LIVE SHUTTLE  vol. 307

Report

“二度と聴けないと思ってた”あの曲にファンも涙…声優・小松未可子の30年を30曲でたどった「ハピこし!ライブ2018」レポート

“二度と聴けないと思ってた”あの曲にファンも涙…声優・小松未可子の30年を30曲でたどった「ハピこし!ライブ2018」レポート

声優でアーティストでもある小松未可子が毎年行っている恒例のバースデーライブ、“ハピこし!ライブ”。今年は「ハピこし!ライブ2018 ~30 years, 30 songs~」と題して、11月25日に東京・恵比寿ザ・ガーデンホールで行われた。今回は小松が節目の30歳を迎えたということで、メドレーを含めて30曲の歌唱に挑戦。また、親友である声優の三上枝織や、プロデュースチームであるQ-MHzのメンバー・田淵智也も駆け付け、サプライズゲストとして祝福した。そんな小松未可子の30年の人生を歌でたどった今回のライブを振り返る。

取材・文 / 金子光晴 撮影 / 森 久


小松未可子は歌とバンドサウンドだけで勝負するという、声優アーティストでは珍しいストロングスタイルのライブを行っているが、“ハピこし!”は誕生日のお祝いということもあってバラエティ色の強いライブとなっている。“ハピこし!”というタイトルは彼女の愛称である“みかこし”から名付けれたものだ。今年は30歳の記念で30曲の歌唱を行うと事前に発表。ライブは彼女の誕生から現在までを歌と共にたどっていくという構成になっていた。そこで今回の記事も、ライブのセットリストと共に彼女の歩みをたどっていきたいと思う。

「小松未可子。1988年11月11日、三重県桑名市に小松家の長女として生まれる――」

開演後、三上枝織によるナレーションで彼女の誕生にまつわるエピソードが語られ、スクリーンには0歳の小松未可子の写真が映し出された。1という数字のロウソクの絵が映し出された後、登場した小松が歌った1曲目は「Sky message」。アーティストデビューした初期の曲で、小松自身が作詞をしている。不安を抱えながらも、遠くへ飛び立とうとする旅立ちの歌。それは“未来の可能性”という意味を込めて名付けられた未可子という少女の旅立ちとも重ね合わせることができる。

「Happy taleはランチの後で」、「Re:ing」と盛り上がる曲が続き、会場の熱度が一気に上昇。4曲目からは各曲1コーラス程度のメドレーとなり、最近のライブではあまり歌われないレアな曲も披露された。「波乗りグライダー」ではタオルを持ち出して観客と共に回す盛り上がり。このあたりは怒涛の如く過ぎていく幼少期といった感じだろうか。11曲目の「HEARTRAIL」はフルで歌われ、ここで一旦小松はステージから姿を消す。

するとスクリーンには某人間密着ドキュメンタリー番組のパロディで「小松大陸」なる映像が流された。11歳の頃の彼女を振り返るインタビューが行われ、当時は男子に混じってドッジボールをしていた男勝りな子だったと語る彼女。「その頃から中1までは一人称が“ボク”でしたね」という思い出話に、なぜか会場からは大きな歓声があがっていた。彼女が歌い始めたきっかけはこの時期で、好きな倉木麻衣などの曲を弟に歌って聴かせていたところ、母親からオーディションを受けてみないかと言われたのだという。

スクリーンには12歳を表すロウソクが灯り、歌われた12曲目は「Maybe the next waltz」。ここからアコースティックコーナーとなり、ワルツの要素が入ったこの曲もピアノソロで演奏されていた。「おすしのうた」や「Latimer road」、「終わらないメロディーを歌いだしました。」といった懐かしめの曲をメドレーで披露。19曲目の「M/MASTER」を歌い終えると再び映像のコーナーに。

2003年、15歳の時にあるラジオの企画で募集されたオーディションに合格し、アイドルユニットの一員としてデビューすることになる彼女。ついに夢へ向かって歩き始め、17歳の時に上京。高校・大学時代を過ごした街が戸越銀座(東京都品川区)で、映像ではこの街を散策しながら当時を振り返っていた。戸越銀座の惣菜屋でバイトを始めたが1ヶ月で店が潰れてしまったと、今では笑い話として明るく語る彼女だが、この街で過ごした時期は不安もあったのだろう。東京へ出る時、学校の先生には「成功するまで帰ってくるな」と激励されたこともあり、地元へ帰ることは考えなかったというが(ただ正月に帰省はしていたそうだ)、ここで彼女は一旦夢への歩みを止めてしまう。

そして歌ったのは20曲目の「冷たい部屋、一人」。TVアニメ「K」のEDテーマとなった曲だが、未来が見えない孤独な状況を歌ったこのバラードは、20歳の頃の彼女の心情とリンクするものがあって選曲されたのだろう。しかし21曲目の「群青サバイバル」では一転して、「さあ始めましょうか」と再び一歩を踏み出すポジティブな心情を熱く歌った。ちなみに、小松は20歳の終わり頃に現在の事務所に所属。当初は女優などの活動を行っていたが、小さい頃から『名探偵コナン』などのアニメが好きだった彼女は声優への道を歩み始める。

21曲目が終わると、「20歳を迎えたみかこしは声優としての活動をスタートしていた。そして21歳のこの年、彼女は運命の出会いを果たす。そう、この私、三上枝織との出会いである」という、なぜか急に思いっきり私情を挟んだナレーションが流れた。続いて「みかこしー!」と叫びながら舞台袖から三上枝織本人が登場。二人は「A&G NEXT GENERATION Lady Go!!」という新人女性声優によるラジオ番組のパーソナリティとして出会った。小松未可子の名前を世に知らしめるきっかけのひとつとなった番組でもある。番組は2015年に終了したものの、三上とは現在もウィンナーパーティなどを行って親交のある間柄だ。30歳のバースデーライブということで、ナレーションを担当しただけでなく現地に駆け付けたのだった。

