ドラマ『僕らは奇跡でできている』  vol. 5

Interview

ドラマ『僕らは奇跡でできている』に出演中の広田亮平。「人生で経験することに無駄なことはない」と悟る

ドラマ『僕らは奇跡でできている』に出演中の広田亮平。「人生で経験することに無駄なことはない」と悟る

今秋の連続ドラマは、若き才能の存在感が光ったクールだった。佳境を迎えつつあるカンテレ/フジテレビ系の連続ドラマ『僕らは奇跡でできている』(火曜夜9時)も、その1作。エンタメステーションでは、高橋一生演じる主人公・相河一輝の教え子たちにスポットを当てていく。アンカーは、教え子グループ4人の中では一番のしっかり者・須田巧役の広田亮平。子役時代から映画『あの空をおぼえてる』(08)やドラマ『鈴木先生』など、数多くの作品で光る演技を見せてきた若きベテランだ。俳優であると同時に大学4年生でもある彼に、等身大の役どころを演じて感じたことや考えたことを聞いてみた。

取材・文 / 平田真人 撮影 / 荻原大志

実生活でも大学に通って“普通の感覚”を知っていることは、さりげなく須田巧という役に生かせているように感じます

西畑大吾さんいわく、「男子チームでグループを引っ張ろう」と話をされていたそうですが、実際のところどうでしょう?

どうなんでしょう(笑)。でも、最終話を撮り終えるまでに、本当の友達のように仲良くなりたいなと思いますし、実はそんなに意識することなく、いい距離を取れているような気がします。休憩中もけっこう喋っていますし、楽しく過ごせている感覚が僕の中ではあります。

撮影に入ってしばらくしてから、4人で向き合ってお弁当を食べたそうですが、最近はどんな感じなんですか?

待機部屋の机が、みんな同じ方向を向いているので、動かすのが億劫で…つい、みんなで同じ方向を向いて食べてしまいがちなんです(笑)。同じ部屋を何度も使ううちに、何となく自分の席って決まってくるじゃないですか。しばらく机を動かさずに食べていたんですけど、最近はご飯を食べながらよく話すようになりました。

実年齢でも、広田さんと西畑さんと矢作穂香さんは同い年で、北香那さんは1歳下なんですよね?

そうなんです。なので、関係性など気にせずに喋っていて。僕は実生活でも大学に通っているんですけど、まさかリアルに大学生を演じられるとは思っていなかったんです。でも、せっかくの機会なので、いろいろと自分の生活の中で体験したことや感じていることを、役にも生かそうと考えている部分もあります。

西畑さんたち3人は、広田さんを頼りに“大学生らしさ”をつかんだところがあるとも話していて。

頼りにされているのかなぁ(笑)。ただ、自分が大学に通っているから意識したことがなかっただけで、確かに実際に行ってみないとわからないこともあるんですよね。なので、「こういう場合、大学生はどんな感じなの?」と、みんなから聞かれたら、「うちの学校はこんな感じだよ」っていう話をして。でも、みんな大学生っぽさがナチュラルに出ているように思います。

ドラマ『僕らは奇跡でできている』より

広田さん自身も大学生であることを役に投影できた部分があるかと思います。

確かにそうですね。子どものころから学校に行きながらお芝居の仕事をしてきたので…言い方が適切かわからないんですけど、ふだん生活をしていて疑問に思うことだったり、友達と仕事とは関係ない話で盛り上がることだったり、“普通の感覚”を知っていることは、いいアドバンテージになっているように感じます。そういう部分は、さりげなく須田巧という役に生かせているんじゃないかなぁ、と。

余談ですが、いつごろから俳優と学業を両立させようと考えていたんですか?

元々、あまり深刻に考えていたわけではなかったんです。でも、周りの大人の方々とお話する中で、「大学には行っておいたほうがいいよ」とアドバイスをいただいて。それはなぜかというと、これから生きていく上で必要な経験をするためなんだよ、と。その時は無駄に思えるかもしれないことも、行く行くは何かしらいい経験として生きてくるから、と言ってくださったんです。それで、大学に進もうと決めました。

