Review

藤原さくら、これまでのディスク・レビュー

藤原さくら、これまでのディスク・レビュー

藤原さくら、これまでのディスク・レビュー

 

今作「Soup」リリース前に発表された3作品についてのレビューにて、彼女の音楽性、歌声の魅力をさらに深く味わう。表舞台での活動期間はまだわずかではあるが、そこにシンガー・ソングライターとしての成長をもかいまみれるだろう。

文 / 永堀アツオ 撮影 / 冨田 望


fullbloom

ALBUM
2014年3月5日発売

『full bloom』

WGCA-3011 / ¥2,000+税

【収録曲】
01.passing time
02.Ellie
03.綺麗な夜
04.嘘つき
05.流れ
06.お月さま
07.Station
08.良いよ
09.ラタムニカ
10.愛の街
11.Lucky boy
12.Goodbye


2014年にインディーズからリリースした12曲入りのフル・アルバム。彼女が高校3年生のときにリリースした4曲入りのミニ・アルバム『bloom1』『bloom2』『bloom3』の3枚からアコギによる弾き語り曲を除いた各3曲ずつに加え、新曲3曲を追加し、上京前の3月に発表。完全な英語詞曲は「Ellie」の1曲のみで、ほぼ日本語の歌詞による楽曲が占める。低いトーンで吐き出される「嘘つき」や「ラタムニカ」は、自分ではどうしようもできない苛立ちや怒りが込められており、ここまでネガティブなエネルギーの発露はメジャー・デビュー後はあまり感じられない。福岡のヴォーカル・スクールでキーの低さを個性と捉えられるようになり、そんな自分の歌声に合う楽曲を模索していた時期の集大成とも言える一枚。ラスト・ナンバー「Goodbye」で故郷に涙をこらえて手を振って別れを告げ、メジャー・デビューへ向けた準備期間へと入る。


à la carte

MINI ALBUM
2015年3月18日発売

『à la carte』

VICL-64288 / ¥1,800+税

【収録曲】
01.Walking on the clouds
02.Cigarette butts
03.My Heartthrob
04.Just one girl (Original Ver.)
05.We are You are
06.ありがとうが言える


2015年3月にスピードスターレコーズよりリリースされた、メジャー・デビュー作となるミニ・アルバム。SPECIAL OTHERSのYAGI & RYOTA、H ZETTRIOのH ZETT M、SOIL&“PIMP”SESSIONSの秋田ゴールドマン、Curly Giraffe、高田漣、坂田学など錚々たるミュージシャンが参加し、フォーク、ブルース、カントリー、ジャズなどのアメリカのルーツ・ミュージックを軸とした独自の世界観を構築している。レコーディングは一発録りがメインで、人肌の温もりや隙間も大切にした音になっている。また、6曲中4曲がオール英語の歌詞で、2曲が日本語のみの歌詞と、歌の言葉は完全にセパレート。リード曲は1曲目、英語歌詞でザ・ビートルズなどのUKミュージックからの影響も感じさせる「Walking on the clouds」。上京後にライブ活動を本格化し、たくさんの人に出会ったことで、聴き手に支えられていることを実感した経験を反映。“あなたといたら雲の上を歩いているような気分になれるわ”という幸せな気持ちを歌っている。


good morning

ALBUM
2016年2月17日発売

『good morning』

VICL-64482 / ¥2,800+税

【収録曲】
01.Oh Boy! 
02.「かわいい」
03.I wanna go out
04.maybe maybe
05.How do I look?
06.1995
07.BABY
08.good morning
09.Give me a break
10.これから
11.You and I


前作『à la carte』に参加したプロデューサーや演奏陣に加え、Little Creaturesの青柳拓次、鈴木正人、栗原務、OvallのShingo Suzuki、mabanua、関口シンゴが参加。これによって、フォークやカントリーのムードはそのままに、藤原自身もハマっているというワールド・ミュージックの要素も混入するようになった。藤原にとってはmabanuaとの作業が強烈な印象を残したようで、「将来の夢はmabanuaさんになりたい」とコメントしているほど。また、前作では、あえて英語歌詞にすることで、言葉では伝わらない部分も歌や楽器で表現していきたいというチャレンジが行われていたが、本作では11曲中5曲がオール英語歌詞で、他の6曲では日本語と英語を混ぜたスタイルに挑んでいる。リード曲は、SPECIAL OTHERSのYAGI & RYOTAがプロデュースしたジャジーなカントリー「かわいい」。“スモーキーでブルージーでアンニュイな歌声”と称されることが多い彼女だが、ここでは“あなたにかわいいって言われたい”という等身大の思いをキュートな歌声で表現している。