Interview

Twitterフォロワー120万人超、アニメ『ゴブリンスレイヤー』の世界観に寄り添う歌声…絶大な支持を受け、そらるが今思うこと

Twitterフォロワー120万人超、アニメ『ゴブリンスレイヤー』の世界観に寄り添う歌声…絶大な支持を受け、そらるが今思うこと

投稿動画サイトの“歌ってみた”で活動をスタートさせ、今年で10周年。いまや日本の音楽シーンを代表する存在となった“そらる”からニューシングル「銀の祈誓」が届けられた。TVアニメ『ゴブリンスレイヤー』EDテーマとして制作されたこの曲は、そらるの作詞・作曲によるヘビィ・ロック・チューン。本作のシングルの制作を軸にしながら、歌い手、クリエイターとしてのスタンス、10周年を迎えた心境などを語ってもらった。

取材・文 / 森 朋之


歌うことに合わせ過ぎず、いい曲を作って、それを頑張って歌う

まずはニューシングル「銀の祈誓」について聞かせてください。TVアニメ『ゴブリンスレイヤー』EDテーマとしてオンエアされていますが、どんなスタンスで制作されたのでしょうか?

そらる アニメの制作チームの意向を汲み取りながら作っていったのですが、やはり自分が歌う意味も必要ですからね。作品の世界観やストーリーに沿いつつも、自分の楽曲として成立させるにはどうしたらいいか、いろいろ考えながら制作していました。主人公のゴブリンスレイヤーは寡黙で、自分のことを語らないんですね。小説でもアニメでもそういう描かれ方なんですが、“ゴブリンを殺す”という決意に至る動機があって、それは彼の内面に渦巻いていると思っていて。歌詞を書くときも、そのことは意識していましたね。

作詞・作曲はどんなスタイルで?

そらる まずギターと歌で土台を作って、手直しを重ねながら形にしていきます。最初に考えていたメロディも変わっていくし、何パターンか考えて、いちばん良いものを選ぶこともあって。「いい曲ができた」と思っても、歌ってみるとすごく難しいこともありますね。音域は自分のそれに合わせていますが、「銀の祈誓」も男性が歌うにはかなり高いキーなので。「歌っていて気持ちいい」とか「ここを聴かせたい」という部分はありますが、歌うことに合わせ過ぎず、いい曲を作って、それを頑張って歌うという感じですね。

アニメのエンディングとして流れるので、「テレビではどう聴こえるか?」ということも意識して

なるほど。シングル2曲目の「ゆきどけ」は、切ない別れのシーンを描いたロックバラードです。

そらる 11月末にリリースされるシングルなので、冬をテーマにした曲にしようと。別れることが決まっている男女を描きたかったんですよね。雪が降り積もっても、3月、4月までには必ず消えてなくなる。そういう儚い美しさ、尊さをふたりの別れとリンクさせて。雪に包まれた世界と真っ白な病室が最初の着想でした。その前に「ロックバラードを作ろう」と思ったんですけどね。ロックバラードはもともと好きだし、よく歌ってきたジャンルでもあって。自分の好きな曲を作った、ということですね。

3曲目には「嘘つき魔女と灰色の虹」の“acoustic ver.”を収録。編曲はMr.Children、Superflyなどのサポートでも知られるSunnyさんです。

そらる 実際にお会いする機会をいただいて、どういう形にリアレンジするかを相談しながら制作しました。原曲はギターがメインなんですが、今回はピアノを中心にして、やわらかい雰囲気のアレンジにしたくて。これも空想の世界を描いた曲なので、ファンジーの要素、非現実感も残しつつ、アコースティック・バージョンとして再構築した感じですね。原曲にはギターソロがあって、そこでテンポチェンジするんですよ。その感じは残してほしいとお願いしたら、ジャジーなピアノのソロに置き換えてくれて。自分の想像とはかなり違ったのですが、「こういう聴かせ方もあるのか」と思いましたね。

ミックスもそらるさん自身が手がけているとか。

そらる はい。「銀の祈誓」に関しては、アニメのエンディングとして流れるので、「テレビではどう聴こえるか?」ということも意識して。テレビのバージョンとCDではミックスが少し違うんですよ。

