モリコメンド 一本釣り  vol. 94

Column

dps 言葉を叩き込むようなボーカルが響き渡る、関西発の4人組・本格派ロックバンド。

dps 言葉を叩き込むようなボーカルが響き渡る、関西発の4人組・本格派ロックバンド。

超絶テクニックに貫かれたサウンド、幅広いリスナーにアピールするポップネス、そして、ロックバンドとしての華を感じさせる存在感。ブレイクの予感しかしない、期待のニューカマーが登場した。関西発の4人組“dps”。シングル「タイムライン」(アニメ「名探偵コナン」オープニングテーマ)でメジャーデビューを果たした本格派ロックバンドだ。

ソロギタリストとして数多くのセッションに参加していた森丘直樹(G)、いくつかのバンドで活動していた安井剛志(Ba)、バンド活動と並行して作曲家としてもキャリアを積んできた川村篤史(Dr)——この3人は「d-project with ZARD」(ゲストボーカル:大黒摩季) のレコーディング にも参加している——そして、ボーカルコンテストをきっかけに音楽の道を歩み出した現役大学生の木村涼介(V)が加わり結成されたdps。まずはメンバー4人の音楽的な背景を紹介しよう。

小学校のときからBLANKEY JET CITYを聴いていたという筋金入りのロックキッズだった川村は、ヘビィロック、ヒップホップなどを融合したミクスチャーロックに影響を受け、自らトラックメイクも手がけるようになった。dpsでは凄腕のドラマーとしてはもちろん、メインの作曲家としての才能を発揮している。

ロック・マニアの父親の影響を受け、幼少期からLed Zeppelin、Deep Purple、KISSなどを自然と耳にしていたという森丘は、中学生の頃にヘビィメタルに傾向、同時にギターを弾き始める。投稿動画サイトに自身のギタープレイをアップし、徐々に注目を集めた彼は、音楽専門学校を経てソロギタリストとして活躍。本格的なバンド活動は、dpsが初めてとなる。

高校生の頃にギターをはじめ、ハードロック、ヘビィメタルを中心に練習していた安井は、音楽専門学校でローディとしての知識を吸収。ライブハウスでアルバイトをしているときにオーディションに参加し、dpsのメンバーと出会った。多くのアーティスト、バンドの制作に関わるなか、ベーシストに転向。dpsでもベースを担当している。

現役大学生の木村は、高校の頃からボーカルレッスンに通い、デビューのチャンスを探っていたという。dps参加のきっかけは、大学のオープンキャンパスで開催されていたボーカルコンテストで入賞したこと。現在の事務所と育成契約を結び、現在のメンバーと出会ったという。 

dpsの本格始動は2017年。TOWER RECORDS関西3店舗限定でリリースされた1st EP「Begins with Em」(2017年11月)、2nd EP「いっそ全部 ぶっ壊して、真っ逆さまに 落ちていって」(2018年2月)はインディーズデイリーチャート 全店1位を記録。さらに2018年6月には3枚目となるEP「オレンジみたいな昼下がり」をリリースし、並行してライブ活動も活性化させてきた。メンバーが着実に音楽的なスキルを積み重ねてきたとはいえ、バンドとしての一体感を獲得するためには相当な試行錯誤が必要だったはず。4人がそれぞれの音、歌、意志をぶつけ合い、融合させることで、バンドとしてのアイデンティテクを生み出す——その真っ当なプロセスの最初の到達点とも言えるのが、メジャーデビューシングル「タイムライン」だ。

作詞:安井剛志、作曲:川村篤史、編曲:森丘直樹による「タイムライン」は、切れ味の鋭いギターリフ、濃密なグルーヴを備えたリズムセクションのなかで、(まるで70年代のフォークソングのように)言葉を叩き込むようなボーカルが響き渡るロックチューン。ダイナミックな解放感へと導くサビのメロディを含め、幅広いファクターを融合させたdps流のミクスチャー感が堪能できるナンバーに仕上がっている。

“タイムラインなんか眺めて歩き続けたって/目の前のことでさえ 確かに見落としてる”というサビの歌詞も印象的。「名探偵コナン」の世界観とリンクしつつ、リスナーの日常に深く突き刺さるリリックからは、作詞家としての安井のセンスの良さがはっきりと伝わってくる。激しさと叙情性を兼ね備えた歌、速弾きのギターフレーズなど、メンバーの個性がしっかり込められているのも、この曲の魅力だろう。

カップリング曲の「さよなら愛しい日々よ」はオーセンティックなハードロック、ヘビィメタルの要素を色濃く反映させたアッパーチューン。メンバー自身のルーツを叩きつけるようなサウンドは、コアなロックファンにもしっかりアピールしそうだ。

森丘とマーティ・フリードマンがテレビアニメ「名探偵コナン」のメインテーマをセッションする映像も話題(森丘が楽器屋で「名探偵コナン」のメインテーマを弾く映像をバンドのTwitterアカウントで公開したところ、大きな反響が寄せられ、“ほかのギタリストと共演できたらおもしろいかも”という話から、この貴重なセッションが実現したという)。高いテクニックに満ち溢れたバンドサウンド、誰もが楽しめる歌をナチュラルにつないだdpsの楽曲はここから、幅広い層のリスナーを虜にするだろう。

文 / 森朋之

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オフィシャルサイト
http://d-p-s.jp

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