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すべての人に遊んでほしい!『ミリオンアーサー アルカナブラッド』製作陣が込めた対戦格闘ゲーム愛

すべての人に遊んでほしい!『ミリオンアーサー アルカナブラッド』製作陣が込めた対戦格闘ゲーム愛

最近、対戦格闘ゲームを遊んでいない人、興味はあるがどの作品から遊んでいいかわからないという人はいるだろうか。もしいるのであれば、『ミリオンアーサー アルカナブラッド』をおすすめしたい。本作は、ゲーム、アニメ、漫画など多彩な展開を見せる『ミリオンアーサー』シリーズの新たな試みとして世に送り出された2D対戦格闘ゲームとなっている。こう書くと、いわゆるキャラクターゲームを想像する方がいるかもしれない。有名IPを使ったキャラクター対戦格闘ゲームというのは世にたくさん出ており、それらはなかなかに大雑把なゲームバランスをしている。それもそのはず、簡単な操作でキャラクターの贅沢な動きを楽しむというのがキャラクターゲームのウリであるから、カジュアルに遊べることが重視され、コアな対戦格闘ゲーマーがプレイし続けることが想定された作品というのは少なくて当たり前なのだ。
しかし、今回紹介する『ミリオンアーサー アルカナブラッド』は、『ミリオンアーサー』というIPを大事にしつつも、もっとも重きを置いているのは対戦の面白さや奥深さであると断言できる。この作品から対戦格闘ゲームを遊ぶ人のためにハードルこそ低くしているが、その奥深さは計り知れない。本作は、アーケード版の稼働からPlayStation®4版が発売されるまでに1年の間があったが、新たなテクニックや対策などがいまだ話題として盛り上がるなど、対戦シーンが絶えず活性化していたことが良い作品の証明となるだろう。今回の記事では、本作の対戦格闘ゲームとしての魅力を中心に紹介していく。

文 / 浅葉たいが


※記事の後半でアンケートを実施中です。ぜひご参加ください!

遊びやすく、ハマりやすい対戦格闘ゲーム

『ミリオンアーサー アルカナブラッド』(以下、『アルブラ』)は、アーケード発の2D対戦格闘ゲームのなかでは非常に遊びやすい作品と言えるだろう。必殺技のコマンドにはシンプルなものが多く、『ストリートファイターⅡ』を発祥とする必殺技コマンド群を繰り出したことがある人ならば、すぐに基本的な操作に慣れるはず。そして、ビギナーにも優しい。入力の多い必殺技コマンドというのはほとんど存在せず、最も入力の多い“投げ”を得意とするキャラクターの一回転コマンドの超必殺技でも、↓\→+ボタンといった簡単なものになっている。

▲操作のレスポンスも良好。ダッシュやジャンプで軽快に動き回れる

▲大技も比較的簡単なコマンドで繰り出せる。必殺技発動の醍醐味を奪わない、ハードルを限りなく下げた工夫を図っている。写真の技は、居合アーサーの”乱れ雪月花”。スクウェア・エニックスの『ロマンシング サガ』シリーズのオマージュとなっている

ゲームの中身としてはオリジナリティあふれる、スピーディで新しいものとなっている。本作のキャラクターたちは、個性豊かな戦術を持つ。飛び道具と呼ばれるけん制手段が強力な剣サー、相手のガードを破る能力の高い二刀アーサー、スピードで相手をかく乱する盗賊アーサーなどさまざまだ。こうした個性がぶつかりあう闘いは、派手でめまぐるしい攻防の入れ替わりを引き起こす。見た目は完全に今風の対戦格闘ゲームであり、古き良き対戦格闘ゲームを遊んでいた人からすると少しコンボが長すぎる、攻めをどう守っていいかわからない等の心配が湧いてくるかもしれない。しかし、前述したようにその長いコンボもひとつひとつばらしていけば、シンプルなコマンドで構築されている。一見わかりづらい守りかたも、”攻撃回避”という強力なシステムがあるため、中級者まではひとまずこれに頼るだけで窮地を脱出できるはず。このシステムに対策を取られていることを自覚するようなレベルになってくれば、相手のキャラクターの攻めの仕組みもある程度わかるようになっているという塩梅だ。

