Interview

間宮祥太朗「市村さんと工さんと俺に共通するのは“顔が濃い”ということ」

間宮祥太朗「市村さんと工さんと俺に共通するのは“顔が濃い”ということ」

もし好きな人に頭の中で考えていることを全部読まれちゃうとしたら――? 奇想天外な設定なのに、_SNS世代に妙なリアリティを響かせる話題のコミック『高台家の人々』が、綾瀬はるかと斎藤工の人気コンビによるラブコメとして実写映画化。綾瀬はるか演じるヒロイン木絵が恋する高台光正を演じた斎藤工さんと、その兄弟で高台家の次男・和正を演じた間宮祥太朗さんに、それぞれ映画『高台家の人々』の世界観と舞台裏について聞きました。

取材・文 / 鈴木沓子
撮影 / 江上嘉郁


和正役のオファーを受けた率直な感想は?

「ハードル高いなあ」と思いましたよ。だって「こんな美貌の人たち」って言われるシーンがあるんですよ! 漫画でも綺麗な顔に描かれているし、夢のようなキャラクターじゃないですか。その一員になるって、しかもお兄さん工さんで、お姉さん希子ちゃんで、その兄弟の美貌、俺にはないなあ……俺、品もないからなぁって(苦笑)。しかも、お父さんお母さんには、めちゃめちゃ華があるし、俺、大丈夫かなと思いましたね。でもよくよく考えてみたら、(父役の)市村さんと(兄役の斎藤)工さんと俺に共通するのは「顔が濃い」ということで。三人並んだ時、本当に濃すぎて、びっくりしました。だから、なんとかいけるかなって思ったんです(笑)

兄妹弟間でテレパスが使えるという、難しい役どころでしたが、いかがでしたか。

すごく新鮮で楽しい撮影でした。脳内会話は、どうしても目線だけの演技が中心になるので、自分でやっていても楽しくなってきちゃって(笑)。口に出さない面白さがあるなって思いました。しかも外国の血が入っているというキャラクター設定だったので、ちょっとこう(首をすくめるジェスチャー)外国人風なニュアンスも入れてみたりして(笑)。食事をしながら脳内会話をする時にも、じゃあ、この時の手はどうしたらいいのかなって、ちょっとしたしぐさや動きを考えましたね。難しかったのは、目線や顔の演技をつけすぎると、あきらかに「何かコミュニケーションとっているな」ってバレてしまうので、脳内会話にならないんです。かといって、和正は、その特殊能力がバレてしまうことを恐れていないというキャラクター設定なので、いい塩梅の演技を探りました。

和正は不器用で時にいたずらっ子ですが、純粋な面も持っているキャラクターでした。ご自分と近いなと感じた部分や共感する部分はありましたか?

もし自分がテレパスの能力を持ったとしたら、3人兄妹弟の中で和正が一番近いかなって思います。僕も、多分、その能力をあまり重要なこととして捉えないと思うんです。光正みたいに塞ぎ込んだりとかはないと思う。

映画『高台家の人々』 間宮祥太郎インタビュー

兄妹弟で同じ力を持っているのは大きいですよね。

そうですね、3人兄妹弟の末っ子というポジションはキャラクターに大きな影響を及ぼしていると思います。はじめてその能力を持って生まれてしまった光正は孤独なんです。誰とも共感できる人がいない中で、他人の悪意が耳に入ってきて、閉じ篭りたくなる。でも和正の場合は、お兄ちゃんもお姉ちゃんもそういう能力を持っているという中で生まれてきたので、孤独ではないし、感覚が全然違うと思う。ウチの家庭はそうなんだって自然に認識してきたんじゃないかな。そういった楽観的な感じは出そうと思いましたね。

©2016 フジテレビジョン 東宝 集英社 ©森本梢子/集英社

©2016 フジテレビジョン 東宝 集英社 ©森本梢子/集英社

自分のお兄さんに長く片思いをしている女性・純さんを一途に想い続ける和正については共感できる部分はありましたか?

う〜ん、どうだろう。でももし自分に兄貴がいて、兄貴のことをずっと好きな女の人がいたら気になりますけどね。弟になったことはないけれど、絶対兄貴に負けたくないって思うんじゃないかな。「弟の方が出来がいいな」と言われたいと思う。たまにいるじゃないですか、兄貴よりも弟の方ができるパターン。俺が弟だったら、それを目指すと思います(笑)だから、きっと気になりますよね。兄貴のことをずっと好きな女の子がいたら「俺の方が魅力的なのに!」とか「なにくそ、負けるな」っていう気分になると思います。それが恋心に変化していくのも、なんとなく想像がつく感じがします。