大学はさまざまな地方から、いろいろな人が集まってくる場所でもあるので、それだけでも行く価値はありますよね。

高校は制服を着て同じように授業を受けていましたけど、大学は受ける講義によって人が変わりますし、服装や髪型や出身地もそれぞれなので、観察する上でも面白いですね。そう考えると、大学に通うというだけで得がたい経験をしているんだなと思います。僕はもう4年生で、通う期間も残り少ないんですけど、あらためて振り返ってみて行って良かったなって。実は、中退を考えたこともあったんですけど、通い続けてみたら、少なくとも無駄に感じるようなことはなかったです。

俳優さんとしても、4年という歳月は何かの糧になりそうですよね。

そうですね、今まではお芝居をしながら、仕事がお休みの日に学校へ行くというサイクルでしたけど、同級生たちも春からは社会人になりますし、僕も役者一本でやっていくということは、ある意味、役者業に就職するということにもなるので、この先の活動に向けて頑張らなければという気持ちがいっそう強くなりました。

ドラマ『僕らは奇跡でできている』より

高橋一生さんのように、役柄に色気を感じさせるような芝居ができるようになりたいんです

『僕らは奇跡でできている』に主演されている高橋一生さんは所属事務所の先輩ですが、広田さんと同じく子役出身という面でも、背中を追いかけていたりもするのかな、と…。

はい、どことなく似たような道のりを歩んでいるので、勝手にバックグラウンドを投影してしまっている部分もあります。一生さんのインタビュー記事を読むと、僕くらいの年齢の時には悩んでいらっしゃったと話していて…。そういった経験があったからこそ、素晴らしい役者さんとして活躍なさっているんだなと思うと、僕も今の年齢で経験できることを無駄にしないようにしたいです。

芸歴が長ければ長いなりの苦悩があるんですね…。

変な話、子役の時ってお芝居をちゃんとすることも大事なんですけど、単に子どもでいることも求められる部分もあるんです。そのあたりを意識していないまま大人になると、そこが自分に足りていなかったことに、今さらながら気づいてしまったりもして。そう考えると、芸歴が長いことと俳優として生きることは違う感覚でとらえないといけないんですが、小さい時は子どもだったから純粋な芝居をできていたところもあったと思うんです。ただ、年齢を重ねるうちに、反対に考え過ぎてしまうこともあって。そういった自然体の部分は自分の中に残しながら、いろいろと気持ちを切り替えて、続けていきたいですね。

そうやって考えるほどに難しいものがありますけど、このドラマのメッセージの一つとして、「思考停止に陥らず、自分で答えを考えることが大事」というのがあると思っていまして。用意された答えがはたして本当に正しいのか、考えるべきではないかという…。

ふだん生活している中でも、誰に言われたわけでもないのに、「これはこうなんだ」と自分の中で勝手に凝り固まってとらえているところもあるじゃないですか。相河先生は、「こうだよ」じゃなくて「こうだと思いますけど、みなさんはどう考えますか?」って導入してくれるから、そこに入り込めると思うんです。そういった部分でも…話がまた戻っちゃいますけど、僕は小さなころからお芝居をしてきたので、「こうだよな」と思いながら演じてきたところがあって。でも、今になって、「違うんだな、それは必要のないものだな」と削ぎ落としたり、「これは必要だな」と、その都度、取捨選択したりするものなんだと気づいたんです。そういう面で言うと、自分の生き方に通ずるものもあると思います。

なるほど、深いですね。では、俳優としての今後の生き方というわけでもありませんが、この先どんな役を演じてみたいですか?

今までは等身大である役が多かったので、年齢を重ねるにつれて、いろいろな引き出しを自分の中でつくって、さまざまな役を演じられるようにしていきたいという思いがあります。でも、どんな役がいいかな…カッコイイ役がやりたいですね(笑)。結構、素朴な性格の青年だったり、心優しい人の役だったりするので、カッコイイとは言わないまでも、一生さんのように役柄に色気を感じさせるような芝居ができるようになりたくて。それは、いろいろな人生経験を積まれてきたからこその色気だと思うので、経験に裏打ちされた自然なところから醸し出される雰囲気とかは憧れます。

ドラマ『僕らは奇跡でできている』より

ただ、俳優さんは役を通じていろいろな人生を経験できるので、そういう意味では経験値を多く積むことができたりもするんですよね。

確かに、自分の人生ではなり得ないだろう人物にも、演じることで「もし、自分がこの人として生きていたら、こうしていたかもしれない…」と、違う可能性を感じることができるのは、得な仕事だなと思います。でも、本当に自分はまだまだ経験が足りないので、これからいろいろとやっていきたいですね。

