Weekly モバイルエンタメステーション  vol. 18

Column

『このマンガがすごい!2019』ランクイン作品を見逃すな! 『ブルーピリオド』は美術なのにスポ根漫画!?

『このマンガがすごい!2019』ランクイン作品を見逃すな! 『ブルーピリオド』は美術なのにスポ根漫画!?

映画、漫画、アニメ、音楽のオススメを毎週紹介していく「Weeklyモバイルエンタメステーション」。連載18回目は、電子書籍(漫画)3作品を紹介する。

今回は『このマンガがすごい!2019』(宝島社)にランクインした2作品に加え、アニメシリーズが放送されるなど根強い人気を誇る小説が原作の漫画をチョイス。美術とは無縁だった学生の芸大を目指す姿が、美術がわからない人も引き込ませる『ブルーピリオド』(オトコ編 第4位)。親を失った15歳少女、人付き合いが苦手な35歳女性の共同生活と、微妙な距離感を繊細に描いた『違国日記』(オンナ編 第4位)。そして、少年が怪異や少女たちと関わりながら成長していく、大人気作家・西尾維新の小説『化物語』のコミカライズと、どれもがいま読んでおきたい作品ばかりだ。

ぜひ本記事を一読して、気になった人はダウンロードしてほしい。

セレクト・文 / エンタメステーション編集部

ブルーピリオド/山口つばさ

クリエイティブ×スポ根? 絵を描かない人にも響く芸大受験マンガ

「美術とか絵画って、なんか難しそう。そもそも自分は絵を描くのも別に好きじゃないし…」と思ってる人、けっこういますよね。何のために絵を描き、何のために絵を見るのか。電車の中の吊り広告や駅に貼り出される美術展のポスターを見ても、なんでそんなに大々的に宣伝するのか意味がわからない。でもなんか画家とか芸術家ってすごいとかえらいとか言われている。この『ブルーピリオド』はそんな「えっ、絵画とか、なんか別世界です」という感覚のDQN男子高校生が芸大受験に挑戦する過程を描く作品。

夜遊びも適当にこなしつつ、勉強もぬかりなく、将来も無難に考えているリア充の八虎(やとら)は、あるとき美大を受験する先輩の描いた絵に衝撃を受けて芸大(藝術大学)を目指すことを決意します。1,000人を超える出願者の中から、合格できるのはわずか数十人という高倍率は「東大よりも狭き門」と言われます。もともと絵を描く訓練を受けていたわけではない八虎は、美術部顧問や美術予備校の講師の先生、予備校の仲間たちから刺激を受けながら、努力と根性でそのハンデを乗り越えていくわけです。

芸大受験というある意味でニッチすぎる題材を扱いながら、難関に挑む仲間たちや、主人公を支え励ます大人たち、何より斜に構えてクールぶっていた主人公がどんどんまっすぐに「絵を描く」ことに打ち込んでいく姿を前面に押し出すことで、スポ根マンガのように読者を熱く引き込んでいく作品。美術や絵画といった二次元表現に限らず、あらゆるクリエイティブジャンルをかじった経験のある人なら誰でもグッときてしまうこと請け合いです。

漫画『ブルーピリオド』

1〜3巻
著:山口つばさ 出版社:講談社

成績優秀かつスクールカースト上位の充実した毎日を送りつつ、どこか空虚な焦燥感を感じて生きる高校生・矢口八虎(やぐち・やとら)は、ある日、一枚の絵に心奪われる。その衝撃は八虎を駆り立て、美しくも厳しい美術の世界へ身を投じていく。美術のノウハウうんちく満載、美大を目指して青春を燃やすスポ根受験物語、八虎と仲間たちは「好きなこと」を支えに未来を目指す!

©山口つばさ/講談社


違国日記/ヤマシタトモコ

おんなふたり暮らし 。35歳と15歳がすれ違ったり励ましたり

気を遣いすぎがちなんだけど、そのくせスムーズなコミュニケーションに必要なポイントを取りこぼしてしまう。伝えたいことが伝わらなくて、気疲ればかりが募ってしまう。そんないわゆる「コミュ障」を描かせたら当代随一の名手ヤマシタトモコ。代表作の『HER』『ドントクライ、ガール』『BUTTER!!!』で描かれてきたコミュ障ならではの切ない苦しさ、コミュ障だからこそ出会えるささやかな感動を高精細で結晶化させているのが本作。