実際に役者として、兄役の斎藤さんに対しても「負けないぜ」っていう気持ちはあったのでしょうか。

役者として、工さんにですか?いやいや、それはないです(笑)共演3回目ですが、本当に魅力的な人だし、すごい役者さんだなあって思っているんです。前回ご一緒させていただいた作品でもそうでしたが、映画に詳しい工さんと、また一緒に映画の話ができるのが僕にとって幸せな時間でしたね。すごいなあと思うのは、いま移動式の映画館を作って、福島や熊本でプロジェクトをやられていること。映画好きはいっぱいいるけど、映画への愛をああいう行動で示せる人ってなかなかいないし、あんなアイディアもなかなか浮かばないし、簡単に出来たものじゃないと思うので、そういう意味ですごく尊敬しています。いろんな意味で、まだまだ役者として演技力も映画人としての行動力も含めて、刺激というか、いろんなものをもらっている感覚です。ですから、「俺、斎藤工に負けてねえけど?(笑)」なんて境地にはとてもとても(笑)。

斎藤工さんとの共演は本作でも3回目で、プライベートでも親しくされていると伺いました。

親しくさせていただいています。役柄の話で言うと、僕、工さんと共演するたびに、(役柄の)距離が縮まって来ているんです。1回目は生徒と先生。2回目は、訓練生と教官、そして今回が兄弟役。工さんが言っていたんですけど、「次回は多分付き合ってるね(笑)」って。それも面白そうだなって思いました。例えば、トランスジェンダーを真面目なトーンで描いた作品とか。

撮影裏では、他にどんな話し合いや会話をされていたんですか?

工さんもそうだけど、あまり密な会話はしないんです。僕と工さんの場合は、あまり僕が「工さん、工さん」って話していかなくても、つながっている部分があることを工さんもわかってくださっているというか。工さんもこの間同じようなことをおっしゃっていて、何ていうか、嗅覚的なことなのかな。この映画はちゃんと口に出してコミュニケーションをとることの大切さも描いているので、こういうこと言うとどうなんでしょうね(苦笑)。でも工さんとは、話をしなくても、感覚的な部分でつながっているところがあると思っているんです。

では撮影に入る前には、あうんの呼吸で兄弟間の関係性は出来上がっていた感じがあったのでしょうか。

それはそうだったと思いますね。僕と工さんはそんな感じでしたし、希子ちゃんと僕は年齢が近いので、ちょっと憎まれ口を叩くようなポジションで、「何だよ」って冗談を言い合ったり、まだまだ兄弟として子どものやりとりをしている感じで、3兄妹弟の中で光正だけ大人というキャラクターと関係性も、見事に素早く出来上がっていたなって思います。

撮影現場も和気あいあいとしているんだろうなと伝わってくるようでした。

なんかずっと笑ってしまったシーンがありましたね。食卓のシーンで全員着席しているシーンだったと思います。たしか、綾瀬さんが工さんにつけたあだ名が、すごく幼稚でおもしろかったんです。そのあだ名でふたりで盛り上がっていたので、誰かが「何を笑っているんですか?」って聞いて、そのあだ名を知ったら、市村さんも大地さんもそれを聞いてしまって、そこからしばらく全員が笑いが止まらなくなってきちゃって、みんなのテンションもおかしくなっちゃって、ずっと笑ってしまったんですが、すごく楽しい時間でした。市村さんもすごく楽しい方なんですよ。でもあんなに笑っているのにNGがでなくて、さすがだと思いました。

©2016 フジテレビジョン 東宝 集英社 ©森本梢子/集英社

©2016 フジテレビジョン 東宝 集英社 ©森本梢子/集英社

ヨシマサ役の猫ちゃんが、とてもなついていますね。

いえ、役どころ上、「なつかせていただいている」という演技をさせていただいたという感じです(笑)基本この方(ヨシマサ)はすごくドンとしてらっしゃる大御所なので、撮影中は、僕は本当にソファーの一部になったつもりで「どうぞくつろいでください」と太ももを提供して、椅子になったつもりで一緒にやらせていただきました。飼い猫というより師匠という関係性です。でも一度、そのまま寝てしまった時に「安心してくれたんだ」って嬉しかったですね。ある程度、信頼をしてくれたのかなって。俺はようやくあの方の寝床になれたんだって(笑)

実際に映画をご覧になった感想は?

