Interview

LAMP IN TERRENが「嘘偽りない裸」の姿勢で体当たり。『The Naked Blues』で遂げたバンドの進化

LAMP IN TERRENが「嘘偽りない裸」の姿勢で体当たり。『The Naked Blues』で遂げたバンドの進化

4人組ロックバンド、LAMP IN TERRENが前アルバム『fantasia』から1年8ヵ月ぶりとなる通算4枚目のアルバム『The Naked Blues』をリリースする。
2018年の1月にキャリア初となる配信シングル「花と詩人」を発表し、定期公演〈SEARCH〉の開催をスタートさせたが、ヴォーカル 松本 大の声帯ポリープ切除手術に伴い、同年4月のツアーファイナルをもって、一時活動を休止。8月19日に開催されたバンド初の日比谷野外音楽堂ワンマンにて完全復活を遂げた。そんな彼らのニューアルバムは、タイトルどおりに“Naked”=ありのままの自分を惜しげもなくさらけ出し、だからこそ、説得力を増した“Blues”が詰まった、聴き手の胸にストレートに飛び込んでくる作品となっている。
松本が「自分で語るのは恥ずかしいくらい自分が出てる」と評した楽曲群について、メンバー全員に話を聞いた。

取材・文 / 永堀アツオ

活動休止から野音までの期間は大事な時間だった

まず、ニューアルバムが完成した感想をおひとりずつお願いします。

松本 大 憑き物が落ちたみたいな気持ちです(笑)。僕はこのアルバム、なんとなく自分で語るのが難しくて。そのくらい自分の全部が出ている気がしています。改めて話すのはめっちゃ難しいなって思いながら、今日ここまで来ました(笑)。

大屋真太郎 僕はこのアルバムが完成してやっとLAMP IN TERRENのギタリストになれたっていう感じがあって。再スタートを切れたなと感じるアルバムになりました。自信作と胸を張っているくらい、このアルバムに対して自信を持ってます。

中原健仁 ヴォーカルの大の歌詞がすごく素直で、共感できるところもたくさんあって。そういう素直な歌詞を書いてくれたことが純粋にすごく嬉しくて。これから、より歌に寄り添ってベースがプレイできるなっていう気持ちがあります。

川口大喜 今までのアルバムも自信はあったんですけど、その中でもすごく自信が持てるアルバムになったのと、今回のアルバムを作ってLAMP IN TERRENのドラマーというか、一部として、これから何をやらなきゃいけないのか、必要なものと不要なものが自分の中ではっきりしました。あとは見つけたことをひたすらやるのみっていうことができたアルバムですね。

バンドにとって活動休止の期間っていうのは、それぞれどんな時間でしたか。

川口 活動休止は自分の中ではあんまりネガティヴには捉えてなかったので、すごく自分と向き合う時間になったなと思います。これまで自分に向き合って考える時間って意外となかったので、なあなあにしていたものが打開できた、すごくいい時間でした。

中原 大喜と同じで、活動休止はネガティヴな気持ちというよりは、大の声に対しての期待のほうが大きくあって。これからより良くなっていくだけだっていう感じだったので、活休中は大以外の3人でスタジオに入ってみっちり練習して、スキルアップする時間にあてられました。メンバー全員にとって必要な時間だったのかなって思います。

大屋 活動休止前はツアーをやっていたんですけど、そのときは不安が大半を占めていて。大の手術によって何かが変わってしまうかもしれない、と。ただ、それも祈るしかできないんで、とりあえず自分のことをひたすら見つめる期間になりました。ギターにひとりで向き合う時間が多かったので、じっくり整理できたというか。かつ、野音っていう目標があったので、頑張れたんだろうなって思います。活動休止から野音までの期間は大事な要素だったなと、今、振り返ると思います。

「お前から音楽を取ったら何も残らない」その意味がようやくわかった

手術に踏み切った松本さん自身はどんな心境でいましたか?

松本 前半は無でしたね(笑)。指先から灰になって、ボロボロ崩れていく感じがあって。その灰というか、チリというか、崩れたものが足元にあって、霊体になった自分がそれを見てるみたいな感じだったんですけど、6月くらいからそこに飛び込んで、また再度命を宿して鳥になる……不死鳥になるみたいな感じがありました(笑)。やっぱり歌いたいっていう気持ちが……離れていた時間が教えてくれたって言うほどドラマチックでキザな感じでもないんですけど、黙っていれば黙っているほど歌いたくなるものですね。自分にはこれしかないんだなというか、周りの人たちに「お前から音楽を取ったら何も残らないよ」って言われてた言葉の意味がようやくそこでわかったというか。そんな気持ちがありました。それが原動力でアルバムが出来たなっていうのもあります。

アルバム作りはいつからスタートしたんですか。今年の初めに「花と詩人」のインタビューをさせていただいたときに、すでに“破壊と再生”っていうお話はされていて。アルバムに収録されている「New Clothes」もすでに完成していました。素のままの自分を出すっていう予兆を感じているところに、活動休止のニュースを受け取ったので、内面だけじゃなく身体まで一回破壊して再生するつもりかと感じたんですが。

松本 心身ともにそんな感じでしたね。なんだかんだ、休止前に『The Naked Blues』っていうタイトルはもうあったんです。だから今では、それに向かっていろんな関門みたいなものが設けられていたのかなっていう気持ちがありますね。自分が裸になるために、素の自分で曲を書くための必要事項というか。そういうのがあったのかなって今となっては思います。自分としてはすごく大変でしたけど、似たり寄ったりなことを言ってるというか、一貫して同じことをずっと言い続けてるアルバムになっちゃいましたね。

自分を肯定するために次のステージに行く

誰かと比べることのない、あるがままの自分と向き合おうっていうことですよね。どうしてここまで肌身を曝け出そうと思いました?

