ドラマ『僕らは奇跡でできている』  vol. 4

Interview

ドラマ『僕らは奇跡でできている』に出演中の北香那。同年代の俳優たちと芝居する楽しさを味わう

ドラマ『僕らは奇跡でできている』に出演中の北香那。同年代の俳優たちと芝居する楽しさを味わう

今秋の連続ドラマは、若き才能の存在感が光ったクールだった。佳境を迎えつつあるカンテレ/フジテレビ系の連続ドラマ『僕らは奇跡でできている』(火曜夜9時)も、その1作。エンタメステーションでは、高橋一生演じる主人公・相河一輝の教え子たちにスポットを当てていく。3人目は、引っ込み思案で生物が大好きなメガネ女子・尾崎桜役の北香那。ドラマ『バイプレイヤーズ』のジャスミン役で注目を集め、夏に公開されたアニメ映画『ペンギン・ハイウェイ』では、小学4年生の主人公・アオヤマくんの声を見事に演じきって脚光を浴びた。ここでは、彼女にとって初めてとも言える等身大の役を演じての感触や、近況的なもエピソードを掘り下げていく。

取材・文 / 平田真人 撮影 / 荻原大志

何も考えてないように見られがちですけど、結構ネガティブなので育実に肩入れしちゃうんです。

北香那さんは、これまで自身と大きくかけ離れた役柄が多かった印象があります。そう考えると、尾崎桜は比較的プレーンな女の子に感じられますね。

そうなんです、『バイプレイヤーズ』のジャスミン役が強烈だったのと、『プリズンホテル』というドラマでもド金髪のギャルで「お前ぇよ〜!」みたいな口の利き方をする役と(笑)、かなりクセがあるキャラクターが続きまして。さらに『ペンギン・ハイウェイ』では10歳の男の子役ということもあって、今回は普通の役をいただいたなというのが率直な印象でした。ただ、単なる地味な女の子では終わらせたくないな、という願望が私としてはあるんです。桜がこれからどう変わっていくのか、見てくださる方々が気になるキャラクターにしたいなって。

なかなか殻を破れない女の子で、ともすれば“ぼっちキャラ”になりがちですけど、4人グループで行動するようになっただけでも変化じゃないか、と思ったりもするんです。

確かに、桜は“ぼっちキャラ”ですよね。しかも、一緒にいる人たちの個性もバラバラなので、ファンの人たちもSNSなどで「まさかの4人だよね」「こんなにキャラが違う人たちでも仲良くなるんだ」といったコメントをくださっていて。桜としては、最初は何となく流れでグループに属した感があるんですけど、だんだん本当の友達になっていく感覚が青春だなって思います。

4人でのお芝居はどんな感じなんでしょう?

まず台本を読んで、シーンをイメージしながらセリフを覚えていくんですけど…現場に行ってみると、必ずしも思い描いた通りになるわけじゃないんですね。むしろ、そうじゃない方が多いかもしれなくて。結構、みんなのセリフの言い回しとか動きが違っていたりするんですけど、「こっちの方がしっくりくる」って、想像を超えたシーンになったと感じられるのが楽しくて。昨日、第7話で桜が自分の殻を破ろうとする撮ったシーンも、思っていたよりもずっと「青春ッ!」な感じになったんですけど、いい意味で予想を裏切られることが多いのが面白いです。

ストーリーも先が読めないし、毎回何かしらの気づきがあるのも面白いですよね。

私もオンエアを見ていて、育実先生(榮倉奈々)に感情移入しちゃうんですよ。純粋に「自分が楽しいから」という理由で何かに打ち込んでいて、しかもうまくいっている人のことを育実先生が羨ましがるように、私も同じ思いを抱くことが昔からよくあったんですよ。私自身はすごく考えて考えて…でも失敗しちゃって、「何でうまくいかなかったんだろう?」って、さらにナーバスになっていっちゃうんです。だから、相河先生を羨む育実の気持ちがよくわかるんです。

