Interview

実力派声優アーティストが躍進する今「アニソンシンガー」は何をするべきなのか?『禁書目録』OPを受け継いだ黒崎真音の熱い思い

実力派声優アーティストが躍進する今「アニソンシンガー」は何をするべきなのか?『禁書目録』OPを受け継いだ黒崎真音の熱い思い

アニメ音楽のシーンを中心に活躍するシンガーの黒崎真音が、ニューシングル「Gravitation」をリリースした。本作は鎌池和馬の人気ラノベを原作とするTVアニメ『とある魔術の禁書目録(インデックス)Ⅲ』のOPテーマ。黒崎はデビューから間もない2010年に『とある魔術の禁書目録Ⅱ』の前期EDテーマ「Magic∞world」、後期EDテーマ「メモリーズ・ラスト」を歌っており、『禁書目録』とはそれ以来8年ぶりの邂逅となる。なおかつ今回の楽曲では、これまで『禁書目録』のOPテーマを歌ってきた川田まみが作詞を担当。先輩の意志を受け継いだ、あらゆる意味で熱い楽曲だ。本作に込めた想い、そしてアニソンシンガーとしての矜持などについて、話を聞いた。

取材・文 / 北野 創(リスアニ!)


(川田)まみさん独特のおしゃれな言葉選びのセンスは私の憧れです

黒崎さんにとって『禁書目録』は非常に縁の深い作品ですが、今回の3期で初めてOPテーマを担当することになって、感慨深いものがあったのでは?

黒崎真音 私は2期ではEDテーマ(「Magic∞world」と「メモリーズ・ラスト」)で携わらせていただいたんですが、そのときは自分で作詞もさせていただいたので、作品のファンの方に納得してもらえる世界観作りができるように、相当の緊張感をもって歌わせていただいたんです。それが今回はOPテーマということで、最初は正直「私でいいんですか?」という気持ちがありましたし、私の中で偉大な先輩である(川田)まみさんを引き継いでOPテーマを担当させていただくことに、うれしさと不安が入り混じった感じはありました。

しかも今回のOPテーマ「Gravitation」は、川田まみさんが作詞を担当されてるんですよね。最初に歌詞を受け取ったときの印象はいかがでしたか?

黒崎 まみさんが書いてくださった、まみさんの言葉だということが感じ取れて、すごくうれしかったです。まみさんは私のレコーディングに来てくださったときに、「この曲はもちろん『とある』3期をイメージして書いてるけど、黒崎真音にこれからももっとがんばってほしい、という気持ちも込めて書いてるからね」とおっしゃってくださったんです。歌詞の内容も、もしいろいろ悩むことがあっても、(『禁書目録』の主人公の上条)当麻みたいに自分の信じる物に対して正直に向かっていく気持ちを持ち続けられたら、自分なりの幸せと引き合うことができる、すべては自分次第、ということを考えさせてくれて。いろんなことに意味があると思わせてくれる歌詞だと思いました。

ちなみに川田さんの書かれる歌詞のどんなところに魅力を感じますか?

黒崎 う~ん、うまく言えないんですけど、詩的というか、景色が変わるというか。私が歌詞を書く場合は、物語とか手紙のように書いてしまうところがあるんですけど、まみさんの場合は文節ごとにいろんな景色とか気持ちが混ざってたり、英語のガツンとインパクトの強い言葉が合わさってたりするんです。タイトルもいつもあまり人が選ばないような言葉をチョイスされるし、そういうまみさん独特のおしゃれな言葉選びのセンスは私の憧れです。

「Gravitation」を歌うにあたって、『禁書目録』という作品に寄り添うために工夫したところは?