結構前から自己表現の場がブログになってきているといわれていますよね。SNSに載せるために、おしゃれなレストランやおもしろい場所にいったりして、その場を楽しんでいるのか、自分のパーソナルイメージを作ろうとしているのか、わからないくなってきている中で、この作品ってすごく意味があると僕は思うんですよ。「そういうことをSNSで書いてしまってもいいのか」と思うくらい、人前では実際に口に出して言わないのに、SNSでは言うし書いてしまえることがある。しかもSNSだと匿名アカウント。そうなると誹謗中傷も簡単にできるし、自分の口からは実際言えないことも言えるようになって、脳内会話と通ずる部分があると思っていて。でも脳内会話をしていて起きることって、すべていいこととは限らないですよね。結局お互いに伝わらないから。そういうことが当たり前になってきている。でも僕はまさにそのSNS世代なので、あまり偉そうなこと言える立場じゃないですけど、そういう問題ってあるよなあって思うんです。特に僕ら世代って、嫌なことがあっても家に帰って、SNSでストレス発散のはけ口にしているけど、その場でちゃんと相手と面と向かって「こういうことおかしいと思うんだよ」って言うことによって、はじめてお互い気づくことってあるし、実際に言葉を口に出すことで責任感が生まれると思うんですよ、言葉に対して。そういう言霊ってあると思う。でも実際に自分が口にした言葉の実感に気づかないまま生活していくのって結構怖いこと。
そういう部分で、この映画が後半で畳み掛けるメッセージってあるなと思います。前半はすごく楽しいし笑えるところも多いけど、でも後半はぐっとくるシーンが多くて。自分の思っていることをぶつけるとまではいかなくても、思っているだけじゃ伝わらないし、テレパスの能力のように、わかってくれるっていう甘えはいらないと思うし、そういうところが作品の核にあると思います。でもその一方で、本当にきゅんとするシーンも多いし、綾瀬さん、可愛いっすよねえ…(笑)。観てるだけで、あんなにも引き込ませるし、共感を呼ぶ女優さんって、ほんと「なんて人なんだ!」って思いました(笑)僕、ガラにもなくきゅんとしましたね。きゅんとするのってつらいな、甘酸っぱいなって感じてしまったので、この映画は、家族で観に行くのもいいと思いますけど、やっぱり“まだ友達だけど「お互い好きなのかもしれない」と思っているふたり”に一番くるのでは!と思っています。その状態でふたりで観に行ったら、終わったら告っちゃいますよね。そういう気分にさせる映画なんです。僕も観た後「誰かに告白したい」と思ったんですけど、相手がいない…ていう(苦笑)。そんな、すごくハッピーな映画です。この映画をみて嫌な気分になる人はひとりもいないと思います。それってすごいことじゃないかと思うんです。

映画『高台家の人々』 間宮祥太郎インタビュー

斎藤工さんへの質問

本作で兄妹弟役として共演した斎藤工さんとは、プライベートでも仲の良い先輩・後輩の間柄。そんな斎藤さんに、間宮さんから質問を投げかけてもらいました。

Q. 俳優の先輩として。
質問じゃなくて“お願い”になってしまいますが(笑)、すごい三枚目な役をぜひ演じてほしいです!三枚目な工さんを見てみたいですね。

Q. 映画人として。
映画愛の強い工さん。海外の映画事情にも詳しくていらっしゃるので、日本において映画界はどうあるべき、今後どういうふうになればいいと思い描いていますか?

Q. ひとりの男性として。
気になるのは、工さんって、「どんな恋愛をしているんですか?」ということです。これまで僕自身は聞いたこともないですし、まったく想像できないんです。「この人はきっとこんな人とつきあってるんだろうなあとか、こんなデートしているんだろうな」っていうところが全然見えない方なので、単純に人としての興味からです。見えない方って、気になるじゃないですか。

2016 フジテレビジョン 東宝 集英社    ?森本梢子/集英社

©2016 フジテレビジョン 東宝 集英社 ©森本梢子/集英社

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映画『高台家の人々』

映画『高台家の人々』

森本梢子による漫画原作を、綾瀬はるか&斎藤工の共演で映画化。趣味と特技が妄想という地味で冴えないOL・木絵(綾瀬はるか)の勤める会社に、名家・高台家の長男・高台光正(斎藤工)が転勤してくる。光正には、高台家に代々引き継がれている、人の心を読むテレパシー能力を密かに備え持つエリートサラリーマンだった。そんな光正にとって、奇想天外な楽しい妄想が趣味の木絵と過ごす時間は、光正にとって唯一ほっとできる時間になっていく。順調に関係を続ける木絵と光正だったが、木絵の前に「高台家」の存在が大きく立ちはだかる――。

スタッフ
監督:土方政人
原作:森本梢子
脚本:金子ありさ

キャスト
綾瀬はるか(平野木絵)
斎藤工(高台光正)
水原希子(高台茂子)
間宮祥太朗(高台和正)
大地真央(高台由布子)
市村正規(高台茂正Jr.)

配給
東宝(2016年、116分)

オフィシャルサイトhttp://www.koudaike-movie.jp/