ドラマ『僕らは奇跡でできている』より

北さんのことをよく知っているわけじゃありませんが、そういう思いを抱いているのは意外でした。

なぜか昔っから、よく「何も考えてないでしょ?」って言われるんですよ(笑)。でも、実は結構ネガティブな面があって。なので、育実に肩入れしちゃうんです。

そうだったんですね。突き抜けた役を演じているイメージもあって、勝手にポジティブで明るい人というイメージを当てはめてしまっていました。

気持ちは「前へ、前へ」という感じなんですけど、わりと頻繁に壁にブチ当たるタイプなんです(笑)。そのたびに、折れてはしまわないんですけど…「なんでだろう?」って考えちゃって。でも結局、適切な答えが見つからなくて、「ま、行っちゃえ!」って突き進んで、また壁に当たるっていう…。でも、自分なりにいろいろと考えてはいます。それと、信頼している女性が親身になって話を聞いてくれるんですけど、その人が「やらなきゃ、結局ゼロだよね」っていう助言をしてくれたことがあって。「やれば1になるけど、やらなかったらゼロのまんまだよ」って。それを聞いてから、結構開き直れた気がしています。2年くらい前ですけど。

ちょうど『バイプレイヤーズ』のオーディションを受けていたころじゃないですか?

あ、そうです。『バイプレイヤーズ』のオーディションは完全に開き直って、「考えても無駄だ」っていう気持ちで臨んだんですよ。結果、いい方向に進むことができたんですけど…思い起こすと、そのころから少しずつ心境も状況も変わり始めたんだなって。

今回の尾崎桜は、オーディションじゃないですよね?

はい、オファーをいただきました。それって自分の中では大きくて、実はすごくうれしかったんです。2年前の自分からはキャスティングしていただけるという状況が想像もつかないことだったので、こういう機会やチャンスは大事にしたいなと思っています。

『ペンギン・ハイウェイ』では声優としてのポテンシャルも発揮されたので、さらにオファーも増えると思います。しかも、矢作穂香さんがおっしゃっていたんですが、韓国語も勉強されているそうで…。

そうなんですよ、韓国に興味があって、「言葉を話せるようになりたいな」と思って勉強を始めました。穂香ちゃんとも「時間ができたら、一緒に韓国へ遊びに行きたいね」って、しょっちゅう話しているんですけど、今のところ相談のレベルで止まっていて(笑)。

ドラマ『僕らは奇跡でできている』より

そこは、「僕キセ」の撮影が終わらないと難しそうですね(笑)。ほかに、北さん自身が今、興味を持っていることって何でしょう?

今は料理をすることが楽しいです。私、20歳になるまでいっさい料理をしてこなかったんですよ。学校の調理実習でも、「無理無理無理、私は…大丈夫だから」とかワケのわからない言い訳をして、“混ぜる係”を担当するようなタイプだったんです。でも、20歳を過ぎて、さすがに「ちょっとはできるようにならなきゃ」と思うようになって。そのきっかけが親の転職で、帰ってくる時間が夕方から19時を過ぎるようになったんです。ウチは妹と年齢が離れていて、まだ11歳なんですけど…私が同じ年齢のころ、ご飯の時間が遅くなるとお腹がすごく空くのが何か嫌だった記憶があって。それで、「オフの日は私が妹に夕飯をつくろう、おいしいご飯をたべてもらおう」と思って、料理を始めたんです。妹だけじゃなくて、仕事から帰ってきた母や家族も「ご飯、おいしい」って言ってくれるようになって、それがすごくうれしくて…料理にハマって。なので、時間がある時は何か料理をつくっていますね。

いいお話じゃないですか…。あと、料理は気分転換にもなる、と聞いたことがあります。

なります、なります。好きな音楽を聴きながら、自分の好みの味付けにした料理を妹に味見をしてもらって、「おいしい!」って言われると、テンションが上がります。

ちなみに、得意料理は何でしょう?

創作料理っていうと立派に聞こえるかもしれないですけど…ウチの家族は節約が趣味で(笑)、週に1回、1週間分の食材を買い込んで、それをうまく活用してメニューを考えていくんです。週の前半はアレンジが豊富なんですけど、後半になって食材が限られてくるじゃないですか。そういう時の味方がチヂミで、これに中華スープを付けるセットが家族には好評です。チヂミは野菜を切って入れて混ぜて焼くだけと簡単なんですけど、モチモチ加減が片栗粉の量とかでちょっと変わるんですよ。そういうのを調整するのが楽しくて、「あるもの料理」が得意です。あと、最近は「納豆パスタ」がレパートリーに加わりました。納豆とパスタとバターと「めんつゆ」があればできちゃうので楽ですし、時短にもなるので。これにサラダとスープを付ければ立派なセットにもなるので、みなさんもつくってみてください…って、料理の話でめっちゃ盛り上がっちゃいました(笑)。

