映画『TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ』特集  vol. 1

Review

サントラもブッ飛んだ世界観!『TOO YOUNG TO DIE! 地獄の歌地獄』

サントラもブッ飛んだ世界観!『TOO YOUNG TO DIE! 地獄の歌地獄』

サントラもブッ飛んだ世界観!『TOO YOUNG TO DIE! 地獄の歌地獄』

文 / 森朋之

“17歳で命を落とし地獄に堕ちた男子高校生・大助が、地獄専属のロックバンド「地獄図(ヘルズ)」のボーカル&ギター、キラーKと出会う”という破天荒すぎる設定の『TOO YOUNG TO DIE!若くして死ぬ』のオリジナル・サウンドトラックは、映画自体のインパクトをさらに増幅させるような楽曲が揃っている。楽曲を手がけているのは「真夜中の弥次さん喜多さん」「少年メリケンサック」「中学生円山」などの宮藤作品でもタッグを組んでいる向井秀徳(ZAZEN BOYS)、宮藤が率いるロックバンド“グループ魂”の制作にも参加している益田トッシュ、そして、主題歌「TOO YOUNG TO DIE!」の作曲を担当したKYONO(元 THE MAD CAPSULE MARKETS)。エッジの立った独創性と高い音楽センスを兼ね備えたミュージシャンが揃い、“「スクール・オブ・ロック」のような痛快なロック映画を作りたい”という着想からスタートした本作の世界を激烈なテンションで描き出しているのだ。

映画『TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ』より。© 2016 Asmik Ace, Inc. / TOHO CO., LTD. / J Storm Inc. / PARCO CO., LTD. / AMUSE INC. / Otonakeikaku Inc. / KDDI CORPORATION / GYAO Corporation

映画『TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ』より。© 2016 Asmik Ace, Inc. / TOHO CO., LTD. / J Storm Inc. / PARCO CO., LTD. / AMUSE INC. / Otonakeikaku Inc. / KDDI CORPORATION / GYAO Corporation

まずは長瀬智也、神木隆之介、桐谷健太、清野菜名が歌う主題歌「TOO YOUNG TO DIE!」。強烈なスピード感と圧倒的なヘビィネスを共存させたバンドサウンド、ヘビィメタルとラップを融合させたアレンジを軸にしながら、90年代のミクスチャーロックの進化型と呼ぶべきクオリティを実現。音像に工夫を凝らし、キラーK(長瀬智也)によるハイトーン・シャウトを効果的に使ったボーカルも素晴らしい。もともと長瀬はTHE MAD CAPSULE MARKETS--日本のラウドロック、ミクスチャーロックを切り開き、世界に発信した--音楽に親しんでいたというだけあり、KYONOが生み出すサウンドの特性を完璧に掴み、“地獄図”のイメージにしっかりと結びつけているのだ。

また、映画のクライマックスと深く関係している「天国」も強く心に残る。向井の作曲によるこの曲は、“近藤(キラーK)が現世にいるとき、30時間ぶっ通しで作った”という設定のバラードナンバー。ドラマティックな展開を備えた奥深いメロディライン、「あなたがいれば そこは天国/あなたがいない そこは地獄」という切実な思いを込めた歌詞は、映画『TOO YOUNG TO DIE!若くして死ぬ』のメッセージ性に直結していると思う。ギターを中心としたシンプルなアレンジメントも絶品。向井、長瀬、宮藤の音楽を介したコミュニケーションが生まれたことも「天国」の魅力につながっているのだと思う。

映画『TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ』より。© 2016 Asmik Ace, Inc. / TOHO CO., LTD. / J Storm Inc. / PARCO CO., LTD. / AMUSE INC. / Otonakeikaku Inc. / KDDI CORPORATION / GYAO Corporation

