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メディアレビューとユーザー評価が高い『BLACK BIRD』はなぜ面白い?

メディアレビューとユーザー評価が高い『BLACK BIRD』はなぜ面白い?

年に一度、京都で行われるインディーゲームの祭典“BitSummit”にて、今年度のアワード2部門を受賞し、10月18日の発売以降、Twitterや各ゲームメディアで話題になっているシューティングゲーム『BLACK BIRD』。スマートフォン用RPG『勇者ヤマダくん』を開発したOnion Gamesから生み出された本作は、同社の代表を務める木村祥朗氏がPlayStation®用RPG『moon』を開発したラブデリックに在籍していたことから、独特な雰囲気と世界観を持つ”ラブデリック系“の流れを汲むゲームとしても評されている。
シューティングゲームといっても、このゲームでプレイヤーが操作するのは戦闘機ではなく、『BLACK BIRD』というタイトルが表すとおり“鳥”なのだが、その物体を鳥と形容するにはあまりにも不気味で奇妙なデザインだ。
公式サイトには、”ある日、街角で死んだ哀れな少女は不気味な黒い鳥に生まれ変わった。プレイヤーは災いの黒い鳥となって、王国を滅ぼすのだ……“というストーリーが記載されている。なぜ少女は黒い鳥に生まれ変わったのか? なぜ王国を滅ぼさなければならないのか? その理由は、各ステージ間に挟まれるデモシーンと全8種類のマルチエンディングを見ることで、明かされていく。しかし、このように散りばめられた作り手の世界観や設定はあくまでも要素のひとつであり、いちシューティングゲームとしても目を見張るほどの出来となっている。いわゆる”雰囲気ゲーム“のひと言で片付けることができない本作の魅力をご紹介しよう。

文 / クドータクヤ


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“みんなの命を食べに来る黒い鳥”を操る罪悪感

オープニングは、建物前に佇む女の子が道端に倒れて命を落とすという暗い内容から始まる。その亡骸は卵に姿を変え、パキパキと音を立てながら殻を破り、黒い鳥となってセピア調の街に飛び立つという意味深な展開を見せる。彼女の名前や素性が明かされぬまま、なぜ黒い鳥を操って街を破壊しなければならないのか……。ここまで文字情報は一切ないため、プレイヤーの想像に委ねられているが、善悪の判断がつかない状況で街や敵を撃破していくのは、妙な罪悪感を抱いてしまいそうになる。

▲卵から孵化し、夜の街へと羽ばたいていく黒い鳥

被弾してもステージの途中からやり直し(リスタート)をせずに済むライフ制となっており、テンポ感の良さに繋がっている。また、ステージに配置されている壺を壊すとアイテム(エサ)が出現し、ショットを撃ち込むことで、得られる効果がボムの補充、ライフ回復、移動速度上昇にそれぞれ変化するため、戦況に応じて使い分けることになる。

ゲームの進行は左から右への一方的な強制スクロールではなく、プレイヤーの操作に合わせて自由にステージを行き来できる任意スクロール式で、ステージに配置された司令塔をすべて破壊するとボス戦に突入するというシステムは『ファンタジーゾーン』(セガ/1986年)を彷彿とさせる。初期段階は攻撃力も低く、ショット弾も小さい貧弱ぶりだが、スコアアイテムとなる宝石を回収することで、黒い鳥が次々と巨大化してパワーアップ。最終形態は鶏冠が逆立ったようにおどろおどろしく、まるで怒りを表現しているようでもあり、黒い鳥の不気味さをさらに引き立たせている。
スタートしてから数プレイを経て本作のスコアシステムをぼんやりと理解すると、いつの間にか先ほどの罪悪感は消え、黒い鳥を操って街や敵を倒していくことにゾクゾクとした気持ちよさを感じていることに気づかされる。

▲進化することで自機の形態が変化するのは『ダーウィン4078』(データイースト/1986年)のようでもある。なお、巨大化しても当たり判定は目の周辺だけなので、敵弾もギリギリで避けることが可能だ

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