演じた役の数だけ人生を体験できるというのは、すごく特殊な仕事だと思います。

さっきもお話したように、役を演じていない…大学生の広田亮平が日常生活で経験することも、間違いなく役の血肉にはなっているんですけど、おっしゃるように今まで演じてきた役の人生も経験してきたので、それはまた別のところで生かしたいです。

今演じている須田巧という青年として経験した人生は、この先どのように生きていくんでしょうね。

どうなんでしょう…最終話の結末を見てみないことには何とも言えないですけど、第1話から演じてきた自分としては、ちょっと須田のことが心配になったりもします。「これ!」という将来の目標が定まらなくて、悩んでいるところだと思うんですよ。それは須田の性格も関係しているでしょうけど、「何々になりたいから、その大学へ行く」というより、「何になりたいかを見つけに行くために、とりあえず大学へ行く」というニュアンスに近いのかなって。でも、相河先生の講義を取って動物行動学を学んでいるということは、彼自身の中に潜在意識的としてあるものなのかわからないですけど、いろいろと取り込んでいってほしいなと、須田の中にいる僕としては思います。そして須田がいずれ見つける“何か”は、僕自身にも何らかのかたちで生きてくる気がしています。

ドラマ『僕らは奇跡でできている』より

ありがとうございます。あと、これは広田さん自身への質問として…お仕事など関係なしに、今何か気になっていることや興味を持っていることって何でしょうか?

何だろうな…僕が文系だからというのもあると思うんですけど、理数系に憧れがあります。科学や宇宙、化石や遺跡の発掘といったように、自分の知らない世界や分野を学んだり調べることにロマンを感じていて。たぶん…男の人であれば何となく共感していただけると思うんですけど、早かれ遅かれ一度は興味を持つジャンルじゃないですか。早い人だと小学生くらいの時に好きになったり。僕の場合、今になって興味が出てきました(笑)。自分がそういう仕事をしていたら、きっと楽しいだろうなといった想像もするんですけど、実際になることはないだろうなとわきまえてもいて。だからこそ、憧れるのかもしれないですね。

でも、それこそ役で科学者を演じるかもしれませんよね。

そんなふうに、自分が憧れる職業を演じられたり、ロケで自分が行きたかった土地や場所へ行けたりするのも、今の仕事の“お得”なところだと思います(笑)。「何々になりたい」という子どもの時に抱いていた気持ちって、ある程度大人になってくると忘れたり消えたりしてしまうじゃないですか。でも、役者のお仕事をしていると、あくまで役ではあるんですが一時的に経験できるので、ずっとそういう「なりたい」気持ちを持っていたいです。

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広田亮平(ひろたりょうへい)

1996年12月4日生まれ。神奈川県出身。
幼い頃から芝居をはじめ、数多くのテレビドラマ、映画などで活躍。近年の主な出演作に、大河ドラマ『真田丸』、『花燃ゆ』、ドラマ『特捜9』、『水戸黄門』、映画『魔女の宅急便』、『桜ノ雨』、『相棒 劇場版Ⅳ』など。来年1月13日スタートの連続ドラマW『孤高のメス』(WOWOW)に出演する。

フォトギャラリー

ドラマ『僕らは奇跡でできている』

毎週火曜 夜9時~9時54分(カンテレ・フジテレビ系全国ネット)

キャスト:
高橋一生 榮倉奈々 要 潤 児嶋一哉
西畑大吾(なにわ男子/関西ジャニーズJr.) 矢作穂香 北 香那 広田亮平 / 田中 泯
トリンドル玲奈 阿南健治 戸田恵子 小林 薫

脚本:橋部敦子
演出:河野圭太(共同テレビ) 星野和成(MMJ) 坂本栄隆
プロデュース:豊福陽子(カンテレ) 千葉行利(ケイ ファクトリー) 宮川 晶(ケイ ファクトリー)
制作協力:ケイ ファクトリー
制作著作:カンテレ
オフィシャルサイト
https://www.ktv.jp/bokura/


『僕らは奇跡でできている』“チェインストーリー”

※毎週火曜各話放送終了後から配信開始

普段はほとんど誰とも会話しない講師・沼袋順平(児嶋一哉)が、登場人物にまつわる仮説を検証するドラマ。

GYAO
https://gyao.yahoo.co.jp/special/bokura_drama/

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