LIVE SHUTTLE  vol. 309

Report

The Birthday ライブハウスでは感じにくい彼らの大事な魅力をたっぷりと味わえた一夜

The Birthday ライブハウスでは感じにくい彼らの大事な魅力をたっぷりと味わえた一夜

The Birthday TOUR 19 NIGHTS 2018 AUTUMN
2018年11月29日 中野サンプラザ

The Birthdayにとっては、初の中野サンプラザでのライブとなる。ライブハウスでのオールスタンディングがこのバンドのレギュラー・スタイルだが、今回の“TOUR 19 NIGHTS 2018 AUTUMN”は、10月12日の大阪NHKホールからスタートして、ファイナル11月29日が中野サンプラザという仕立て。The Birthdayは武道館公演も行なっているから、椅子のある場所でのパフォーマンスが初めてというわけではない。しかし、通常のホールでのThe Birthdayのライブとは、どんなものなのか。興味を掻きたてられて足を運んでみると、そこには予想もしなかった発見があったのだった。

広々としたサンプラザのステージにはドラムセットとアンプ類が置いてある。背後は真っ白なカーテンで覆われている。ごくシンプルな造りだ。即日ソルドアウトということで、客席を埋めているのはThe Birthdayのコアなファンだ。Tシャツ&タオル姿はいつもと同じだが、ホールなので勝手が違うのか、少し緊張しているようにも見える。

暗転になり、例によってオープニングSE の「Sixteen Candles」が流れる。その音量がハンパない。僕はこれまで何度もサンプラでライブを観てきたが、かつて経験したことのないほどのボリュームだ。チバユウスケ(vo&g)、フジイケンジ(g&vo)、ヒライハルキ(b)、クハラカズユキ(dr)の4人が登場して位置に着くと、大音量の「Sixteen Candles」がブチッと切られ、替わってチバがギターでリフを弾き始めた。その音量がまた、ハンパない。今年6月にリリースしたシングル「THE ANSWER」はイントロのギター・コードが命の曲で、それをこれだけの音量で掻き鳴らされたら、たまらない。オーディエンスはガツンとやられて、一気に“ホールでのThe Birthday”の世界に引き込まれたのだった。

その後もThe Birthdayはガンガン飛ばす。フジケンがギターで口火を切る「ホロスコープ」、バンドの轟音からチバの歌が抜け出す「STAR SUGAR BOAT」と序盤が進む。

「ハロー! こんばんは、The Birthdayです。よく見えるわー。ようこそ、ようこそ」とクハラが言う。サンプラザはステージの間口が広く、ミュージシャンから、一階席も二階席もよく見渡せる。当然、ライブハウスとはまったく異なる景色を、メンバーは楽しんでいるようだ。

 

ギターで美しいアルペジオを奏でるフジケンを、サスの照明が浮かび上がらせると、始まったのは「夢とバッハとカフェインと」だった。メロディアスなミディアム・テンポのロックに合わせるように、照明がステージを真赤に染め上げ、ホールならではのThe Birthdayのカッコよさが浮き彫りになる。ブレイクでランニングするヒライのベースラインも、ライブハウスとは少し違って、メロディがはっきり聴こえてくる。

中野サンプラザでのThe Birthdayの見どころは、ここにある。このバンドは、メロディが素晴らしく良い。それがサンプラザでは、ありありと感じられるのだ。オールスタンディングの一体感もいいが、近過ぎることで、音の微妙なニュアンスやメンバーのたたずまいを見逃すことがある。ライブハウスとは違って、The Birthdayに少しの距離を持って接すると、普段は気付きにくい魅力が見えてくる。

特に名曲「抱きしめたい」では、安定したクハラのキックドラムとヒライのベース、そこに色彩を添えるフジケンのギターの必要最低限のオブリガードが、チバのボーカルをベストの状態で届けてくれる。この歌のスケールの大きさが、如実にわかるパフォーマンスとなった。それで♪俺は決めたんだ あのクズ共から 世界を奪い返すって♪という歌詞が、いつも以上の説得力で響く。オーディエンスたちは、このThe Birthdayの愛にあふれるメッセージをストレートに受け取って、感動の歓声を上げる。名曲を爆音で演奏するという離れ業を、The Birthdayはサンプラザで見事にやってのけたのだった。

「中野だね、中野。中野ってさ、でかいよね。知ってるよ」と唐突にチバが言うと、オーディエンスがクスクス笑う。リラックスした雰囲気がいい。続いては「さよなら最終兵器」。この曲といい、「抱きしめたい」といい、抒情的なナンバーが続く。激しくてワイルドなThe Birthdayもいいが、このバンドのファンには“歌モノ”が好きな人も多い。心に言葉が沁みる曲が、サンプラザによく似合う。ステージ背後にドクロロゴのバックドロップが現れ、カラフルに彩る。照明も含めて、The Birthdayの“歌モノ”に焦点を当ててライブが展開される。それに呼応するように、フジケンがいつも以上にセンチメンタルなギター・ソロを弾いた。次の「愛でぬりつぶせ」まで、The Birthdayのロマンティック・サイドを堪能したのだった。

