Interview

NOISEMAKER AGが語る、綿密な計算から生まれる圧倒的グルーヴ

NOISEMAKER AGが語る、綿密な計算から生まれる圧倒的グルーヴ
2015年3月にメジャー・デビューした札幌発4人組ロックバンドNOISEMAKER。2016年第一弾シングル「Butterfly」をリリースし、精力的にライブ活動を行ってきたが、それと並行してメジャー進出後の1stアルバムの制作に入っていた。いよいよリリースされたそのアルバム『ROAR』には、今のバンドが持つ得る奇抜なアイデアと秀逸な楽曲のクオリティに圧倒される内容になっていた。このアルバムからNOISEMAKERの特異性を探り、更なる飛躍の年となる2016年を見届けていこう。

取材・文 / 岡本明 撮影 / 増永彩子


1月にシングル、今回は5月にアルバムなので、いいペースで作品がリリースされてますよね?

AG(Vo) 早い感じはしますけどね。

それだけ曲のストックがあって?

HIDE(G) 今回、デモは30曲ぐらい作って、そこから絞り出したり、また新しく作ったり。ストックやネタはありますね。

AG ただ、目の前に締め切りが来ないと本気にならないというか、なかなか本腰を入れて作らないですね。リリース日が決まると、ぐっと固まっていく感じで。

【L→R】Ba.YU-KI / Vo.AG / Gt.HIDE / Dr.UTA

いつごろから本気になったんですか?

HIDE 昨日かな。

AG 遅いよ(笑)。レコーディングの2か月前から形にしていきました。ある程度、デモの時に固まっていたんですけど、ワンコーラスだけとかなので。そこからみんなで話し合って作り上げていきました。

HIDE 曲を決めてから歌詞をつけたほうがいいですから。ある程度、大まかに形にして、どのタイミングでガッと固めるか、ですね。レコーディング初日まで固めない場合もあるし。

AG それ、危険だけどね(笑)。だって、ギリギリまで“これで行く”って言ってたのに、録り終わって帰った後で、“やっぱりこっちのほうがいい”って戻ってきた時もある(笑)。

HIDE ドラムを叩いている最中に、“そのリズムじゃなくて、全部変えるよ”とか。

UTA(Dr) 困りますよ、決まっているのに。

HIDE 楽しいでしょ。

UTA 楽しくないよ(笑)。俺は、一日も早くドラムを録ってメンバーに渡したいじゃないですか。なるべく巻きで終わらせる予定で頑張っているのに、また考え直すのかって。それはやめてほしいです。

AG 常識で考えるとそうだけどね。

HIDE ま、やめないけどね(笑)。

ギリギリまで直すことによって曲が良くなるから?

HIDE そう、絶対よくなるんです。迷っているということはまだ自信がないということだから。エンジニアさんにも別にパターンを録ってもらうんです。各パート、そうなんですけど、ミックスの時にどっちがいいか比べてみるから。楽器だけで考えると何とでもなるんですけど、歌が入った時に歌とリズムの感じが合ってないとか。歌が入ってみると、上モノの楽器のフレーズとの絡みがしっくりいってなかったり。歌を最初に入れると一番いいんだけれど、そうもいかないので、楽器は融通をきかせるようにしているつもりです。

今回ならではのこだわりというと?

YU-KI(B) ベースは曲に合ったフレーズを、バンドとして聴いたときにしっくりくるようチョイスしていきました。それぞれの楽器の位置が適所にはまっていて、存在感が出ていると思いますね。

HIDE 1曲目の「Flag」にマーチングドラムが入っているんですけど。最初に漠然とスネアがいっぱい鳴っている曲を作りたいと思っていて。UTAとスタジオに入って、2人でずっとスネアを並べて叩いて、どういうふうに聴こえるか、試してみたんです。まあ、いけるかなって。そこから友達のドラマー数人に声をかけて、1人一個ずつスネアを持ち寄って、全員で一斉に叩いてもらったんですよ。ザッザッザッて。エンジニアさんも、何やるの?って顔をしてて、とりあえず録ったんです。内心、これで失敗したらやばいと思っていたんですけど(笑)、予想以上の音になってくれて。それがイントロや間奏に入っています。

UTA 全部で5人が叩いていますね。

HIDE あれは打ち込みじゃなくて本当に叩いています。 UTAライブの時だけ、マーチングバンドにゲストに入ってもらってもいいかな。

HIDE ドラムソロとマーチングバンドが叩いている間、俺たちは休憩するから。

UTA その時は俺も休憩するよ。

HIDE 何のライブだよ(笑)。

AG あとコーラスもいっぱい入っています。

HIDE うん、全曲に入ってる。

AG フェスとかで全員で歌う場面を持った曲を増やしたいと思ったんです。それで作っていくと、気づいたら全曲に入っていて。だから、アルバムタイトルも声に関する言葉として『ROAR』にしました。

吠える、という意味ですよね?

