Interview

Maison book girl “夢”をコンセプトに構築したアルバム。聴き手の想像で広がる世界観もブクガならでは。手応えを訊く。

Maison book girl “夢”をコンセプトに構築したアルバム。聴き手の想像で広がる世界観もブクガならでは。手応えを訊く。

現代音楽家のサクライケンタがプロデュースする4人組の変拍子ポップユニット、Maison book girl(通称:ブクガ)がニューアルバム『yume』をリリースした。
メジャー2nd、通算3枚目となるアルバムのコンセプトは、タイトル通り“夢”。歌もの9曲に恒例のポエトリーリーティング、さらに、睡眠時の脳活動を調べるfMRI装置や心電図、足音や扉を開く音などのSEやインストを加えた全21曲が収録されており、全編を通して聴くと、一人の女の子が見ている夢の映像を見ているような、不思議な錯覚に陥る内容となっている。さらに、何度も聴いているうちに、目の前の現実の輪郭がぼんやりとしていき、もしかしたらブクガ自体が夢なのかもしれないとさえ感じたりもする。それでいて、ある旋律と律動に訳も分からず涙を誘われたりもする。そんな混乱した頭のままで、寝ているときに見る「夢」の話から始めた。

取材・文 / 永堀アツオ 撮影 / 荻原大志

ここまでコンセプトの輪郭がはっきりした作品はあんまりなかったので、また新しいものができたなっていう感じです(コショージ)

最近、見た夢を教えてください。

井上 私、この間、忘れられない夢があって。現実で初めて家にGが出て。一晩中戦って、泣きながら倒したんですけど、それのトラウマでGが出る夢を見て。家のあらゆるスプレーを使っても死なないっていう悪夢を見ました。

コショージ 私は普段、あんまり嫌な夢を見ないんですけど、この前、初めてくらいに嫌な夢を見て。目に違和感があって、これなんだろうと思って鏡を見たら、寄生虫がいて。うわって思って、取り出そうと思ったら口の方に回られて、口からベッって出したんですそしたら、ウーパールーパーのでかいやつみたいなトカゲが出てきて。うわ、気持ち悪いって思って。そのあと、場面が変わって、友達っていう設定の家で犬と遊んでて。コロッケみたいな小さな犬なんですけど、めっちゃ可愛がってたら、ベランダの方行っちゃって、そのまま落ちちゃって、地面にベシャってなって。血が飛び散ってるっていう夢を立て続けに見ました。あんまりそういう夢を見ないので気持ち悪かったなって思って覚えてます。

和田 今までで一番嫌だった夢が……。

ちょっと! なんでみんな嫌な夢なの!?

和田 あはははは。インパクトに残ってるのって嫌な夢じゃないですか。単位を落としそうだったときに大学の助手さんが家にピンポーンってきて、部屋に入ってくるんですけど、金縛りにあっていて、後ろが向けなくて、どこにいるのかわからないっていう種類の夢をよく見ます。

井上 悪夢だね。

和田 お母さんっぽい人が後ろにいるんだけど、振り向けない夢とか。

コショージ 怖い。

和田 金縛りにめっちゃあうですね、私。あと、金縛りだと思ってるんだけど、家具の配置が違うから夢だってわかる夢とか。

矢川 いい夢って、いい夢見たなっていう感覚はあるけど、なんだかは思い出せないっていうことがよくありますよね。私はこの間、小さい蛇が部屋にいっぱい入ってきて、それを違う部屋によいしょってやるっていう夢を見ました。

コショージ 嫌じゃなかったの?

矢川 嫌ではなかった。ただ、邪魔だな〜って思って。違う部屋に隔離してた。

和田 蛇っていい夢ぽいよね。

金運が上昇する暗示だって言いますよね。こんな話から始めたのは、ニューアルバム『yume』が、夢をテーマにしたコンセプチュアルな作品になってるからなんですが。

和田 今までもアルバムやシングルのタイトルと曲名は違ってましたけど、今回はよりより1つの作品としてっていうのが強くなってるのかなと思いました。

コショージ そうだね。ここまでコンセプトの輪郭がはっきりした作品はあんまりなかったので、また新しいものができたなっていう感じです。

井上 いままでと違ったチャレンジもしているけど、ちゃんとブクガの1枚になってて。私は新曲も全部好きだし、これからライブでやるのが楽しみだなって思いました。

矢川 今までのアルバムも好きだったんですけど、今回、特に好きな曲しかないっていうくらい大好きな1枚になったなと思ってて。早くいろんな人に聴かせたいなと思います。

「全部好き」「好きな曲しかない」とありましたが、その中でも特に好きな曲を1曲ずつあげてもらえますか。

井上 私は「狭い物語」がお気に入りです。今までと曲の構成が変わっていて、最後に葵ちゃんのソロがあるんですけど、すごい熱を感じていて。

矢川 落ちサビで初めてソロをいただいて。曲が難しくて、レコーディングも苦戦したんですけど、せっかくもらったパートなんで、ライブで歌うときは「全員そのパートで泣いてくれ!」っていうくらいの気持ちでやろうと気合いが入ってます。