松本 ずっと、自分が演じてる感覚みたいなものがどこかにあって。基本的に僕は自分のことを足りないって思いながら、自分を否定しまくりながら生きてきたところがあるんです。どうしてもそこに対する後ろめたい気持ちや拭いきれないものがあったので、それをなんとかしたいって気持ちがずっと心の中にあって。逆に言えば、そこに対する抵抗というか、そういう自分を肯定するために次のステージに行かなきゃいけないんだっていう感じですね。素の自分で歌ったことは一回もなかったなって思ってるんで、ある種、挑戦みたいなところはあったと思います。

4人体制では初となった前作『fantasia』とは真逆と言ってもいいんですかね。

松本 ああ、それはあるかもしれないですね(笑)。『fantasia』はこうありたいっていう理想の塊で、『The Naked Blues』はリアルの塊だと思いますね。

びっくりしました。こんなに素直に言うんだって

松本さんは「自分では語りづらい」とおっしゃっているので、メンバーから、これまでに見せなかった素の松本さんが出てるなと感じた曲を一曲ずつ挙げていただいてよろしいですか。

川口 素直な歌詞というか、俺が一番衝撃を受けたのは「ダグさん」ですね。

松本 「凡人ダグ」のことです。「ダグさん」と呼ばれております(笑)。ダグというキャラクターにしました。実在はしませんが。

川口 すごく正直に言うと、それまでの大の歌詞に対して、俺、笑ったりしたことないんですよ。

松本 こいつ、これを渡したとき、大爆笑したんですよ。

川口 違う違う(笑)。真面目な詞なので、笑うのって失礼じゃないですか。でも、これは堪えきれなかったんです。特に2番のサビがもうすごく衝撃的で面白くて。大から電話がかかってきて「詞、どうだった?」って聞かれたんで、ちょっと気を遣って話してはいたんですけど。どうしてもダメで(笑)……堪えられなくて。で、「これでいいかな?」って言われたんで「俺はいいと思うんだけど、お前はどうなの?」って逆に聞き返したくらい(笑)。衝撃でしたし、メロディもサウンドもありえないくらいカッコいいなと思ってます。

枯れた泉にシャベルを突き立てて、何もないなってひとりごちている主人公も松本さんと重ねていいですか?

松本 別人ってことにします! 別人っていう設定でお願いします(笑)。何か書こうと思って探し回ったけど、何にもなかったっていう人の歌ですね(笑)。僕は言葉にするっていうつらい作業ができたので、「何もないがありました」っていう感じですけど。4、5年前に曲がまったく書けなくなったときに友達と「じゃあ、いっそ、何もないってことを歌詞にしてみたらいいんじゃないか」って話をしたことがあったんですけど、それを思い出して。だから5年越しに書いたよって思いました(笑)。

川口 歌詞を読んだ人はこのストーリーを楽しめると思うよ。

松本 でも、このインタビューを読んだ瞬間に夢から覚めるでしょ。だから、人の解釈でいいのよ。俺は喋りたくないのよ(笑)。

あはは。最初に「素直な歌詞を書いてくれて嬉しい」と言ってた中原さんは?

中原 今回の歌詞は全部わかりやすいし、刺さるワードがどの曲にもしっかり入ってるんで、迷うんですけど、本当に正直に一番最初に送られてきたときにびっくりしたのが「オーバーフロー」ですね。わかりにくい例えや言葉が一個もないんですよ。まずそれにちょっとびっくりしたのもあったんですけど、何よりも1サビの前の「君に愛されたい!」っていうのが、もうびっくりしました。こんなに素直に言うんだって。裸んぼになっちゃってぇーって(笑)。それで、ここまでまっすぐな歌なんだったらサウンドも絶対まっすぐやりたいなって思って。俺はまっすぐなサウンドが大好きなんで、自分がやりたいものができたし、本当にライヴでやるのが楽しみです。

フルボリュームで叫んでますよね。「愛されたい!」って。

松本 これもあんまり喋りたくないんですが(笑)。自分の中でぶっちゃけ恥ずかしいというか、ぐずぐずした感じがすごい出たなというか。ついに、見栄も張れなくなったかっていう(笑)。

一同 あはは!

中原 「もうなにもかもがわからないよ」って言ってるからね(笑)。

松本 曲自体は2、3年前からあった曲なんですけど歌詞がずっとなくて。で、活動休止期間中にやってみようかなと思って。自分の中の音楽をやりたいっていう気持ちとすごいマッチする感じがあって。めっちゃ青いんですけど、その青さに呼応するような感じで歌詞もどんどん、本当に溢れ出てくるような感覚があって。音楽やれて良かったね、歌えて良かったね、っていうことをもうひとりの自分がずっとささやき続けてる感じというか。

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