから、ひとりひとりの『ONE!』をお客様にお見せしたいですね。

本田 そのとおりですね。僕は脚本を初読して、エンターテイナーとしてのあり方を考えさせられました。クリスマスにひとりのとある少女のために11人が全力で頑張る姿を見せるのは、まさにTHE CONVOY SHOWそのものだし、ひとりのエンターテイナーとして忘れてはいけないことが書かれている。それが僕の感じた『ONE!』なんです。ですから、良輔さんがおっしゃったように、お客様ひとりひとり、異なった『ONE!』を感じていただけると思います。

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