モリコメンド 一本釣り  vol. 96

Column

Bluems 独創的な日本語、オーセンティックなギターポップ&ロックバンドが鳴らすサウンドの魅力

Bluems 独創的な日本語、オーセンティックなギターポップ&ロックバンドが鳴らすサウンドの魅力

シュガーベイブ、Cymbals、初恋の嵐、Aztec Camera、TEENAGE FANCLUB、The PRIMITVES。10代の頃から、“”ポップスを演奏するバンド“に強く惹かれてきた。音楽の原体験が大瀧詠一の「A LONG VACATION」で、その後、パンクロック経由でロックンロール・バンドが好きになった筆者にとって、”ポップ“と”バンド“を同時に体感できるのは大きな喜びであり、それを満たしてくれるのが最初に挙げたバンドというわけだ(もちろん他にもたくさんありますが)。

今回紹介するBluemsもまた、優れたポップを奏でるバンドのひとつ。2015年に開催した“恋する円盤”の元メンバーである大塚真太朗(Vo/G)、大塚薫平(Dr)を中心に辻本秀太郎 (Ba)を加えて2016年に活動スタート。結成から半年で「出れんの!? サマソニ!? 2016」を勝ち抜き「SUMMER SONIC 2016」に出演。さらに昨年2017年には、SEKAI NO OWARI、Offical髭男dismなどを輩出してきた音楽レーベル・Lastrum主催オーディションで約3000組の中から ファイナリストに選出されるなど、急激な注目を集めてきた。彼らの音楽の魅力はずばり、“際立ったポップセンスを感じさせる楽曲”“バンドならではの生き生きとしたグルーヴをたたえたサウンド”ということになるだろう。資料に掲載されているフェイバリット・アーティストは、Teenage Fanclub、Weezer、The Beatles、Girls。60年代〜現在までのポップミュージックを吸収しながら(特に10年代以降のUK/USのインディーポップのテイストの取り入れ方は抜群)、独創的な日本語のポップソングに昇華させるソングラインティング、そして、打ち込みに頼らず、ギター、ベース、ドラムによる有機的なバンドサウンドは、既にかなり高いレベルに達している。何よりも“小さくまとまらず、思い切り音を鳴らそう!”という解放的なパワーがはっきりと伝わってくるのが素晴らしい。

2018年12月12日にリリースされた1stミニアルバム『恋について』は、オーセンティックなギターポップバンドとしてのBluemsの本質がはっきりと示された作品だ。1曲目の「それは涙じゃなくて」は、瑞々しくハジけるギターリフから始まるアップチューン。シャープなギターのカッティング、心地よい疾走感に溢れたドラム、豊かなグルーヴをたたえたベースが絡み合うアンサンブル、サビに入った瞬間にパッと視界が開けるようなメロディライン、そして、“会えない人”に向けた切ない歌詞によって、聴く者の心をギュッと掴んでしまう3分半のポップマジックが、この曲には確かに宿っている。青い空を想起させるようなポップネスと失恋の悲しみを反映したリリックが生み出すコントラストも魅力的だ。

続く「ペーパータウン」は80年代後半のパワーポップ直系のナンバー。ギャンギャン鳴らされるディストーション・ギター、ドラマティックなメロディを際立たせるハーモニーなど、メンバー3人のプレイヤビリティがふんだんに盛り込まれているところも、この曲の聴きどころだろう。

3曲目の「恋人たち」は、まるでザ・ローリング・ストーンズにようなギターのアンサンブルから始まるミディアムチューン。もちろん(?)イナたいブルースロックではなく、恋人同士の親密な時間をリリカルに描き出すポップナンバーに仕上がっている。ルーツミュージックを色濃く反映させながら、誰もが楽しめるポップソングに結びつけるセンスもまた、このバンドの良さだ。

豊富な音楽知識、意外性に富んだアイデアに裏打ちされたアレンジの妙が楽しめるのが、4曲目の「週末のフール」。中期ビートルズ的なサイケデリックな色彩を散りばめたサウンド(楽曲の真ん中では“逆回転サウンド”も取り入れています)、重層的なコーラスワーク、物語性を感じさせる旋律など、本作のなかでもっとも音楽的な意匠が凝らされている楽曲と言えるだろう。

ミニアルバムの最後を飾るのは、タイトルトラック「恋について」。全編に渡って“恋”をテーマにした本作における、もっとも中心的な楽曲だ。特に心に残るのは、“形のないものは探さずに いま自分の隣にいる人を見よう”というライン。シンプルな言葉で本質を射抜くようなリリックは、大塚真太朗のソングライティング・センスを証明していると思う。感情の起伏とリンクするように、激しくかき鳴らされるギターソロもカッコいい。

マニアックな音楽ファンをニヤリとさせ、ごくフツーのJ−POPユーザーを惹きつけるだけの間口の広さも、このバンドの特徴。Bluemsのブレイクによって、ギターロック、ギターポップの潮流が再び戻ってくることを切に願う。

文 / 森朋之

その他のBluemsの作品はこちらへ。

オフィシャルサイト
http://www.lastrum.co.jp

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