LIVE SHUTTLE  vol. 30

Report

藤巻亮太 @Zepp Tokyo 2016.5.27

藤巻亮太 @Zepp Tokyo 2016.5.27

取材・文 / 小貫信昭


藤巻亮太にとって、2012年のソロ第一弾アルバム『オオカミ青年』は、“これまでじゃない自分”を目指したものだった。彼がソロをやる理由はそこにあった。でも今年になってリリ-スされた2ndフルアルバム『日日是好日』は、“これまでのすべてが自分”という、そんな“肯定”のもとで制作された。禅の言葉を引用した『日日是好日』というタイトルは、まごうことなきその“肯定”を意味する。そしてそんなアルバムを引っ提げてのツア-なのだから、当然セットリストには“オオカミ”も“好日”も、さらには“レミオ”も仲良く並んでいた。

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実にいいライヴだった。理由を書く。ライヴというのは観客の顕在的反応(会場全体がノリノリ、みたいなこと)と潜在的反応(心に滲みる歌を目を閉じて聴く、的なこと)の合わせ技であってこそ真に充実する。そう。そんなライヴだったのだ。観客は上腕二頭筋を伸ばしワイパ-で盛り上がったし、彼の書いた歌の文句じゃないけれど、“瞳を閉じれば”さながらに、歌を心に染み込ませた瞬間もあった。わたしは会場であるZepp Tokyoの二階席から、微笑みながらそんな光景を眺めていた。 いよいよ半袖の季節がやってきて、「あの曲、聴きたいなぁ」と思っていた作品がオ-プニングだった。新作からの「夏のナディア」。湖面を滑走するかのようで、全体の色彩感としては水彩の絵の具を思わせる作品。そして彼のライブでは定番の「ハロ-流星群」。まるで音楽というシャトルに乗って、Zeppの屋根が抜け、この建物の横にあるアトラクションの観覧車をも越え、空へ空へ上昇していくような気分だった。

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最近はレミオロメン時代の作品も分け隔て無く歌えるんだと彼は言いつつ、「ほんと、いい曲が多い」と他人事っぽい表現で会場を和ませる。でも「太陽の下」を聴いて、まさに「いい曲が多い」と、あれこれ他にもあの時代を思い浮かべている自分がいた。
「おくりもの」という歌は、一語一語がしかと胸に届く作品だ。父や母のことを正面から歌う内容ゆえ、ややもすると衒いも伴いそうだが、今の彼ならそれが出来る。自分のこれまでの“全史”に嘘をつかないソング・ライティングが出来る。さらに「大切な人」。ニベアのCFソングで、当初はボ-カリストとしてのみ参加したものだった(CFで流れた部分以外をあとから彼が増補し、オリジナル曲として作品化した)。実はこの時、CF用に英語ヴァ-ジョンもトライしたと話すと、観客からの促しもあり、英語版で歌おうとする。が、うまく行かない。するとキ-ボ-ドの河野圭が、絶妙な間合いで再びイントロを弾き、藤巻がちょっと慌てる場面も。ただ、「こういうの(→何度も弾くようなこと)好きなんですよ、河野さん(笑)」、と、そう収めてみせるあたり、基本的に藤巻は冷静沈着な男なのだろう。

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「月食」は滲みた。すでに演奏した「オオカミ少年」もそうだが、この時代の作品には感情のリアルな断面をそのまま晒す感覚がある。一方の最新作『日日是好日』は、気持ちにほころびを生じる以前の手当が早い。とはいえちょっとした問題作、というか、意欲作が。それは「かすみ草」。五拍子で作られた作品で、しかしバンドの演奏はお見事そのもの。自然に体が反応する音楽の分母である四拍子と違い、メンバ-全員、この曲ならでは“決まり事”、その緊張感を大いに楽しんでいる様子だった。
ところで、声質そのものには、どこか牧歌的なとこも感じる藤巻だが、ステ-ジの動きは俊敏そのもの。日々、サッカ-で体を鍛えているそうだが、演奏中、ふとみせる左右のステップなど、切れ味バツグンだった。新曲「go my way」には、彼がいま想うこと、彼がいま伝えたいことが凝縮され、力強さとともに響いてた。そして「花になれたら」の、伸びやかさと豊かさを供えた歌声に圧倒される。

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本編の最後には「春祭」を。このツア-のタイトルもこの曲に由来する。和の世界観にがぶり寄るようで、アフリカの大地とも地下水脈でつながっているかのようなポリリズムな感覚も何処かに宿るこの作品。メンバ-全員、法被(はっぴ)を着込んでの演奏というのはウケた。その姿に関して、自ら「町内会長のようだ」と藤巻が話すと、会場からは「会長!」、というかけ声が(笑)。でもロック・ミュ-ジシャと法被って、来日したビ-トルズの羽田飛行場での姿も彷彿させるわけで、そんな風に見えなくもなかった(ギタ-の受け渡しに出てくるスタッフの人も法被姿だったのが、祭りの雰囲気を壊すことなくて実に良かった。細かいことだが大切なことだ)。

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アンコ-ルのラストは「8分前の僕ら」。そしてダブル・アンコ-ルでは、ギタ-一本で「3月9日」を歌ってくれた。別腹も満腹になった。彼自身、思い悩んだ日々もあったと聞くが、包装紙だの箱だのを取り払って出てくる“正味”の藤巻亮太こそが、明日の彼を造っていくのだろうし、その充実を確認出来たライヴだった。彼の作品には長く残ってる楽曲、長く残るであろう楽曲が多い。洗うごとに風合を増すリネンのシャツのような、そんな藤巻の歌を、これからも大切に聴いていきたいと思う。

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藤巻亮太 TOUR 2016 〜春祭編〜@ Zepp Tokyo 2016.5.27 セットリスト

01:夏のナディア
02:ハロー流星群
03:Weekend Hero
04:回復魔法
05:太陽の下
06:おくりもの
07:大切な人
08:オオカミ青年
09:月食
10:花になる
11:かすみ草
12:go my way
13:My Revolution
14:スタンドバイミー
15:花になれたら
16:日日是好日
17:春祭
~EN1~
EN1:南風
EN2:8分前の僕ら
~EN2~
EN3:3月9日

リリース情報

配信Single

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go my way

日本テレビほかオリジナルTVアニメ「エンドライド」エンディングテーマ
2016年5月11日(水)配信



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日日是好日

2nd Album発売中

VICL-65039 ¥3,000+税
※初回生産分のみスリーブケース仕様

【収録曲】全12曲
01.花になれたら
02.Weekend Hero
03.回復魔法
04.日日是好日
05.8分前の僕ら(ネスレ「KIT MUSIC」第一弾ソング)
06.夏のナディア
07.My Revolution
08.大切な人(“NIVEAブランド” 2015年TV-CMソング)
09.かすみ草
10.春祭
11.おくりもの(AOKIフレッシャーズTV-CMソング)
12.ing

藤巻 亮太

2000年12月、小学校からの同級生3人で「レミオロメン」を結成。2003年、ミニアルバム『フェスタ』でデビュー。
特に『3月9日』、『粉雪』は、世代を超え支持され続けている代表曲である。
2012年、レミオロメンの活動休止を発表し、ソロ活動をスタート。
2016年3月23日、約3年半振りとなる待望の2ndアルバム『日日是好日』をリリース、最新曲「go my way」も好評配信中。
公式サイト:http://www.fujimakiryota.jp/

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