▲キャラクターごとに得意とする攻撃や戦術が異なる

対戦格闘ゲームは、ハードルの高いジャンルだと言われる。必殺技のコマンド、基本的な連続技を自在に出せるようになるにはやはり練習が必要。そして、勝つことにこだわるのであれば、周りのプレイヤーも絶えず強くなっていくため、遊び始めてすぐに連戦連勝というわけにはいかない。本作もそういう見かたをすれば、ハードルの高い作品なのかもしれない。しかし、闘いへの入りやすさは特筆するべきものであると思う。対戦格闘ゲームのエッセンスとして大事なものをしっかり守りながら、小さな成功体験を感じさせてくれる歯ごたえは、近年の対戦格闘ゲームでも群を抜いたものになっている。入口は広く、奥は深い。言葉にするのは簡単だが、ゲームとしてしっかりとそれを感じさせてくれる本作は格闘ゲーマーだった人、格闘ゲーマーになりたい人にもってこいの作品だと思う。

以下の動画は、試合中の1ラウンドを切り出したものだ。一方的に見える試合でも、ほどよい逆転要素が備わっていることがなんとなくわかるはず。

闘いを奥深くするサポート騎士の選択

本作では、バトル開始まえに”サポート騎士”と呼ばれるお助けキャラクター的な存在を3体選択する形で”デッキ”を作り、そのデッキを試合中に駆使して戦うことになる。選んだサポート騎士によりキャラクターに新たなアクションがひとつ追加されるため、キャラクター選びと同じくらいサポート騎士選びは重要となる。サポート騎士の数は31体で、選びかたによって戦術は多様に変化するのだ。

▲総勢31体のサポート騎士から3体を選んでデッキを作成し、闘いに持ち込む。サポート騎士のラインアップはとても豪華。他作品からのコラボキャラクターも登場する。詳しくは後述

最近の対戦格闘ゲームでは、メインキャラクター以外の選択要素がある作品は少なくない。いわゆるお助けキャラクター的なものをバトル中に呼び出せる作品も流行している。ただ、こうした作品はその自由度ゆえに何を選び、どのタイミングで使ってよいかわかりづらいという側面を抱えていることが多い。しかし、本作のサポート騎士は、必殺技をひとつ追加するものと考えてもらっていい。サポート騎士の呼び出しは必殺技感覚で繰り出せるように、↓/←+ボタンで統一されている。呼び出せるシーンもわかりやすく、絶妙なタイミングで呼び出さなければコンボや連係が成立しないということもない。選択に迷うということはありそうだが、オンライン対戦やインターネットでの情報拡散が盛んなこのご時世、流行によるヒントは比較的つかみやすく、強いとされるサポート騎士にたどり着くのは難しいことではない。もちろん、完全にゼロから攻略を練りたいという方は、さまざまなサポート騎士を検証するのもいいだろう。自分で見つけた攻略や答えというのも、手ごたえがあって尊いものだ。

▲使いやすいサポート騎士の代表格である”第二型ベイリン”。攻撃範囲が広いため、けん制手段として便利だ

闘いを華やかにするコラボキャラクターたち

本作には、『ミリオンアーサー』の世界設定を背負うキャラクターだけではなく、他の作品との豪華なコラボキャラクターたちも登場する。『聖剣伝説3』の異界型リースと異界型ホークアイ(サポート騎士)のほか、『ハイスコアガール』の異界型 大野晶(サポート騎士)はアーケード版から続投、『叛逆性ミリオンアーサー』から山猫アーサー、『LORD of VERMILION IV』から異界型 咲山小梅、そしてSNKの作品である『THE KING OF FIGHTERS XIV』からは異界型 八神庵が加わった。

▲『THE KING OF FIGHTERS XIV』とのコラボである異界型 八神庵が、サポート騎士として『ハイスコアガール』のコラボである異界型 大野晶を呼び出し、それを『聖剣伝説3』コラボのリースがガードする。お祭り感満載の闘いも繰り広げられる

▲『叛逆性ミリオンアーサー』とのコラボキャラクター、山猫アーサー。重火器による攻撃を得意とする

対戦格闘ゲームというのは、キャラクターの動きを隅々まで表現できる素晴らしいジャンルだ。RPG出身のキャラクターであるリースや山猫アーサー、カードバトルゲーム出身である小梅などを操作すると、素晴らしい躍動感と動きの広がりを感じられる。そして、コラボ作品へのリスペクトも多分に込められており、わかる人だけにわかるネタなども細やかに収録されている。小梅の所有する使い魔が『LORD of VERMILION IV』の基本戦略に則ったものであったり、八神庵の通常技の性能などが『THE KING OF FIGHTERS XIV』のマニアックな仕様に基づいていたりする。

▲小梅は、オンラインマルチ対戦型トレーディングカードゲーム『LORD of VERMILION IV』の基本となる”7枚の使い魔カードによるデッキ構築”を意識し、『アルブラ』でも7体の使い魔を使役できる。写真は必殺技のエリゴス召喚

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