TVアニメ『SSSS.GRIDMAN』特集  vol. 1

Interview

俺たちを“退屈”から救ってくれ!─『SSSS.GRIDMAN』主題歌が視聴者のハートをつかんだ理由。OxT、新たな代表曲「UNION」を語る

俺たちを“退屈”から救ってくれ!─『SSSS.GRIDMAN』主題歌が視聴者のハートをつかんだ理由。OxT、新たな代表曲「UNION」を語る

9月にメジャー1枚目のフルアルバム『Hello New World』をリリースしたことも記憶に新しい、オーイシマサヨシとTom-H@ckのユニット・OxT(オクト)。彼らが2018年10月より放送中のTVアニメ『SSSS.GRIDMAN』(グリッドマン)のOPテーマとして制作した「UNION」は、インターネット社会を予見した内容で話題となった円谷プロの特撮ヒーロードラマ『電光超人グリッドマン』(1993年)を原作に持つアニメ作品ならではの、特撮ヒーロー感をモダンにアップデートした楽曲になっている。その制作背景や、カップリングに収録された『電光超人グリッドマン』主題歌「夢のヒーロー」のカバーについて聞いた。

取材・文 / 杉山 仁


いろんな方に聴いてもらえる曲になった

TVアニメ『SSSS.GRIDMAN』のOPテーマ「UNION」は、オリコン週間デジタルシングルランキングで2位を獲得するなど、かなり反響のある楽曲になっていますね。

オーイシマサヨシ 僕らとしてもすごくうれしく思っています。もちろん、これは『SSSS.GRIDMAN』の作品自体の人気があってこそですが、SNSを見ていても、皆さんが「目を覚ませ/僕らの会社が/残業に侵略されてるぞ」みたいに、「UNION」の歌詞を構文として引用してくださったりしていて(笑)。そういう光景を見るのはとてもうれしいです。セールス面での結果もいいみたいですし、いろんな方に聴いていただける曲になったかな、と感じています。

『SSSS.GRIDMAN』自体も、非常に面白い作品ですね。原作にあたる『電光超人グリッドマン』や、『ウルトラマン』シリーズなど、特撮作品のオマージュも話題になっていて。

オーイシ 今から遡って『新世紀エヴァンゲリオン』が特撮作品にオマージュを捧げたものだったと考えると、円谷プロさんが提案し続けてきた世界観が『エヴァ』に繋がって、それが時代を経てまたTVアニメ『SSSS.GRIDMAN』で円谷プロさんのもとに帰ってくるという、そんな面白さも感じました。各話ごとに原作の世界と、今回アニメで新たに描かれている世界とのリンクが明かされていく様子もすごく面白くて、友達にも「この後どうなるの?知ってるんでしょ?」って聞かれたりするんですよ。「そんなの言えるわけないでしょ!!」って(笑)。

Tom-H@ck (笑)。制作側の意図を考えても、過去とのリンクを踏まえたうえで新しいストーリーを描いていったことが、ヒットに繋がっているのかな、と思いますね。それは制作する段階で、最初から狙っていたことだったんだろうな、と。

例えば、今回の『SSSS.GRIDMAN』でグリッドマンと主人公の裕太たちを繋いでいるPC「ジャンク」のデザインが、93年の『電光超人グリッドマン』に出てくるPCと同じものになっていることなど、原作との相乗効果で面白さを感じる部分も多々あります。

オーイシ デザインも、スペックも当時のものと同じなんですよね。たぶんですけど、なぜこんなにオマージュが多いのか、なぜこんなに原作への愛が詰まっているのかは、今回の『SSSS.GRIDMAN』を最後まで観たときに、すべて分かるんじゃないかと思います。ネタバレになってしまうので今は言えませんが、きっと全部観終わったときに、すべての伏線を回収してくれるような、素晴らしいものになっていると思うので。

実際、台本を読ませていただいた段階で、すべてが破綻していないことに感動しましたし、毎週OAを観ていても、いろいろなオマージュが出てくるたびに、僕自身いち視聴者としてクスクス笑っていて。アニメを観ながら考察を楽しんでいる方も、きっと考察が捗っていますよね。『SSSS.GRIDMAN』もそうですし、自分が関わらせていただいたものだと『けものフレンズ』もそうですけど、最近こういう「ユーザーさんとの駆け引きを楽しむ作品」が増えていると思うんですよね。

たしかに、そういう作品がヒットする傾向はあるかもしれません。放送される作品と、SNSでの視聴者の方々の反応とが、会話のようになって盛り上がる作品と言いますか。

オーイシ そうそう。大きな意味での「コール&レスポンス」ですよね(笑)。だからこそ、『SSSS.GRIDMAN』も絶対最後まで観てほしいです。観ないと損しちゃいますよ!!

