Interview

LEGO BIG MORL 危機、転機、覚醒期、原点、現在、未来──「LEGO BIG MORLの10年」を刻むベストアルバム・インタビュー

LEGO BIG MORL 危機、転機、覚醒期、原点、現在、未来──「LEGO BIG MORLの10年」を刻むベストアルバム・インタビュー
結成10周年ベストアルバム『Lovers,Birthday,Music』を6月22日にリリースしたLEGO BIG MORL。「大阪からすごいバンドが現れた」と注目を集めたデビューの時期、リリースやツアーやフェスを経て徐々にステップアップしながらも一足飛びにジャンプアップとはいかなかったその後の数年間、タナカヒロキ(G)の右手首の大怪我により約1年にわたり表立った活動ができなくなった2013年、そこから復帰すると同時にバンドの音楽性もライブのやりかたも大きく変わった2014年、そして新しいファンを確実につかみ始めた現在──このバンドの歩みをふり返るにあたっても、いつの時代もすばらしい曲を作ってきた証明としても、そして新曲2曲と10年前の未発表1曲でこのバンドの原点と未来を知ることができる点でも、いろんな方向で大きな意味を持つこのベストアルバムについて、4人に訊いた。

取材・文/兵庫慎司 撮影/荻原大志


10周年でベストアルバムを出そうというのは?

ヤマモトシンタロウ(B) 最初はスタッフからでしたね。でも、この10周年というタイミングでしか出せないもの、なおかつ新曲も入れて、この1~2年でLEGO BIG MORLを知ってくれた人たちも入りやすいものを出そう、という提案をいただいたので。「ああ、それはいいかもしれない」ということで、始まりました。

っていうことは、ここ1~2年でLEGOを知った人が増えている実感があります?

タナカヒロキ(G) なんか、別のフィールドのお客さんが「Wait?」以降、増えているというか。今のレーベルに移籍したり、僕の事故での休止から復活したり、そういうタイミングのあとから、新しいお客さんが来てくれるようになった、っていうのは感じますね。

休止から復帰して「Wait?」を経て「RAINBOW」をシングル・リリースした時、音楽的にそれまでやらなかったことをやったわけじゃないですか。だから、その手応えがあったということですよね。

タナカ はい、間違いなく。

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それに対してはその時、どう思われました?

タナカ 「ほら!」みたいな。ずっと僕らは、「あれ? なんであかんねや? 曲もライブもかっこいいと思ってんねんけど」と思ってたんですよ。思った感じにお客さん増えへんし、響かないなあ、って・・・まあ、今でもそんな増えたわけじゃないですけど、でも、新しい人が来てくれてる感じはあって。「でしょ?」みたいなとこですね。

やっぱり、そこであえて舵を切った、みたいなところは大きかったんですか。

カナタタケヒロ(VO&G) そういう感じはしますね。なんていうんですかね、初めてこのタイミングで客観視できたんですよ。ヒロキの事故時ライブ活動ができない状況で・・・いつもライブをしながら曲を作ってたから、なんか、LEGO BIG MORLの中で音楽を作ってたような感じがするんですけど、外から「LEGO BIG MORLはこういうものを鳴らしたらいいんじゃないかな?」とか、そういう考え方ができるようになって。それで「Wait?」や「RAINBOW」ができたんですよ。そしたら「あ、これがLEGO BIG MORLなんじゃないかな」と思えて。核となるもの、本質みたいなものが、ようやく完成したんじゃないかな、と思いました。

ライブとかフェスでの、お客さんのリアクションも変わりました?

カナタ 僕たちのパフォーマンスが、変わったかもしれないです。前は、「響くやろ?」というようなライブやってたので。そうじゃなくて、自分たちからメッセージを投げかけながらパフォーマンスしてる自覚はあります。

タナカ 前はオープンマインドじゃなかったんで(笑)。

カナタ 一体感みたいなことを、あまり意識してなかったというか。

タナカ 僕らが人のライブを観た時に、かっこいいと思ってたのが、そういう人が多かったから、っていうだけなんですけど。たとえば、あおるとか、手拍子を求めるとか・・・学生の頃なんて特に「しょうもない」と思ってたんで(笑)。それに憧れてバンドを始めたから、やっぱりそういう感じになるじゃないですか? でも今は、そこのかっこよさもわかった上で、オープンマインドになれた・・・丸くなったと言われればそれまでなんですけど(笑)。