変に遠慮することなく振り切って、もっと思いきりお芝居していこうと思います。

では、話をドラマに戻しまして…(笑)、同年代の方々とお芝居をするということが、北さんはこれまでそんなになかった記憶があります。

そうなんです、大先輩の俳優さんや年上の方とご一緒する現場が多かったので、「僕キセ」で穂香ちゃんたちと共演できて、新鮮です。「学園モノ」という感じでもないですけど、学生同士でやりとりするっていうシーンをずっとやりたかったんです。一度、準レギュラーで『グッドモーニング・コール』というドラマに出させてもらったんですけど、ちょっとヤンキーな子の役だったので…(笑)。それ以来、学生の役がなかったので、同年代のみんなとお芝居するのがすごく楽しいです。

プレーンな自分のまま等身大の若者を演じられるというのは、ひとつの特権ですよね。

あ、確かに…。性格やタイプは別にしても、話している感じだったり──若者としてのリアルな会話の雰囲気は、今の自分だからこそ出せるのかもしれないですね。この先2〜3歳、年齢を重ねてから桜のような学生役を演じることがあるかもしれないですけど、たぶん、そのちょっとの年齢差も自分の中では大きく感じられるようになるような気がします。

ドラマ『僕らは奇跡でできている』より

そこを踏まえて、西畑さん、矢作さん、広田さんたちとの素での関係性を語っていただければと。

そうですね…4人それぞれに立ち位置が何となく決まっているんですよ。西畑くんはボケ担当で、広田くんと穂香ちゃんがちょっと冷たい目線を送るんですよ。その構図を見ている私が「ハハ…」って笑っている、みたいな感じです(笑)。でも、広田くんも結構ボケ担当で…西畑くんがライブの話をしているところへ、「俺も昨日、車で沖縄にライブしに行って、最後は東京ドームなんだけど…」みたいなことを、ず〜っと言っているんですよ。誰かがツッコむのを待っていて、延々とボケ倒すんです。ふだんは真面目なんですけど、頭の回転が速い人なので、話題をうまくふくらましてくれるんですよね。対して、西畑くんは全力投球でボケるタイプですね。お話をすると、やっぱり関西の人なんだなあって思います。

西畑さんも「『僕キセ』のメンバーは自分のギャグやボケにめっちゃウケてくれるからうれしい」と、以前の取材でお話していました。

西畑くん面白いです。こうやって笑いをとるんだって、勉強になります。さっきも控え室で「西畑さん、面白いことやってください」ってムチャぶりしたんですけど、「最悪や、それ一番関西人に言ったらアカンやつやん!」って…言いながら、しっかりボケてくれるんですよ(笑)。オトしたらアゲて、アゲたらオトす、みたいな──。

でも、そんなやりとりを普通にできるようになったんですね。4人とも人見知りと聞いていたので…。

ドラマの中で4人が仲良くなっていくのと同時に、私たち自身も仲良くなっているような感覚がありますね。

連続ドラマのスケジュール感については、どうでしょう? オンエアとのタイムラグがそんなに多くない中で撮っていくというのは…。

オンエアを見て気づいたことや感じたところを次の撮影で反映させることができるのは、連ドラのいいところだと思います。自分の表情がイメージしていたのとは違っていて、ちょっと大きくなりすぎたなと感じたことがあって、次の撮影からもう少し抑えてみよう、といった感じで修正していくことで役ができあがっていくというか。あと、現場で「ね、昨日の(オンエア)見た?」っていう話から会話が広がったりしていくのも、私としては面白くて。その会話からお芝居の話にもなったりして、また新しい気づきがあったりもして。そういうところを、その日の撮影でフィードバックできるのは、連ドラのスケジュールならではですよね。

ドラマ『僕らは奇跡でできている』より

一種のライブ感とも言えそうですけど、そんなにお芝居で気になるところってあります?

