『機動戦士ガンダムNT』公開記念特集  vol. 3

Interview

「やはり声優なら一度はガンダムに乗ってみたい」─『機動戦士ガンダムNT』主人公という大役に挑んだ榎木淳弥、その喜びと決意

「やはり声優なら一度はガンダムに乗ってみたい」─『機動戦士ガンダムNT』主人公という大役に挑んだ榎木淳弥、その喜びと決意

2018年11月30日よりいよいよ劇場公開される『機動戦士ガンダムNT(ナラティブ)』。本作は『機動戦士ガンダムUC(ユニコーン)』のその先を描いた物語で、2年前に消息不明となっていた、RX-0 ユニコーンガンダム3号機“金色の不死鳥”フェネクスを追い求めるストーリーとなる。本作の主人公ヨナ・バシュタ役を演じた榎木淳弥に、作品について話を聞いた。

取材・文・撮影 / 塚越淳一


きっと自分の代表作になる作品だと思ったので、これまで培ってきたものをすべてぶつけた

『ガンダム』シリーズに対するイメージや思い出はどんなものがありますか?

榎木淳弥 兄といっしょに『ガンダム』のゲームをよくやっていて、例えば「ジージェネレーション」とかですね。そこでストーリーやキャラクター、ガンダムの種類を知っていきました。リアルタイムで初めて作品を観たのは『機動戦士ガンダムSEED』なのですが、兄の影響で観ていたのは『機動新世紀ガンダムX』とか『新機動戦記ガンダムW』あたりです。わりと宇宙世紀ではない作品が多くて、しかも僕自身はまだ子供だったので、「ヒロインがかわいいから」という邪な理由で観る作品を決めていましたね。

リリーナ・ドーリアン(『新機動戦記ガンダムW』のヒロイン)はかわいいですからね(笑)。では、モビルスーツで好きなものというと?

榎木 ゲームでよく使っていたのはウイングガンダムで、単純に見た目がかっこいいという理由でした。

今回の『機動戦士ガンダムNT』は宇宙世紀サーガ最新作で、『機動戦士ガンダムUC』のその先を描く物語になりますね。

榎木 はい。なので事前に『機動戦士ガンダムUC』や『機動戦士ガンダム F91』、『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』などは観ていました。

『機動戦士ガンダムUC』を観て、いかがでしたか?

榎木 すごかったです。OVAシリーズとして期間限定でイベント上映もされていて。僕が観たのはTV版に再編集されたものなんですが、あのクオリティをあのボリュームで作るのは大変なことだなと思って、すごく感動しました。内容的にも人間の可能性を信じるというか。バナージ(・リンクス)自身はずっと人間を信じて、何があっても「それでも!」と挑んでいくキャラクターで、あまり負の方向には走らない主人公だったので、とても魅力的でしたね。

バナージは内山昂輝さんが演じていました。

榎木 内山さんの演技は僕も大好きで、本当に素晴らしかったです。この作品のキャラクターはみんな、形のきれいさだけではなく胸に訴えかけてくるお芝居をしているんですよね。人間臭さみたいなものがすごくあって、そこに共感もできる。物語に没入できるお芝居だったので、観ていて感動しました。

では、榎木さんが『機動戦士ガンダムNT』の主演に決まったときの気持ちを教えてください。

榎木 まさか自分が『ガンダム』シリーズの主役をやらせていただくことになるとは思ってもいなかったので、本当にうれしかったです。きっと僕の代表作になる作品だと思ったので、自分がこれまで培ってきたものをすべてぶつけられるように頑張ろうと。

自分自身に対する憤りが原動力になることもあるので、そういう点ではヨナと共通してるかも

“『ガンダム』に乗れる”ってすごいことですよね?

榎木 やはり声優ならば一度はガンダムに乗ってみたいですよね。だから受かったときは「やばい!」って思いましたよ(笑)。昔、冗談で「『ガンダム』の主役をやりたいなぁ」と友達と話していたんです。でもまさか本当に乗れるとは思っていなかったので、「決まっちゃった……」みたいな。あまり実感がない感じでした。

実は、アフレコが始まる前に脚本の福井晴敏さんとお会いする機会があって、そのときにオーディションでヨナ役に選んでくださった理由を教えてもらったんです。福井さんには「青年と少年の間というか。どちらにも聞こえるような声だったので決めさせてもらいました」と言っていただいて。自分の声はそんなふうに聞こえるのかと驚きましたが、ここから役の幅も広げていけたらいいなと思いました。なかなか自分のことを客観的に見ることって難しいので、新鮮でしたね。

『機動戦士ガンダムNT』の物語の印象を教えてください。

榎木 『ガンダムNT』は個人個人の思いが絡まりあって争いが起こったり、物語が作られているような。大きな戦争というよりは、一人ひとりが何かを追い求めていく戦いなのかなという印象を受けました。

自身が演じるヨナの印象は?

榎木 パッとキャラクターの顔を見たときは、真面目で誠実そうな青年に見えるんですが、幼少期に体験した出来事で、自分に対しての怒りや後悔とか、もちろん周りに対しての怒りもずっと抱いていて、その感情を25歳になった今も新鮮に持ち続けているんですよね。でも、僕も自分自身に対する憤りだったりが原動力になったりもするので、そういう点では共感できますね。

ヨナはあまり口数が多いタイプではないので、感情を息ひとつで表せるように心がけた

アフレコでは、どんなことを意識して演じていましたか?