AG そうです。スタジアムとかでみんながワーッと叫んでいるイメージ。

人間の声って楽器にはない厚みがありますよね。これがキーボードだとまた印象が違うだろうし。

HIDE 人の声って一番、説得力ありますからね。

AG ここまでいっぱい入っているバンドって、なかなかいないんじゃないな。しかも自分たちのカラーになっている気がする。

しかも1曲1曲、メロディアスで際立つナンバーが多くて。「Matador」から「Minority」の流れがいいですよね。

AG ありがとうございます。「Home」がいいという声も多いですね。

「Home」は歌っていて、気持ちいいんじゃないですか?

AG レコーディングの時から気持ち良く歌っていますね。(笑)。

「Butterfly」は「2nd Sun」と繋がっている気もしますね。

AG あそこは流れがいいですね。「Butterfly」は思っていた以上にライブで強い曲になりました。

曲のタイプも幅広くなったし。

AG 1曲1曲が被らないように気を付けました。自分らのリスペクトするアーテイストやバンドは、曲のバリエーションが豊富ですから。さっき聴いたような曲があるなというアルバムにはしたくないので。そのほうが聴いてくれる方も面白いかな。

UTA 俺のこだわりは、「Point of Origin」ですね。シングルに入っていましたけど、ドラムパターンに一番こだわった曲です。手数がすごいので、やめてほしいぐらいですから(笑)。でも、思い入れが一番ありますね。あと、「Minority」は遅いしシャッフルしていて、難しい。ウチのバンドでシャッフルは初めてなんですよ。どうだったっけ?って(笑)。

ノリが掴みにくかった?

UTA ですね。それと、「Matador」はサビがない曲だから、どこに重心を持っていこうかと考える曲でした。

AG あと、「Point of Origin」でサブスネアを使ったのも初めてじゃない?

UTA CDをリリースするごとに1個ずつタイコが増えていくんです(笑)。1タムが2タムになり、今回はサブスネアが加わって。メインとサブのスネアの違いを出したかったからなんですけど。「Point of Origin」のAメロとか間奏とか、軽いような音がいいなと。

AG ドラムンベースのような音ね。

UTA 次は何が増えるのかな。消費税が上がる前にもう一個買っとこうか(笑)。

AG 俺のこだわりはコーラスワークですね。あとは曲によって、声色のニュアンスを変えて、戦っている曲なのか切ない曲なのか、表現に変化をつける。そういうところを気にしました。メロディラインも「Flag」とか、サビ以外はブラックミュージックのラインからヒントを得ているし。「Mouse Trap」もAメロはグランジやオルタナっぽいメロディで。でも、サビはアメリカンポップスを意識しているというか、ヒップホップのアーティストとコラボしてボーカルが歌っているメロディラインとか。そういう、メジャーなポップスのメロディラインをロックに落とし込んでいいたりするので、いろんな面白みがあるんじゃないかなと思います。

いろいろと、試しがいのある曲が多かったんですね?

AG そうですね。それが自然なことというか。自分の好きな音楽、影響を受けてきた音楽を今の自分のバランス感覚で鳴らした時に、NOISEMAKERの唯一無二の音楽になるんじゃないかなと思うので。今回はそれを詰め込んだ感じです。

歌詞は早い段階から書いてあったんですか?

AG ギリギリのものもありました。違うニュアンスの言葉がないかなとか、韻を踏みたいというのもあるし。自分の中でしっくりくるまで考えました。HIDEが作ってきた楽曲に合うように書いているんですけど、曲と内容がぴったり合わないと完成しないですから。

曲とのマッチングですね。

AG 曲を聴いたときに色を感じるんですね。暖かい色、冷たい色、戦っているのか、悲しんでいるのか。それに歌詞を合わせたいので、温度と色、ですね。だから、戦っているニュアンスの曲を聴いた時は、赤だったりオレンジだったり。「Butterfly」「2nd Sun」は灰色、青色。

今回はいろんな色がありますね?

AG 以前まで俺たちの曲って、赤とかオレンジの曲ってなかったんですね。前は青、灰色、冷たい色が多かった気がするんですけど、最近は赤やオレンジが増えてきた。

それはどうしてなんでしょう?

AG アルバムの中に色の違いを出したほうが自分でも楽しめるし、ライブの雰囲気も変わりますからね。青だとぐっとくるけれど、聴いてしまう。エネルギッシュな赤のほうに向けると、聴いてくれる人も衝動的な部分が出てくると思うし。

そういう広がりは曲としても意識して作っているんですか?

HIDE 考えている部分はありますね。トレンドな曲について、なぜ気持ちよく聴こえるのか、売れているのか、BPMを全部調べるんです。ただ、それをそのまま取り入れるんじゃなくて、この逆をやってやれとか。気持ちよければコード進行を調べて、メロディはどういう動きをしているとか。そういうところから、今までにない曲を作ったりしますね。あと、フェスに去年出て、それは俺の中ですごい大きな影響になっているんです。会場のデカさに楽曲が合っているアーティストがいると、この会場にこの曲はピッタリ合うなと。その逆もあるんです。楽曲と景色、ですね。音だけじゃなくて視覚も感じられる曲をやりたいと思って。フェスから帰ってきて次の日に「Point of Origin」「Home」といった、壮大な曲を書きたいと思って作りましたから。

そういえば、英語詞で歌うNOISEMAKERにしては珍しく、「Home」に日本語の歌詞が部分的に登場しますけど?