和田 この曲、振り付けがフリーの部分があって。その時その時で好きなことしていいよっていう時間があって。まさにエモいと言いますか、感情的な部分を表に出しやすい曲なのかなって思います。

コショージ この曲をデモで自分たちの歌で聴いてて。振り付けが思い浮かんでくるような感じだったので。耳で聴くだけでも想像できるストーリーがあるなって感じました。結局は、全部、同じ夢みたいなことだと思います。

夢の研究をしている大学の先生にお話を聞いて、そこでいただいたデータが使われていて(和田)

全部、ベッドで寝てる時に見てる夢なんですかね。和田さんは?

和田 私は「夢」が好きです。夢の研究をしている大学の先生にお話を聞いて、そこでいただいたデータが使われていて。前に「言選り」の歌詞でAIを使ったことはあったんですけど、音に何か他のデータを取り入れるのは初めてだったので、すごい面白いなと思いました。

これもヴォーカルがエモくて泣けるんですよね。

和田 1曲の中での起承転結というか、差が大きい曲ですね。聴いてて飽きないというか。サビが4拍子の曲が多いんですけど、サビで初めて変拍子になるのがすごい面白いなと思っていて。

コショージ 一番最後にレコーディングした曲なので、これでこのアルバムが出来上がるんだなっていうのを思ったのを覚えてますね。初めてみんなの声が入ったのを聴いたときに、サビでいきなり、今まであった重力がなくなる感覚があって。サビで全てが放れていく、浮いていく、離れていくみたいなイメージがあって。不思議だけどいい曲だなって思いました。

和田 4拍子から3拍子で畳み掛けていって、サビの一番気持ちよくなると思われたところで、めちゃめちゃ気持ち悪い変拍子になるので、それが逆に気持ちいいみたいになってる。

井上 変な雰囲気って私も思いました。ふわふわしてるけど強いっていう今までにない感覚で、まさに『yume』の曲って感じです。

矢川 なんでかはわからないですけど、メロディが私の心にくるメロディで。歌詞読んでるだけでも、グッとくるんですよね。ライブで泣かずにできるかなっていう。

コショージ 私は自分で歌ってる時は大丈夫なんだけど、聴いてる時がやばいんだよな。

井上 そういう波が出てるのかな。

あはははは。泣ける波動のようなものが出てる気がします。矢川さんは?

矢川 全部好きなんで、「影の電車」にします。漫画のアプリのCMの曲になって。分かりづらさもブクガの良さではあるけれども、もっとアニメや漫画のタイアップも歌っていけるんじゃないかって思えた曲です。

和田 今までの中でもかなり強い歌い方をしたと思うんですけど、ブクガの曲でこんな歌い方をするようになったんだな〜っていう感じでした。

コショージ レコーディングの時に、Bメロのパートで、1回、とりあえず歌おうかみたいなやつで歌ったやつがそのまま使われたんですよ。その時、いつも歌ってる感じじゃない声が出て。それを「僕、これにします」って言われたので、こういうのを求めてるんだなって思ったっていう思い出がある曲ですね。

井上 私はファルセットに苦労したのを覚えてます。でも、できたらいい感じの4人の声になってて。この曲もアルバムにも合ってるなって思ってます

コショージさん のオススメは?

コショージ 「おかえりさよなら」ですかね。ブクガの中で唯一無二な感じの曲ですね。ライブでやるにしろ、メンバーの声が前に来てて。それがアルバムの歌ものの最後に来てるから。このアルバムを締めくくるというか。ライブでも最後にやることが多いので、ライブ感もこのアルバムに込めてあるなって。

和田 本当にライブの一番最後になることが多くて。散々、歌って踊った後に、音数も少なくて、フリも静かなので、ライブの時は試されているなって感じです。もうちょっと体力がついたら、歌い出しから、息切れせずに歌えるのかな、とか思ったりします。

井上 いい歌ですよね。今までの他の曲とはちょっと違う毛色だけど、ブクガっぽい最後の歌みたいな。

矢川 この曲を最初に披露したのはキネマ倶楽部の時で、その時はまだフリがついてなくて。最後のサビでメンバー4人で手を振ったら、お客さんも手を振ってくれて。その光景がずっと残っていて。次のワンマンでもみんなに手を振って欲しいなと思います。あの光景をもう1回見たいなって思います。

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