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生きて…リアルに描かれた『絶体絶命都市』で体感する被災地の真実

生きて…リアルに描かれた『絶体絶命都市』で体感する被災地の真実

プレイヤーを絶望させる被災地での恐怖

大地震で変わり果てた街の姿を見せつけられる本作は、先述した建物の倒壊以外にも、火災や液状化現象といった二次災害など、被災地の姿がとても細やかに、かつ残酷なほどリアルに表現されている。そんな状況下で、主人公を最も苦しめるのが余震だ。本作では脱出までの数日間、つねに余震の恐怖にさらされる。主人公には“ライフゲージ”が設けられており、ゲージがなくなると絶命してしまうので、余震が起こった際はよつん這いで態勢を低くし、転ばないようにしなくてはならないのだ。立ったままでいると、盛大に転んでライフゲージが減ってしまう。

▲余震で転んだりすると、ライフゲージが減るだけでなく“ストレス”も溜まる。ストレスは溜まるほど体力の最大値が減っていくので、揺れだしたときほど冷静に

▲セーブポイントが数個所設けられており、そこで休憩することも可能。休憩すればストレスが解消される

余震の恐ろしさは揺れるということだけに留まらない。大きな揺れが起きた際は、決まって建物や地面が崩壊したりと、さらなる災害を引き起こす。巨大なビルが建ち並んでいる通りなど、いつ揺れが始まりどの建物が崩れだすか、気になりだすと手汗が止まらなくなる。始まって早々にビルの倒壊が目の前で起こったのだが、あまりにも突発的な出来事で主人公を棒立ちのままにしてしまいガレキに押し潰された。そこからは揺れるたびにビビってしまうようになった。

大きな揺れが起きた場合はあたりを確認し、建物や地面が崩壊しだしたらダッシュですぐにその場から離れよう。頭上から落ちてきたものに当たったり、地盤の崩壊に巻き込まれたりすると死は免れない。建物や地面が崩壊する場合は、崩れだす建物や地面から土埃が立ち始めるので、それを目印に避難するのが確実だ。もちろん、安全を確保したら体勢を低くすることも忘れずに。巨大なガレキが落ちてくるとさらに大きな揺れが起きるので、せっかく崩壊から逃れても転んでライフゲージを減らしてしまう。

▲歩けない人を担ぎながらなど、特殊な状況下で移動することもある。人を担いでいるとダッシュができなくなるので、足場の崩壊などをいち早く察知して動かなくてはいけない

なんとか崩壊から免れたとしても、そこでひと息つけないのが本作の怖いところ。振り返って無残なガレキの山を見ていると、さっきまでたくさんの人々がガレキで埋もれた場所を歩いていたことを思い出してしまうのだ。そうすると、さらに恐ろしくなって立ち尽くしてしまう。加えてまわりを見渡すと、腰を抜かしている人もいれば、自分と同じ状態になっている人の姿も。震災をリアルに描く本作の術中に、自分もまんまとハマってしまったというわけだ。画面越しでもこれだけ恐ろしいのだから、現実で同じ光景を目の当たりにしたら……いや、想像したもくない。この状況で、全員を救助することができないのは残念だが、救助イベントはある。こういったイベントも被災地を舞台とした本作ならではの要素で、アイテムを使ってガレキに挟まれた人を助け出したり、救助隊を呼びに行ったりと、イベントによって救助の方法はさまざまだ。

▲港では、余震で波止場が崩壊。嫌な予感はしていたが、目の前で大勢の人たちが海の底に沈んでいく様はあまりにも異常で、ただ見ていることしかできなかった

主人公は市街地以外にも地下や水没した地区などに足を踏み入れるため、そのたびにさまざまな危険が身に降りかかる。たとえば、水没した場所を移動する際は空気で膨らむライフボートを使用するのだが、水面にはとがった木の枝が浮いているので、それに当たらないよう移動しなければいけない。もし木の枝に当たってしまうとボートの耐久ゲージが減ってしまい、ゲージがなくなると主人公は水中に沈んでしまい、そのままゲームオーバーになってしまう。また、水没した建物のなかでは、水中に潜ってアイテムを探すというシチュエーションも。潜水中は体力ゲージが減るだけでなく、ストレスが溜まって体力の最大値もどんどん減っていってしまうので、素早い探索が求められる。