さらに“地獄に堕ちてしまった大助の現世での罪をあげつらう”という内容の歌詞をなぜか軽快なダンスサウンドに乗せた「天誅」、地獄の指南役・牛頭先生(烏丸せつこ)がボサノバ風のサウンドとともに(五戒のルールを)セクシーに歌い上げる「五戒の唄」、伝説のブルースマン・木村充揮さんをメインボーカルに据え、ソウルミュージックとゴスペルの要素をたっぷりと反映させた「閻魔をたたえる唄」、劇中に登場する超過激なガールズバンド“デビルハラスメント”のテーマ曲「デビルハラスメント」など、そのほかの楽曲もとんでもなく濃密。これらの楽曲はすべてクランクイン前にレコーディングされ、撮影の現場でもシーンに合わせたオリジナル曲が流されていたという。映画の設定、ストーリーと強くリンクしながら、圧倒的な個性とインパクトを放ちまくる“地獄の音楽”は、日本では稀な本格的なロック映画としての『TOO YOUNG TO DIE!若くして死ぬ』の魅力を確実に増大させていると思う。映画のサウンドトラックの枠を超え、ブッ飛んだ世界観を持ったロックアルバムとしても成立している本作。映画の公開に合わせて“地獄図”がロックフェスや歌番組などに出演しているが、このアルバムと“地獄図”の笑えるほどに過剰な存在感は(等身大のバンドが主流となっている)現在のロックシーンへのカウンターとしても機能するはずだ。

 

リリース情報

オリジナルサウンドトラック
TOO YOUNG TO DIE! 地獄の歌地獄

2016年6月22日発売
JACA-5494 ¥2,500+税
2WAYジャケット仕様/地獄の歌詞巡りすごろく封入

<収録曲>

01. TOO YOUNG TO DIE!
02. 若くして死ぬ
03. 天誅
04. 死神
05. ひろ美ちゃん
06. スーサイド
07. 地獄農業高校校歌
08. INKO
09. 閻魔をたたえる唄
10. ひろ美さん
11. 五戒の唄
12. DAISUKE
13. 近藤さん
14. 近藤さんの天国
15. Hell Boy
16. ZARIGANI
17. 告白
18. じゅんこのテーマ
19. KAMAKIRI
20. デビルハラスメント
21. JIGOKU
22. 天国 -Band Version-
23. TOO YOUNG TO DIE! -日本語 Version-
24. 天国 -Hard Version-

(Bonus Track)
25. スーサイド -向井秀徳 Version-
26. 五戒の唄のバラード -向井秀徳 Version-
27. 天国 -向井秀徳 Version-
28. TOO YOUNG TO DIE! -Complete Version-

地獄図(ヘルズ)
宮藤官九郎脚本・監督の映画『TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ』から飛び出した、地獄専属ロックバンド・地獄図(ヘルズ)。メンバーはボーカル&ギターのキラーK(長瀬智也)、ギター・関大助(神木隆之介)、ドラム・cozy(桐谷健太)、ベース・邪子(清野菜名)。

映画『TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ』

不慮の事故で17歳にして命を失った高校生の大助(神木隆之介)。目覚めた場所は、まさかの“地獄”だった!! たいして悪いこともしてないのに、大好きなひろ美ちゃん(森川葵)とキスもしてないのに、このまま死ぬなんて若すぎる! 途方に暮れている大助が出会ったのは、地獄でロックバンドを組んでいる赤鬼キラーK(長瀬智也)。大助は、彼から地獄のシステムを学び、現世へのよみがえりを目指した大奮闘を始める。すべては、現世に戻って、ひろ美ちゃんとキスするためにーー。

映画『TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ』

キャスト
長瀬智也(キラーK)
神木隆之介(大助)
尾野真千子(なおみ)
森川葵(ひろ美)
桐谷健太(COZY)
古舘寛治(松浦)
皆川猿時(じゅんこ)
古田新太(えんま校長)
宮沢りえ(37歳と47歳の手塚ひろ美)
坂井真紀(よしえ)
荒川良々(仏)
Char(鬼ギタリスト)
野村義男(ジゴロック挑戦者)
ゴンゾー(ジゴロック挑戦者)
マーティ・フリードマン(じゅんこA)
ROLLY(じゅんこB)

監督・脚本 宮藤官九郎

配給 東宝、アスミック・エース
(125分、2016年)

2016年6月25日全国ロードショー

公式サイト:http://tooyoungtodie.jp/

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