Review

『レッド・デッド・リデンプション2』西部劇のなかで描かれる選択の物語

『レッド・デッド・リデンプション2』西部劇のなかで描かれる選択の物語

風に舞う砂煙のうっとうしさすら感じられそうなほど緻密に作り上げられた西部劇の世界で、ギャングとしての生きかたと己の理想とに揺れるアウトローの人生を描くオープンワールドクライムアクション『レッド・デッド・リデンプション2』。
メインストーリーとして描かれるギャングたちの生き様や、寄り道要素として楽しめる膨大な量のサブイベント、そして本作の世界をよりリアルに、より強い没入感をもたらすものとしている精巧なグラフィック。本稿では、この3点から本作がもたらすゲーム体験の魅力に迫っていく。

文 / 村田征二朗


※記事の後半でアンケートを実施中です。ぜひご参加ください!

移り行く時代のなかで生きるアウトローの物語

前回の記事でも説明しましたが、『レッド・デッド・リデンプション2』の舞台は、開拓時代が終わり、法執行官がギャングたちアウトローを一掃し始めた1899年のアメリカです。カリスマ性と野心を持ち合わせた男・ダッチ率いるダッチギャングたちは、西部の街・ブラックウォーターで大掛かりな強盗に失敗し、逃亡を余儀なくされます。ゲームをスタートすると、主人公・アーサーを含むギャングのメンバーたちが追手から逃れ、雪山を越えていく場面から物語の幕が上がります。

▲民家を発見したと思いきや、そこは別のギャングに占領されており、休む暇もなくギャング同士の抗争が始まってしまいます

▲視点は、一人称視点と三人称視点を自由に切り替えて遊ぶことができます

物語がすでに大きく動いているところからゲームがスタートするという、非常に映画的な幕開けを見せる本作。アーサーをはじめとしたギャングたちはすでに長年の付き合いがあり、プレイヤーに対する説明はないままに、つぎつぎと事件が起こり物語は展開していきます。そのため、序盤は会話の内容からギャングにおけるアーサーの立ち位置や、それぞれの信頼関係などを探っていくこととなります。

▲右側に座っているのが、主人公のアーサーです。移り行く時代のなかでギャングとしての生きかたに迷いを抱き、自分を育てたギャングへの恩と、真っ当な人間として生きるという自分の理想とのあいだで葛藤を抱くようになります

▲こちらがギャングのリーダー、ダッチです。仲間が捕まれば迷わずに救出することを選ぶなど、強く慕われるのも納得の男気を見せてくれます

最初こそ戸惑いはするものの、物語を読み進めるにつれ、アーサーという男の人間性、皮肉を飛ばし合うギャングメンバーたちとの距離感、そしてギャングたちがリーダーであるダッチに強い信頼感を抱いていることなどが自然と見えてくるようになります。

▲しかし、ギャングの状況が苦しくなるにつれダッチにも余裕がなくなり、次第にアーサーとのすれ違いが増えてきます。最初は毅然とした印象を受けるだけに、ダッチの変化にはかなりやるせないものがあります

本作で描かれるなかでもとくに注目すべきは、やはり主人公であるアーサーです。先ほどの画像で語っているセリフのように彼はギャングではあるものの、“人助けをすべき”という善人的な考えを持っています。

▲過去の恋人に頼まれて家族を捜し出すなど、実際に人助けをし、善人とも言える姿を見せることも少なくありません。ただし、イベントによっては相手を助けるかどうか、プレイヤーが選択することもあります

▲借金の取り立てを行うときや強盗を働くときなど、ギャングとして動くときのアーサーはかなり非情です

真っ当な人間として生きるという理想を抱きながらも、ギャングのなかで育ったがゆえに染みついた暴力性とのあいだで揺れる彼の姿は、ステレオタイプ的なアウトローとしてではなく、あくまでもひとりの人間として描かれています。その人間味がアーサーという主人公を魅力的に見せ、彼が葛藤を抱える姿を見たプレイヤーに共感を覚えさせるのです。
初めはギャングのメンバーを把握するのにも苦労するかもしれませんが、プレイを進めていけば加速度的に展開していく物語に引き込まれ、いつの間にかメンバー一人ひとりの無事を願うようになっていることでしょう。時代に迎合せずに生きた男たちの生き様は、ぜひとも自身の手でプレイして堪能してほしい物語です。仲間たちとの別れや裏切りの果てに訪れる物語の終わりは、ゲームタイトルにある“リデンプション”、贖罪という言葉の意味を考えさせるものとなっています。

▲会話は英語音声ですが、デフォルトでは字幕に話者は表示されません。オプションによって誰が話しているかを明示することができ、名前を表示したほうが会話の理解も進みやすいので、まずはオプションで話者の表示を設定したほうがいいでしょう

1 2 3 >