▲水没しかけている団地のなかでは、とある親子が見ず知らずの主人公を泊めてくれた。気が抜けない状況で感じる優しさに心が震える

崩れかけている建物のなかを通る際には、建物がきしむ音がそこかしこから聞こえてくるので、もはや生きた心地がしない。「どうせ移動中に建物が崩れだすんでしょ?」と予想していたのにもかかわらず、突然大きな音とともに天井が落ちてくると思わず声を上げて顔を赤くしてしまう始末。被災地での移動は一筋縄ではいかないのだ。ただ、そのぶんさまざまな環境下での探索などが体験できるので、ストーリーが進んでいってもつねに新鮮な気持ちで臨むことができる。

▲しかし、朝になると急に大きな揺れが。命からがら建物から脱出するも、あとから来ると言った親子は建物と水の底に……

プレイヤーを苦しめるのは災害だけではない

たび重なる危険と恐怖で心をすり減らしていく本作だが、これらに加えて電気や水道など、ライフラインが使えないのも大きな問題となってくる。主人公には空腹、渇き、排泄欲といった“生理現象”も設定されているため、“食料”や“水分”を訴えるようになるのだ。とはいえ、被災地でそんなものは簡単に見つかるわけもなく、コンビニを見つけても品物はほとんどなくなってしまっている。本作で描かれる震災の恐ろしさは、建物の倒壊のようなインパクトがあるものだけではないのだ。ちなみに筆者は序盤、ちょっとでもお金を無駄遣いするわけにはいかないと食料と水をケチったため、空腹と渇きで主人公を苦しめることになってしまった。食料と水はライフゲージの回復やストレスの緩和にも使えるので、多少お金がかかっても多めに購入しておくことをおすすめする。

▲個人で物を売っている人もいる。こちらとしてはうれしい限りだが、自分が身に着けているものすら売らなければいけないほど切羽詰まっている人を見ると、いたたまれなくなってくる

道々で拾うことができる道具も本作では欠かせない。暗闇を照らす懐中電灯やガレキをどかすためのロープ、鉄パイプなど、日常生活であまり使わないようなものが、大いに役立つのだ。意外なものが意外なところに落ちていたりすることもあるので、先に進めなくなったら周囲を観察してみるのもいいだろう。落ちているものや複数の道具を組み合わせて使うことで道を作れるのも、被災地を舞台にした本作ならではの要素だ。ときには、通行人の話から先に進むためのヒントが得られることもあるので、周囲の人に話しかけてみるのも忘れずに。そのほかにも、入手できるコンパスやコスチュームの種類も充実している。たまには服装を変えて、いつもと違う自分になってみるのも一興だ。

▲先に進めず困っているときは、周囲の人に聞いてみると道具を譲ってくれることも。なかには、スクーターを貸してくれるような人までいる。これぞ助け合い精神

▲偶然見つけたチャイナドレス。最初に主人公が男性か女性かを選択できるのだが、男性でも女性ものの服を着ることができてしまう。天狗の面は……ついでに被った

▲コンパスもコスチュームと同様にユニークなものが数多くあり、さまざまな場所で拾うことができる

災害というデリケートな問題を含む現象をテーマにしている本作。それゆえに、腫れ物に触るがごとく中途半端な再現の作品になっているのではないか、という先入観があったが、それは違った。被災地の凄惨な様子や人々の行動が細やかに描かれており、プレイヤーに恐怖心を与えてくる。だが、だからこそそこで描かれる人間ドラマには感情移入しやすく、助け合うことで感じられる希望や、理不尽な現実に対する怒りなどが共感できるのだ。次回は、そんな本作で出会う人々とのやりとりや、主人公が見舞われるさらなる危険について掘り下げていこうと思う。

フォトギャラリー

■タイトル:絶体絶命都市4Plus -Summer Memories-
■メーカー:グランゼーラ
■対応ハード:PlayStation®4
■ジャンル:サバイバル・アクションアドベンチャー
■発売日:発売中(2018年11月22日)
■価格:7,200円+税


『絶体絶命都市4Plus -Summer Memories-』オフィシャルサイト

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