Interview

高畑充希が語る、映画『植物図鑑』で演じた恋する気持ち

高畑充希が語る、映画『植物図鑑』で演じた恋する気持ち

高畑充希が語る、映画『植物図鑑』で演じた恋する気持ち

現在、NHKで好評放送中の連続テレビ小説「とと姉ちゃん」の、とと姉ちゃんこと高畑充希。昨年の読売演劇大賞では杉村春子賞を受賞し、テレビドラマに舞台にと躍進著しい彼女の待望の初主演映画、『植物図鑑 運命の恋、ひろいました』が公開される。
見ず知らずの男を拾ってしまったヒロインが、同居生活を通して強く深い恋に落ち、女性として、人間として成長していく物語。恋する気持ちを演じること、主演俳優として映画の軸を担うことを、語ってくれた。

同世代の女性として、主人公さやかをどのように捉えましたか?

耐え忍んでいる子、ですよね。私自身は楽観的な性格をしているので、特に前半の、理不尽な状況や職場に我慢しているさやかのようには……なれないなあ、と演じながら思っていました。だけど、だれかを好きになって、強くなって、変わっていく後半の彼女には、とても共感できました。

共演の岩田剛典さんとは、撮影中に役名の「樹」と「さやか」と、お互いに呼びあっていたそうですね。

この映画は、多くの場面が樹とさやかのやりとりで構成されているので、空気感を大切にしなければ……という思いは、さやか役をいただいた時から感じていました。岩田さんとは、どうやって距離を詰めていこうかな、と。最初は多分、互いに探りあっていましたね。だけど、いつの間にかナチュラルに役名で呼びあっていて、気づいたら、カメラが回っていないときも樹とさやかとして接するようになっていました。

それは、どのような感じでしたか?

自然体でいられました。主演の2人がギスギスしていたら、映画だってギスギスしてしまうだろうなあ、と思いましたし、その点では私たちの仲がいいことをスタッフさんも喜んでくださっていたので良かったです。共演者同士はあまり仲良くなりすぎない方がいい、という作品ももちろんあると思います。だけど今回の現場は、私と岩田さんの仲が良ければ良いほど現場の士気が上がるような感じで。そうすることで、映画全体のほんわかとした雰囲気が現場にまで浸透する……というような。完全に周囲の皆さんに助けてもらって、彼も私も、樹とさやかとして居られました。

演じることを通して、恋の感覚を体感した、ということでしょうか?

撮影中は本当の恋愛に近い感覚でした。さやかになって、樹を好きになっていました。

2人が一緒に料理をしている場面は、なんともいえず微笑ましくて、彼らの関係が、感情が、“料理”という作業から伝わってきました。

劇中で作った料理の中では、特にフキご飯がおいしかったです。簡単でおいしくて、素晴らしい! です。人とキッチンに立つ、っていいですよね。普通は、料理ってひとりでするものですけれど、だれかと共同で作業をする、ものを作るということは、楽しいものなんだなあ、と。演じながら思いました。

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恋愛を演じることは、楽しいですか?

楽しいですね。でも、楽しいのと同じくらい、しんどくて大変ですよね(笑)。 初めての恋愛映画を経験して、沢山消耗しました。

初の恋愛映画であると同時に、初の主演映画でもありますね。

そうですね。これまでに自分が出演してきた映画は、“参加させていただく”という感じでした。だけど本作は私と岩田さんが軸になっていて、しかも、ほとんど全ての場面にさやかが出ているという構成なので、“背負っている”という意識を絶えず感じていました。

主演俳優の責任感は重責でしたか?

