Interview

Helsinki Lambda Club いよいよ“セカンド”シーズン本格突入の新作で、彼らは独自のポップセンスに加え、何を意識したのか?

Helsinki Lambda Club いよいよ“セカンド”シーズン本格突入の新作で、彼らは独自のポップセンスに加え、何を意識したのか?

2014年の初めてのリリース以来、いろんな形で“バンド初の”と銘打ったリリースを続けてきた彼らは、その不思議なこだわりにも表れている通り一筋縄ではいかないポップセンスを果敢に展開して、耳の早い音楽ファンの注目を集めるようになってきたが、8月リリースのセカンド配信シングルに続く、今回のセカンドミニアルバムでいよいよ本格的に“セカンド”シーズンに突入。その新作『Tourist』では、例によってサウンド・バラエティーに富んだラインナップながら、全体としてバンドの個性がいよいよ明確になってきた印象だ。
ここでは、メンバー3人にその制作を振り返ってもらうとともに、このバンドの現在地を語ってもらった。

取材・文 / 兼田達矢 撮影 / 田中和彦

伝えたい部分をもっとピックアップして出しても良いのかなということは“ファースト”シーズンを経て思うことですね。

まず、このバンドが生まれたいきさつから聞かせてください。

橋本 学生時代に、このバンドの前身みたいなバンドを僕がやっていたんですけど、メンバーがガラッと入れ替わるタイミングがあって、こんなに変わるんだったら、新しいメンバーには自分のバンドという意識を持って欲しいなと思ったので、改名して新しいバンドに作り直そうと思って始めたバンドです。

その時点では、どんなバンドにしたいと考えていたんですか。

橋本 前のバンドはみょうちくりんな日本語で歌って、昔のアングラ感が出てる感じだったんですけど、“ヒミズ”というバンド名に引っ張られ過ぎて、ちょっといなたい音に向かい過ぎてたなという気がしてたんです。だから、名前に引っ張られなさそうなバンド名にしようと思ってたのと、且つもっと開けた感じの音楽をやりたいなと思って再スタートした感じでした。

このバンド名は、どういうふうに決めたんですか。

橋本 まず「〜クラブ」にしたいよねという話があって、それで“ラマダン・クラブ”、つまり断食部というのはあまりないよねって話で。でも、そこに何かもう一つ言葉を足したいという話になった時に、ラマダンというのはイスラムの習慣だから、足すならイスラムとは全く関係ないのが良いということで、それで語感的に“ヘルシンキ”を足したっていう。そういうノリでつけたような名前です。ただ、無国籍感というか、枠にはまらない感じの名前にしたいという気持ちはありましたが、CDデビューのタイミングでラマダンからラムダに改名しました。

橋本薫(Vo、Gt)

ここまで話をまとめると、ジャンルとか既成の枠組みにははまらない感じで、でも開けた感じの音楽をやるバンドにしたいな、ということになりますか。

橋本 そうですね。ただ、そうしようとし過ぎた結果、どう捉えて良いのかわからな過ぎるということになったところがあるとは思うんですけど(笑)。

(笑)、その活動を振り返ると、これまではとにかく“ファースト”にこだわってきて、8月の配信シングルが初めて“セカンド”配信シングルという言い方で、いよいよ“セカンド”シーズンに入りました。今回の作品の話を聞く前に、“ファースト”シーズンの総括について聞かせてください。

橋本 現実的な話で言うと、あまりにも商売を知らなさ過ぎたな、と言うか(笑)。本当に自分たちがやりたいことをその都度やれたので後悔は全くないんですけど、それにしても今の時代は何か捉えどころというか、フックになる部分が見え方として無いと、聴いてもらうという段階にも至らないんだなということを肌で感じるところはあって。だから、伝えたい部分というか抽出すべき部分をもっとピックアップして出しても良いのかなということは“ファースト”シーズンを経て思うことですね。

「伝えたい部分というか抽出すべき部分をもっとピックアップして出しても良いのかな」ということは、今回の新曲を作り始める時には意識していましたか。

橋本 いや、そんなに落としどころとか狙いどころを強く意識していたわけではなくて、ただ“ファースト”シーズンを経て、何をやっても僕ららしくなるなという感覚はあったんです。それに、楽曲がより伝わる形というか、その楽曲自体が求めている形に落とし込むことが伝わりやすい形になるとも思ったから、自分たちのエゴを反映させた音作りとか、そういうことではなくて、楽曲自体が求めている形になるように削ぎ落としていくということは意識していたように思います。

ベタなことも今回はやるべきところではやったほうがいいなと思って。

今回の作品を制作するにあたって考えたこと、あるいはみんなで話し合ったことは何かありますか。

橋本 まず「そろそろ“セカンド”シーズンじゃないかな」みたいなことは話してたんですけど…、僕のなかの構想として“次の作品はミニアルバムくらいのサイズ感で、今回表現しているような世界観が出せたら良いな”という、ざっくりとしたイメージはありました。

その「ざっくりとしたイメージ」というのは?

橋本 それがしっかり固まったのは、今回の制作が本当に最後のところまで進んで『Tourist』というタイトルをつけるくらいのタイミングだったんですけど、「引っ越し」という曲を作ったあたりから、自分の言いたいことというか、見せたい景色みたいなものがぼんやり見えてきて。だから、「引っ越し」という曲は結構キーになってて、あの曲の世界にそぐうようなものを作りたいなという気持ちは今年のアタマくらいからありました。

熊谷さんは、今回の制作を振り返って印象に残っている場面や曲はありますか。

熊谷 このなかでは、やっぱり「引っ越し」という曲がいちばん時間がかかったんですけど、去年12月にライブで1回だけやって、そこから今回の形に至るまで構成やアレンジを何度も練り直して、それだけにかなり思い入れがある曲ですね。

熊谷太起(Gt)

橋本 この曲もそうですけど、今回の制作を通してメンバー間のすり合わせというところで苦労したのは、アレンジをかっこよくしたいという気持ちと「ここはアレンジとかシンプルで良くて、歌をもっと立たせるところだ」みたいなことをどう折り合いをつけるかということで、それはより伝えたいことを意識していたせいでもあるんですけど、だから僕としては歌をより立たせようということを言う場面がけっこうあったんです。

それは、楽曲をより歌モノ感を押し出した作りにしたいという意識だったんでしょうか。

橋本 楽曲全体をどうこうというよりは、ひとつの曲の流れのなかで「ここは言葉遊びです」というところや「雰囲気を感じてくれれば良い」というところもあるけど、「ここは言葉の意味をちゃんと聴かせるべきだろう」というポイントがあるので、そういうところを見落とさないようにするということですね。全体のかっこよさということにあまり捕らわれずに、場合によってはベタに聞こえたとしても、ベタと言われることはみんなが気持ちいいと感じるからそういうことになったわけで、だからベタなことも今回はやるべきところではやったほうがいいなと思って。だから、今回苦労したところという話で言えば、ベタをやるか、やらないかというところで話し合うことが多かったですね。

熊谷 今回は、ベタを入れることでより際立つところもあるというのも学びもすごくありました。

1 2 >