以前のLEGO BIG MORLって、すごくポップで、すごく売れそうで、あと少しだけ角度を変えればモロにどまんなかなのに、「いや、僕らはそれ、やんないんです」みたいなところがあった気がするんですね。

カナタ (笑)ああ、ありましたね。王道を外すというか。

でも、特に「RAINBOW」で初めてそれをやったというか。「ああ、流行りの四つ打ちダンス・ビートね」とか言われても「別にいいよ、そう思われても。だって俺らの曲、いいし、確実にほかとは違うものになってるし」という。そんな感じはなかったですか?

タナカ いや、今言ってもらったとおりですね。

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そこで、そういうふうにギアを切り替えられたのは──ヒロキさんのケガと休止も大きいでしょうけど、それ以外にも何か理由はあったんですかね。

カナタ いや、でもほんまに、素直に作れた曲なんで。「あえてやらない」という考え方はなかったですね。こう始まって、ここからキックが鳴って・・・って、初めて素直に作りましたね。「同じ構成やメロディーを繰り返す事イヤやし」というようなバンドやったんですけど──。

タナカ そういうのをダサいと思ってる俺らがダサい、と思えるようになったんですかね。さっきキンタ(カナタ)が言ったように、方法論としても自分たちを客観的に見れたけど、精神論的にも、ちょっと大人になれたのかもしれないですね。だから、そのあとのタイミングでベスト、というのは、いいかもしれないですね。

このベストには、未発表曲が1曲と、新しく書いた曲が2曲入ってますけども。その新曲2曲は、今のLEGO BIG MORLのテーマのような曲ですよね。

タナカ なんか、10周年の区切りの曲です、というよりも・・・次のツアー、次のアルバムが楽しみになるな、という意味で、新曲を入れたいな、というか。区切りというよりも、先をちゃんと見てもらえるような・・・しかも、2曲が対になっているし。10周年のベストに入っていることに意味があるような曲にしたかったんですね。

マスタリングまで終わったものを最初に聴いた時、どんなことを感じました?

ヤマモト やっぱり初期は、みんなが、いい意味で何も考えずに弾いてるな、と思いましたね。レコーディングの方法とかも、今とは全然違うし。10曲目ぐらいまでは、4人でいっせーので音出してレコーディングしていて。「Wait?」以降は、ひとりずつ録ることが多いんですけど・・・だから、当時のレコーディングのことを思い出しながら聴いてました。「こんなことしゃべりながら録ったなあ」とか。大阪で録ったものもあるし、東京に来て初めて録ったものもあるし。全体的に懐かしさを感じながら聴いた曲が多かったですかね。

その4人でいっせーので録音してた頃の曲のほうが、アレンジとしては、すごく入り組んだことをやっていますよね。演奏しながら作ってた頃のほうが複雑で、最初にPC上でアレンジを考えてからバンドに持っていくようになってから・・・つまり、なんでもできるようになってからのほうが、音を抜いてシンプルなアレンジになっているという。

ヤマモト まさにそうですね。4人でスタジオに入れない状況があったんで、家でトラックをひとつずつ重ねていく作業になって・・・僕はベーシストなんで、自分がかっこいいと思うベースを弾こう、という最初のところは、4人でやってた頃と変わらないんですけど。で、じゃあドラムはそれに対してこういうものを入れよう、かっこよくなったな、じゃあキンタに聴かせよう、キンタが「あ、いいやん」って言ってギターを入れて、そして歌う・・・っていうふうに、みんなでワッとぶつかり合うんじゃなくて、ひとつひとつ聴きながらトラックを重ねていく、という楽しさになって。
4人でスタジオに入れなかったからそうやらざるを得なかったんですけど、それがいちばんバンドを変えた気がしますね。トラックを作る時に、聴かせたいものから始まってるというか。余分なものも含めて詰め込んでから引いていく、っていうんじゃなくて、必要な音だけを重ねていく作り方になりましたね。同じとこに行きたくない、同じこと弾きたくない、人と同じことをしたくない、俺はこれを弾きたい、でも俺はこれを弾きたい、じゃあキンタはその間を縫ってメロディを歌う、みたいな。音がぶつかり合って構築されていく、みたいな作り方だったのが、全然変わって、曲も変わったという。