AG あえて入れました。日本語にチャレンジしようと思い、「Home」の曲調だと入れやすいので、自然に入れられました。日本語のヒップホップを聴いていた時期だったし、語尾も気を付けましたね。

英語から日本語に変わった瞬間に耳がひきつけられますね。「Black and Red Knees」にも日本語歌詞が入っていて。

AG ここまで入れるのは初めてだから結構チャレンジだったんですけど。一緒に歌えるポイントになるし、一番刺さるだろうなと思ったんです。

今後、日本語だけの曲もできたり?

AG 全く想像できないですけど(笑)。

今回のアルバムを作り終えてみての手ごたえはいかがですか?

YU-KI みんなで歌う曲が多くて、エモーショナルな、溢れ出てくる感情が感じられるアルバムになったと思います。昔からそういう要素はありましたけど、「Heads and Tails」みたいな。でも、よりそういうタイプの曲が多くなったと思います。

AG 手ごたえはすごくあります。自信があるので、もっといろんな人に聴いてほしいですね。

HIDE 何点?

AG 100点じゃないですか。

UTA 120点。当たり前でしょ。

HIDE 俺は、…125点。

中途半端な数字ですが(笑)。今のバンドの持つ良さを詰め込めたアルバムですね?

AG そうですね、これによって次にやりたいものが見えてくると思います。同じような曲は作りたくないですから。

6月からツアーがスタートしますけれど、どんな内容になりそうですか?

AG 思ってもない反応とかあると思うんですよ。実際、「Butterfly」がライブであんなに強い曲になると思っていなくて、どちらかというと聴かせる曲だと思っていたんですけど、リフが始まったらすごい勢いでジャンプが始まるし。ギターも単音で攻めているのに破壊力ありますから。

HIDE ライブに関してはまだ全然想像できてないんですけど、声にまつわるアルバムだので、聴いたらどこで歌うか分かると思うんです。だから、歌う場所を覚えてきてくれたら一緒に歌える、そういうライブにしたいですね。会場の声がうるさすぎて、ライブの音が聴こえないぐらいだといいですね(笑)。

UTA 新しい曲もやりますが、古い曲もたまにはやりたいと思いますね。全箇所、全力でやっていけば成功すると思うんで。そのために練習頑張ります(笑)。

YU-KI ライブでみんなに歌ってほしいし、俺も歌うので、本音を言えば助けてほしい(笑)。でも、みんなで声を出してもらえたら、ハッピーな景色が見られそうです。

リリース情報

NOISEMAKER_ROAR_JK

『ROAR』
2016年5月25日発売

AZCS-1057 ¥2,500+税
初回プレス限定スリーブケース仕様

01.Flag
02.Mouse Trap
03.Home
04.2nd Sun
05.Butterfly
06.Matador
07.Minority
08.Black and Red Knees
09.Point of Origin
10.One Way Letter

ライブ情報

NOISEMAKER “ROAR TOUR 2016”

6月24日(金) 愛知・名古屋 APOLLO BASE
6月25日(土) 大阪・アメリカ村 DROP
7月1日(金) 広島・広島 セカンドクラッチ
7月2日(土) 香川・高松 DIME
7月15日(金) 宮城・仙台 MACANA
7月20日(水) 石川・金沢 vanvanV4
7月24日(日) 福岡・福岡 BEAT STATION
7月28日(木) 北海道・帯広 REST
7月29日(金) 北海道・旭川 CASINO DRIVE
7月31日(日) 北海道・札幌 PENNY LANE 24
8月7日(日) 東京・代官山UNIT

NOISEMAKER

札幌にて結成。AG(Vo)、HIDE(G)、YU-KI(B)、UTA(Dr)からなる4人組ロックバンド。重厚感と疾走感を併せ持つサウンドと煽情的なグッド・メロディを武器とし、パンク、ロックに留まらず、HIPHOPやR&B、グランジ、オルタナなど様々なジャンルをクロスオーバーした自由度の高いサウンドに支持を集める。また、ISSUESやENTER SHIKARIのJAPAN TOURをはじめとした国内外のビックネームと共演など、ライブ・パフォーマンスへの評価が非常に高い。
2015年3月にメジャー移籍し、ミニアルバム「NEO」を発売。そのリリースツアーでは各地SOLD OUT公演も続出する中、大盛況に終えた。夏は「ROCK IN JAPAN FES」や「SUMMER SONIC」をはじめとした大型フェスにも出演し、秋には「OZZFEST JAPAN」への出演と全国各地のフェス会場を沸かせた。さらに年末には「COUNTDOWN JAPAN 15/16」にも初出演し話題となった。2016年、1月にタワーレコード限定シングル「Butterfly」をリリース。タワーレコードとタッグを組み、1~3月の3ヶ月連続でイベントを開催。4月には地元・札幌での自主企画イベント「CIRCLE OF US Fes 2016」の開催を発表した。

オフィシャルサイト http://noise-maker.net/