自分の性格的に、あまり主演に向いているタイプではないと思っているんです。場の中心になって、みんなを引っ張っていくキャラではなくて、一歩引いて、それを眺めているというか、淡々としているというか。これまで舞台では主演経験がありましたが、映画となると、また別の話で。映画の主演をする、ということは、どんどん自分の背負う荷物が大きくなっていく感じでした。重くて、大変だけど、そのぶん得るものも大きくて。

しかも恋愛映画なので、観る人が主人公に感情移入できるかどうかは、大きいですね。

少し冷静な意見になってしまいますが、この映画を観にきてくださる方は、岩田さんのファンの方、つまり女性が圧倒的に多いだろうなあ、と思っていました。なので、その方たちに共感してもらえる、好きになってもらえるヒロイン像にしなければいけないと、そこは頭の隅っこにありました。女性のお客さんに、さやかを好きになってもらえたらな、と。それに、恋愛によって少しずつ気持ちが変わっていく人物を、一本の映画の中で演じるのは、とても楽しくて、やりがいのあることでした。

©2016「植物図鑑」製作委員会

©2016「植物図鑑」製作委員会

高畑さんご自身も、この一年間で環境が大変化したのではないでしょうか?

いろいろなことが変わってはきました。そのことに、まだ自分が追いついていない気がします。私は半年先のことも考えられないタイプで、がむしゃらに目の前の仕事を“わー!” と、ひたすらやってきて、気づいたらいまの場所にいた、というような。この映画を撮影していたのは、去年の六月中旬から七月末まででした。ちょうど同時期に舞台「靑い種子は太陽のなかにある」の稽古もしていて、すごく内容の濃い夏でした。それがずっと続いていて、今に至っている……そんな感じです。

映画の中の一年前の自分は、今の自分の目から見て、どのように映りましたか?

すごく……照れくさいですね。今こうして観ると、けっこう気恥ずかしいシーンもあって。だけど当時はまったく照れずに演じていました。たぶん自分だけでなく、岩田さんも。お互いに。

恋愛を演じるのに、照れてはおしまいですからね。

いかに照れないかが勝負だ! と思っていました。あの時の自分は完全にさやかだったので、「樹が大好き!」という感情に、その想いに突き動かされていて、照れる余裕もありませんでした。それが、こうして時間を置いて観てみると、照れくさくて……もう、さやかだった自分じゃないんだな、と実感しました。こうして公開を直前に控えて、映画が自分の手から離れていこうとしている今から振り返ると、一つの恋が終わったような気がしています。それでも、そんな恋愛の中の楽しかった思い出は自分の中に、ちゃんと残っている。そんな気づきを、本作に出演したことで得たように感じられます。

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取材・文 / 皆川ちか
撮影 / 田里弐裸衣
ヘアメイク:市岡愛(PEACE MONKEY)
スタイリスト:大石裕介(DerGLANZ)

映画『植物図鑑 運命の恋、ひろいました』

映画『植物図鑑 運命の恋、ひろいました』

『図書館戦争』など数多くの著作が映画化されるベストセラー作家・有川浩による恋愛小説が映画化。「EXILE」「三代目J Soul Brothers」のメンバーとして活躍する岩田剛典と、NHK連続テレビ小説『ごちそうさん』や映画『バンクーバーの朝日』の実力派若手女優・高畑充希が主演をつとめた。さえないOLのさやか(高畑充希)は、ある日、自宅マンションの前で倒れていた青年・樹(岩田剛典)と出会う。トントン拍子で、、半年間という期限付きで、樹はさやかの家で暮らすことになる。料理上手で野草に詳しい樹は、それまで知らなかった世界を教えてくれたりと、友達以上恋人未満な共同生活が始まる。いつも優しく支えてくれる樹に次第に惹かれていくさやかだったが……。

キャスト
岩田剛典(日下部樹)
高畑充希(河野さやか)
阿部丈二(竹沢陽平)
今井華(野上ユリエ)
谷澤恵里(香玉井千秋)
スタッフ
監督:三木康一郎
原作:有川浩
脚本:渡辺千穂

配給:松竹
(2016年、112分)
オフィシャルサイトhttp://shokubutsu.jp/

©2016「植物図鑑」製作委員会

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