反省点はいっぱいありますね。特に最初の方、「桜は地味な子だから──」というイメージが自分の中で強すぎて、目が怖いんですよ。自分では上目遣いで引っ込み思案な感じを出したつもりだったんですけど、オンエアで見たら殺人犯みたいな目をしていて(笑)。相河先生に恨みがあるんじゃないかと思うくらい目が怖かったから、ファンの人たちから「桜ちゃん、何か怒り出しそう」っていうコメントをたくさんいただいたんです。でも、自分では全然そういうつもりじゃなかったので…勉強になりました。あと、第4話で新庄(西畑)が歯が痛いって言って、琴音ちゃん(矢作)が相河先生に歯医者の予約をお願いするシーンがあったんですけど、教室から出て行くタイミングで(高橋)一生さんがアドリブでヘンテコな動きを入れたんですよ、カメラに映らないところで! 不意をつかれて4人とも思わず笑っちゃったんですけど、オンエアでもその微妙に笑うのを我慢している感じがわかったのが、面白かったです。もちろん、反省もしましたけど…。

一生さんは結構、そういうアドリブを入れてくるんですか?

わりとあります。昨日もリハーサルではなかった動きを本番でされていて。あと、気づくと歌を口ずさんでいらっしゃたりもするんですよ。今回ご一緒して…私なんかが言うのもおこがましいんですけど、とてもチャーミングな方なんだなって思いました。

なるほど。さて、取材時間もそろそろ終わりに近づいていますし、2018年も残り少なくなってきたということで、この1年をどうしめくくって、新しい年につなげていきたいですか?

この1年は本当にいろいろな経験をさせてもらったな、と思っています。連ドラも2本レギュラーを務めさせていただいて、勉強になることが多かったです。大変だなと思ったり壁にぶつかったりしても、何とか乗り越えられたかなという実感もあって、ちょっと成長できたかなと思っていたりもします。料理もできるようになりましたし(笑)。なので、2019年は…というか、毎年の目標が「前の年よりも仕事を増やして、いい役をもらう」なんですけど、2018年はそれが達成できたので、来年も今年以上に飛躍できたらいいなぁって。そのためにも、もっと努力しようと思います。
それと…遠慮しないようにしたいですね。以前ほどではないんですけど、まだどこかでお芝居することに遠慮しているところがあるんですよ。「ここまでやったらアウトかな?」と思ってしまって、肝心なところで自分から挑戦ができなかったこともあって。『バイプレイヤーズ』の時にちょっと遠慮したら、横浜聡子監督に「ジャスミン、今ちょっと遠慮したでしょ?」って見透かされたんですよ。「あ、わかる人にはわかっちゃうんだ」って気づいたので、変に遠慮することなく振り切って、もっと思いきりお芝居していこうと思います。監督から「それはやりすぎだよ」って言われたら抑えればいいわけで…まずは自分からメーターを振り切るつもりで、全力を出していきたいです。

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北香那(きたかな)

1997年8月23日生まれ 東京都出身
ミュージカル「赤毛のアン~アンからの手紙~」でデビュー。
以降、テレビドラマ「バイプレイヤーズ」(2017年、テレビ東京)などの話題作に出演、映画「ペンギン・ハイウェイ」(2018年)で声優を務めるなど、幅広く活躍中。

フォトギャラリー

ドラマ『僕らは奇跡でできている』

毎週火曜 夜9時~9時54分(カンテレ・フジテレビ系全国ネット)

キャスト:
高橋一生 榮倉奈々 要 潤 児嶋一哉
西畑大吾(なにわ男子/関西ジャニーズJr.) 矢作穂香 北 香那 広田亮平 / 田中 泯
トリンドル玲奈 阿南健治 戸田恵子 小林 薫

脚本:橋部敦子
演出:河野圭太(共同テレビ) 星野和成(MMJ) 坂本栄隆
プロデュース:豊福陽子(カンテレ) 千葉行利(ケイ ファクトリー) 宮川 晶(ケイ ファクトリー)
制作協力:ケイ ファクトリー
制作著作:カンテレ
オフィシャルサイト
https://www.ktv.jp/bokura/


『僕らは奇跡でできている』“チェインストーリー”

※毎週火曜各話放送終了後から配信開始

普段はほとんど誰とも会話しない講師・沼袋順平(児嶋一哉)が、登場人物にまつわる仮説を検証するドラマ。

GYAO
https://gyao.yahoo.co.jp/special/bokura_drama/

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