Tリーグ丸かじり  vol. 5

Column

張本は強い。強すぎる! 独走の木下マイスター東京を止めるとすれば……

張本は強い。強すぎる! 独走の木下マイスター東京を止めるとすれば……

男子のTリーグは、10月24日の両国国技館での開幕戦で5,624人を集めて以来、女子以上の盛況ぶりを維持している。目の肥えた卓球ファンにとっては、アイドル的な人気を持つ女子選手よりも、激しい男子の試合を見たいのだろう。

これまで20試合が行われ、全42試合の約半分が終了したことになる。結果は、水谷隼、張本智和ら日本のスター選手を擁する木下マイスター東京(以下、KM東京)が9勝1敗で首位を独走しており、丹羽孝希を柱とする琉球アスティーダ(以下、琉球AS)が4勝7敗、森薗政崇を軸とする岡山リベッツ(以下、岡山RV)が4勝5敗、吉村真晴を中心とするT.T彩たま(以下、TT彩たま)が3勝7敗となっている。12月13日現在、最終的な順位の指標である勝点を見ると、KM東京:29、琉球AS:15、岡山RV:14、TT彩たま:12となっており、KM東京以外の3チームはほとんど差のない団子状態だ。

KM東京独走の理由は何といっても張本智和だ。個人成績でのシングルス11勝2敗・勝率85%は断トツのトップであり、世界ランキング5位の実力に違わない戦績だ。とにかく張本は強い。強すぎる。あまりにも強いのですっかり忘れている人もいると思うのであえて言うと、この男はまだ15歳の中学3年生なのだ。はあー? ちゅう・がく・さん・ねん・せいだと? そうなのだ、驚いたか。全く何を食ったらこんな中3になるのだ。末恐ろしいとはこのことだ。

KM東京・張本智和は個人成績でシングルス11勝2敗と他を圧倒している

KM東京には、これに加えて世界ランキング13位の水谷隼もいるのだから強いのは当然に思えるが、実は他のチームも外国から強豪を迎えているので実力にそれほど差はないはずなのだ。実際、勝敗を左右するであろう各チーム上位3名の世界ランキングの平均値を比べると、KM東京:17位、TT彩たま:19位、岡山RV:20位、琉球AS:20位となり、ほとんど違わない。

にもかかわらずKM東京が独走しているのには理由がある。それは、チーム3番手である大島祐哉のバカ当たりだ。世界ランキング33位の大島裕哉はこれまでシングルスで7回出場しているが、そのうち6回までが相手の方が格上だったにもかかわらず、5勝も挙げていて、全チーム中で張本に次ぐ2位の勝率71%を記録しているのだ。11月18日の琉球AS戦では世界ランキング10位の丹羽孝希まで倒しているのだから呆れる。

バカ当たりのKM東京・大島祐哉。11月18日の琉球AS戦では丹羽孝希を撃破!

大島の卓球は、Tリーグ中随一のパワフルかつ大きなラリーが続く卓球なので、観客の盛り上がりが尋常ではない。これが大島のバカ当たりをさらに加速しているであろうことは想像に難くない。これが続くようだと、他のチームが追い上げるのはかなり厳しいだろう。

KMの独走を止めるとすれば、岡山RVだろう。なぜなら岡山RVは、張本から勝利を挙げた唯一のチームであり、それも上田仁、吉村和弘と二人もいるのだ。そして後者のときはチームとしてもKM東京に勝っている。この二人が張本から追加点を挙げて空気を微妙にし、大島のバカ当たりを鎮火できれば、これが岡山RVの突破口になるだろう。

吉村和弘が張本智和を抑え込めば、岡山RVのリーグ制覇も見えてくる

KM東京の独走は、実は戦績だけではない。観客動員数もダントツなのだ。KM東京の試合はこれまで10回行われたが、もっとも観客が少なかったときでも1,331人(11月17日のTT彩たま戦)で、KM東京が絡まない10試合の最高動員数である1,141人(11月21日のTT彩たまvs琉球AS戦)を上回るのだ。会場が立川だろうが名古屋だろうが岡山だろうが沖縄だろうが関係なくである。2,000人を超えた試合さえある(11月24日の琉球AS戦の2,119人)。

そんなに張本や水谷や大島や松平健太を見たいとは、まったく呆れた卓球ファンたちだ。……私も見たい(笑)。

それにしてもKM東京だけとはいえ、毎回どこでも1,300人を越える観客を集めるのだから、Tリーグが世界最高規模の卓球リーグであることは間違いない。

取材・文 / 伊藤条太 写真提供 / T.LEAGUE

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著者プロフィール:伊藤条太

卓球コラムニスト。1964年岩手県生まれ。中学1年から卓球を始める。東北大学工学部を経てソニー株式会社にて商品設計に従事。日本一と自負する卓球本収集がきっかけで在職中の2004年から『月刊卓球王国』でコラムの執筆を開始。世界選手権での現地WEBレポート、全日本選手権ダイジェストDVD『ザ・ファイナル』シリーズの監督も務める。NHK『視点・論点』『ごごナマ』、日本テレビ『シューイチ』、TBSラジオ『日曜天国』などメディア出演多数。著書『ようこそ卓球地獄へ』『卓球天国の扉』など。2018年よりフリーとなり、近所の中学生の卓球指導をしながら執筆活動に励む。仙台市在住。

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