『機動戦士ガンダムNT』公開記念特集  vol. 5

Interview

『ガンダムNT』のバトルシーンは『UC』とはひと味違う! 劇伴&LiSA参加の主題歌を手がけた澤野弘之が語るサウンドの魅力

『ガンダムNT』のバトルシーンは『UC』とはひと味違う! 劇伴&LiSA参加の主題歌を手がけた澤野弘之が語るサウンドの魅力

『機動戦士ガンダムUC』や『進撃の巨人』など数多くの作品音楽でも知られる澤野弘之によるボーカル・プロジェクト、SawanoHiroyuki[nZk]があらたなフェーズに突入した。Uruとのコラボを果たした前作「Binary Star」(TVアニメ『銀河英雄伝説 Die Neue These』OPテーマ)に続く本作「narrative/NOISEofRAIN」では、LiSAと西川貴教という刺激的なボーカリストを迎えた。彼がこのコラボのなかで見据えたものとは?

取材・文 / 澄川龍一


『ガンダムUC』を踏襲しつつも差別化は図ろうと、デジタル・サウンドを主体に

澤野さんの代表作のひとつである『機動戦士ガンダムUC』に続き、劇場アニメ『機動戦士ガンダムNT』でも劇伴と主題歌を担当されることになりました。

澤野弘之 話をいただいたのは2、3年前だったのですが、そのときは劇場版という話ではなくて、もっと短いアニメを数話と聞いていたかと思います。本当に『ガンダムUC』のスピンオフというような。なので、劇場版として発表されてビックリしたんですけどね(笑)。

内容としても『ガンダムUC』からおよそ1年後の話ですから、劇伴のテイストも『ガンダムUC』を踏襲したものになった?

澤野 そうですね。劇中でも『ガンダムUC』で作った曲も使用したり、新しい曲も『ガンダムUC』で作ったメロディを使ったのもあります。もちろん『ガンダムNT』用にまったく新しい曲を作りましたけど、がっつり新規で曲を作るというよりかは『ガンダムUC』の流れで作ったという感じですね。

となると早い段階からイメージは作りやすかった?

澤野 ただプロデューサーとは、『ガンダムUC』と差別化は図りたいという話もあって。『ガンダムUC』はオーケストラと、リズムはパーカッションや生バンドという感じだったんですけど、今回は違いを出すためにデジタル・サウンドを出してほしいということになって。PVの第2弾で流れている曲はメインテーマになるんですけど、ああいうEDM的な楽曲をメインテーマにしたことはなかったんですね。今回はあえてデジタル・サウンドを主体に作ってみました。だから『ガンダムUC』の楽曲のリアレンジもバックトラックはデジタル・サウンド主体に変えて作りましたね。

実際に映像をご覧になった印象はいかがでしたか?

澤野 『ガンダムNT』の上映イベントで流すための、20分の先行映像のダビングには参加したんですけど、映像も迫力があって音楽の部分も新規の楽曲がフィーチャーされていたなという印象でした。あと『ガンダムUC』の楽曲がどうフィーチャーされていくのかはまだわからないんですけど、『ガンダムUC』の流れは汲みつつ、新規の作品と印象づけようとしているんじゃないかなって僕は感じましたね。あと今回のメインテーマは「Vigilante」というタイトルなんですけど、劇中でもバトルシーンで使用されているんですね。『ガンダムUC』では歌物がバトル・シーンで使われることはなかったんですけど、そこも新しい感覚だなと思っていて。

LiSAさんが歌えば、これまでのボーカリストの楽曲とは違うものにはなるんだろうなと

さて、『ガンダムNT』では劇伴のほかにもSawanoHiroyuki[nZk]として主題歌「narrative」も担当されています。しかも今回の参加ボーカリストがLiSAさんというのは驚きました。どんな経緯でこのコラボは実現したのでしょうか?

澤野 前作「Binary Star」でUruさんというシンガーと初めてコラボして、そのタイミングからDo As Infinityやそれこそ西川貴教さんに曲提供をするようになって、[nZk]の次の動きに向けてそういうアーティストと動くのも面白いですねってレーベルとも話していたんですね。そういう流れでLiSAさんの名前は、レーベルや『ガンダムNT』プロデューサーの小形(尚弘)さんからも出ていて、僕もやってみたいですねって話していたら、LiSAさん側もOKを出してくれて。

そうしたあらたなコラボに対して、澤野さんはどう制作していきましたか?

澤野 曲自体は去年の段階で、LiSAさんを起用する前から考えていました。あくまでもサウンド・アプローチは従来の自分がやっていたものをという形でやっていたんですね。なので作品のイメージに合うところを作ってそこにLiSAさんに乗っかってもらうというか、むしろ僕が乗っかっていったというか……。サウンドって世界観を構築するのに重要なんですけど、なんだかんだボーカリストの声ひとつで変わってくるじゃないですか。LiSAさんが歌えばこれまでのボーカリストが歌ってきたものとは違うものにはなるんだろうなって、そこを純粋に楽しめばいいんじゃないかなって思っていました。

レコーディングでは澤野さんがディレクションを?

澤野 いえ、LiSAさんのボーカル録りは僕自身もお邪魔したんですけど、本人にとっていちばんの環境でやってもらうのがいいと思ったので、彼女が普段やっているディレクターの横について、何かあれば僕が伝えるという感じでした。僕自身は細かく指示したというよりは、LiSAさんが曲に対してどうアプローチしようかというところは一致していたので、そのまま進めてもらえればいいかなって。

今回「narrative」を聴いて思ったのが、非常に歌詞が入りやすいハキハキとした歌唱だなと。そこはこれまでの[nZk]にはない新鮮なアプローチでした。

澤野 それはLiSAさんの歌い方でもあるんですけど、僕自身「narrative」はちょっと歌謡曲路線というか、自分が好きだった90年代のポップスを自分の音楽に入れ込みたいという思いがあったんですね。歌詞に関しても他の楽曲では洋楽を意識していて、意味はわからなくても英詞っぽく歌ってほしいと言っていたのが、今回は日本語の歌詞を意識して作っていたので。

なるほど、そこは事前に意識していたと。

澤野 『ガンダムUC』でも、元々(主題歌の)「RE:I AM」や「StarRingChild」はそういうアプローチではあったと思うので、『ガンダム』シリーズだからってわけではないですけど、そこは意識しましたね。

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