黒崎 作曲家の中沢(伴行)さんから「この曲にはポジティブな思いを込めたい」とおっしゃっていただいたり、私としても歌詞からポジティブなメッセージを感じていたので、自分の中でも前向きな気持ちを持って歌いました。『禁書目録』自体も3期になって新しいキャラクターが増えて、いろんな人たちの思いが重なっていくなかで、バトルシーンも今までより増えるというお話を聞いていたんです。なので、そういう戦いのシーンを自分の中に感じ取りながら、でも戦いの先に悲しいものばかりじゃなくて良い方向に向かっていく思いを残せたら、という気持ちが強くて。

同時に歌詞からは、3期の群像劇的な色が濃くなる部分が表現されているようにも感じました。

黒崎 曲タイトルの「Gravitation」という言葉には「引き合う力によってみんなが集結する」という意味も込められていて、それがまさに3期っぽいと思うんですよ。いろんなキャラクターたちの気持ちのぶつかり合いが見どころになると思うので、そこも意識しながら歌いましたね。

イントロからワーッとテンションが上がっていく感じが、音の暴力みたいで「楽しいーっ!」ってなりました(笑)

この曲は過去に川田まみさんが歌われてきた『禁書目録』のOPテーマと同じ中沢伴行さんと尾崎武士さんが編曲を担当していて、まさに『禁書目録』らしいドラマチックなデジロックサウンドに仕上がっています。

黒崎 私もすごく『禁書目録』だと思いました(笑)。最初の音から最後の音まで、キャラクターたちが動いてるオープニング映像を勝手に妄想できるぐらいで、あっという間にその世界に連れていかれる感じがすごいなあと思いました。転調もたくさん入ってますし、展開がすごく豪華で。今年の「アニサマ」(Animelo Summer Live)で初披露させていただいたんですけど、ライブ映えもしますし、イントロからワーッとテンションが上がっていく感じが、音の暴力みたいで「楽しいーっ!」ってなりました(笑)。

「アニサマ」では曲が始まった瞬間の歓声がものすごかったですからね。

黒崎 皆さん初めて聴いた曲とは思えないぐらい盛り上がってくださって、あらためてアニソンのファンの方は好きだなあと思いました。アニソンのフィールドにはみんなで長い時間をかけて作ってきた、ライブを楽しむときのセオリーみたいなものがあると思うんです。それをあらためて感じたのが、この「Gravitation」の初披露のときだったんですよ。これからもいろんなところで歌っていくと思いますし、この曲を長く大事に歌っていくことが私の使命だと思ってるので、時間をかけて育てていきたいなあと思います。

ここからはカップリング曲「Hazy moon」についても聞かせてください。この楽曲は、黒崎さんが役者として出演している映画『BLOOD-CLUB DOLLS 1』の主題歌でもあります。

黒崎 この曲に関しては独特の生まれ方をしまして。私はこの映画で有栖川みちるという女の子の役をやらせていただいてるんですけど、ある日の撮影時に、私という人間と有栖川みちるという役柄の気持ちがピッタリ一致したときがあったんです。演じながら、この子の気持ちがわかるというか、自分の体験してきたことなんじゃないかと思うぐらい不思議な感覚になって、そんなことは生まれて初めてだったんですよ。

その日は田舎の学校で撮影してたんですけど、夜になってお月様が空にポンと浮かんでるのを見て「なんか曲を作りたいな」と思ったんです。それで監督や映画のプロデューサーさんに現場で直接「実は歌いたいイメージが浮かんできてしまって」とお話したら、主題歌を検討していただけることになりまして。そこから承諾してくださって生まれた楽曲が、この「Hazy moon」なんです。何もかも初めての体験でした。

有栖川みちるの気持ちと自分の気持ちがシンクロしたことで、衝動的に曲を書きたくなったと。

黒崎 はい。だからその時に見た情景とか、その子とリンクした心情を楽曲に落とし込みました。実は監督に相談する前に作詞をしてしまってたんですよ(笑)。1番の歌詞は全部そのときに生まれたもので、同時に作曲も自分でしたんですけど、それは監督のイメージとは少し合わなかったので、作曲は宮崎京一さんにあらためてお願いしてアップテンポなロックバラードになりました。なので、私の曲ではあまりないことなんですけど、詞先で作らせていただいたんです。

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