交通事故で両親と死に別れてしまった中学生の朝(あさ)は、母親の妹の槙生(まきお)の家に引き取られることになります。人付き合いが苦手な小説家の槙生と、親を失ったことをまだ受け入れられず生活環境の変化に戸惑う朝との、急ごしらえの共同生活。ときどきギクシャクしながらも淡々とお互いに気を遣いながら暮らすふたりのあいだは、少し近づくたびに小さくすれ違って互いの心を大きく揺らしてしまう。

15歳、中学を卒業して高校へと進学する頃の年齢の朝からすれば、35歳でじゅうぶんに大人の社会のメンバーに見える槙生。そんな槙生は、たしかに頼もしい側面もあるのですが、彼女なりの生きづらさを抱えてもいます。ふだんは忘れていられるのに、なんども「両親の突然の死」という事態に繰り返し直面させられる朝にとって、槙生の「生きづらさ」は理想の大人の頼もしさとは別の説得力をもつのかもしれません。自分が子供だった時に、こんな言葉をかけて欲しかったとか、必要な時に自分は子供にこんな言葉をかけられるだろうかとか、ちょっと考えさせられてしまいます。

漫画『違国日記』

1〜3巻
著:ヤマシタトモコ 出版社:祥伝社

35歳、少女小説家。(亡き母の妹) 15歳、女子中学生。(姉の遺児) 女王と子犬は2人暮らし。少女小説家の高代槙生(こうだい・まきお)(35)は姉夫婦の葬式で遺児の・朝(あさ)(15)が親戚間をたらい回しにされているのを見過ごせず、勢いで引き取ることにした。しかし姪を連れ帰ったものの、翌日には我に返り、持ち前の人見知りが発動。槙生は、誰かと暮らすのには不向きな自分の性格を忘れていた……。対する朝は、人見知りもなく、“大人らしくない大人”・槙生との暮らしをもの珍しくも素直に受け止めていく。

©ヤマシタトモコ/祥伝社フィールコミックス


化物語/西尾維新(原作)、大暮維人(漫画)

原作に忠実でありながら、新解釈を盛り込んでアニメ版と違った魅力あり

2005年から連載が始まり、現在も新作の執筆が続けられている西尾維新の<物語>シリーズ。新房昭之をはじめとする監督たちによるシャフト制作のアニメ化も大いに話題になった本作を、『天上天下』『エア・ギア』の大暮維人がコミカライズ。過剰きわまる饒舌体の原作とも、映像表現の極北に漸近するアニメ版ともまた異なる、大暮美学が炸裂しまくるマンガ版です。

とある田舎町に暮らす男子高校生、阿良々木 暦(あららぎ・こよみ)は春休みに吸血鬼に出会ったことで「怪異」と呼ばれる存在たちと関わり始めてしまいます。その吸血鬼キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレード(忍野 忍)や、クラスメイトの羽川 翼、そしてやはりクラスメイトの戦場ヶ原ひたぎ(せんじょうがはら・ひたぎ)たちと出会い、関わり、ときに彼女たちを救う暦の日々。その日々を過ごしていくあいだに、卑屈に縮みこんでいた自我を暦は徐々に拡げていくことになります。

原作やアニメ版に既に触れている読者にとっては忘れられない「あの」名シーンに、原作やアニメ版とはまた違った角度から出会うことができるのがやはりこの大暮版の醍醐味でしょう。また既に10年以上も続き20タイトル以上にもなる原作や、その原作に忠実な(かつ大胆な)映像化したアニメ版はテレビ放送やネット配信、劇場での公開など多岐にわたり、これから本作の世界へエントリーしようという人にとってはもう一度リミックスというかリビルドというか、あらためて語り直してくれるこのコミック版のスタートはありがたい。

漫画『化物語』

1〜3巻
著:西尾維新(原作)、大暮維人(漫画) 出版社:講談社

【西尾維新×大暮維人】!!! 阿良々木暦を目がけて空から降ってきた女の子・戦場ヶ原ひたぎには、およそ体重と呼べるようなものが、全くと言っていいほど、なかった――!? アニメ化・ゲーム化など多数のメディアミックスを果たした西尾維新の代表作『化物語』を、『エア・ギア』の大暮維人が豪華漫画化!! 現代青春ノベルの金字塔を世界一の絵で! 「週刊少年マガジン」にしかできない最高最興奮の新しい“物語”!!

©西尾維新・大暮維人/講談社

電子書籍編の次回更新は2019年1月21日(月)予定です。


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