榎木 ヨナはあまり口数が多いタイプではないので、息のアドリブだったりが、情報量としてすごく大切になってくるんです。ヨナの感情を息ひとつで表せるようにとは心がけています。一つひとつのアドリブに意味をもたせるというか。戦闘シーンではな叫ぶセリフも多くなっていくので物理的に大変だとは思うんですが、心からの叫びというのを出していきたいです。生身の人間が、ちゃんと叫んでいるようにしたいなと思っています。

疲弊する覚悟で?

榎木 ボロボロになるつもりでやらないと、観ているお客さんには伝わらないと思うので、そういう気持ちだけは持って演じようと思っています。

叫ぶ以外で、戦闘しているときのパイロットとしての工夫もあるのですか?

榎木 ヨナはそれほど優秀なパイロットではないというか、ナラティブガンダムを乗りこなせるほどの能力をまだ持っていないキャラクターなので、機体の性能に振り回されている感じというか。G(重力)のかかり方とかで、かなり苦しそうに演じるというのは意識していますね。結構、ボロボロになりながら(ユニコーンガンダム3号機)フェネクスを追いかけていく姿が描かれていく感じになっていると思います。その先に何も残っていないかもしれないけど、それでも行くんだ!みたいな。

ちなみに『ガンダム』シリーズっぽいアフレコの雰囲気ってあるのでしょうか? 例えばちょっとピリッとした緊張感があるとか。

榎木 僕がそういうのが苦手なタイプなので。わりと皆さんとお話しさせていただきながらやっているので、僕としては和やかな現場だなと思っています。画面ではコロニー落としとか悲惨なところがあるんですけどね。リタ・ベルナル役の松浦愛弓さんはまだ学生なので、学校生活のお話を聞いたり。あと僕とミシェル・ルオ役の村中 知さんは絡みが多いので、シナリオの感想やセリフの解釈をすり合わせてたりしていますね。

村中さんとの解釈の話のところでは、福井さんに聞いたりはしないのですか?

榎木 もちろん、本当にわからないときは質問するんですが、僕らなりにヨナやミシェルの気持ちに沿って読解していったほうが、あらたな発見があるお芝居ができるのかなと思っているんです。だから自分たちが想像できる範囲では、ちゃんとすり合わせていきたいですね。

シナリオを読んだ段階で、「これは面白い作品になる!」と

ここまで話した以外で、作品の見どころというと?

榎木 梅原(裕一郎)くんが演じているゾルタン・アッカネンが面白いキャラクターなんです。シャアの再来と言われていて、『ガンダムUC』のフル・フロンタルとはまったく別方向の敵キャラクターというか。みんな好きになるんじゃないかなって思うくらい、結構おいしいキャラなんですよね(笑)。だから僕としても食われないように頑張りたいと思います。

では最後に、楽しみにしているファンにメッセージをお願いします。

榎木 サンライズの皆さんがかなり力をいれてくださっていて、小形(尚弘)プロデューサーも「来年公開にしたい」と漏らしていたくらい、全力で作っていました。戦闘シーンは見応えがありますし、人間ドラマも重厚に作られているので、大人から子供まで、それこそ『ガンダム』をあまり知らない人でも楽しめる内容になっていると思います。僕自身、シナリオを読んだ段階で「これは面白い作品になる!」と思いましたので、ぜひ劇場に観に来ていただけるとうれしいです。よろしくお願いします。

フォトギャラリー

『機動戦士ガンダムNT(ナラティブ)』

2018年11月30日(金)全国劇場ロードショー

【スタッフ】
企画・制作:サンライズ
原作:矢立 肇、富野由悠季
監督:吉沢俊一
脚本:福井晴敏
メインキャラクター原案:高橋久美子
キャラクターデザイン:金世俊
メカニカルデザイン:カトキハジメ、小松英司
色彩設計:すずきたかこ
CGディレクター:藤江智洋
ディスプレイデザイン:佐山善則
美術監督:丸山由紀子、峯田佳実
特殊効果ディレクター:谷口久美子
撮影監督:脇 顯太朗
編集:今井大介
音響監督:木村絵理子
音楽:澤野弘之

【キャスト】
ヨナ・バシュタ:榎木淳弥
ミシェル・ルオ:村中 知
リタ・ベルナル:松浦愛弓
ゾルタン・アッカネン:梅原裕一郎
ミネバ・ラオ・ザビ:藤村 歩
ブリック・テクラート:古川 慎
マーサ・ビスト・カーバイン:塩田朋子
モナハン・バハロ:てらそままさき
イアゴ・ハーカナ:中井和哉
アバーエフ:山路和弘
フランソン:星野貴紀
アマージャ:佐藤せつじ
タマン:駒田 航
デラオ:荒井勇樹
パベル:島田岳洋
マウリ:玉野井直樹
ヨナ(8歳):中村文徳
ミシェル(8歳):横溝菜帆

主題歌
「narrative」歌:SawanoHiroyuki[nZk]:LiSA
劇伴テーマ
「Vigilante」歌:澤野弘之(Vocal:mpi&Gemie)

©創通・サンライズ

『機動戦士ガンダムNT』オフィシャルサイト

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