 

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なるほど。(タナカに)いかがでした? 聴き直してみて。

タナカ ・・・基本的に僕は、レコーディングがあまり好きじゃなくて。ヘタやからなんですけど、自分が。だから正直、レコーディングに関しては、つらい思い出しかないんです。できあがった喜びはあるんですけど、自分がプレイしている間は、つらいことのほうが多くて。だから聴くとそのたびに、「ああ、この曲は大変やったな」とか、「ここ、何十テイクも弾いたなあ」とか、そういうことばっかり思い出して・・・特に初期のほうはそうで。
ただ、最後に未発表の「乱反射」っていう、10年前の曲が入ってるんですけど・・・さっきの話に近いと思うんですけど、今聴くと、「なんで4人ともこんなことをしてるんだろう?」というか(笑)。イントロがやたら長かったり、間奏が二段階あったり、アウトロもふたつあったり。「なんだこの曲?」と思うんですけど、でも、「ようこんなの思いついたな、あの頃の俺ら」と思うとこもあって。10年前の自分のことやのに、わからないことがいっぱいあって、最後にクスッと笑ってしまうとこがありますね。
あと、ポイントポイントで入ってる、このバンドのバラードはやっぱりすげえな、と思いましたね。「Ray」「バランス」「大きな木」「Re:Union」あたりは、すごいなと。「なんでもっと売れへんかったんやろ?」と思いました。

「こんなにいいのに、なんでもっと聴かれないんだ?」というのは強い?

タナカ あ、もうそれしか思ってないです。最初の1~2年は思ってなかったですけど、あとの8年ぐらいはもうずっとそれですね。「おかしいなあ?」とか。特に若い頃は、それをお客のせいにする、みたいなバカなことをしたりしてましたね。それがここ1~2年で、さっき言ったオープン・マインドにもなったし、メンバーで音をぶつけ合うのとは別の、ライブハウスをひとつにするみたいな楽しみを、やっと見つけた感じがあります。

カナタさん、アサカワさん、最初に聴いてどう思われました?

カナタ ・・・ほんまに、「ええなあ」って思いました。「めっちゃええやん、俺らの曲」って・・・ほんまに僕、アルバム、できるともう聴かないんですよ、ある程度時間が経たないと。完成するまでですごい聴いてるし、聴くといろんなことを思い出しちゃうし。なんか、心がこう・・・窮屈になるというか。でもこのアルバムは、初めてノリノリで聴けました。「ああ、ええ曲やなあ」ってめっちゃ思いながら。大好きなアルバムですね、僕の。いつも好きになるまで時間かかってたけど、こんなしょっぱなから思えたのは初めてです。

アサカワヒロ(D) 聴いて思ったのは、自分の成長記録を見ているような・・・赤ちゃんの頃から親が撮ってたムービーを見てるみたいな感じで。あと、自分のドラムの音も・・・昔は「スネア、カンカン鳴ってるなあ」とか・・・その音がだんだん下がっていって──。

カナタ 今はダシダシな音に(←低い音の形容)。

アサカワ (笑)そういうところもおもしろかったりとか。ベースとのからみのアレンジとかも、「ベースとキック、こんなに合わせてたんや?」とか。同じことをくり返すのがイヤやったんですね。「次のAメロではさっきと違うことをやろう」とか、常にそういう考えやったんで。でも最近は、シンプルなアレンジで、ギターはギター、ベースはベース、ドラムはドラムっていうすみ分けがはっきりしてきたな、って。それは感じましたね。

ヒロキさんのケガと休止以外の時期で、この頃は大変だったとか、強く記憶に残っていることってあります?