今回の「UNION」の制作は、どんなふうにスタートしたんでしょう?

オーイシ 最初にTRIGGERさんにお伺いして打ち合わせをしたんですけど、そのときに「特撮ファンだけに限らず、アニメファンの方にも『グリッドマン』の良さが伝わる、間口の広いものにしてほしい」とお話いただいたんです。僕らの場合、ふたりとも曲が作れて、アレンジもできるわけですけど、僕とTomくんが持つ「間口の広さ」や「キャッチーさ」って、それぞれ種類が違うと思うんですよ。今回はキャラデザを見せていただいたりする中で、「僕が書いたほうが着地するんじゃないか」と感じて、僕が作詞作曲を、Tomくんがアレンジを担当することにしました。

誰が聴いても楽しめる「王道」を表現したアレンジ

では、まずはオーイシさんが曲作りをはじめたときの話を聞かせてください。

オーイシ 僕が曲作りの段階でまず考えたのは、『SSSS.GRIDMAN』で(響)裕太や(宝多)六花たちが組む「グリッドマン同盟(=UNION)」の雰囲気が、「自分の経験に照らし合わせると、何に近いだろう?」ということでした。その結果、僕にとってのそれは、やっぱり2000年代初頭の「バンド」だったんです。そこで、当時のバンド感が伝わるような楽曲で懐かしさを出しつつも、同時にアレンジでモダンな要素を加えてもらって、今回の『SSSS.GRIDMAN』のような「懐かしいもの」と「新しいもの」のハイブリッドを目指しました。Tomくんにアレンジを任せれば、おのずと楽曲がモダンになると思ったんですよ。

なるほど。「グリッドマン同盟」の雰囲気を表現するために、バンド・サウンドに方向性を定めていったんですね。

オーイシ 同時に、『SSSS.GRIDMAN』はあくまでTVアニメなので、特撮ファンの人に向けて「ヒーローソング」っぽくしすぎることで聴く人を限定しないように、男の子でも女の子でも聴ける「間口の広さ」も意識しました。ただ、いつもなら後は各々で作業するんですけど、今回はその段階でもTomくんに電話で相談しました。Tomくんはプロデューサー気質で、トレンドに敏感な人なので、「今、2000年代頭ぐらいのバンド・シーンの音って、音や構成的にダサくないかな? それとも一周回ってヴィンテージに聴こえるのかな?」と彼の感想を聞いて。そのうえで、今回はバンド・サウンドでいくことにしたんです。

Tom-H@ck アレンジの面では、オーイシさんから「バンド・サウンドにしたい」という話があったので、極力電子音は入れないようにしたほうがいいのかな、と。そこで、今回は生のストリングスの音や、生のピアノの音を中心にアレンジしていきました。でも、いちばん大切だったのは、何と言っても「王道感」です。変なことはしないで、若い人から年配の人まで、誰が聴いても楽しめるような「王道」が表現できるようなアレンジを意識しました。

アレンジで軽やかなストリングスが加えられたことで、いわゆる特撮ドラマのヒーローソングよりも、モダンで間口の広い魅力が生まれているように感じました。

オーイシ たしかに、特撮ドラマのテーマ曲って、ドラムが2バスでドコドコ鳴っているような、重厚でハードなイメージがありますよね。後ろで特効が「ドカーン!」と爆発しているのが似合うサウンドというか。そういう意味では、今回の「UNION」のアレンジは、特撮風というよりも、アニメ風だったり、現代風だったりするのかもしれないですね。

Tom-H@ck つまり、今のドメスティックな意味での「王道」ですよね。J-POPでもそうだし、特にアニソンだったら、絶対にこういう王道感が出るぞ、という雰囲気で。

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