一方、「VINCENT SAID」では、フジケンのギターがディレイで左右に揺らめき、幻想的なサウンドがサンプラザを包み込む。チバはハンドマイクで、“叙事詩”を語るように歌う。「24時」ではミラーボールが会場に光を巻き散らし、これもまた“ホールのThe Birthday”のハイライトとなった。

まず、フジケンが、たった一人でムードたっぷりにギターを弾き始めた。次の曲に入る前の、うっとりするほどの“前歌”だ。思わず目を閉じて聴きたくなる。と、一転、フジケンはギャーンとエッジーなコードを弾き、アームで音程を上下させてスリルを演出。

激しいコード・カッティングで「なぜか今日は」が始まるタイミングで、銀色のテープがステージから客席に発射され、いよいよライブが大団円を迎える時が来た。オーディエンスは銀テープを手に持って、ハンドクラップする。「1977」ではオーディエンスが追っかけコーラスで参加する。最新シングル「青空」のカップリング曲「FLOWER」ではフジケンとチバが向かい合ってギターを弾き、フジケンが初めて歌を披露すると大歓声が上がった。チバが「フジケンに歌わせるつもりで作った」という♪真っ赤なRADIO♪というフレーズが、やけに耳に残る。

本編最後は、クハラがドラムスティックでカウントを出して、この10月にリリースされたシングル曲の「青空」。ドラムとベースがポリリズムで絡み、そこにフジケンがギター・リフを乗せる。最新のグッド・メロディで、ライブを締めくくったのだった。

アンコールでは、缶ビールを持って現われたチバが、「そろそろ吹くんじゃないかと思って期待してたんだけど、今年は吹かないかもってTVが言いやがって。気にくわねえなあ。」と、木枯らしの来ない暖冬をボヤく。チバの刻む3連符のコード・カッティングが印象的なブギー「木枯らし6号」がスタート。次の「涙がこぼれそう」では、チバが今度はゆったりとギター・コードを弾いて、オーディエンスにシンガロングをうながす。「今日は最後の中野サンプラザだぜ。お前らと一緒だ!」と言ってオーディエンスと共に歌い切ると、右と左の客席に乾杯をするように缶ビールを掲げ、正面を向いて一気に飲み干した。客席から、ツアー・ファイナルをねぎらう歓声が上がる。メンバーはそれぞれに手を振って、感謝の気持ちを表わしながら去っていった。

終演後にストーンズの「AS TEARS GO BY」が流れても、オーディエンスたちは帰ろうとしない。しばらくして再びメンバーが登場して、ダブル・アンコールは「くそったれの世界」。愛を込めて仲間に「くそったれ」と呼びかけるThe Birthdayらしいこの歌を、オーディエンスも一緒に歌ってバンドに愛を返す。ホールならではの余韻を残して、平成最後のThe Birthdayのワンマン・ライブは幕を閉じた。

帰りがけに配られたフライヤーで、来年2月13日に2019年第1弾シングル「OH BABY!」がリリースされることが発表された。それは、音楽を作ることとライブをこよなく愛するThe Birthdayらしい“お土産”となった。

取材・文 / 平山雄一
撮影 / 新保勇樹(Yuki Shimbo)

TOUR 19 NIGHTS 2018 AUTUMN
2018年11月29日 中野サンプラザ公演セットリスト

1.THE ANSWER
2.ホロスコープ
3.STAR SUGAR BOAT
4.夢とバッハとカフェインと
5.VICIOUS
6.I KNOW
7.抱きしめたい
8.さよなら最終兵器
9.愛でぬりつぶせ
10.ダンスナンバー
11.VINCENT SAID
12.24時
13.TWENTY FOUR
14.なぜか今日は
15.1977
16.FLOWER
17.青空

Encore 1
1.木枯らし6号
2.涙がこぼれそう

Encore 2
1.くそったれの世界


リリース情報

シングル「OH BABY!」
2019年2月13日発売
UMCK-5665 ¥1,100+税

1.OH BABY!
2.SUMMER NIGHT

The Birthday

Vocal & Guitar:チバユウスケ(7.10)
Guitar:フジイケンジ(3.08)
Bass:ヒライハルキ(6.20)
Drums:クハラカズユキ(4.03)

05年9月,チバユウスケ(Vo&G)が中心となって結成。2010年末から現メンバーに。
結成10周年となる2015年には、5月と6月にシングル「I KNOW」「MOTHER」を2カ月連続リリース、9月には初のベストアルバム「GOLD TRASH」をリリースする。同月3度目の日本武道館公演を成功に収め、その翌月8th Album「BLOOD AND LOVE CIRCUS」をリリース。
2016年11月、シングル「夢とバッハとカフェインと」を、2017年3月シングル「抱きしめたい」をリリース、5月にはその表題曲を収録した約1年7ヶ月ぶりのAlbum『NOMAD』をリリース。
その月末よりバンド史上最多公演数となる全国45公演の「The Birthday TOUR 2017“NOMAD”」を開催、ラスト5公演を収録した初のライブアルバム「LIVE AT XXXX」を2018年1月にリリース。6月には約1年ぶりのシングル「THE ANSWER」をリリース、好評かつ好調の中、同年2枚目となるシングル「青空」のリリース。10月12日からは初の中野サンプラザ公演を含む全国ツアーを行った。

オフィシャルサイト
http://www.rockin-blues.com/
http://www.universal-music.co.jp/the-birthday/

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