Review

18年ぶりの続編に追いつくなら今!『シェンムー I&II』駆け足レビュー

18年ぶりの続編に追いつくなら今!『シェンムー I&II』駆け足レビュー

2019年8月27日に発売予定のアクションアドベンチャーゲーム『シェンムーIII』。ストーリーのおさらいとして、または新規のプレイヤーにとっては予習にふさわしいタイミングで、かつてのドリームキャスト用ソフト『シェンムー 一章 横須賀(以下、シェンムーI)』(1999年)と、『シェンムーII』(2001年)を一本にまとめたPlayStation®4用ソフト『シェンムー I&II』が発売された。
前回の記事では、ゲーム業界にもたらした影響とユーザーへの衝撃を踏まえつつ『シェンムーI』を紹介した。今回は、異国情緒あふれる香港を舞台にした『シェンムーII』について、改良されたシステムや多くの登場人物たちによるドラマの広がりがもたらす魅力を紹介しよう。

文 / クドータクヤ


ゲームらしさの追加で体験できること

目のまえで父を殺めた謎の男が香港へ向かったという情報を掴んだ18歳の主人公・芭月涼は、仇を討つことを決意。父の友人である朱元達(シュ ゲンタツ)という男に接触するため、生まれ故郷である横須賀、そして日本という国を離れて香港に降り立つところから『シェンムーII』はスタートする。
『シェンムーI』が登場した2年後の2001年にリリースされた『シェンムーII』は、父が殺されなければならなかった理由や、芭月家から持ち出された”鏡“の謎が明らかにされるなど、ストーリーの核心にグッと迫る一作となっている。香港を舞台にしているということもあり、当時の筆者は“通訳できる人を早く見つけなければ!”と本気で思っていた。しかし、ゲーム開始早々に登場人物全員が日本語で会話しているシーンにやや拍子抜けしつつ、「謎の男にようやく一矢を報いることができるのか!」と期待を膨らませながら市街を駆け巡っていたことを思い出す。
前作は、追求したリアリティをゲームにうまく落とし込めていない印象を述べた。本作は、増えたミニゲームの数々を遊び尽くしたり、ガチャガチャを回してフィギュアをコンプリートするといった寄り道が許されている自由度の高さに加え、システムが改良されたことでようやくゲームらしい面白さに触れられる出来栄えとなっている。ただし、前作同様にタイムリミットが設けられており、ゲーム内時間の7月31日までにクリアをしなければ謎の男が涼のもとに登場し、鏡を奪われてゲームオーバーとなってしまう。さらに「貴様の力をいただく」と、メインヒロインの莎花(シェンファ)にも危害が及びそうな後味の悪さは、後悔の念に駆られること必至だ。とはいえ、ストーリーの進行に迷っても十分な時間は設けられているので、ふつうにプレイしていれば見ることはまずないだろう。
改良されたシステム面で大きく変化したのは、何時以降に重要人物と会う、または目的の場所へ行くというフラグが発生した場合、ガチャガチャやゲームセンターで時間を調整せずとも、特定の時間にスキップができるようになったことだ。本編をスムーズに進められるテンポの良さは快適に遊ぶためにストレスのない作りとなっている。
資金稼ぎとしては荷物運びのアルバイトだけではなく、アームレスリングやギャンブル、ガチャガチャで集めたフィギュアを質屋で質入れできるようになったシステムの導入により、時間とお金をようやく自由に使えるようになった。お金の使いみちは、ミニゲームやガチャガチャ以外にもオイルライターや宝石といったコレクションアイテムの購入、バトルパートにおける技のバリエーションを広げてくれる技書の購入に充てることができる。もちろん、ギャンブルで得たお金をふたたびギャンブルに費やすことも可能だ。また、重要な人物に会うために500香港ドル以上のお金が必要になる場面も発生するため、真面目に汗水流して労働するか、ギャンブルで一発逆転を狙うか、お金の増やしかたひとつとってもプレイヤーに委ねられている。荷物運びのアルバイトがフォークリフトではなく人力による共同運搬になった面倒臭さから、筆者は異国の地でギャンブラーとして活躍する涼に仕上げてしまったが、父親の仇を討つために仕方のないこと……だと思いたい。

▲ギャンブル各種

サイコロを使ったものや、パチンコ台のように釘が打ち付けられた板の上から玉を落とし、下部にある◎の枠に入れていく“落とし玉”がギャンブル要素として用意されている。こうした賭博場は香港市街や九龍城に点在しているが、終盤では舞台が山奥に変わるため、街にいるあいだで楽しんでおきたい。こまめなセーブ・ロードをすれば所持金を確実に増やすことができるので、日本から持ってきた以上の所持金にすることも可能だ。

▲ガチャガチャの種類も増加。『電脳戦機バーチャロン』は本当に欲しい!

▲製作総指揮を務めた鈴木裕氏がかつて手がけたアーケードゲームをまるごと遊べるのも『シェンムーI』の魅力のひとつだったが、『シェンムーII』ではドライブゲームの『アウトラン』、3Dシューティングゲームの『アフターバーナーII』をプラスしている

序盤は多くの商店や屋台が立ち並ぶ香港市街、中盤は魔窟と呼ばれた九龍城、終盤では広大な森が広がる中国の桂林と、ストーリーの進行に応じて涼の行動範囲は広がり、プレイヤーにも冒険を疑似体験させる演出となっている。ストーリーそっちのけで、ただブラブラと散歩しているだけでも楽しめるが、『シェンムー』はムービー以外で飲食することがないため、残念ながら屋台街での食べ歩きなどはできず、買い物の要素もガチャガチャや技書の購入程度なので、本当にただの街ブラになってしまうのが惜しいところ……。とはいえ、物語が大きく動く中盤の舞台となるのは、増改築を繰り返した結果、遠目から見ると巨大な要塞のようにも感じられる九龍城だ。今はなきスラム街に踏み込めば、露天商の活気あふれる街と不気味で無機質なビル内のギャップに驚かされるだろう。

▲看板やネオンがずらりと並ぶ大通りや、いかにもアジアンテイストな屋台街を見て回っていると、まるで観光をしているような気分になる

▲各ビルの1階にはいろいろな店が並び、2階以上は一般住居用の部屋が無数にある

部屋の総数は約1000室にも及び、メインストーリーの進行で足を運ぶことも多々あるが、生活用の物品がそのまま残された空き部屋を探索することも可能。部屋の内部構造は基本的に共通しているが、部屋ごとに置かれている家具や物の配置が異なっており、極小ワンルームの部屋で営まれていた生活の一部を垣間見ることができる

1 2 >