そして、22曲目は出会いのきっかけとなった「Lady Go!!」のOPテーマ曲、「Open Tuning」を三上と一緒に歌うというサプライズとなった。この曲は番組の卒業イベントで歌って以来で、過去の動画を見て振り付けを思い出したという二人。本来は番組の各曜日を担当した上坂すみれ、大久保瑠美、高森奈津美との5人で歌っていた曲で、今回は変則的な“Lady Two”となったが、もう二度とライブでは聴けないと思われていた曲だけに、会場では涙を流すファンの姿も見られた。

2012年4月に小松はシングル「Black Holy」でアーティストデビューを果たす。同曲はTVアニメ『モーレツ宇宙海賊』のOPテーマであり、加藤茉莉香役で主演も務めている。一度は歌手の道をあきらめかけた彼女だが、こうして思わぬ形でアーティストとしての道が開けることになったのだった。もちろん、25曲目は25歳の時のデビュー曲「Black Holy」を歌唱。続いて「Restart signal」を歌うという熱い展開となった。

2016年にはトイズファクトリーに所属。Q-MHzの全面プロデュースを受けることになり、現在のバンドサウンド色の強いアーティスト活動をスタートさせる。ライブも終盤となり、「My sky Red sky」、「おねがいフューチャー」で会場はお祭り騒ぎに。29曲目は昨年リリースしたアルバムの収録曲「Catch me if you JAZZ」で、ジャズの要素を取り入れ新境地を開いた曲だ。最後は30歳のお祝いということで、“ハッピーバースデー”というコールが入る「エンジェルナンバー」を歌って、見事に30曲を歌い切った。

だがライブ本編終了後もアンコールを求める“みかこ・し!”コールは止まらず、バンドメンバーと共に小松は再登場した。すると三上がステージに姿を現し、30本のロウソクが立ったバースデーケーキが運ばれてくるというサプライズが。三上が音頭をとって、観客が「ハッピーバースデー」を合唱して誕生日を祝福した。「みかこ市民(みかこしファンのこと)たちに向けて30歳の抱負を」とコメントを求められた小松は、「宣誓! ワタクシ、みかこしは市から県になることを誓います!」と市から県への勢力拡大を誓い、みかこ市民たちの笑いをとっていた。

アンコールの1曲目はこのライブの翌日(11月26日)に配信限定でリリースされた新曲「友情ZABOOOON!!」(テレビ東京系でオンエア中のアニメ『爆釣バーハンター』EDテーマ)を初披露。さらに2曲目「Imagine day, Imagine life!」では田淵智也(Q-MHz、UNISON SQUARE GARDEN、THE KEBABS)も登場し、バンマスを務めた黒須克彦たちとステージ狭しと熱演を繰り広げた。こうして最後は小松未可子の“現在”を激しく楽しい音楽で表現し、30年の歴史をたどるライブを締めくくったのだった。

このライブでは約2年ぶりとなる小松未可子の対バンライブ「Humming Maps vol.3」の開催も発表。次回は、ラジオ「エブリスタ・マンガボックス presents 豊永・小松・三上の真夜中のラジオ文芸部」(文化放送)で共にパーソナリティを務める声優の豊永利行を迎えて行われる。 2019年3月31日(日)開催で、会場は東京・EX THEATER ROPPONGI。初の男性声優との対バンでどのようなライブを見せてくれるのか、こちらも期待がかかるところだ。12月5日(水)23:59までは小松未可子オフィシャルサイト先行が行われているので、あわせてチェックしてみてほしい。


「ハピこし!ライブ2018 ~30 years, 30 songs~」

11月25日(日)東京・恵比寿ザ・ガーデンホール

<セットリスト>
01.Sky message
02.Happy taleはランチの後で
03.Re:ing
04.夏至の果実
05.Baby DayZ
06.Sail away
07.虹の約束
08.波乗りグライダー
09.MAGIC RADIO
10.純真エチュード
11.HEARTRAIL
12.Maybe the next waltz
13.エメラルドの丘を越えて
14.おすしのうた
15.Latimer road
16.終わらないメロディーを歌いだしました。
17. Pina colada & Caipirinhaipirinha
18.Romantic noise
19.M/MASTER
20.冷たい部屋、一人
21.群青サバイバル
22.Open Tuning
23.また、はじまりの地図
24.だから返事はいらない
25.Black Holy
26.Restart signal
27.My sky Red sky
28.おねがいフューチャー
29.Catch me if you JAZZ
30.エンジェルナンバー
EN1.友情ZABOOOON!!
EN2.Imagine day, Imagine life!

ライブ情報

小松未可子自主企画ツーマンライブ
「Humming Maps vol.3」
2019年3月31日(日)東京都 EX THEATER ROPPONGI
OPEN 16:00 / START 17:00

出演:小松未可子/豊永利行

チケット:アリーナ立見 / スタンド指定席ともに¥6,480(税込、ドリンク代別、未就学児入場不可)
チケット一般発売:2019年2月9日(土)

小松未可子公式サイト先行(抽選)
2018年11月29日(木)18:00~12月5日(水)23:59
受付はこちら

豊永利行FC先行(抽選 / 豊永利行FC会員限定)
2018年11月29日(木)18:00~12月5日(水)23:59

小松未可子オフィシャルサイト
小松未可子TOY’S FACTORYサイト

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