自分で機材を揃えるのも大変じゃないですか? 最新のプラグインなども必要だろうし。

そらる ただ、新しいものが良いとは限らないですからね。以前のバージョンのほうが使い勝手がいいということもあるし、音源として優れていても、楽曲に合わないこともあるので。例えば生でピアノを録ったとしても、ほかの音とのバランスのなかで、主張が強すぎることもあると思うんですよ。いちばん聴かせたいところを明確にしたうえで差し引くことが大事ですからね、ミックスは。

過去の自分の曲に学ばされることもけっこうあります。「こういう気持ち、しばらく忘れてたな」とか

そらるさんは今年で活動10周年。2008年に歌い手として活動をスタートさせたわけですが、この10年間の音楽性の変化についてはどう感じていますか?

そらる そうですね……。まず、この10年の間に自分が聴いてきて、触れてきた音楽にはかなり影響されていると思います。ボーカロイドの楽曲もそうだし。いい意味で整えられていない楽曲も多いんですが、それが魅力だなと思うんですよね。粗削りだけど、そのなかに作り手の思いがそのまま出ていたり。それが面白いなと感じることが多いですね。

そらるさん自身も投稿動画サイト出身ですが、いまも刺激的なシーンなんですね。

そらる そうですね。同じ楽曲であっても、自分の立場や年齢によって、聴き方が変わってくることがあるんですよ。今まで自分が投稿してきた曲もそうで、改めて聴き直してみると、そのときの感情を思い出すんです。「ヘタクソだな」と感じるところもあるけど、「ここはいいな」という部分もあって。過去の自分の曲に学ばされることもけっこうありますね。テクニックというよりも、精神的なところですが。「こういう気持ち、しばらく忘れてたな」とか。

ここ数年は作詞・作曲も手がけ、クリエイターとしても活躍されています。そのことは歌い手のとしてのスタンスに影響を与えていますか?

そらる それよりも、今まで歌ってきたことが活かされていると感じることのほうが多いですね。オリジナル曲を作っていると、メロディを何度も作り直したり、アレンジによって、最初に思い描いたものとは違う雰囲気になることもあるんです。そういうときも(ボーカリストとして)すぐに対応できるのは、何百曲も歌って、投稿してきた経験が活きているのかなと。アルバムの制作、ライブもそうですが、今までの積み重ねに助けられていると感じることは多いです。そうしようと思っていたわけではなく、結果としてそうなったいうことですけどね。重要なのは歌なんですよね、やっぱり。

「やめようと思えばやめられる」という意識が大事

来年春の10周年記念ツアーには、幕張メッセ2days公演も含まれています。ライブの規模が拡大していることについてはどう感じていますか?

そらる ライブに対する意識はあまり変わらないですね。幕張メッセと聞くと「すごいな」と思いますが、だからといって緊張が増すわけでもないので。大きい会場だとやれることも多くなるので、それはいいことだと思います。演出、ステージセットなども自分で考えることが多いので。

セルフプロデュースが基本なんですね。

そらる そうですね。任せることもできると思うし、すべてのことをひとりで決めているわけではないですが、軸になる部分は自分で考えていないと。ぜんぜん想像していない結果になって、後悔を残したくないですからね。

そらるさんが音楽に向き合い続けるモチベーションはどこにあるんですか?

そらる モチベーションか……。投稿もライブもそうですけど、やっぱり自分の歌を聴いてほしいということかな。あとは、楽しいからやってるということだと思います。楽しくなくなったら、やめると思うので。

楽しさをキープするのが重要。

そらる そのためには「やめようと思えばやめられる」という意識が大事なんですよね。やらされていたり、やらなくちゃいけないと思ったら、どうしても魅力は薄れてしまうので。ニコニコ動画に投稿している人たちは、誰にやらされているわけではなく、楽しいからやってるだけですからね。

関連リンク

そらる オフィシャルサイト
そらる Twitter
そらる YouTubeチャンネル
そらる ニコニコ動画公式ページ