タナカ 「溢れる」「バランス」ぐらいが、大阪から東京に来るぐらいの時期で。「溢れる」の時はまだ大阪にいて、東京に来てレコーディングしてて。滞在期間が限られてるんで、朝8時とか9時までレコーディングして、そのまま大阪に帰るとか。で、逆に「バランス」は、東京に引っ越してきて、メンバーとスタッフしか知り合いがいない中・・・事務所と自分の家の最寄り駅しか土地勘がない中、すべてが初めての中で、絶対リード曲になるものを作ろうっていうことをやっていて、みんなでドツボにハマって。何がいいのかわからなくなって、「バランス」1曲作るのに、結局1年ぐらいかかっちゃって。
セカンド・アルバムっていうプレッシャーもあったんですね。バンドってみんなファーストはかっこいいじゃないですか。セカンドは鬼門、というのにハマっちゃって。

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じゃあけっこうつらい時期だったんですね。

カナタ ・・・2枚目、つらかったあ・・・(笑)。1枚目で出しきった感があって、「あ、ヤバい、引き出しの中に何もない」っていうか。

タナカ で、東京に引っ越しのタイミングも重なり、友達もいなくて。

カナタ とりあえず友達いないので、3人でシンタロウん家で──。

タナカ 具のないシチューを作り、一口で捨てたという(笑)。

カナタ 「こんなに不味いか!」と。

ヤマモト ほんま失礼な話ですよ(笑)。

タナカ 「シチューって具ないと不味いんやな」ってことがわかった(笑)。

リリース情報

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BEST ALBUM
「Lovers, Birthday, Music」
2016年6月22日発売

【初回盤】(CD+DVD+Photobook)
AZZS-46 ¥3,600+税
【通常盤】(CD)
AZCS-1058 ¥2,800+税

<収録曲>
(CD)
01.ワープ
02.ユリとカナリア
03.Ray
04.テキーラグッバイ
05.溢れる
06.バランス
07.大きな木
08.正常な狂気
09.Re:Union
10.knock to me
11.Wait?
12.RAINBOW
13.Spark in the end
14.Strike a Bell
15.Blue Birds Story ※新曲
16.傷 ※新曲
17.乱反射 2006 Rec ※未発表曲

(DVD)※初回盤のみ2016/3/28の赤坂BLITZ公演より厳選した楽曲を収録
1.dim
2.Strike a Bell
3.Ray
4.UNIVERSE Sta.
5.end-end
6.RAINBOW
7.Blue Birds Story

ライブ情報

LEGO BIG MORL 10th anniversary SPECIAL LIVE @ 新木場STUDIO COAST

公演概要
日時:2017年3月28日(火)
場所:新木場STUDIO COAST
時間:開場 18:00 / 開演19:00

LEGO BIG MORL

2006年、バンド結成。地元大阪を拠点に活動開始。長身のフロント3人の圧倒的存在感とそれを支えるドラムのパワフル且つ繊細なリズム。洗練された新世代ロックバンドとして注目を集め、インディーズでありながら多数のフェスに出演。存在感のあるライブパフォーマンスを武器に、新しいサウンドを求める多くのロックファンを獲得。まっすぐな感情と葛藤を詰め込まれた言葉と次第にビルドアップされている緻密な曲構成とアレンジ、作りこまれたエモーショナルで重厚なサウンドとポップに響くメロディにのる透明感と伸びのあるボーカルも、このバンドのオリジナリティとして高い評価を得ている。2013年2月、不慮の事故によりGuitarタナカヒロキが右手首を骨折、神経の手術も必要とする大怪我により表立ったバンド活動は一時休止。この期間にバンドの進化形となる新たなサウンドを求め楽曲制作に没頭。2014年1月、lego big morl第二章の始まりを告げる楽曲「Wait?」を発表。自主企画ライブも行い約1年振りに始動。“LEGO BIG MORL”とバンド名表記も新たに、A-Sketch移籍第一弾となるシングル「RAINBOW」を4月30日にリリースし、完全復活を遂げる。夏には、昨年の鬱憤を晴らすかのように、多数の夏フェスに出演し、新たなサウンドを各地で提示。10月には進化したバンドサウンドが凝縮したアルバム「NEW WORLD」をリリースし、約2年半振りとなる全国ツアーを開催し、大盛況に終える。そして2016年10周年プロジェクトをスタートさせ1月に広島を皮切りに全国ツアーを開催。会場限定シングル「end-end」をリリース!6月22日にベストアルバム「Lovers, Birthday, Musicをリリース。

オフィシャルサイト https://www.legobigmorl.jp/